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artist : MOON RIDERS
title : 『 ISTANBUL MAMBO 』
release : 1977年
label : PANAM
tracks ( cd ) : (1)ジェラシー (2)週末の恋人 (3)さよならは夜明けの夢に (4)ビューティコンテスト (5)女友達(悲しきセクレタリー) (6)Beep Beep Be オーライ (7)ウスクダラ (8)イスタンブール・マンボ (9)ブラッディマリー (10)ハバロフスクを訪ねて
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(5) / side B...(6)〜(10)

regular members : 鈴木慶一 SUZUKI keiichi,lead vocal,first lead vocal (7),backup vocals,YAMAHA synthesizer CS-60,KORG synthesizer,mini moog,mini moog bass,moog III,fender electric piano,solina,percussion,和太鼓 wadaiko ; 橿渕哲郎 KASHIBUCHI tetsuro,drums,percussion,backup voice,moog III ; 鈴木博文 SUZUKI hirofumi,fender electric bass,backup vocals,percussion ; 岡田徹 OKADA tohru,acoustic piano,fender electric piano,E.M.I.electric piano,KORG synthesizer,YAMAHA synthesizer CS-60,moog III,roland strings,solina,clavinet,lead vocal (2),backup voice,percussion ; 白井良明 SHIRAI yoshiaki,electric guitar,acoustic 6 strings guitar,acoustic 12 strings guitar,gut guitar,sitar,backup vocal,percussion ; 武川雅寛 TAKEKAWA masahiro,violin,湘南 (shonan) strings,lead vocal (6),second lead vocal (7,10),backup vocal,conga,percussion.
guest musicians : 大野方栄 OHNO masae,lead vocal (2),backup vocals,fantastic voice (5) ; 清水靖晃 SHIMIZU yasuaki,tenor sax (1) ; 松武秀樹 MATSUTAKE hideki,moog III programming (3,8,9,10) ;椎名和夫 SHIINA kazuo,electric guitar (6) ; 上村律夫 KAMIMURA ritsuo,YAMAHA electone (8) ; 細野晴臣 HOSONO haruomi,steel drum (8) ; アンサンブル玉野,strings section (2).

producer : MOON RIDERS
co-producer : 上村律夫 KAMIMURA ritsuo
strings arrangement& conducted by 武川雅寛 TAKEKAWA masahiro.
related website : 『 Moonriders.net 』(公式サイト)、『 トンピクレンフューチャリズモ 』(白井良明の公式サイト)、『 TETSUROH KASHIBUCHI OFFICIAL HOMEPAGE 』(橿渕哲郎の公式サイト)




(1)ジェラシー  ▲tracks
 アルバム・タイトル 『 ISTANBUL MAMBO 』 とは全く関係のないような、微かにディスコ風味のソウル系AORという感じの(1)。イントロでのストリングスについ耳が行ってしまいがちだが、その後ろで鳴っているベースのハーモニクスの「ポポポポー、ポポポー」というフレーズも結構いいフレーズなのでお聴き逃しなく。「〜おまえは言うけど」という歌詞の後の、どこか“憂鬱な爽やかさ”を持ったコーラスやサックスもいい。2番が終わって間奏に行く前のベースとギターのフレーズが、アメリカの幻のモダン・ポップ・グループ〜オーケストラ・ルナっぽい。全体的に凄くキャッチーな要素の多いAORなのだが、その中でも一番キャッチーなのはタイトルでもある「ジェーラシー」というフレーズだろう。たった一言なのに。


(2)週末の恋人  ▲tracks
 名曲(2)はコメントでも触れたように、寡作なシンガー/ソングライター〜ハース・マルティネスの作風や歌い方をモロに頂いた曲で、キーボード担当の岡田徹がリード・ヴォーカルを取り、ゲストの大野方栄とのデュエットになっている。ハースの作風は幾分ユーモラスだが、こちらはあくまでフリー・ソウル的なAORに徹した大人っぽい作り。イントロのこれまた“憂鬱な爽やかさ”を持った流麗なストリングスが感動的。白井良明のジャジーなギター・ソロの後の大サビ、「い〜〜ち夜の恋な〜ら〜」のくだりでの分厚いコーラスは圧巻!それと、この曲では当然だが、他の曲でも鈴木博文のベースのスタイルは何となくチャック・レイニーを彷彿させる。因みに、ハース・マルティネスの 『 HIRTH FROM EARTH 』 等でチャックはベースを弾いている。


(3)さよならは夜明けの夢に  ▲tracks
 家出の夢を見た少女を歌った、寂しげだけどどこかほの明るいバラード(3)は、鈴木慶一によるコーラス多重録音と岡田徹によるキーボード&シンセのみの演奏。ホワ〜ンとしたシンセの音色がほのぼのした雰囲気を醸し出している。


(4)ビューティコンテスト  ▲tracks
 タイトル通り「 『 ビューティコンテスト 』 に出て、最終的には玉の輿に乗ろう」と目論む女を歌った(4)は、歌詞にもちょっと出てくる“チャイニーズ”風味の曲。ホントこういう曲にはヴァイオリンがピッタリとハマる。ロック・バンドにヴァイオリンのメンバーがいると、フランク・ザッパのところにいたジャン=リュック・ポンティやキング・クリムゾンのデイヴィッド・クロス等のように、ついついプログレッシヴ・ロック的な使い方を想像してしまいがちだけど、ムーン・ライダーズの場合にはどんなスタイルにも巧く適合させる術を心得ているかのようだ。


(5)女友達(悲しきセクレタリー)  ▲tracks
 イントロのヴァイオリンがとても切ない(5)。間奏のどこか民族的な雰囲気もいい。これまでの曲と同様“憂鬱な爽やかさ”を持った曲。どうやらこれは彼らの持ち味らしく、歌詞で“夜”の風景を歌っていたとしても、どうしても“朝”を感じてしまう。“ちょっと憂鬱な出来事があった後の夜明け”とでも言ったらよいだろうか。


 彼らが意図していたかどうかは分からないが、これまで (アナログ時代で言えばA面) は鈴木慶一・博文兄弟と岡田徹中心の作品で構成され、(6)から (B面) はドラムスの橿渕哲郎の作品や訳詞を中心に構成されている。何となくクイーンの 『 QUEEN II 』 のサイド・ホワイトとサイド・ブラックを思い出してしまった。


(6)Beep Beep Be オーライ  ▲tracks
 ビニョビニョしたシンセで始まる、ちょっとディスコ風味の軽ソウル/ファンクの(6)。イントロの終わり方がエキゾチックで、ここからが“イスタンブール・サイド”であることを告げているかのようだ。かと思っていたら、間奏は思いっきりチャイニーズ。結局“イスタンブール”云々というより、もっと広い意味で“無国籍サウンド”を標榜しているのだろう。しかし、そう思った矢先にエンディングでフェイド・アウトしていく時のベースがとてもファンキーだ。


(7)ウスクダラ  ▲tracks
 次はトルコ民謡の(7)。白井が弾くシタールや12弦ギター、武川が弾くヴァイオリンが活躍してモロにエキゾチックだ。この曲 (演奏者は彼らではないけど) が何かのテレビ番組で流れた時、意外にも両親が知っていた。年配の人にはお馴染みなのだろうか。


(8)イスタンブール・マンボ  ▲tracks
 (8)はマニアックなポップ・グループ〜ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツもアルバム 『 FLOOD 』 でカヴァーしていたり、ファンカデリックが「YOU SCARED THE LOVIN' OUTTA ME」 (『 HARDCORE JOLLIES 』 に収録) で引用していた曲で、'50年代にアメリカでヒットした曲らしい。ゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツの方はアップ・テンポでタイトなアレンジだったが、こちらのヴァージョンはユッタリとした中にも様々な仕掛けが施されている。イントロはとても長く、ヴァイオリンやシタール、インチキ臭いエレクトーン (オルガン?) 、パーカッション、メンバー総出 (と思しき) の奇声、そしてゲストの細野晴臣によるスティール・ドラムが否が応でも聴き手をエキゾチックな世界にワープさせる。


(9)ブラッディマリー
(10)ハバロフスクを訪ねて  ▲tracks
 ここで一旦A面的なAOR路線に戻ったかのような鈴木博文/岡田徹組作の(9)を挟んで、武川がヴォーカルを取る、再びエキゾな(10)。今度はロシアか。しかし、トルコの雰囲気と違和感なく繋がるのは、中近東〜西アジア・東欧〜ロシアという土地の繋がりの中で、若干の違いを含みながらも似たような音階を持っているからだろう。ここら辺に興味のある方は、“クレツマー” (クレズマーとも表記される) という音楽を聴いてみれば一聴瞭然。


 本作はこれまでのアメリカン・ロック路線と、本作より後のモダン・ポップ〜ニュー・ウェイヴ路線のほぼ中間に位置し、程よいバランスを保ちつつも、さらに“エキゾ“風味が加わって、お買い得感が増しているような気がする。僕は前者の路線としては 『 火の玉ボーイ 』 を、後者の路線としては 『 ヌーヴェル・ヴァーグ 』 『 カメラ=万年筆 』 をよく聴いている。

 そう言えば、この時期の彼らってテクニックはあっても安易なフュージョンには向かわずにマニアックなまでに凝った都会的なサウンドを追求したり、有能なゲスト・ミュージシャンを招いたり、またギタリスト白井良明のジャズ系のソロを弾いたりすることも手伝って、“和風スティーリー・ダン (初期〜中期頃の) ”という感じがしないでもない。


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