Paul
McCartney & Wings / |
おすすめ度★★★☆ |
||
念願の新グループの結成に成功したPaulは、積極的なLive活動を行うと同時にリードギタリストに何と元Grease BandのHenry McCulloughを引き抜きバンドの強化に努める。 これによりWingsのギタリストはDenny LaineにHenry McCulloughというスワンプ臭の強い二人になり、その音楽性はいよいよラフでルーズなモノになっていく。アルバムではこの辺の味わいは嗅ぎ取りにくいが、ブートなどで確認できる彼らの演奏はやたらにルーズだ。 72年になるとPaulは積極的なLive活動と同時進行にレコーディングにも取り組み、2枚のシングルを発表。「My Love」が1位を記録するなど、自信も取り戻してきたPaulは並行して本作のレコーディングも行う。 その一方でイギリスを代表するスパイ映画「007」に、タイトル曲Live And Led Dieも提供。この時期30曲ものレコーディングを行い、本作を2枚組で発売する計画もあったらしいが最終的には9曲が選曲されている。 しかし結果的にはシングル発売の曲が2のみとなり、全体的に仕上がりが地味になってしまったのも事実で、実際現在では中古レコード屋の300円コーナーなどでよく見かけてしまう。 だが良く聴いて欲しい。これはPaulがWings史上最もスワンピーなメンバーをバックに吹き込んだ名盤である。Paulはこの後、さらにラフでハードなアルバムの製作を思い描いていたらしいが、突然、Henryの脱退という事件に見舞われる。 脱退の理由は「Lindaの存在が理解できない」、または「ラゴスに行きたくねぇ」と言ったものらしいが、「もうちょっと我慢できなかったのかい...」っと今でも悔やまれる事件である。(産まれてないけど) せめてもう一枚....もう一枚このメンバーでじっくりアルバムを作って欲しかったぁ! この後、HenryはGrease Bandの再結成アルバム等パブロックシーンでマイペースな活動を続け、George HarrisonのDark Horseレーベルからソロアルバムも発表している。 また、本作発売直前にはアメリカATVより「James Paul McCartney」というスペシャル番組が放送され、そこでは迫力のLive映像の他Beatlesナンバーの弾き語りなどが見られる。また「動くHenry McCullough」が拝めるのもありがたい。
〜特にお気に入りな曲達〜 Big Barn BedはいきなりHenryのギターをフューチャーしたSwamp臭いナンバーだ。Ramのエンディング部分を発展してできたそうだが、ここではやはりHenryのラフなカッティングと一発リードにノックアウト。Paulのヴォーカルも流石の一言!Rockだぜぃ! My LoveはPaulお得意の極上バラードだが、ここではストリングのアレンジが素晴らしくBeatles時代のPaulの復活を思わせる。また、ギターソロはHenryが「変えさせてくれ!」っとPaulに直訴したらしい彼自身Bestプレイの一つだ。 イントロのギターの響きがJesse Ed Davisを想わすSwampyバラードGet On The Right Thingも隠れた名曲だ。きっとこのギターはHenryだろ!?っと確信してたのですが、改めてクレジットを見ると「Dave Spinozza」.....誰だ??まぁともあれ、アルバム中もっともSwampを感じさせるナンバー。 カントリーバラードのOne More Kissも大好きだ。ホンワカした雰囲気の中で歌い上げるちょっとエコーの掛かったPaulの声もまたイイ。ここでもHenryの活躍に耳が奪われる。 Little Lamb Dragonflyは、Paulの曲の展開力をまざまざと見せ付けられるナンバーだ。イントロの静かな出だしからのロマンチックな展開は、彼の独断場だ。 これもRamからのアウトテイクからという事もあってか、Johnへの思いがつづられた様な歌詞になっている。しかしアレンジもあってか、泥臭いところは全く感じさせずに爽やかに響く。Paulの七変化なヴォーカルも充分堪能できる。 実は個人的に一番好きなのがWhen The Nightだ。どこがイイって訳じゃないけど妙に好き。ヘタウマなコーラスも良い雰囲気だし、アコースティックなアレンジも心地良い。 またエンディングでそれぞれの曲がワンフレーズずつ出てくるアレンジはPaul独特のB級臭さが良く出てるが、個人的にはお気に入りだ。ココらに付いてこれる人が少ないのでしょうねぇ。 さて、ココからはボーナストラック。はっきり言ってココで収録されているシングル発売曲は魅力的だ。アルバム収録曲より遥かに存在感を持っている。まいった。 まずはHi ,Hi ,Hi。Henryによるモノと思われるスライドギターで幕を開けるハードロックナンバーだ。歌詞が明らさまにセックスやドラッグを連想させるとしてBBCでは放送禁止となっている。 Liveでは早くからレパートリーになっており、ハイライトとして演奏されていた様だ。カッチョ良い曲。 続くThe Messも公式テイクからいきなりのLive録音となっているSwampyなロックナンバーだ。長いロード生活で鍛え上げられたWingsの演奏力を見せつけるテイク。James Paul McCartneyでも収録されている。 何だかノンビリした雰囲気の中でDenny Laineが歌う I Lie Aroundもお気に入り。基本的にDennyの声は大好きでこれも例外ではない。歌詞の方はまたまたJohnを意識したものらしい。Henryのハードなギターと対比した、ホンワカしたホーン隊とコーラスが妙に心地良い。
※後のWebの先輩方の御教授により、Dave SpinozzaはNYのフュージョン系のセッションマンという事が判明しまいた。意外とJohnのアルバムとかにも参加してる等、Beatlesのソロワークに関連があるみたいです。お、ホントだ、Johnのアルバムにクレジットが... |
1 . Big Barn Bed 〜Bonus Tracks〜
|
(2002.2.3 再監修)
〜関連映像作品の簡単な紹介〜
James Paul McCartney
アメリカのテレビ局で製作されたPaulのテレビ用スペシャル番組。
Paulによる弾き語りあり、ビデオクリップあり、迫力のLive映像ありっと内容は豪華散漫!
Paulの弾き語りではソロからBeatles時代まで軽く流しているが、それがまた最高にカッチョ良い。
さらに当時は未発表のBluebirdもやってる所も注目である。
LiveではWingsのメンバーも引き連れての迫力の映像が楽しめる。
「動くHenry」が見れるだけでも貴重だ。
また、エンディングではメンバーに促されてYesterdayを披露。
Wingsに対する自信からか、Beatlesへのコンプレックスも徐々に解消しつつあったかもしれない。
〜ちょっと禁断のブート話〜
Paul McCartney & Wings / Live Apple Acetate-Newcastle '73
本作発表後に行った英国ツアーの模様をとっても悪い状態で録音したブート。
さらにレコード落しで針によるノイズも含む駄目駄目盤。
しかし、この頃の音源はどれもマトモなのが存在しておらず、悪くても
音が聴けるだけでも幸せに思わなければバチが当たる。
Liveも「Over America」で初めて発表されたSoilyで幕を開けBig
Barn Bed、When The Night等
完全収録でないにしろ、この頃にしか聴けない曲達も多く収録。
やる気のある時に聴けば、とても楽しめるブートだ!
順路はこちら
Wings / Band On The Run へ
〜関連アーティスト / アルバムへのリンク〜
The Grease Band / The Grease
Band
Henry McCulloughが参加していた英国産Swampバンド!
John Lennon / Mind Games
Dave Spinozzaが参加したJohnの作品。ミュージシャンJohn
Lennon最高傑作
Gene Clark / Gene Clark
SwampギタリストJesse Davis Proの名盤。本作の様な味わい??