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artist : ALLEN TOUSSAINT
title : 『 SOUTHERN NIGHTS 』
release : 1975年4月
label : REPRISE RECORDS
tracks ( cd ) : (1)LAST TRAIN (2)WORLDWIDE (3)BACK IN BABY'S ARMS (4)COUNTRY JOHN (5)BASIC LADY (6)SOUTHERN NIGHTS (7)YOU WILL NOT LOSE (8)WHAT DO YOU WANT THE GIRL TO DO?【あの子に何をして欲しいの】 (9)WHEN THE PARTY'S OVER (10)CRUEL WAY TO GO DOWN
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(5) / side B...(6)〜(10)
members : ALLEN TOUSSAINT,piano,vocal,background vocal ; ARTHUR NEVILLE (THE METERS),organ ; GEORGE PORTER JR.(THE METERS),bass ; LEO NOCENTELLI (THE METERS),guitar ; JOSEPH MODELISTE (THE METERS),drums ; CHARLES MOORE,guitar ; ALFRED ROBERTS,conga ; TEDDY ROYAL,guitar (4);RICHY POWELL,bass (4) ; CLYDE WILLIAMS,drums (4) ; GARY BROWN,sax ; CLYDE KERR JR.,trumpet,flugelhorn ; STEVE HOWARD,trumpet ; LON PRICE,tenor & alto sax,flute ; JIM MOORE,tenor sax,flute ; CARL BLOUIN,baritone sax ; LESTER CALISTE,trombone ; JOAN HARMON,background vocal ; DEBORAH PAUL,background vocal ; SHARON NEBORN,background vocal.
producer : ALLEN TOUSSAINT & MARSHALL SEHORN
related website : 『 NYNO Records: Allen Toussaint 』(レーベル中の本人紹介ページ)、『 Leo Nocentelli 』(レオ・ノセンテリの公式サイト)、『 George Porter Jr.com The Official Website 』(ジョージ・ポーター・ジュニアの公式サイト)、『 Zigaboo.com 』(ジョセフ・“ズィガブー”・モデリステの公式サイト)、『 Funky Meters The Official Website 』(ファンキー・ミーターズの公式サイト)、『 NEVILLE BROTHERS the official website 』(ネヴィル・ブラザーズの公式サイト)




(1)LAST TRAIN  ▲tracks
 最終列車の発車の合図か、それとも踏み切りの遮断機の音かははっきり断定できないが、列車にまつわる何かの合図を模しているようなピアノの音で始まる(1)。そして、発車と共に徐々に音が増えていく。少しエフェクトをかけたハイハットや「シュークチュクチュクチュ」という声は先頭の機関車の音を、ギターのカッティングは客車の細かい“軋み”を、晴れ渡るように鳴るホーン・セクションは車窓の外に広がる景色を、よく動くベースは列車が勢い良く走る様子を、それぞれ表現しているかのようだ。それらの音がお互いに巧く絡み合いながらも一体となって、聴き手を列車に乗っているかのような気分にさせてくれると同時に、優れたファンクにもなっている。しかし、一聴して開放的かと思われる曲だが、その緻密なアレンジを楽しむには、やはりヘッドフォンで聴く方がより楽しめる。そんなある種密室的で内向的なサウンドを志向する者らしく、歌詞で「俺はもともと落ち込みやすいんだ」と言ってるあたりが彼らしくて面白い。


(2)WORLDWIDE  ▲tracks
 ポール・マッカートニーっぽいシンプルでトボトボとした雰囲気を漂わせつつも、哀愁のソウルに仕上がっている(2)。この曲の核となっているベース・ラインに、ピアノの低音部やホーン・セクション、そしてギターが“付いては離れ、離れては付き”という具合にユニゾンで加わってくる。その中を、アランの声によるコーラスが右から左から忙しく交錯する。一体アランは何人いるんだ?と思ってしまう。


(3)BACK IN BABY'S ARMS
(4)COUNTRY JOHN   ▲tracks
 のんびりした曲調で、ゴスペル調のコーラスが入る(3)に続いて、(1)にもちょっと似た雰囲気のある(4)。本作の中の曲ではかなりファンク度が高いのに、バックがミーターズではないのは意外。アランによるコーラスは、何となく声を楽器として扱っているような感じだ。エンディングには(6)の一部が挿入されている。


(5)BASIC LADY  ▲tracks
 軽めで朗らか、そしてどこかユーモラスな(5)。サックスによるリフレインが印象的。でも、本作においてはちょっとした息抜き的な曲といったところだろうか。(4)と同じくエンディングに(6)の一部が挿入されている。


(6)SOUTHERN NIGHTS  ▲tracks
 ジョン・レノンの「JEALOUS GUY」 ( 『 IMAGINE 』 に収録) のようでもあるし、中国っぽい響きもする名曲(6)。キーボード類の潤い感溢れるサウンドがとても印象的。歌詞に歌われる景色が目に浮かぶようだ。そのサウンドの中でヴォーカルに処理をしているのは、サウンドに合わせてのことなのか、はたまた自分の声が嫌いなせいなのか。この曲はグレン・キャンベルがカヴァーして (僕は未聴) ヒットさせている。


(7)YOU WILL NOT LOSE  ▲tracks
 TOKYO No.1 SOUL SETの「夜明け前」でサンプリングされた(7)。
 レコード店のポイント・カードがあと1500円強でいっぱいになるので、何かそのくらいの金額のCDはないかと探している時、ワーナーの“forever music”という再発CDシリーズがまとめて置いてあるコーナーの中にあった本作を「どれ、ちょっと聴いてみようかな」ぐらいの軽い気持ちで購入し、いそいそと帰宅して聴いてみると、なにやら聴きなれたフレーズが!無性に嬉しくなってTOKYO No.1 SOUL SETの 『 9 9/9 』 のクレジットをよく読むと、そこにはしっかりと“ALLEN TOUSSAINT”と書き込まれていた。ブラック・ミュージックにしてはかなり暗めの曲だが、その暗さがTOKYO No.1 SOUL SETの醸す黄昏感と絶妙にマッチしている。だから未だにこの曲を聴く時は「夜明け前」のイメージと“込み”で聴いてしまう。
 (2)と同様、ベースを中心にピアノやギターなどの楽器が“付いては離れ、離れては付き”という具合にユニゾンで加わってくる、アラン流アンサンブルの妙が楽しめる。


(8)WHAT DO YOU WANT THE GIRL TO DO?【あの子に何をして欲しいの】  ▲tracks
 大人っぽい朗らかさがホロ苦くも爽やかな(8)。聴いたばかりの頃はいまいちピンと来ない曲だったけど、アルバムを何回も聴いているうちに段々と良く思えてくるようになった。穏やかな中にもちょっとした盛り上がりがあることに気付いたりしていくうちに、気持ちの底の方からジワリと染みてくる。(6)よりも微かではあるが、中国っぽい感じがするフレーズが出てきたりして、単純にブラック・ミュージックという枠では括りきれない魅力を持っている。因みに、僕はまだ聴いたことがないのだが、ボズ・スキャッグスやボニー・レイットがカヴァーしているらしい。


(9)WHEN THE PARTY'S OVER  ▲tracks
 タイトルが示す通り、“パーティーが終わった”ということで、のんびりとした曲調の(9)。サビは結構メロウでいい。しかしそれ以上に、ピアノとオルガンが奏でるヒラヒラと下降してくるフレーズが印象的で、とても和める。


(10)CRUEL WAY TO GO DOWN  ▲tracks
 内向的な (?) アランらしく、ラストはマイナー調の切ない(10)で締めくくり。(7)と同様、黒人のミュージシャンのセンスとしては、ちょっと異質な感じのする曲。時折刻まれるギターや、寄せては返す波のようなピアノの静かな連弾が寂しさを表現しているかのようだ。その中でむせび泣く、熱のこもったサックス・ソロが聴きモノ。泣ける1曲。普通コンセプト・アルバムならB面の最後にはA面の1曲目の一部を挿入したりするものだが、彼は何を思ったか、最後になぜか(2)の一部が挿入されている。


 彼の歌唱力はお世辞にもウマイとは言い難いが、飾りがない分、逆に聴き手の身近な所に訴えかけてくるようで、かえってジンと来る。暑苦しさが無く、クールな歌声も魅力だ。それに、練り尽くされたようなアレンジは、聴き込む毎に新しい発見がある。各楽器にリズムの役割を分担させ、それらを同時には鳴らさず、時にはお互いの間を縫うように、時には合流してユニゾンにしたりして、1曲の持つリズムを豊かにしていくやり方は、ファンクにはよくある事だが、彼の場合もうちょっとコンパクトで、彼にアレンジを依頼してきたザ・バンド等のやり方と共通する気がする。ザ・バンド側も当然彼のそういう面を感じ取って依頼したのだろう。

 また、情景喚起力の高いサウンドも見事だ。彼のアレンジ一つで目の前に様々な景色が広がっていくようだ。しかし、スティーヴィー・ワンダーの 『 INNERVISIONS 』 ではないが、目を閉じた時に、その瞼の裏や頭の中で広がっていく感じと言った方が適切かもしれない。彼の幾分ウェットな歌詞や緻密なアレンジと相俟って、聴く毎にドンドン頭の奥へ奥へと入り込んでいく。そういう何か不思議な魅力が本作にはある。


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