22 May

It's a nice ride.

シャトルにピックアップしてもらって、ダレス空港へと向かう。この道のりは実に景色が良いが、この時間帯はワシントンD.C.への通勤時間に当たるようで結構なトラフィックである。ダレスからDFWに飛び、そこでニューオーリンズ行きに乗り換えだ。ニューオーリンズでは私の宿敵、柴田康子<自称美人妻、年齢不詳>と彼女の旦那さんが住むコンドミニアムに泊めてもらうことになっている。ここまで緊張感溢れる日々を送ってきたこともあって、再会が一層楽しみである。


New Orleans, Louisiana

スイートホームは危険な街?

無事ニューオーリンズに辿り着き、荷物をピックアップ。他の街と違い、ニューオーリンズというのは空港に下り立った瞬間空気の違いが良く分かる。早速、柴田家に電話。当初の計画通り、彼女の家の側にあるSt. Charles Innの前で待ち合わせることを確認。

チケットを入手してシャトルに向かう。折良く出発間際で満員状態の便に当たる。助手席に滑り込み、出発。バイヨーからダウンタウンへの道のりは、いつ来ても心躍るものである。シャトルはスーパードームの側から商業地区、フレンチ・クオーターを回ってSt. Charles Innへと進んだため私の下車は一番最後になってしまったが、おかげで久しぶりに街の構図を掴み直すことが出来た。黄色い建物で周囲から浮いているからすぐ分かる、という美人妻柴田の言葉通りのホテルが、見えてきた。美人妻は、と見渡すとホテルのコーヒーショップ前のテーブルですかして待っているじゃないか。いや、懐かしい。彼女の運転ですぐ側の家へと向かう。と、周囲のちょっとやばそうな雰囲気withコンドミニアム裏の厳重な警備体制に、妖怪アンテナが反応。駐車場から裏口に進むとこれが一転。煉瓦造りの建物と同じくレンガを基調とした素敵なパティオ。

部屋に案内してもらい、客用のベッド・ルームで旅装を解く。2ベッド・ルーム、2バス・ルームなので一組は専用で使って良いという嬉しい心遣い。以前からニューオーリンズに住むことになったら遊びに行くから、と彼女に言っていたが、同じように言っていた人が何人もいた中で私が唯一、ここを訪れたらしい。ということで、この部屋のフルサイズのベッドもわざわざその為に買っておいてくれたということだ。こ、これはもう柴田家に足を向けては眠れない。

土産話アンドお互いの近況報告をする。久々に知り合いとの会話が出来、解放された私はすっかり冗舌に。ニューオーリンズで暮らす彼女の興味深い話も次から次へと。ここで驚いたのが、ニューオーリンズの治安の更なる悪化だ。これで四度目の訪問となる私だが、どうやら大分勝手が違う。この近く、ルイジアナ通りから入ったところにはプロジェクトと呼ばれる黒人貧困層の居住区となっており犯罪多発地区であると言う。この地域に限ったことではないが、ニューオーリンズというのは他の都市のように危険な地域と安全な地域がはっきりと分かれていないため、同じブロックの中に富裕層が居るかと思えばいきなり危険な人種がたむろしていたり、と困った状態であるらしい。日本のガイドブックにもお薦めレストランとして紹介されているLouisiana Pizza Kitcenで、最近、解雇された元従業員の逆恨みによる殺人事件が発生。ここに至って"ニューオーリンズ市警は市民の命も守れないのか。"と市民の怒りが爆発、市長のリコールに至りそうな勢いとなったらしい。当初"予算が無い。"の一点張りだった市長もさすがにこれには慌てて、シカゴで実績を上げた警察署長をスカウト、一方で警察官を大量に採用開始した。まあこの時点では警察官募集のスポットをTVで流したり、新聞広告に出したりしている最中で、具体的な成果が上がるのは当分先の模様。Jazz Festなどのイベント時には結構気合を入れて警備しているので、そういう時にここに来た人の目には全く安全な街と映ったことであろうが、いやはや大変な状況になっているようである。事実、半径10キロ程の中で一週間に10件以上の殺人事件が起こったことがあって、その時には瞬間的に全米一危険な街となったらしい。これからニューオーリンズにお出掛けの方は、くれぐれもご注意を。


Red, Hot and Spicy!

さて、チューレーン大学に留学中の旦那柴田を車で迎えに行き、その足で夕食へ。車があるというのは、実に便利なものである。空港方面に、地元の人が行く美味いシーフードの店があるという。果たして、アットホームな雰囲気に包まれたその店は評判が良いのであろう、夕食をとりに来た早出の客ですでに満員状態。期待が高まる。ここで、夫妻の薦めもありAbitaという比較的新しい地ビールのAmberを試す。ちょっとダークめの、こってりした味。美味いビールだが、飲みすぎると悪酔いするという話だった。何となく分かる気がする。さて、我々はガンボ、生牡蛎、揚げ物の盛合せをオーダー。ガンボは、フレンチクオーターの物よりも具沢山で牡蛎もしっかり入っており、そのシーフードからくる塩味だと思うが塩気が効いて美味しい。で、お値段の方はというと、庶民派の店らしくお安くなっているらしい<ここでの食事を柴田夫妻におごってもらったため詳しくは分かりません。この場をお借りしてお二人に御礼申し上げます。>。残念なことにこの店、車で連れていってもらったがために名前も場所も私には全く分からない。とにもかくにも、所謂観光客向けではない店に美味いものありき、を実感した私でした。


ジャズ・クラブに行くのも命懸け

一旦家に帰り、"今夜の予定は?"、と美人妻柴田。彼女としては、最近ニューオーリンズで売り出し中のトランペッター、Carmit RuffinのライブがVaughan'sという地元の人しか来ないようなクラブであるので見に行きたい、私にも聴かせたい、ということであった。早速クラブにスタートの時間を確認。"10時半か11時頃始まると思う。"という非常にアバウトな答え。さすがニューオーリンズ時間、と感心。旦那柴田同様留学中でジャズ好きの友人夫婦を誘って見に行くことにする。街はすっかり夜。旦那柴田はクラブの位置を地図で入念にチェック。以前そこに行った際、あまりにも周辺の雰囲気が良くてびびったという。旦那柴田の友人夫婦にも、10時半に彼らの家の前に車を着けるからすぐ出てくるようお願いしていた。そ、そんなに怖いとこだったんですか、ニューオーリンズって。友人夫婦を無事ピックアップして一路車はVaughan'sへと向けひた走る。位置的にはフレンチクオーターを外れた所、カナル・ストリートからはずっと奥の方にあるようだ。I-10を降りると周囲はめっきり寂しく、いつ何時犯罪が起きても不思議ではない雰囲気。街灯もほとんど無い状態が、不安を一層増大する。皆で、通りに状態の良い車が駐車しているかチェックしてお互いを慰める。

何とか店の前の通りに入りほっと一安心、と言いたいところだがこれがまた結構ヤバイ雰囲気。旦那柴田、入念にハンドルをロックし、皆で店に向かう。と、そこは別世界。店の前でライブを待つ客がビールを片手に談笑しているではありませんか。中に入ってさらにびっくり。結構な人数がくつろいでいる。気を取り直してビールを注文してステージとなるはずの一角へ。11時近くなるのにセッティングされているのはベース・アンプのみ。今にも崩れ落ちそうなアップライト・ピアノの脇に立って、開演を待つ。ドラマーが出てきてセッティングが始まる、と、あっという間に全員のセットアップが終わり、あっぱれ仕事慣れしたニューオーリンズのミュージシャンという感じである。その演奏はというと、最初の何曲かはリハが無いであろう事を考えると、手慣しのような感じでバンドと客があったまるのを待っているかの様。トランペット、トロンボーン、ピアノ、ベース、ドラムの5ピースによるブラスバンドのテイストを残したニューオーリンズ・ジャズで、知らず知らずのうちに身体が動きだす。Carmit Ruffinは、お国のヒーロー、サッチモよろしく結構歌も歌う。ピアニストは、件のアップライトで実に気の利いたソロをとってくれるのである。

気がつくと店は満員すし詰め状態。ステージとの境が無いので、ミュージシャンはほとんど踊り狂う客の間で演奏しているようなもの。この日は木曜日だったが、大人の社交場と化したクラブは結構めかし込んだ人達の姿も見受けられる。中にとてもゴージャスなお姉さまが一人、手を伸ばせば届きそうな距離にいらっしゃるではないか。これが容姿から声までセクシーなことこの上ない。私は柴田様御一行とは一人離れてピアノの脇にいたが、このお姉さまに次第に目が釘付けに。美人妻は認めないと思うが、賭けてもいい。このゴージャスなお姉さま、絶対私を意識してました。ステージ終了後このお姉さまが私の方に話し掛けようとしてきたので、ラッキー、と思った瞬間、美人妻柴田の"帰ろう。"のひと言。後ろ髪引かれまくりだったんだぞ、おじさんは。

Carmitのことをすっかり忘れて興奮してしまいましたが、終始ご機嫌な演奏で、ステージのラストではチップを入れる小っちゃなバケツをミュートの様に使いながら客席を練り歩く。で、ミュートを外す瞬間に客にチップを入れさせるわけだ。そこそこの広さの店内を一周してバケツを札でいっぱいにしたCarmit、ご機嫌なままエンディングへ。いやー、良いものを見させていただきました。

帰路はI-10に乗らず下の道で帰ってきたが、店からノース・ランパード迄はすぐで、意外と早く家まで戻ることが出来た。元はと言えば、Dr. Johnをティピティーナに見に行った美人妻柴田がここのオーナーと知りあい、木曜の夜にはCarmit Ruffinのライブをレギュラーでやっている、と言うことで行ったのがきっかけだったらしいこのVaughan's。要注意なのは、普段は恐らくただの飲み屋らしいので、ライブ・スケジュールを確認してから行くべきであること。

23 May

洗濯!

予想以上に疲れが出たのか、爆睡状態であった。目が覚めると旦那柴田はすでに学校へ行ってしまっている。朝食後、溜まっていた洗濯物をやっつけてしまおうと施設内のコインランドリーへ。1回50セントでしっかり洗えるのが嬉しい。美人妻柴田の指導の元、洗濯機をセット。すると、ここの古い住人であるアフリカ系のおばあさまが入場。美人妻が私を紹介してくれ、私もご挨拶。と、私の"New Orleans"という発音が気に入らなかったのか、発音指導に。まあ地元の人の発音を習うことが出来てラッキーだったかも。この後、本日合流予定のドラマー清水が来るまでのスケジュールを立てる。


観光!

ニューオーリンズ4回目の私も、そしてニューオーリンズ在住の美人妻柴田もまだ行ったことの無い所、それがアクエリアムだった。セント・チャールズ・ストリートカーに乗り込み、いざ出陣。と、リー・サークルに差し掛かったところで異変が。何でも線路の修復だか路線の拡張だかの工事のため、ここからカナルの方へは現在乗り入れを休止しているとのこと。で、ここで振り替え輸送のバスに乗り換えてカナル・ストリートに向かうこととなる。バスを降りてカナル・ストリートをミシシッピー川に向かって歩いた突き当たりにあるのが、目指すNew Orleans Aquariumだ。ここには、アメリカで流行っている3Dの映画館Imax Theaterもある。

入場券を買って中へ。平日の昼間ということもあって、小学生の見学ツアーみたいなのが有象無象いる。これがカワイイなんて生易しいレベルじゃない。何処へ行ってもこいつらがチョロチョロ、ギャアギャアするので落ち着いて見ちゃいられない。せっかく旦那の留守をいいことに美人妻とデートだというのに。写真は、上手く写らなかったがエントランスからすぐのところにある、水槽の中をくぐり抜けるトンネル内でのもの。葛西だか品川の水族館とかにも同様のものがある。このアクエリアム、最初は、10ドルも払ってそれ程のものじゃないんじゃないか、日本の水族館ほど充実してないんじゃないか、と感じていたが、やがてそれが間違いであることを思い知ることになる。件のトンネルを抜け、長いエスカレーターでグーッと上がると、そこには亜熱帯のジャングルを模した空間が。極力自然の物を使って内装されているこの空間、中を歩き回ってみるとなかなかの迫力。ここでの見物はやはり何と言ってもホワイト・アリゲーターであろう。結構シャイな奴みたいで奥の方で水上に顔を突きだしてじっとしていたが、子供たちの人気も高かった。

ニューオーリンズの水族館で気がついたこと、それは、甲殻類がいないことである。日本ではカブトガニはじめあらゆる種類のカニやエビというのはマスト・アイテムであり、これらなくしては水族館とは言えない程人気者でもある。ところがこちらではエビ・カニというのは食い物と言うイメージなのか、全く展示がされていなかった。そして意外な人気者が。それは、クラゲである。ありとあらゆるクラゲが展示されていて、アメリカ人が興味深げに水槽をのぞき込んでいる。"今月のクラゲ"なんてコーナーまである始末。さらに驚かされたのは、蜘蛛の展示スペースが結構とってあることであった。タランチュラとかそういった類の蜘蛛が何故水族館に、と我々を悩ませた。楽しかったのは、鮫に触ろうのコーナーである。ホ、ホントに鮫ってさめ肌なのかなー、とか言いながら長い列に我々も加わった。触るのは小っちゃな鮫ではあるが、それでも係の人がしっかりと押さえていてくれて、こわごわと皆触っていく。しかし鮫にしてみるとひがな色んな奴に背中を撫でられていい迷惑ではある。

予想外の規模の大きさと内容に感動しつつ外へ。このアクエリアムに隣接するように"スペイン広場"がある。ネヴィルズの誰かのソロ・アルバムのジャケ写はまさにここで撮られたもの。円形の池を囲むようにモザイクの装飾を施した壁が取り巻いている。我々が行った時には、黒人の男の子と女の子が結婚式での新郎新婦よろしくキメて、池の縁で記念撮影中。あまりに可愛かったので写真を撮らせてもらおうかと思ったが、声を掛けようと思っているうちに行ってしまってので、かわりに私が入った写真をどうぞ。この写真で地面が濡れているのを見て思い出したが、この時期のニューオーリンズは雨期だそうで、一日のうちに必ず2、3時間は物凄い雨が降る。"あ、良い天気だ。"、と思って雨具を持たずに出掛けとほほ状態、なーんてことが滞在中に何度かあった。フレンチ・クオーター内の土産物屋さんでビニールのポンチョを入手することも可能だが、雨に降られる度にポンチョを買うのも馬鹿馬鹿しいし、ストリートカー等に乗る際に濡れたポンチョというのが他人にも迷惑、自分も気持ち悪いものなので、折り畳み傘の携行をお薦めします。

さて、写真後方にあるビルがRiverwalk Market Placeである。以前ここに来た時は買い物にもそれ程興味が無く、入口周辺の店を2、3覗いただけだった。今回は中のフードコートで食事しよう、と言うこともあって一番奥まで全て見て回った。入ってしばらくの所にあるはずのテナントが何件も閉鎖中だったが、これは日本にも報道された昨年のフェリー激突事故、というスピード2を地でいくような大惨事のためである。美人妻からクリスマス・メールに張り込んで送られてきた写真があったので、ちょっと載っけてしまうが岸壁を完全に削り取ってモールを破壊したとんでもない事故の後遺症は、未だに残っていた。

とは言っても概ね復旧しているので、ウインドウショッピングを楽しむには全く問題ない。奥の方に2階に上がるエスカレーターがあり、そこを上がってしばらくのところにお菓子の実演販売をやっている店がある。これが皆役者で、キャラメルや何やら材料を練ってお菓子にしていく工程を見せるスペースは、まるっきり舞台そのものなんである。そこを幾重にも取り囲んだ客と掛け合い、やり取りをして楽しませている。さすがに出来上がって売られているお菓子は、いずれもエキストラ・スーパー・スイートっぽく、一般的日本人である私の舌には合わなそうであった。勇気のある方はぜひお試しを。

このモールのほぼ突き当たりに巨大フードコートがあり、その丁度入り口の所にマルディグラ・グッズを扱う店がある。店のウインドゥ側にはマルディグラの衣装を着せた人形の展示もあり、わくわくさせられる。人形、仮面、ビーズ飾り、その他諸々品揃えも豊富。こうしたグッズを適価で入手できるので、お薦めである。

フードコートを一巡りして品定め。メキシコ料理のコーナーが美味そうなので寄っていく。ここではソフト・シェルのようなコーンの皮で野菜、シーフード、ソースを包んだ巻物をサーブしている。皮はレギュラーと薬草のようなものを練り込んだモノの2種類から選び、シーフードはシュリンプ、ザリガニを選べる。我々のお気に入りは、ケイジャン・ラップという奴。この巻物を2つにカットしたものにピクルスを1本つけてサーブしてくれる。飲み物込みで5ドル程度だったっけ。これが結構癖になるので、後日もう一度テイクアウトしに行った位だ。

フードコートにはミシシッピー川に面したテラスがあり、食後ここで一服。それ程蒸し暑い時期ではなければここで川の流れを眺めながら食事しても楽しいかと思う。さあ、そろそろドラマー清水がやって来るころだ、というので再びバス〜ストリートカーを使って家に戻る。

彼との待ち合わせは、私の時と同じくSt. Charles Innのコーヒーショップだ。二人でコーヒーを飲んでいると一台のシャトルが。そこに降りたった胡散臭い東洋人、それが清水だ。昨日と違い、美人妻一人ではないので徒歩で家に向かう。しかし、疲れているのかもしれないがこの清水、旅の興奮とか緊張感というものを微塵も感じさせない自然体。で、部屋に落ち着いたところで撮った写真がこれ。左の乱暴な風体をしたのが清水で、右の溢れ出る知性が私である。それにしてもこの柴田邸、居心地の良さ満点で、それが仇となって後半めっきり行動力が落ちることになる私であった。


食、酒!

ドラマー清水のウエルカム・ディナーということで、翌日の授業の準備があるので参加は出来ないという旦那柴田に、フレンチ・クオーターまで車で送ってもらう。清水はニューオーリンズが初めて、美人妻もGumbo Shopに行ったことはない、とのことだったので無難なこの店を選ぶ。パティオでの食事。AvitaのAmberを頼み、ガンボとその他一品づつオーダー。と、ガンボを口に運んだ瞬間、ここのガンボってこんなに淡泊だったっけ、と疑問が込み上げる。かつて食した際は初めてだったこともあり、クセのないここのガンボが非常に美味く感じた私であるが、色々な店のガンボを食した今となっては、少々物足りない。それと今回行って気が付いたのだが、同じ通りのバーボン・ストリート寄りに、その名もGumboという店があり、前回伊藤夫妻とガンボ・ショップだと思ってはいったのはどうやらこのGumboという店だったようだ。看板もそっくりで、うっかりして間違えるようにできてるんじゃ、と勘繰りたくもなる。でも負け惜しみではないが、少なくともガンボに限って言えば、今回Gumbo Shopで食したものよりその名もGumboのものの方が美味しかったと思う。後日絶対確認してやろうと、そう心に決める。


音!

さて、Gumbo Shopで、まるで"これから働きに行くぞっ。"ってな食欲旺盛振りを発揮した清水が満足したのを見計らって、私のバーボン・ストリートの楽しみ方・その理論と実践講座に入る。これは単に通りを端から端まで流しながらそれぞれの店の出し物をチェック、気に入ったところで腰を落ち着けてビールを楽しみ、良ければ居座り、あまり面白くなかったりあるいは充分楽しんだら次の店に移る、というだけのもの。さて一軒目に選んだのが前回バリサク伊藤といんちきケイジャン・デュオを見た店。今回店名をちゃんと確認しました。Tricou House~711 Bourbon St.がそれ。今回の出し物は、テキサスから来たブルース.トリオで、いかにもという演奏。ちょっとギタリストの"スティーヴィー・レイ大好きです"趣味丸だしがどうかという気もするが、なかなかの演奏振りは、おおいに楽しめる。途中、客で来ていた白人が飛び入りで1曲叩かせてもらっていたが、それを見ていた清水、気づくとバンドのドラマーに交渉して飛入りさせてもらうことに。ニューオーリンズ到着後数時間にしてバーボン・ストリート・デビューを果たすとは、何と羨ましい奴。どれ私も、と思うが残念なことにこのバンドのギタリストは左利き。しかたないので"おねえさん、ビール。"。ステージが終わった後、ギタリストが寄って来て"お前もギタリストか?"と訊ねてくる。どうやら彼が良いことを演ると即座に反応する私が気になったようではある。この晩、前出の白人、清水の他にもう一人、飛び入りで叩いた奴がいた。それがこの時から毎日出くわすことになる"Andy"である。向こうもこの3人組が気になったようで店の外でしばし話をする。彼は毎晩バーボン・ストリートを流して、叩かせてくれそうなバンドを見つけては飛び入りさせてもらっているらしい。ヒスパニック系の彼、異様に目をギラギラとさせ、どう考えても25才位にしか思えないのだが、歳を聞いてびっくり。32だったか4だったか、まあとてもそんなには見えない歳であった。やってることもちょっとその歳でなかなかやらないようなことをやってるし。ドラムで陽の目を浴びることはまずなさそうなAndyではあったが、いつ会っても幸せそうなんだからいいんじゃないっ。

次に入ったのは憧れのRoyal Sonesta Hotelの1階にあるジャズクラブ。ここの箱バンのトロンボーン奏者は結構有名人らしく、ニューオーリンズの腕利きを集めたセッション・バンドに選ばれたりするような人だという。オーソドックスなニューオーリンズ・ジャズだが、決して骨董品のような演奏ではなく、ゆったりと楽しい時間を過ごさせてくれた。と、クラリネットのおじさんが私を見て"クラリネット、吹くのか?"と、ブロックサインを送ってきた。即座に身振りでNo!を出すと、今度は"じゃ、トロンボーンか?"。どうやら上がってきて一緒に演奏しろというのである。さすが大人のバンドである。悲しいかなセッションすることは出来なかったが、終演後話し掛けてきたクラリネットのおじさんによると、以前早大ニューオーリンズ・ジャズ研究会の女性管楽器奏者と共演したことがあり、とても良い演奏をするので日本人のミュージシャンに良い印象を持っているということであった。我々を見て、こいつら音楽をやるなと感じたのでステージに上がるよう誘ったというのであるが、"俺、ギタリスト。奴、ドラマー。彼女、コンピュータ・ミュージック制作者。"と言うと、"そうか、残念だったな。あっはっは。"とか言いながら、しっかりと美人妻の手にキスしていたのを、私は見逃さなかった。

まだ12時頃ではあったがあまり遅くなると旦那さんも心配するだろうと、バス〜ストリートカーの乗り場へと向かう。この時間は極端に本数も減るので、とりあえず旦那に連絡、と美人妻。なんと親切な旦那柴田、わざわざ迎えに来てくれるという。しばし車を待つうち、突発事態発生。Nature calls them. そう、先程のクラブでトイレを済ませた私以外の二人<美人妻は、爺は歳だからトイレが近いっ、とか言って馬鹿にしていたらしい>は急を要する状況に追い込まれたのである。後で聞くと旦那柴田も結構楽しんでいたようであるが、私も人ごとなのでこの状況を楽しませてもらった。もう"赤信号、ぶっちぎれー。"とか大騒ぎである。二人とも脳裏に"お漏らし君"とか呼ばれちゃう自分の姿が、浮かんだはずである。その後、帰りしなにしっかりトイレを済ませた私に、"やっぱり年の功ね。"という美人妻のひと言は、負け惜しみにしか聞こえなかったなー。


[ Index ] | Prologue | New York, NY | Crunbury, NJ | New York, again | Frederik, MD | New Orleans, LA<Part1> | New Orleans, LA<Part2> | New Orleans, LA<Part3> | Houston, TX<Part1> | Houston, TX<Part2> |