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イースタンユースも、もうかなり長いことやってきたわけですけど、ここ1年半ぐらいの間は、振り返ってみてかなり面白い時期だったんではないでしょうか?

吉野:そうですね。歳とってきて、だんだんバカになれるっちゅうのは、あるような。関係ないものはどんどん関係なくなってくるっていうか。で、大事なもののピントをだんだん絞れる力をつけてこれるもんじゃないですか、その気で生きてれば。それがちょっとずつできてきてる。体力の衰えとは反比例してね。失うものと得るものっちゅうかさ。上手くできててね。それがまぁ、いい曲ができるかっちゅうとこに直結するかどうかは微妙だけど(笑)そういう力は得てる。個人的にはそういう気持ちできてますね。少しずつでもやるしかないんだわ。酔っ払っておっきなことも言ったりするけど、できることとできないことと、ペースもあるし。それよりも、諦めないければよいのさ。捨てなきゃいいわけ。いつできるか分かんないけど、ちょっと先に進めばいいわけ。忘れてなければ、どっかできるかもしれないし。そういう風な覚悟ちゅうか……腹くくらされたちゅうか、今年1年は特にそう、腹くくるためにいろんなことやったちゅう感じはするね、個人的に。

アメリカに行く前から「03年後半は極東最前線を毎月やる」って決めてましたけど、そのあたりのことも全部繋がっているという感じですか?

吉野:そうですね。探したかったんだよね、そういうの。どうすればいいんだどうするべきなんだとか、とにかく考えてたってしょうがないから、やるんだよって思ったね。行動しないと、自分が首突っ込んで感じないとダメだと思ったの。だから極東を増やしたの、毎月やろうって。どうなんのかはわかんない、やってみないとわかんないし、そのやってる中で何かをつかみたかったわけ。つかめたと思うよ。

二宮さんはどうですか?

二宮:そうですね、やっぱ……なんて言うんですかね、ライヴとかその、音楽をやってないと実感できないものがあるんですよね。その中でもう他のことは忘れて集中してる時に初めて、自分の中で信用できるようなものが。それが、すごい強く実感できたと言いますか。特にこの1年は、ありますね。それと事故の後に思ったのは、ものすごい距離の移動とかでみんな気が重かったのが、事故のせいでなくなっちゃったりして。絶対やらなきゃならないこととかはないんだな、とか思ったりすると、そしたら逆に本当に自分がやろうと思うことをやろうと。なんにもせずに生きてくわけにはいかないじゃないですか。そう思ったことで……やっぱり強くそれをやっていくことなんだなぁと。

なるほど。田森さんは?

田森:いやぁ、今年は早かったですね。公私ともにちょっと忙しかったです。日本のツアーが終わって、イベント出て、このアメリカ・ツアーはもう秋の話だったんですけど、アッという間でしたね。まぁ、いい経験たくさんしたんで、これをステップに、来年はもっとよくなるんじゃないかなという予感はしてます。

分かりました。では簡単に、今後の予定というか、2004年の展望みたいなことを聞かせてください。

吉野:もう、これから先は曲作ります、曲。溜めたものを吐き出す作業をしないと、これから。

すでに溜まってきている感じはありますか?

吉野:それがなくてねぇ。だけれども、それをどうにか、絞り出すっちゅうか……。こういう感じっちゅうのはあるんだけど、どういう風に、具体的にどうしていいかはまだ。ライヴばっかりやってて、バンドでそういうこともできなかったから。年明けてからはもう、それを。来年は、アルバム出してツアーやるまでは、そんなにライヴは多分ないですね。

じゃあ、2月の極東最前線以外は作曲に集中する感じですね。

吉野:ゼロから作んないと。い―い歌が作りたいの。もう新しくなくてもいいわけ、なんでもいいわけ。極端に言うと、セールス的にどうかっちゅうことも、あんまりおっきな声じゃ言えないけど、どっちでもいいわけ。10曲、「いいなー、これはいい歌だな」って思えれば。で、聴いた人とそういう感覚で繋がり合えればいいな。それは、言うのは簡単だと思うんだけど、それがいちばん難しいと思うんだよね。分かりやすくてよい歌だっちゅうこと。それはなんだ、どういう気持ちなのかっていうことが一発でわかるような。難しいけど、そこに焦点を当てていきたいなとは思ってる。その中で各々の技と、空気感がぐっとシブく磨かれてれば、うまくいくんじゃないかなと思うんだよね。特にその、狙ったものを持ってきて考えなくても、自然にそういうものはできていく……いくだけの、そういう空間はあると思うんだよね。いい具合に、いろんなことが気になんなくなってきたんだ、俺。それを吹っ切るために去年1年走ってきたわけだから。集中できそうな予感はしてる。いい曲っていうことだけにね。あんまり受け入れられなかったらどうしようとか、ダメって言われたらどうしようとか、もうそういうの、ほとんど気になってない。あとは自分との戦いですね。

創作面の他にも具体的な活動とかで何か考えていたりはしますか?

吉野:地方に行きたいなって個人的には思ったんだけどね。なんか、いろんな街に。ちっちゃい街でも、コミュニティみたいのがあって、発信地みたいのがあったり、そこで集まってさ……やっぱりそういうの集まりたいじゃない、好きな人と。で、そこで口コミの文化みたいなさ、そっから街独特の特色ができてくるワケでしょ。そいうものもあると思うんだよね日本にも、点みたいなものが。でもその点が線になってないっていうか。東京はもう都市だから、なんか1個ボーンってやれば、バーッて行き渡るけど。ちょっと、地方に力入れてみたいっちゅうか、そういうことって面白そうだなって、ふっと。周りから攻めていくっていうか。で、なんか全体的に熱が上がってくれば、自分たちにっていうよりは、音楽っていうかカルチャーっていうか、すごい面白そうじゃない? そういう風にユニークな国になればいいと思ってるので、そういうところでやれることもあるんじゃねぇかなと、俺は個人的には思ってる。その前にアルバム作んなきゃなんないけど、今年後半には、そういうことを具現化していこうかなあ、とは考えてます。

それはすごく興味深い話だと思います。

吉野:あと俺、個人的にカレンダー作ったり、Tシャツ作ったりしようと思ってる。プリントゴッコの、でっかいB5で印刷できるやつ買ったから、あれで5枚とか10枚とか作ったりして、売ったりさ。嫁が絵を描いてて、いい絵もたまにあるから、もったいねぇなと思って。そういうのアレンジしたものを、いろんなかたちにしたり。自分で手作りすれば、無理のないだけの生産量だし。家庭内手工業みたいな。いろんなかたちで表現して、自由に、少しづつ、コツコツとやるのがポイントかな。

なるほど。二宮さんは「こういう風にやっていきたい」とか考えてることなどはありますか?

二宮:そうですね。まぁまぁ、ゆっくりやりたいなと。よい曲をよい演奏で。

吉野:それに尽きるもんね。シンプルに言えば、それが使命だから、俺たちの。

二宮:それでその、曲が持っている何か……前から思ってるんですけど、曲が持っているその、性格っちゅうのを、もっと掘り下げて行くようにしたい、それができたらいいなぁとは思ってるんですよ。そのためにはもう、わざとらしいぐらいに本気でやんないとダメなんです。

なるほど。ちなみに、ひょうたんとしてのリリースとかも考えていたりはしますか?

二宮:いや、あのー、出そうと思ってます。

吉野:つか、坂本商店ももうちょっとイメージ崩したいね。次の俺のスローガンは打倒ひょうたんだから(笑)。負けねぇぞ。なんか、俺もいろんなことをゆっくり……別のバンドとかやりたいなと思ってんだよね。メインはイースタンユースだけど、オホーツクだけじゃなくて、M.A.G.O.ともやったりしたいなあと思って。

M.A.G.O.とのコラボレーション、それは見たい!

吉野:“おじいさんと孫”だからね。まぁ、あんまりきっちり決めてないけど。そういうのも並行して無理のないペースで、もうちょっとゆっくりなペースのものもやったり。そのゆるいペースは、頑張ってひょうたんだから(笑)、ひょうたんを越えなきゃいかん。ちょっとびっくりしたもんね、ひょうたん。ひょうたんは坂本商店から出そうよ。できればオホーツクとかとスプリットで出して欲しいんだけど、追いついてないわけ、俺たちの方が。ペースがあんまりゆっくりすぎて。まぁでも焦ってもしょうがないから、ちょっとずつ。ちょっとずつっちゅうのは大事だから。諦めないで少しずつやればいい。そういうところから面白そうなことが1個でも増えれば、楽しいじゃない。ひょうたんが坂本商店から出たら、それはそれで楽しいじゃない。ね。嬉しい。

ひょうたんは、もうアルバム分の曲はできてたりするんですか?

二宮:いや、アルバムじゃないですけど、5曲ぐらい。

では、それも楽しみにしています。では田森さん、最後に一言。

田森:今年は非常にいい年でしたから、来年はまたよくなるように頑張りたいなと。無理のないように、いろいろ。今年はやっぱり、パンパンでしたからね。もっといろんな事やりたいなと思ってるんで。来年は、非常に期待しております。

私も期待しております。では、そんな感じで。本日は年も押し迫った時期に、どうもありがとうございました。

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