Blind Faith / Blind Faith   <1969>

おすすめ度★★★★


Creamなどでブルースを極限まで追求してきたClaptonだったが、68年に突然アメリカから流れてきた音楽に全身の魂を奪われるのである。

彼のその後の人生をも変えてしまったアルバムの名は「Music From Big Pink」The Bandが発表したデビューアルバムだった。

それまでブルースドップリだったClaptonの目を、黒人音楽のさらにルーツ的なR&B、Soul、さらにそれと反するようで通じるCountryという所まで向かせたそのアルバムは、まさにアメリカそのもの、究極の音楽だった。

この時期はClaptonがこの究極の音楽を手に入れる為、自らのキャリアを迷わせてしまった時期であった。そんな彼がこの危機的状況を打破する為に選んだパートナーが、元TrafficSteve Winwoodだった。

そしてドラムにはGinger Bakerが参加。ClaptonがCream時代のパートナーを再び選んだ理由は定かでは無いが、もしかしたらClaptonじゃなくてWinwoodに希望だったのかなぁ?っという気もする。

逆にこのスーパーグループにおいて唯一の無名メンバーであるRick Grechは、Claptonにより選出されたミュージシャンかもしれない。ここではベーシストとして参加しているが、実はフィンドルを演奏したりもしている。

Claptonは彼にカントリー的アプローチの手助けを求めたのかもしれない。ちなみに後年、Rickはカントリーロックのカリスマ的存在のGram Parsonsのソロ作を共同プロデュースしており、楽曲も提供している。

楽曲ではClaptonが傑作4を提供。ウヤムヤではあるが、自分の進むべき方向性を見つけた彼の素直な心境が反映されたのだろう。逆にWinwoodがなんてタイトルの曲を提供しているのはおもしろい。

一般のリスナー達は、メンバーの発表を聞いて「こりゃ、すっげぇアルバムに違げぇねぇ!」っと期待しただろうが、結構地味な感じのアルバムに肩透かしをくらったようです。

アルバム自体もClapton色は最小限に抑えられ、全曲Winwoodがヴォーカルを取るなどWinwood色が前面に出てる感じです。

ちなみ彼らはロンドンのハイドパークにおけるフリーコンサートでデビューし、George Harrisonの紹介でDelaney & Bonnieを前座に従えてアメリカツアーに出ます。

しかしClaptonが前座バンドであるDelaney & Bonnieにすっかり惚れ込んでしまい、彼らのバンドに加わるというアクシデントが発生します。Blind Faithは、皮肉にもそのグループ名通りの運命を辿ってRock界から消えていきました..

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(っていっぱいあってすんません^^;)

オープニングのHad To Cry Todayは、いきなり2本のギターによる掛け合いが何ともカッチョ良いナンバーだ。Cream時代に比べると攻撃性は圧倒的に劣化し、終始メロディアスに響くフレーズが印象的。セッション的な肌触りもイイ感じだ。

そしてClaptonも自身の作品ではないにしろ、後年まで重要なライヴレパートリーとなったのがCan't Find My Way Homeだ。Traffic時代を彷彿させるトラッド的なアレンジが素晴らしく、Winwoodのヴォーカルも味わい深く響く。名曲ですね。

Well All RightはRock草分け期のヒーローBuddy Hollyのカヴァーだ。イントロの東洋風なアレンジなどは、またしてもTrafficチック。

しかしこのR&Rと東洋風のリフが重なる瞬間は、いつ聴いても気持ちが良い。WinwoodのピアノとClaptonのエフェクトをかけたギターが不思議な魅力を放つ。Claptonはこの頃からシンプルでポップなRock'n Rollスタイルのナンバーも演奏しだす。

Presence Of The Roadは、Claptonが新しい領域に足を踏み入れる心境が伺える名曲だ。聴き所はやはりミディアムテンポに進行する曲調が、Claptonのワウギターを切っ掛けにテンポアップする瞬間だろう。スタジオ盤の方がむしろギコちなく聴こえるのも面白い。

Sea Of JoyはWinwoodのヴォーカルで決まりだ。全くもってしてこの曲におけるWinwoodのヴォーカルはカッチョ良いのひとこと。彼の真骨頂だ。

さらにGinger Bakerのドラムも彼らしくてイイし、何と言っても間奏のRickのフィンドルがまたイイ味出してます。そして控え目に響くClaptonのギター....アルバム中の裏ハイライト的ナンバー。

ラストのDo What You Likeは初めて出てくるGingerっぽい曲。ジャムに入る時のWinwoodによるシンセも何だか時代を感じさせる。また、後半にはGingerの後のアフリカン趣味が垣間見れる。

ちなみにボーナストラックで聴かれるSpending All My Daysは誰が歌ってるのでしょうか?Rick Grechでしょうか?Winwoodじゃないですよねぇ?何だかClaptonが作ったR&Rの失敗作って印象ですな。


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1 . Had To Cry Today
2 . Can't Find My          
           Way Home
3 . Well All Right
4 . Presence Of The Road
5 . Sea Of Joy
6 . Do What You Like

〜Bonus Tracks〜
7 . Exchange And Mart
8 . Spending All My Days


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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彼ら、どこまで本気
だったんでしょうね....
ま、これも60's最後の夢でした

 

(2001.4.22 再更新)

 

 

 

 

 

 

〜その後のメンバー達〜

Claptonはそのままアメリカに残り、Delaney Bramletの元
自らの方向性をもう一度見詰め直す時間を過ごします。
さらに彼らをヨーロッパへ連れ出し、自らもツアーに参加し
その音源は「On Tour」としてアルバム化されています。

Captonにフラれた残りのメンバーはGinger Bakerをリーダーとする
Ginger Baker Air Forceに参加。他に元TrafficのChris Wood、
元Moody Bluesで後にPaul McCartneyと組むDenny Lane等が参加するが
これも短命に終わっている。

Gingerはその後も更に自身の趣味を爆走!
WinwoodはTrafficの再編に走ります。

 

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〜関連アーティスト/アルバムの簡単な紹介〜
Blind Faith Deluxe Edition

2001年を迎えて突然登場した本作のリィシュー盤。
本編には素晴らしいリマスター効果が施されており、その魅力が
更にリアルに伝わってくる仕様にパワーアップ!

特にSea Of JoyでのWinwoodのヴォーカルやDo What You Likeでの
Ginger Bakerのドラムの生々しさには改めてタメ息を漏らした。

更に更に2枚組みという嬉しいつくりを生かしボーナストラックも満載だ。

Disk Tには今までBOXに収録されていた未発表曲や
それのテイク違い、未発表セッションが散りばめられている。

個人的なハイライトはSleeping In The Groundの
スローバージョン。Claptonの奏でるフェンダーの香りが香ばしい。

Disk UにはJam Sessionを4テイク収録。

正直まだまだグループの方向性が決まらない時期のモノだけに
シレっと流すだけではビシビシ伝わってはこないものの
じっくりと聴けばこのグループの持っていた様々な可能性を
肌で感じることができる....ハズだと思って現在必死で聴いてます。

4曲目あたりのジャズっぽいアプローチなんかは新鮮な魅力だ。

 

 

 

 

 

 

順路1 : Eric Claptonコース
Delaney & Bonnie「On Tour」へ

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順路2 : Steve Winwoodコース
Traffic 「John Barleycorn Must Die」 へ

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〜関連アーティスト/アルバムのリンク〜

The Band / Music From Big Pink
The Bandのデビューアルバム。アメリカンロックの極みです

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Traffic / Traffic
第1期Trafficの名作!

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Gram Parsons / GP
Rick Grechが共同プロデュースした、ソロ一作目

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Paul McCartney & Wings / Red Rose Speedway
後にGingerと組んだDennie Laneが活躍したWingsの2ed

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