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artist : STEELY DAN
title : 『 PRETZEL LOGIC 【(さわやか革命)】』
release : 1974年
label : MCA RECORDS
tracks ( cd ) : (1)RIKKI DON'T LOSE THAT NUMBER 【リキの電話番号】 (2)NIGHT BY NIGHT 【夜ごと歩きまわるのさ】 (3)ANY MAJOR DUDE WILL TELL YOU 【気どりや】 (4)BARRYTOWN 【バリータウンから来た男】 (5)EAST ST. LOUIS TOODLE -Oo (6)PARKER'S BAND (7)THROUGH WITH BUZZ 【いけ好かない奴】 (8)PRETZEL LOGIC (9)WITH A GUN 【銃さえあればね】 (10)CHARLIE FREAK (11)MONKEY IN YOUR SOUL
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(5) / side B...(6)〜(11)
regular members : DONALD FAGEN,vocal,keyboards,alto sax (5) ; WALTER BECKER,guitar,bass,vocal ; JEFF “SKUNK” BAXTER,guitar ; DENNY DIAS,percussion,guitar ; JIM HODDER,backup vocal ; JEFF PORCARO,drums.
guest musicians :
MICHAEL OMARTIAN,DAVID PAICH,keyboards ; BEN BENAY,guitar ; DEAN PARKS,guitars,banjo (5) ; CHUCK RAINEY,WILTON FELDER,bass ; JIM GORDON,drums ; VICTOR FELDMAN,percussion,keyboards ; JEROME RICHARDSON,ERNIE WATTS,PLAS JOHNSON,saxes ; LEW McCREARY,horns ; OLLIE MITCHELL,trumpet ; TIM SCHMIT,backup vocal.
producer : GARY KATZ
orchestration by JIMMIE HASKELL.
related website : 『 OFFICIAL STEELY DAN 』(公式サイト)




(1)RIKKI DON'T LOSE THAT NUMBER 【リキの電話番号】  ▲tracks
 ヒットした(1)。“フラパンバ”という何やら“原始的な木琴”のような音 (形は判らないが) のする楽器に導かれてラテン〜ブラジル系のベースによるイントロ。爽やかなピアノがバックのAメロ (でもこれは爽やかなのではなく、“好きな人に出て行かれて、しらけてしまった生活”を表現しているのかもしれない) 。そしていよいよ不思議なピアノのフレーズの後のサビ。この曲を初めて聴いた時、この淡々として起伏に乏しいサビの出だしにキョトンとして「ホントにこんなのがヒットしたのか?」と思ってしまった。しかし、そのサビの中の2回目に出てくる「リキ・ドント・ルーズ...」のハーモニーの分厚さにやられてしまった。その後にくる2番の爽やかさがまた新鮮に聴こえてくる。


(2)NIGHT BY NIGHT 【夜ごと歩きまわるのさ】  ▲tracks
 サックスのトリルによるイントロが印象的な(2)。導入部とAメロの左右で「ベ・カ・ベ・カ」「コ・ポ・コ・ポ」と鳴り続けるクラヴィネット類や、隙間を生かしたギターやベースのリフを聴いていると、これはスティーリー・ダン流のレゲエなのではないかと思う。本作の発表は'74年。ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズがアイランドから 『 CATCH A FIRE 』 を世界に向けて発表したのが'73年。続く 『 BURNIN' 』 も'73年。いい音楽に敏感な彼らのこと、きっとその時既にレゲエを耳にしていたに違いない。と思う。どうだろう。


(3)ANY MAJOR DUDE WILL TELL YOU 【気どりや】  ▲tracks
 当時発売された本作の国内盤には“さわやか革命”という副題が付いていたのだが、開放的なアコースティック・ギターで始まるこの(3)や、他の曲の随所で聴かれる綺麗なピアノ、そして分厚いハーモニーの感じからそんな副題を付けたのだろうか。音の優しさとは裏腹に、難解でブラック・ユーモアの効いた歌詞が歌われているかも知れないのに (知ってたのかな?)。僕も、あまり彼らの歌詞には深く首を突っ込まないようにしているけど、たまに気になって「今なら解るかな?」等と思って歌詞カードを見たりしている。でも解ったような、解らないような。意外と、“歌詞も解らずに「爽やかだ、爽やかだ」と言った後で歌詞を読んでドッキリ”、というコースが彼らの意図するところなら、かえってそのコースにハマっている方が正しい聴き方なのかも。それは屁理屈かな。


(4)BARRYTOWN 【バリータウンから来た男】  ▲tracks
 続く(4)も爽やかな、フォーク・ロック調の曲。この曲や(3)(6)辺りは、夏の昼間のドライヴにはもってこいのサウンド (あくまでサウンドは) 。


(5)EAST ST. LOUIS TOODLE -Oo  ▲tracks
 彼ら唯一のカヴァーと言われるデューク・エリントンの(5) (デュークのものはおそらく'27年頃の録音で、色々な編集盤に収録されている) 。マイナー調で、「ブンチャ、ブンチャ」と刻むリズムがコミカルな悲哀を醸し出してる感じでとてもいい。小倉エージ氏のライナーによれば、違う楽器ではありながらも、原曲のフレイズを忠実に再現しているらしい。


(6)PARKER'S BAND  ▲tracks
 ツイン・ドラム (ジム・ゴードンとジェフ・ポーカロによる) なのに決して重くなく、むしろ疾走感があっていい(6)。このアルバムでもかなり好きな曲の1つ。中でも「ウィー・ウィル・スペンド・エイ...」と始まる1分33秒からの、目くるめくようなマジカルなハーモニーがたまらなくイイ!


(7)THROUGH WITH BUZZ 【いけ好かない奴】  ▲tracks
 ちょっと不思議なピアノの後ろから“スゥ〜”っと寄ってきて、次々と印象的なフレーズを聴かせるストリングス (ジミー・ハスケル編曲) がフィーチャーされた(7)。このストリングスの様々なアプローチが、この曲の売り。約1分半の間によくこれだけ詰め込んだものだ。そういえば、本作はこの曲を初め収録曲の半分以上が3分以内の曲で占められている。


(8)PRETZEL LOGIC
(9)WITH A GUN 【銃さえあればね】
(10)CHARLIE FREAK  ▲tracks
 ブルーズ〜ブギ調のタイトル曲(8) (この曲と、ジャケットに写っているグラサン姿でプレッツェルを売るイカツイおやじさんは何の関係があるんだろう) 、マイナー調のカントリー(9) (ラヴ・サイケデリコもシングル 『 LAST SMILE 』 のカップリング曲でこういうのをやってた) を挟んで、(7)のイントロをシャッフルにしたようなフレーズが聴こえてくる。僕の好きな(10)だ。
 サビの語感がかっこいいのだけど、歌詞そのものは悲しい。主人公は、浮浪少年“チャーリー”の唯一の財産である指輪を買ってあげたのだけど、少年はその金を食べ物を買うことには使わずに麻薬に使ってしまい、寒さの中息絶えてしまう。話を聞いて飛んで行った主人公は、指輪をその遺体に返す。途中から鳴り出す「シャン、シャン」という音は、それがクリスマスだったことを伝えているのではないだろうか。終わり方がルート音に返る前で止まっているのが、遣る瀬なさを強調するかのようだ。


(11)MONKEY IN YOUR SOUL  ▲tracks
 最後は幾分ソウル・ジャズ的なベース・ラインの R & R の(11)。ベースの音がヤケにブリブリ/ゴリゴリしている。バリッとしたホーン・セクションもいい。リズム・トリックを使ったようなイントロに比べて、終わり方があっけない。彼らにしてはちょっと地味な曲かも。


 アルバムを最後まで聴いてくると、彼らってつくづくアメリカのバンドだなと思う。どんなに色んな要素を取り入れようと、そこかしこにアメリカンなフレイヴァーがプンプンと漂っている。日本人はよく“異文化を自己流に取り入れるのが上手だ”と言われるけど、アメリカ人の方こそ色々な国の音楽を取り入れていると思えてくる。極論すれば、日本人やイギリス人の作品は“切ったり張ったり”で、アメリカ人の作品は“溶かして混ぜて”という感じ。その“典型”がジャズであり、その“変形”が彼らなのではないだろうか。

 ところで、ドナルド・フェイゲンの声って“喉に魚の小骨が刺さって喋りづらそうなスティング”のような声だと思いませんか?


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