The Rolling Stones /
Rock'n Roll Circus <1968>(1996)

おすすめ度★★★★★


Rolling Stonesが68年にTVのスペシャル番組用に企画したサーカス仕立てのR&Rショーだ。この時期のRock界は変革期にあたり、個性的な新人アーティストや新しい方向性を模索するトップアーティストまで様々なゲストの出演が話題となった。

しかし様々な理由からこの歴史的映像はお蔵入りとなり、96年に正規盤として突如として発売されるまでブートでしか見る事ができなかった。

っという僕もブートで体験していたクチでしたが、モノクロでノイズがひどく、オープニングなんか誰が誰なのか見分けるのは不可能だったです。

Mickの「オープニングは強烈な新人バンドで!」という要望から、Jethro Tullが幕開けを担当している。この番組の音響担当だったGlyn JonesLed Zeppelinを推薦したらしいが、Stones側の意向でJethro Tullの出演が決定したらしい。

リーダーのIan Andersonのアクションがひときわ目立つこのバンドは、当時Zeppelinを凌ぐ程の人気を誇っていた新人バンドだった。

Ianの顔共々、演奏ぶりも奇妙そのものな魅力は彼らの真骨頂か...ココでもなかなかのインパクトを放ってるが、この時の演奏は生ではなかったみたいだ。


次なるゲストはThe Who。この時のWhoの演奏があまりに素晴らしく、主役であったStonesを喰ってしまったのがお蔵入りの原因であるという説もある程、この時の彼らの演奏はスザマしい!

この時期のThe Whoは、あの歴史的名作「Tommy」の制作過程にあり、同じロックオペラ仕立ての演奏曲を、すごいテンションで披露している。特にKeith MoonとJohn Entwhistleの炸裂リズム隊には脱帽です。


お次はTaj Mahal。本作品中唯一のアメリカングループだ。黒人でありながらピュアなブルースではなく、アーシーでロックっぽいBluesリバイバル的な音を奏でる彼らの出演は、後のStonesの方向性を案じているようで興味深い。

またこの頃のTajのバンドには、後にL.AでLeon Russellと共に重要なポストに位置する事になるギタリストのJesse Ed DavisやドラムのChuck Blackwellが在籍。彼らマニアックアーティストの「動く」姿が拝められるのも非常に貴重。

特に大注目のJesseのギターは、粘っこいフレーズを連発!ブレイク後のソロは涙モンのカッチョ良さだぁ!


続いてMickの当時の恋人Marianne Faithfullが登場。一曲披露している。Mickとは2年後に破局を迎えている。


そしてMickとのインタビューの後、The Dirty MaCが登場!正直、僕にとっては彼らがメインだった。John Lennon(vo,g) Eric Clapton(g) Keith Richards(b) Mitch Michell(dr)といったすごいメンバーである。この時のClaptonはCreamを解散させた直後だと思う。

この時のJohnはグループでの活動に徐々に冷めてきた時期であり、この番組への出演がBeatles解散の布石の一つとなったのは確かだろう。ここでは、2週間前に出たばかりだったという「White Album」からの新曲をライヴで披露。

ココではBeatlesバージョンとは一味違うブルースソロを奏でるClaptonのプレイにやはり注目である。ヤバイくらいにカッコイイですね。この作品を見る時、僕の目と耳は彼のプレイに釘付けです。

ついでにJohnの新たなパートナーYoko Onoが登場するWhole Lotta Yokoでも、フロントの二つのリード隠れながらも絶妙なフィルを入れまくるClaptonに耳が集中する。この頃のClaptonは本当にキレてます。ちなみにヴァイオリン奏者はYokoに迫力負けしてますね。


そして遂に主役登場!Rolling Stonesです!この時は既にBrian Jonesが駄目になってたようで、勢いに満ちた他のアーティストに比べて見劣りがしたという評価はちょっとしょうがない気もする。

しかしそこはピアノにNicky Hopkins、パーカッションにRocky Dijonを加えて対抗している。特にNickyとの長年のコンビはこの時に初めて観衆の目に触れた事になる。

評判こそ悪いものの、本作で聴かれるStonesに何ら注文は見当たらない。世界最強のロックロールバンドに登り詰める直前の彼らの意気込みが伝わってくる。

しかも演奏曲は全てBeggar's Banquetのモノと最新シングルだ。彼らはここで明らかに新たなスタートを誓ったのだ。

Jumping Jack Flashはルーズなノリが最高だし、独特のMickのパフォーマンスも完成に近づいている。続くParachute Womanも、スタジオ盤とはちょっと違う味で攻めてくる。只、Keithのソロが...よくClaptonの前でできましたねぇって感じで赤面もの。

続くNo ExpectationsもBrian最後の見せ場という感じだ。名曲You Can't Always Get What You Wantは感動の代物だ。元気無さげにマラカスを振るBrianが気になるが、Mickはノリノリ!

そしてゲストのRocky Dijonのパーカッションが大活躍するSympathy For The Devil。Nickyのピアノも効いている。途中でシャツを脱いだら体にデビルのペイントがしてあるって演出はとてもクサくて、いかにもMick!って感じで好きです。

そして最後は全員でSalt Of The Earthを合唱してめでたしめでたしである。

Stoensの演奏は全体に決して悪い物では無く、こんなに長くお蔵入りしてた理由はわからない。しかし、この映像がRockの過渡期を捕らえた非常に貴重なものであるという事実は間違い無いだろう。

何はともあれ、この映像が正規盤で見られる時代に生きている自分を只々褒めてやりたい。エライね。


Circus1.gif (19394 バイト)

Song For Jeffrey
Jethro Tull
A Quick One(While He's Away)
The Who
Ain't That A Lot Of Love
Taj Mahal
Something Better
Marianne Faithfull
Yer Blues
Whole Lotta Yoko

The Dirty MaC
Jumping Jack Flash
Parachute Woman
No Expectations
You Can't Always Get 
        What You Want
Sympathy For The Devil
Salt Of The Earth

The Rolling Stones

 

 

 

 

 

Circus3.gif (26739 バイト)

The Dirty MaC!
JohnのRockerぶりを堪能できる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Circus2.gif (31045 バイト)

The Rolling Stones!
評判ほど悪くない...

いや、カッチョ良い!

(2000.2.21 再更新)

 

 

 

 

 

 

順路はこちら
R.Stones「Let It Bleed」へ

Bleed1.gif (20613 バイト)

 

 

 

 

 

 

〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜

The Beatles / White Album
Yer Blues収録。Claptonも一曲でリードを取っている。(もちろんギター)

White1.gif (6465 バイト)

 

 

 


Cream / Desraeli Gears
Claptonが在籍したスーパートリオ

Cream1.gif (22790 バイト)

 

 

 

Taj Mahal / The Natch'l Blues
本作でも演奏したAin't That Lot Of Loveも収録の2ed

Taj1.gif (19496 バイト)

 

 

 

 

The Who / BBC Sessions
Whoの魅力満載のBBCセッション

WhoB1.gif (11650 バイト)

 

 


 


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