The Rolling Stones / Let It Bleed <1969>

おすすめ度★★★★★


前作でサイケの魔力からの脱皮を図った彼らが、その要素の更なる消化に成功して作り上げた名盤。

デビューからその強烈な個性でバンドを引っ張ってきたBrian Jonesが再起不能な状態であったこの危機的状況を、彼らは外部ミュージシャンを大々的に起用することで見事に解消。

この時期にメキメキと頭角を現してきたL.Aのスワンプミュージシャンを絶妙に配し、彼らのエキスをドンドン吸収するかのようなタフな部分はStonesの最大の武器だ。

製作段階で最も貢献したアーティストとしてはRy Cooderが有名。アルバム中のほとんどをプレイしているKeithのギターは、実はRyのプレイのコピーであるという噂まであるほど。

またこの時期のKeithと最も親密な関係を持っていたという元ByrdsのGram Parsonsの影も大きく反映されており、所々で彼の横顔を感じることができる。

更に直後に正式メンバーとして向えられる元Blues BreakersMick Taylor、70年代はツアーメンバーとしても活躍するNicky HopkinsBoby Keys

そしてGramとの人脈を生かしてのByron Berlin、スワンプロック界のボスLeon Russellとその後の彼らの活動においても重要なメンバーが参加。

エンジニアにはGlyn Jonesを起用。全体を覆う至高感の中でシャープに響く、彼の素晴らしい音作りもアルバムに大きく貢献している。

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(っていっぱいあってすんません^^;)

まずは幕開けから渋いGimme Shelter。多少のサイケな要素を引きずりながら、ソウルフルに粘っこく響く魅力は当時の彼らにしか出せない味わい。

アルバムのトーンを決定付ける素晴らしいオープニングだ。素晴らしいソロも聴かせる女性ヴォーカリストはMary Claytonという方。彼女の貢献も見逃せません。

Love In VainではRobert Johnsonによるブルースナンバーをカントリー寄りのアレンジにて料理した、彼らの独壇場的世界が聴かれる。

粘っこいスライドも風味程度に用いられ、要所でマンドリンを持ってくる辺りのアイデアはKeithとGram Parsonsの交流無しでは考えられなかったかも知れない。

Live With Meは死ぬほど好きなナンバー!この脱線しそうなヨレヨレグルーヴは唯一無二で、イントロのベース&ドラムからMickのヴォーカルが絡んでくるところでノックアウト状態だ。間奏のサックスもファンキーです。

ココで半テンポほど遅れて入る絶妙なニューオリンズピアノを奏でているのはLeon Russellであるという説もある。

タイトルナンバーのLet It Bleedもカッチョ良いナンバーだ。何と言ってもココでは、Keithの粘るスライドとその横で転がるピアノの魅力に包まれる。

Midnight Ramblerは60年代中期から長時間のブルースナンバーを試してきた彼らの一つの到達点だ。Mickのハープが終始セクシーに響く。ブレイク前のギターがブレーキを掛けているようでカッチョエエのだ。まるでKeithがリズムリーダーの様です。

You Got The Silverは初の全編Keithヴォーカルによるカントリーブルースナンバー。彼の切ないヴォーカルに乗ってアコギ、スライド、オルガンなどが一体となって美しく響く。イイ曲です。

アルバム中最も奇妙な雰囲気を臭わすMonkey Manは、イントロから飛ばすKeithのギターがとにかくカッチョ良い。ファンキーで力任せに響くリズムの後ろで華麗に響くピアノにも注目。

そして名曲You Can't Always Get What You Wantの登場です。シングルでは入ってなかったロンドンのバッハの合唱団がイントロに花を添える。

キーボードはAl Cooperが参加しているが、ココでの最大の魅力はやっぱりMickのちょっと爽やか気味なヴォーカル。中盤からの盛り上がりも見事の一言で、アルバムを締めくくるに相応しい風格ある名曲だ。

 


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1 . Gimme Shelter
2 . Love In Vain
3 . Country Honk
4 . Live With Me
5 . Let It Bleed
6 . Midnight Rambler
7 . You Got The Silver
8 . Monkey Man
9 . You Can't Always Get 
  What You Want

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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Talorの演奏は
Stonesのライヴに
欠かせない存在になって行く..

(2000.1.15 再更新)

 

 

 

 

〜関連アーティストの簡単な紹介〜
Ry Cooder

絶妙のトーンを持ったスライドギターで有名なアメリカのセッションギタリスト。
当時、Stonesの元に武者修業に来ていたが、散々使いまわされた後に
取って置きのオープンチューニングのフレーズを盗まれたとして彼らの元を去っている。

何を隠そう、そのフレーズがHonky Tonk Womenのイントロである。
その後のStonesの数々の犯罪的行為を見てると、どうも本当っぽい。

彼は後に様々な音楽を独自に吸収した音楽活動を展開し、その一方で
数々のセッションに参加。70年代初期では様々な所で彼のスライドギターが響いている。

ちなみにKeithがオープンチューニングを使い始めたのは
この時期にあたり、Ryからの影響と思われる。

当時、無名だったRyをセッションに招き、謙虚に彼の腕を認めて
自分にも吸収して行く(パクっていく?)Stonesのタフさが伺えるエピソードだ。

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順路はこちら
The Rolling Stones 「Sticky Fingers」へ

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〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜

FBB(Gram Parsons Byron Berline)
Gram Parsonsが結成した革命的カントリーロックバンド!

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Leon Russell / Leon Russell

スワンプ界のボスなんだって、この人。

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Delaney & Bonnie / Original D & B
Boby KeysとLeon Russellも参加のスワンプ名盤

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John Mayall & Blues Breakers / With Eric Clapton
Blues Breakersの初期名盤

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Eagles / Eagles
Glyn JonesがProしたアメリカンロックバンド

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