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artist : MASON WILLIAMS
title : 『 THE MASON WILLIAMS PHONOGRAPH RECORDS 』
release : 1968年
label : WARNER BROTHERS RECORDS
tracks ( cd ) : (1)OVERTURE (2)ALL THE TIME (3)DYLAN THOMAS (4)WANDERLOVE (5)SHE'S GONE AWAY (6)HERE AM I (7)CLASSICAL GAS (8)LONG TIME BLUES (9)BAROQUE-A-NOVA (10)PRINCE'S PANTIES (11)LIFE SONG (12)SUNFLOWER
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(6) / side B...(7)〜(12)
musicians : MASON WILLIAMS,guitars & vocals ; JAMES BURTON,MICHAEL DEASY,DAVID COHEN,ALVIN CASEY,guitars ; LAWRENCE KNECHTEL,MICHAEL MELVOIN,piano ; CARL FORTINA,accordion ; LAWRENCE KNECHTEL,LYLE RITZ,BOB WEST,electric bass ; LYLE RITZ,upright bass ; GAIL LEVANT,harp ; JAMES BECK GORDON,drums ; GARY L. COLEMAN,GENE ESTES,percussion ; DAVID DUKE,WILLIAM HINSHAW,french horn & tuben ; LEW McCREARY,RICHARD LEITH,RICHARD J. HYDE,HOYT BOHANNON,trombones ; JESSE EHRLICH,JOE DiTULLIO,ARMAND KAPROFF,JEROME KESSLER,celli ; TOMMY SCOTT,JIM HORN,woodwinds ; SIDNEY SHARP,WILLIAM KURASCH,RALPH SCHAEFFER,TIBOR ZELIG,JIMMY GETZOFF,ISRAEL BAKER,STAN PLUMMER,JACK GOOTKIN,ROBERT KORDA,GEORGE KAST,EMANUEL MOSS,HARRY BLUESTONE,JERRY REISLER,JOHN VIDOR,ROBERT SUSHEL,DAVID BURK,violins.
producer : MIKE POST
arranger : AL CAPPS(2,4,5,6,8,9,10,12),MIKE POST(1,7),MASON WILLIAMS(3,11)
related website : 『 Mason Williams-online.com 』(公式サイト)




(1)OVERTURE  ▲tracks
 本作の幕開けに相応しい(1)。ドアを開く音で、上昇するストリングスがスタート。上がり切った所で、荘厳でありながら優しいイントロ。そこからは一気にスピードを上げ、飛ばしていく。これから旅に出るようなワクワクドキドキ感満載の曲。「OVERTURE (序曲)」なので当然といえば当然だが。この曲は、本作に収録の曲をダイジェスト的につなげたもの。 最後の「THE MASON WILLIAMS PHONOGRAPH RECORD」というナレイションの後にメイスン・ウィリアムズが発する「WHAT?(なんだって?)」の一言が馬鹿げていてイイ。


(2)ALL THE TIME  ▲tracks
 迫力ある低音の管楽器群と、ボスボス・バスバス・ドコドコとした連打で大活躍なドラム、流麗なストリングス、濃厚でまろやかなウィリアムズのヴォーカル。(1)に引き続いて、これから旅に出るようなワクワクドキドキ感満載の曲(2)。


(3)DYLAN THOMAS  ▲tracks
 ほとんど冗談半分のカントリー調の(3)は、ウィリアムズ本人が弾くバンジョーと彼の歌による30秒ほどの曲。昔から伝わる古い歌に、ウィリアムズが意味不明な歌詞を付けたもの。


(4)WANDERLOVE  ▲tracks
 ゆっくりとしたテンポでパーカッションが鳴り、荘厳なストリングスが徐々にその厚みを増していく中、ウィリアムズが丁寧かつ神妙に歌い出す。サウンドは管楽器も入りさらに厚みを増し、どんどん劇的になっていく。暗いというほどではないが、ちょっと重めな印象が濃い曲。10拍子と4拍子を交互に展開していく。
 最後には「生きるように死ぬんだ」と歌われる、この幾分哲学的な曲(4)は、ウィスパリング系の歌手としてサバービア系の音楽を愛好する人には有名なクロディーヌ・ロンジェにウィリアムズが提供した曲で、なぜかシンガポールでヒットしたという。


(5)SHE'S GONE AWAY  ▲tracks
 重めの(4)から一転、「パー、パー、パパーパー」という脳天気なスキャットで始まる、いかにも軽めでアップ・テンポなナンバー(5)。
 STAN CORNYN氏のライナーによると「ぼくのロック・ナンバー。自分でもなにいってるのかわからないけど、聞いてるぶんには問題ない」とウィリアムズ本人は言っているのだが、歌詞をよく読むとこれは明らかに麻薬禍により亡くなってしまった恋人についての歌。まぁ、しかし、確かに「聞いてるぶんには問題ない」、ドライヴ向きの曲。晴れた日に、ハイウェイを颯爽と走る車の姿が目に浮かんでくる...。
 でも、僕はこういった本気か嘘ン気か判然としないような、飄々としているようでも実は本質を見抜いているようなタイプのアーティストは好きだ(ダン・ヒックスなんかも)。彼らのような人物達は、単に照れ屋なだけかもしれないが。...いや、しかし、ホントに彼は何にも考えていないのかもしれない。


(6)HERE AM I  ▲tracks
 気品溢れるハープとストリングスをバックに、ウィリアムズがジェントルな歌声を聴かせる前半部から一転、後半部はアップ・テンポでジャジーに展開していく、ワルツの(6)。
 終盤はゴージャスな演奏に乗せて、ウィリアムズが多重録音による輪唱を聴かせる。多重録音による輪唱はクイーンの「THE PROPHET'S SONG(予言者の歌)」(『 A NIGHT AT THE OPERA (オペラ座の夜) 』 に収録)で聴くことができるが(こちらはディレイを使用)、このような“先輩”がいるとは。


(7)CLASSICAL GAS  ▲tracks
 一般的に言えば本作の目玉ともいえる、ウィリアムズが弾くガット・ギターをフィーチャーしたインストゥルメンタルの(7)。アップ・テンポで縦に刻んでいくようなリズムの、とにかくドラマティックな曲。
 最初はフリー・テンポで哀愁味タップリに聴かせるガット・ギターで始まり、次はそのギターの哀愁はそのままに、場の空気を一瞬にして引き締めるかのようなハイ・ハットでテンポがオン、そして勇ましいストリングス、録音レベルがMAXな感じのボスボスしたドラムが参加してきて俄然盛り上がってくる。
 その辺で曲は一旦ブレイクしてメジャーな展開になるのだが、さらに駄目押しとばかりに分厚いホーン・セクションが加わって、感動は頂点に。
 この曲が彼の最大のヒットというのも頷けるような、かなりの名曲。佐野光彦氏のライナーに寄れば、この曲は'68年度グラミー賞の、ベスト・インストゥルメンタル・テーマ・コンポーザー(ウィリアムズ)、ベスト・インストゥルメンタル・パフォーマンス・パフォーマー(ウィリアムズ)、ベスト・インストゥルメンタル・アレンジメント・アレンジャー(マイク・ポスト←本作のプロデューサー)の3部門を受賞するという快挙を成し遂げたそうだ。


(8)LONG TIME BLUES  ▲tracks
 カントリー調で、明るいながらもジワジワと染みてくるタイプの曲(8)。カントリー調なのに「LONG TIME BLUES」というタイトルなので“あれっ?”と思ってしまうのだが、この場合の“BLUES”はいわゆる音楽の“ブルーズ”ではなく、単純に“憂鬱”ということかと思われる。
 いかにも“古き良きアメリカ”を感じさせる、ジェントルでウォームでアット・ホームなコーラスがとても印象的。そして緩やかなストリングスが郷愁を誘う。


(9)BAROQUE-A-NOVA  ▲tracks
 ボサ・ノヴァのリズムにチェンバロの規則正しいアルペジオが乗っかってこのタイトルになった(9)。
 爽やかで気品あるストリングスで幕を開け、「パーパパー、パーパパー」というスキャットがその後に続く。基本的にはこのスキャットをフィーチャーしているのだが、途中、リコーダーによる間奏が入る。


(10)PRINCE'S PANTIES  ▲tracks
 ある国の変わり者の王子が自分の飼い犬(100匹!)に喰われてしまうという短いストーリーになっている(10)。この曲のタイトルの“PANTIES”とは、飼い犬達が「ハァハァ、ゼイゼイ」と息を切らす様(PANT)から付けた、飼い犬達の呼び名のこと。王子はこの犬達が息を切らす様をたいそう気に入り、彼らが疲れ切るまで走らせたために、彼らは我慢できなくなり遂に王子を追い詰め、王子を食べ殺すに至った、という何ともブラックな話。
 これまでの曲では大人っぽい歌い方に徹していたウィリアムズだけど、この曲では音程もふらつき気味な子供のような歌い方で、コミカルに歌っている。
 サウンドは、煌びやかなチェンバロや上品なストリングスが印象的な導入部から、幾分アップ・テンポな2ビートになりアコースティック・ギターのストロークがかぶされた感じへと展開する。


(11)LIFE SONG  ▲tracks
 対訳をそのまま引用すると、「人生ってすてきじゃないか、人生って楽しいじゃないか、人生って完璧じゃないか、時間つぶしには」と歌われる、皮肉に満ちたユーモアか、はたまた達観した哲学か判然としないような、30秒ほどの小曲(11)。ウィリアムズがフォーク・タッチで穏やかにギターを爪弾きながら呟くように歌う。


(12)SUNFLOWER  ▲tracks
 本作の最後を飾るのは、珠玉の名曲と言っても過言ではない(12)。寂しげな口笛が尾を引くようにたゆたい、ギターのアルペジオが空虚に鳴り響き、アコーディオンがホンノリとした明るさを呼び起こし、ホンワカとした管楽器やシミジミとしたストリングスほかの楽器が彩りを添える。このようなサウンドで穏やか過ぎるほどにゆっくり流れるワルツが、限りなく広く、のどかな風景を想起させずには置かない、とても映画向きな曲。
 ライナーを書く佐野光彦氏の意見と同様に、僕も名曲の誉れ高い(7)よりさらにこちらの(12)の方が好きだ《(7)も大好きだが》。意外とフィッシュマンズが好きな人には容易に受け入れてもらえるかもしれない。
 この曲の最後に、ドアを閉める音が鳴って、約30分ほどのこのアルバムは幕を閉じる。


 因みに本作は、'95年に出た音楽ガイド本 『 MONDO MUSIC 』 の最後のページの下段に写真だけが載っていた。


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