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artist : MARVIN GAYE
title : 『 HERE, MY DEAR 【離婚伝説】』
release : 1978年
label : MOTOWN RECORD
tracks ( cd ) : (1)HERE, MY DEAR 【ある男のひとりごと】 (2)I MET A LITTLE GIRL 【愛の試金石】 (3)WHEN DID YOU STOP LOVING ME, WHEN DID I STOP LOVING YOU 【涙の向こう側】 (4)ANGER 【怒り】 (5)IS THAT ENOUGH 【恋鎖反応】 (6)EVERYBODY NEEDS LOVE 【愛の重さ】 (7)TIME TO GET IT TOGETHER 【時の流れにまかせて】 (8)SPARROW 【孤独】 (9)ANNA'S SONG 【別れた女 (ひと) へ】 (10)WHEN DID YOU STOP LOVING ME, WHEN DID I STOP LOVING YOU (INSTRUMENTAL) 【涙の向こう側 (インストゥルメンタル)】 (11)A FUNKY SPACE REINCARNATION 【輪廻】 (12)YOU CAN LEAVE, BUT IT'S GOING TO COST YOU 【愚かな代償】 (13) a)FALLING IN LOVE AGAIN 【男は夢追い人】 b)WHEN DID YOU STOP LOVING ME, WHEN DID I STOP LOVING YOU (REPRISE) 【涙の向こう側 (リプライズ)】
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(4) / side B...(5)〜(7) / side C...(8)〜(10) / side D...(11)〜(13)
members : MARVIN GAYE,keyboards,synthesizers ; NOLAN SMITH,trumpet ; CHARLES OWENS & FERNANDO HARKNESS,tenor sax ; ERNIE FIELDS,alto sax ; FRANK BLAIR,bass ; BUGSY WILCOX,drums ; GARY JONES & ELMIRA COLLINS,percussion ; GORDON BANKS & WALI ALI,guitar.
 (マーヴィンは演奏者の記録を残していなかったため、本作でトランペットを吹き、ツアー・バンドでは音楽監督を務めていたノーラン・スミスの記憶を基に演奏者の詳細が作成されている。)
producer : MARVIN GAYE 《except(4)》
arranger : MARVIN GAYE 《except(4)》
co-producer : MARVIN GAYE,DELTA ASHBY & ED TOWNSEND (4)
related website : 未確認




 マーヴィンより17歳も年上の妻〜アンナとの離婚にまつわる事柄や思いを綴った、あまりに悲痛な歌詞で構成されたアルバムだが、“気持ち”は十分にサウンドに反映されていると思うので、その歌詞はあまり意識せずに聴いた方がいいと思う。本国アメリカでの評判が芳しくなかったのは、ひとえにこの歌詞のせいだと思われるからだ。ま、部分的には知っておいたほうがいい所もあるかもしれないが。

 それにしても、邦題 【離婚伝説】。とても購買意欲の削げそうなタイトルだが、名盤 『 WHAT'S GOING ON 』 から始まる一連の流れとして手に取った本作。ところが、『 WHAT'S 〜 』 よりも愛聴盤になってしまった。限りなく優しい耳あたりでありながらもどこかもの悲しく (時には悲痛でさえもあるのだが) 、自分のメンタリティーにピッタリきてしまうからだ。


(1)HERE, MY DEAR 【ある男のひとりごと】
(2)I MET A LITTLE GIRL 【愛の試金石】
(3)WHEN DID YOU STOP LOVING ME, WHEN DID I STOP LOVING YOU 【涙の向こう側】   ▲
tracks
 そんな耳あたりの良さを象徴するかのようなソフトな R & B の(1)と(2)。そして、本作のテーマ曲と言える(3)が登場。本作中で、僕が一番好きな曲だ。イントロの半音ずつ下がってくるモーションは、何となくスティーヴィー・ワンダーの「DON'T YOU WORRY 'BOUT A THING 【くよくよするなよ】」 (『 INNERVISIONS 』 に収録)のサビにヒントを得たような感じがする (コード進行は違っているが)。 陳腐な例えかもしれないが、このイントロはドラマなどで、誰かが見送る中、新幹線のドアが静かに閉まり、ゆっくりと車両が滑り出していくようなシーンにピッタリの感じだ。
 そのイントロの後、マーヴィンによるメインのヴォーカルに、同じくマーヴィンによる様々な形のハーモニーやオブリガードが絡んでいく。時にはそのコーラスがホーン・セクションの代わりをしているのではないかと思えるところもある。そういった様々な声が交錯する中から、静かながらも唐突に飛び出しせり上がってくるトランペットがまたいい。


(4)ANGER 【怒り】  ▲tracks
 少々鼻詰まり気味のマーヴィンが印象的でもある沈鬱なファンク(4)。楽器の音色は現代的なのだが、縦に刻んでいくようなノリのベース・ラインは結構土着的。「トゥットゥル〜」というあたりのドラムのリズム・パターンがカッコいい。


(5)IS THAT ENOUGH 【恋鎖反応】  ▲tracks
 イントロのシンセの“ポペポペ”としたフレーズがちょっとエイフェックス・ツインを思わせる、ダウナーな(5)。後半はサックスによるソロがフィーチャーされている。それにしても暗い曲だ。


(6)EVERYBODY NEEDS LOVE 【愛の重さ】  ▲tracks
 前曲の暗さを払拭するかのようにソフトで朗らかな R & B の(6) 《(1)の改作と思われる》。途中、朗々と鳴るトランペットが希望に溢れている。何か、トンネルから抜け出たような開放感に見舞われる曲だ。


(7)TIME TO GET IT TOGETHER 【時の流れにまかせて】
(8)SPARROW 【孤独】  ▲tracks
 今聴いて、ギリギリ許せるシンセ音が目立つ(特に左チャンネルのヤツ)ファンクの(7)の次は、本作2つ目の目玉と言っても良さそうな幾分ジャジーな(8)。キラキラした装飾音やライド・シンバル、そしてエレクトリック・ピアノによる繊細でスピリチュアルなイントロで、タイトル通りの雰囲気の始まりなのだが、ピリリとしたトランペットが登場したりするうちに、徐々にその雰囲気は凡そ“雀 (直訳すると)”というタイトルからは想像も出来ない展開に変貌していく。後半は咆哮するようなサックスが暴れまくるのだ。こうなると元々の邦題 【孤独】 という言葉が逆に相応しく思われてくる。


(9)ANNA'S SONG 【別れた女 (ひと) へ】  ▲tracks
 冷ややかなシンセ音が寂しさや侘しさをやたら増幅させる(9)。途中、「ア〜ンナ〜ァ〜」と叫ぶ所はホントに切なすぎる。この曲にはかなりヤられます。しかし、自分の別れた奥さんの名前をこれだけ堂々と自分のアルバムで歌う人なんて、滅多にいないんじゃないだろうか。


(10)WHEN DID YOU STOP LOVING ME, WHEN DID I STOP LOVING YOU (INSTRUMENTAL) 【涙の向こう側 (インストゥルメンタル)】
(11)A FUNKY SPACE REINCARNATION 【輪廻】  ▲tracks
 再び現れたテーマ曲(3)のヴァリエイション、サックス・ソロがフィーチャーされたインストゥルメンタル・ヴァージョンの(10)に続いて、タイトルが可笑しなファンク(11)。その名も「A FUNKY SPACE REINCARNATION」。これだけ個人的で悲痛なアルバムなのに“ファンキーな (この場合“イカシた”とでも訳したらよいのだろうか…)”、“宇宙の”、“輪廻”。そして最後は数字で語呂遊び。一体どういうつもりなのだろうか?理解に苦しむ。が、曲としては悪くない。


(12)YOU CAN LEAVE, BUT IT'S GOING TO COST YOU 【愚かな代償】
(13) a)FALLING IN LOVE AGAIN 【男は夢追い人】 
  b)WHEN DID YOU STOP LOVING ME, WHEN DID I STOP LOVING YOU (REPRISE) 【涙の向こう側 (リプライズ)】  ▲tracks
 沈鬱な“慰謝料ファンク”(12)の次は、何となく「WHAT'S GOING ON」をベースにしてシンセで味付けしたかのような曲で、幾分明るさを取り戻せそうな(13)。ちょっと寂しげなスタートながらも、徐々に希望が見えてくるかのようにメジャーな展開になってくる。中盤の「ポーベルッ、ポッ・ペッ・ポッ・ペル」 (と歌っているように聴こえる)というマーヴィンのコーラスが出てくるあたりが最高にいい。と思ったのも束の間、うっすら憂鬱な雰囲気でエンディングを迎え、すぐに(3)のリプライズに繋がってこのアルバムの幕を閉じる。


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