The Rolling Stones / Exile On Main ST. <1972> |
おすすめ度★★★★★★ |
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60年代末から続けてきたStonesの「アメリカンミュージック探索の旅」総決算的2枚組アルバム。 彼らは2枚組という大きなフォーマットの上に、実に様々なスタイルの楽曲達を凝縮。そしてそれらが決してバラバラになる事の無く、しっかりとした統一感を保持したまま並べられている。彼らの最高傑作としても名高い名作である。 サポートメンバーも前作では自身の活動の為に欠席気味だったNicky Hopkinsも完全に復帰。Bobby Keys、Jim Priceといったホーン隊に1曲のみBilly Prestonのオルガンと、ほぼ唯一無二の最強の布陣。 R&R、カントリー、スワンプ、サザンソウル、ブルース、この時代の美味しいサウンドを全て並べたフルコースだ。 Mickのヴォーカルも相変わらず絶好調に粘っこく、加えてKeithのヘタウマで味わい深いコーラスもハマリまくり。Taylorも、もはやStonesにとって無くてはならないリードギタリストとしての位置を確保。随所で素晴らしいソロをキメている。 全体としては5以外はシングルヒットしそうな曲は皆無に等しいが、アルバムの合間に挟まれた地味な曲の味わい深さは最高の境地に達しており、アメリカンロックを完全に手に入れた彼らの自信が伺える。 また8では、Keithの親友Gram Parsonsがコーラスで参加したとかしてないとか....いずれにせよ、Stonesの長い歴史の中でも屈指の美しいカントリーナンバーに仕上がっている。
〜特にお気に入りな曲達〜 Coolに始まるRocks Offは最高に粘っこいナンバーだ。ノッケからKeithとCharieのリズムコンビが抜群で、特にドラムのカッコ良さったらない。Nickyのピアノも転がりまくる。 途中にサイケになる所なんて、ちょっとUKバンドっぽくて好きだな。ホーン隊もイイぞ!ノッケから立ち込める独特のグルーヴが堪らないオープニングだ。 一転してRip This Jointはウッドベースも交えた50's風R&Rナンバー。エラク騒がしい曲だけど、妙にノリノリで聴いちゃう。ココでもNickyが最高に転がる。Keithの適当そうなハモりもイイ感じのヒネりを加えている。 Casino BoogieはKeithのコーラスも光るブルースナンバー。間奏のサックスがCoolに響き、エンディングのスライドギターも出色だ。こういう味わいってこの時期のStonesしか出せないですよね....こうして聴くと結構技巧派だったりします。 Tumbling Diceは本作の魅力を凝縮したかの様な傑作だ。ココでは女性コーラス隊をも従えた事でスワンプっぽい味わいも加えられ、後半ではゴスペルっぽい掛け合いも最高だ。 またKeithとTaylorの二つのギターの絡みもカッチョ良く、Taylorが担当しているベースもファンキーに響いている。至高感いっぱいのRockナンバーですな。 イントロのハーモニカであちらの世界にご案内のSweet Virginiaは、どこまでも美しいカントリーナンバー。アコースティックな音作りからの間奏のサックスまで、いつも僕の涙を誘って止まない憎い奴だ。マンドリンっぽく響くスティールギターの音色も美しいです。 Torn And FrayedはManasasのAl Parkinsのスティールギターをフューチャーしたカントリーブルース。単調な曲調から聴こえるParkinsのスティールギターとJim Priceによるオルガンがアメリカンロックの香りを運んでくる。エンディングのギターも地味ながら美しい。 続くSweet Black Angelは、アコースティックなブルースナンバー。前曲に続いてKeithによるコーラスが効いている。 Loving CupはNickyのピアノが終始美しいブルースロックだ。Keithのアコギに絡むCharieのドラムのカッチョ良さは最高の境地。もうドラムが入ってきた時点でごめんなさいぃ〜です。 地味ながらココら中盤の展開は、もはやイギリスのRockバンドという領域を越えた味わいをもっているようで大好きだ。これだって立派なRockの偉大なる成長の記録だと個人的には思いますなぁ。 永遠のKeithナンバーHappyはTaylorのスライドも光る、初のKeith節炸裂Rockナンバーだ。Mickとのヴォーカルの分け方も絶妙に進んで行くアレンジは最高です。この曲が「ロックバンドのギタリストが歌うナンバー」の典型を形作った事は否定できまい。 Ventilator Bluesは、こちらも初めてTaylorの名が共作クレジットされたブルースナンバーだ。彼の名がクレジットされるくらいだから、ほとんど彼が作ったのでしょう。^^; 途中から入ってくるTaylorのドブロスライドが最大の聴き所。 Let It Looseは、その後のStonesの方向性を臭わすソウルフルでルーズなナンバー。Keithのコーラスやエフェクトを要したギターが何とも言えない魅力を放っている。Charieのドラムも涙を誘います。 All Down The Lineはブルース伝統の鉄道ナンバー。この手の曲にお決まりとなっているスライドギターは勿論Taylor。全編に渡って縦横無尽に暴れまくる彼のプレイには圧巻。Taylorの独壇場の様なトラック。 Robert JohnsonのStop Breaking Downは、ピアノでIan Stewartが参加。ここでもTaylorがスライドを披露しており、アルバム中でも最もノビノビと演奏している。彼のスライド無くしてこの曲の存在は考えられない。 Billy Prestonのキーボードを全編に配したShine A Lightは、もろゴスペルな味わい深きナンバー。Taylorのギターはまたしても終始鳴り響く。こういう曲にも柔軟に対応する辺りにTaylorの才能を感じますね。 ラストナンバーのSoul Survivorは、意外とストレートなStones Rockナンバー。ここでもKeithとTaylorの絡みがカッチョエエです。Nickyのピアノでワンクッション入れてからのエンディングもアルバムの終わりを勿体ぶるようでイイっス。 |
1 . Rocks Off
本作ではKeithの 音域がナンボのモンだ!! |
(2002.2.24 再監修)
〜関連アルバムの簡単な紹介〜
Nicky Hopkins / The Tim Man Was A Dreamer
Stonesのサポートメンバーとしても有名なセッションマンNickyが
73年に発表した初のソロ作。
Mick Taylor、Boby Keys、Jim PriceといったStones人脈から
George Harrison、Klaus Voorman等のBeatles人脈まで
揃えた参加メンバーは彼の活動の幅を物語っている。
Nicky自身のヴォーカルはやや力不足といったところだが
全編に漂うアーシーなサウンドは流石で、変名で参加している
George Harrisonのスライドギターが華を添えている。
〜ちょっと禁断のブート話〜
The Rolling Stones / Philadelphia Special
TSPから出てた超有名な72年の数少ないラインものブート。
音の方はマニアックな方々は好みが別れる所らしいが、
個人的にはこれだけ聴ければ全然OKって感じ。
ここらのツアーからTaylorのメインギターがSGからレスポールに変わっている。
これにより71年以前に比べて、より音がラフで強力なニュアンスに
感じられるようになっている。
(ここらは僕、あんまし分かりません)
やはりこの時期のStonesのLiveの聴き所は何と言っても
Taylorのギターに尽きるだろう。もう全編に渡って彼のギターの存在感が物凄く、
随所で目の覚めるようなテクニックを聴かせる。
この時期のStonesがLive盤を出せなかった事は、
Taylorのキャリアに少なからずダメージを与えた事は
様々なブートによって証明されている。
またボーナストラックとして、テキサスにおけるStevie
WanderのLiveに
Mickが飛び入りした際のトラックが収録されている。こちらもカッチョ良い。
順路はこちら
The Rolling Stones / Goats Head Soup へ!
〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜
Gram Parsons /
GP
カントリーロックのカリスマGramの初のソロ作!
Manasas / Manasas
Al Parkinsも在籍したStephen Stillsの結成したスーパーグループ!