Gram Parsons / GP <1973> |
おすすめ度★★★★★☆ |
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GramがFBB脱退後、Delaney & Bonnieの「Motel Shot」やRolling Stonesの「Exile Of Main ST」、さらにJesse Ed Davisの1st等に参加(見学?)後に制作した初のソロアルバム。 FBBを失意の内に脱退したであろう彼にとって、異国での著名なミュージシャン達が彼の音楽を慕い、様々な形で迎えてくれた事は色々な意味で励みになったハズである。 当初、カントリー界の大御所Merle Haggardにプロデュースを依頼したが、Gramを「礼儀知らずのヒッピー野郎」と勘違いして断られている。 そこで彼はFBBを脱退した頃に親交を深めたという元Blind FaithのベーシストRick Grechを共同プロデュースに迎え本作を制作している。 また参加ミューシャンには当時のElvis PresleyのLiveバンドの中核James Burton(g)、Glen D.Hardin(p)さらにRonnie Tuff(dr)を始め、元ManasasのAl Parkinsや旧友のByron Berlineと名うての腕利きミュージシャンを起用。 Gramの何処か寂し気なヴォーカルと重なり、どこまで味わい深く響く最高の演奏を聴かせている。特にJames BurtonとAl Parkinsの掛け合いは本作のハイライトとなっている。 さらにそのGramのヴォーカルを絶妙にサポートしているEmmylou Harrisの活躍は見逃せない。今ではカントリー界とロック界を股に掛けて活躍する一流アーティストとなったが、実質的なデビューは本作でChris Hillmanの紹介でGramが参加を要請したという。 ここではGramの触れると壊れてしまいそうなヴォーカルをしっかりとサポート。時にはユニゾンで、時にはハーモニーへと彼女のヴォーカル無くして本作の美しさは産まれなかっただろう。 本作は決してFBB時代の様な「革命性」を含んでいる訳でも無く、ギラギラした緊張感も感じられない。しかし73年という徐々にカントリーロック界のポップ化が進んでいた時代に、本来のカントリーロックが持っていた美しさや誠実さをもう一度見直したかの如く、永遠に響くのである。 本作発表後、Gramは全米ツアーを開始。「GP」と華々しく飾ったバスに乗り込み、様々な都市のホンキートンクバーからホールをくまなく回るドサ周りを敢行したという。行く先々でGramの姿を一目見たいというファンが集まり、どこも盛況したと言います。 そこには自分の音楽を体現した”My Man”Gram Parsonsの透き通る声が、どこまでも美しく響いていたでしょう。
〜特にお気に入りな曲達〜 Still Feeling Blueは冒頭からGramのブルーなヴォーカルにハマりまくりの名曲。Gramのヴォーカルと詩の内容とは裏腹に、さわやかに響くバックの演奏が印象的。ドライヴ感溢れるフィンドル、バンジョー、スティールギターが一体となったカントリーロック独特の名演が光る。 We'll Sweep Out The Ashes In The Morningはカントリーデュオのカヴァー曲だが、ここではEmmylouの絶妙サポートと堅実なバックの演奏が聴き所。彼女のヴォーカルがユニゾンからハーモニーへと移るその瞬間が鳥肌モンですね。スタジオでGramと向き合って歌う姿が目に浮かびます。 A Song For YouはGramのオリジナル。ココでも零れてしまいそうなGramのヴォーカルをしっかりと支えるEmmyluの活躍が素晴らしい。少しだけずれたユニゾン部分から絶妙に外れたハーモニー部分まで、彼女のコーラスから耳が離せない。 SheはFBB時代の戦友Chris Ethridgeとの共作ナンバー。Gramの美しくも弱々しい声が最も響くナンバーだ。特にサビにおける少しカスれる部分などは未完成の美しさをに切実に感じさせる。美しすぎる..... 一転して明るいThat's All It TookはGramとEmmylouのヴォーカルに加えフィンドルまで、まるで歌っているかの如く響くナンバーだ。間奏でのスティールギターも地味だがしっかりとキメていてカッチョ良い。Emmylouのソロヴォーカルもなかなかである。 Kiss The Childrenは何とRick GrechとGramが共作した、アルバム中最もストレートなカントリーナンバー。しかし詩の内容はとてもシニカルでミュージシャンの悲しさを物語っている。 Cry One More Timeは最も意外な選曲だろう。ボストンのRockバンドJ Geils Bandのカヴァーだ。オリジナルの方はR&Bの要素をユニークに取り入れたRockナンバーだが、ここでは典型的なニューオリンズサウンドに取り組んでいるのが興味深い。やっぱ、南部人なんですね。 CostelloもカヴァーしたHow Much I I've Liedは、何と言ってもGramの歌い回しに尽きる名曲。こういう陰に満ちた曲を歌わすと不思議と説得力を持つ彼のヴォーカルが切実に響く。やはりここでもバックが彼の声を盛り立てる。 Big Mouth BlueはElvisのバックバンド組みが大活躍するロックンロールナンバーだ。イントロから楽し気なギターが印象的で、「Train」という単語に呼び出されるかの様に入ってくるスライドもなかなかイイ。 間奏でのカントリーギターがいかにもJames
Burton!って感じで好きだな。GramのR&R好きを改めて感じるナンバーだ。
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1 . Still Feeling Blue
バスに乗り込んでのドサ周り |
(1999.12.25 再更新)
〜関連作品の簡単な紹介〜
Gram Parsons & The Fallen Angels / Live 1973
ドサ周りで行き着いたニューヨークでのスタジオLive録音が本作。
この頃のLiveがこんな高音質で残っちゃうなんて、まさに奇跡でしょう!
ここでは残念ながらJames Burtonを始めとするGP録音時のメンバーは
不参加となっているが、美しいカントリーサウンドは健在。また、Emmylouもしっかり着いてきている。
内容の方はそのEmmylouがリードを取るストレートなカントリーナンバーの
Country BaptizingやByrdsのRoger McGuinnと共作したDrug Store Truck Drivin' Manの
しっとりしたGramバージョン等はここでしか聴く事が出来ないトラック。
またラストにはFBB時代のSix Days On The RoadやR&Rメドレーをカマしたり
ベーシストによるベースソロを挟んだりとGramのR&Rな側面を感じさせる部分も多く聴かれる。
僕は何故か輸入盤のBOX仕様の物を興味半分に購入。
カサばってしょ〜がない。失敗。
Elvis Presley / That's The Way It Is <Special Edition>
当時Gramが自腹を切ってまで集めたというJames Burton、
Glen D.Hardin、Ronnie Tuffといったバックメンバー達の活躍が堪能できる
"King"Elvisの復活ドキュメンタリー映画のリメイク版。
意外なほど真剣そのもので取り組むElvisとバックメンバー達の
臨場感溢れるリハーサル風景から本番のステージまで
最新のリマスター映像と5.1CHによる音響で楽しめる
全ロックファン必見の映像。
とにかく生々しいRockアーティストElvisの姿が心行くまで
楽しむことができ、バックの演奏もタイトでカッチョ良い!!
偉大すぎるが故に存在する妙なElvisへの偏見を余裕で吹っ飛ばす
決定版的映像だ。
J Geils Band / The Morning After
GramのカヴァーしたCry One More Timeのオリジナル目当てで買った
アメリカンロックバンドの2edで全編を貫くR&Bの要素を消化した様な
ブルース感覚がとても好印象。
お目当て曲以外ではブルースハープの暴れまくるWhammer
Jammerや
もろソウルのThe Usual Plase、楽し気なGonna Find Me A New Love
そして本作のハイライトと言えるラテンロック風のIt Ain't What You
Wantあたりが聴き所。
個人的にはBlack Crowsあたりのキャラと被ってしまうけど、
結構懐が深そうな所が気に入って良く聴いてます。
もっと追いかけてみたいですね。
順路はこちら(工事中)
Gram Parsons / Grievous Angelへ !
〜関連アーティスト / アルバムへのリンク〜
Blind Faith / Blind Faith
共同プロデュースを行ったRick Grechが参加したスーパーグループ!
The Rolling Stones / Exile Of Main ST
Gramが参加したかも?っというStonesの南部サウンド体現アルバム!
Manasas / Manasas
Al Parkins、Chris Hillmanが参加したスーパーグループ!
Jesse Ed Davis / Jesse Ed Davis
Taj Mahalバンドを脱退したJesseが制作した1stにはGramのクレジットが...
Flying Burrito Brothers / The Gilded
Palace Of Sin
Gramが結成した革命的カントリーロックバンド