The Byrds
/ Sweetheart Of The Rodeo <1968>

おすすめ度★★★★★


フォークロックの旗手としてのデビュー以来様々音楽へのアプローチを見せ、さらにやや計画的とも思えるRoger McGuinnのリーダーシップを前面に出してきたByrdsであったが、それが災いとなって5作目を発表する頃にはメンバーが2人という状況まで陥っていた。

そこでRoger McGuinnは、Chrisの紹介で無名のミュージシャンGram Parsonsを「キーボードが弾ける」という要素だけを確認して加入させ、Byrdsの再生を誓ったのである。Gram Parsonsが名うてのカントリー野郎だとは気付かずに...

以前から「今やByrdsはDylanのカヴァーではなく、ロックとカントリーの融合に尽くすべきだ!」と意気投合していたChrisとGramは、Rogerを説得して何と!カントリーの聖地ナッシュビルでのレコーディングに入る事になる。

この3人にKevin Kelleyを加えたByrdsは、地元のミュージシャンやセッションミュージシャンの助けを借りて、ロック史に燦然と輝くカントリーロックの金字塔的アルバムを完成させたのである。

カントリーにしては斬新過ぎるサビにおけるコーラス、そしてどこまでも美しく響くスティールギター........

Byrdsのメンバーはカントリーアプローチという「意外性」を求めたのでは決して無く、素直な敬意と羨望の志でこの歴史的Rockアルバムを完成させたのである。

しかし、その事は地元ナッシュビルのDJ達に届かず、彼らはこのアルバムを「聖地にヒッピーが踏み込んで製作したプラスチックアルバム」としてラジオでのオンエアーを控えてしまった。彼らはこの事態に対して次作収録のDrug Store Truck Drivin' Manで華麗に反撃している。

現在このアルバムはボーナストラック付きで発売されている。オリジナルの方では契約の関係でヴォーカルの取れなかったGram Parsonsの素晴らしいヴォーカルテイクが堪能できる他、未発表曲の121314にも注目。

12はGramがByrdsで始めてレコーディングしたいうR&B。彼の意外なルーツを感じる事のできるテイクだ。13は後にGramが結成するFBBのセカンドアルバムに収録されるR&Rナンバーのオリジナル。ここではRoger McGuinnの奏でる12弦ギターがByrdsらしさを良く出している。

14も後にRogerが自身のソロで取り上げた曲。Rogerの持ち味が十分に発揮されたトラッド系の曲だ。

ここでの3曲は、それぞれアルバム収録曲と比べてもなんら遜色の無い出来なのだが......アルバムのコンセプトに合わないという理由で外されたのかもしれない。

 

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(っていっぱいあってすんません^^;)

アルバムは、いきなりモロカントリーって感じのスティールギターが美しいYou Ain't Going Nowhereでスタートする。しかし、良く見るとクレジットは<B.Dyalan>である。彼らはDylanがBasement Tapesで録音した未発表曲を見事なカントリーアレンジで取り上げている。

The Christian Lifeは、やはりアルバムテイクよりボーナストラックのGram Parsonsヴォーカルバージョンの方に手が動いていてしまう。リハーサルテイクなので、とてもリアルに響くGramの声が染みる。

You Don't Miss Your WaterはWilliam Bellという方のソウルナンバーらしいが、見事なカントリーアレンジで吹き込まれている。こうやって聴いているとRogerの声にも惹かれてしまう罪な僕がいる。重厚なコーラスがByrdsらしくて良いなぁ。

オリジナルバージョンではYou're Still On My Mindが始めてGramのヴォーカルが聴けるナンバー。

最高に光るホンキートンクピアノをバックに、カントリーの名曲を見事に歌い上げるGramに圧巻。彼の持ち味が出ているテイクだ。また、ボーナストラックも未完成な感じが出てて逆に良い感じだったりする。

アルバム中、Rogerによる最高テイクは間違いなくPretty Boy Floydだと思う。フォーク調のW.Guthrieの曲をフィンドル、バンジョー、マンドリンという様々なカントリー系楽器ので料理した名演。彼らのカントリーミュージックに対するセンスが伺える好トラックだ。

そして名曲Hickory Windの登場だ。Gramの永遠の名曲、名唱。少年時代を想いながら切々と歌い上げるGramのやるせない声、それを縫う様に響く悲しげなスティールギター......僕の胸を突き刺す悲壮感....あぁ、僕も少年時代は感じていた風があったハズさ.....どこにいったんですかねぇ?^^;?

続いてGramのオリジナルとなるOne Hundred Years From NowはGramの契約問題の関係でRogerとChrisがヴォーカルを分け合うフォークロックスタイルで収録されている。

こちらもボーナストラックにGramのバージョンが収録されているが、この曲のGramバージョンはBOXセットに収録されていたテイクが最高である。

Blue Canadian RockiesはChrisがヴォーカルを取っているワルツ調のナンバー。これまでアルバムの流れからすると、少し意外な感じのナンバーが絶妙に挟まれているのもこの名作の魅力である。

そして、再びDylanのBasement TaoeからのNothing Was Deliveredでアルバムは終焉を迎える。やはり、DylanのナンバーではRogerの声がハマる。演奏の方も比較的Rock調になっている。Rogerの名唱の一つ。

ボーナストラックでは上記に紹介した他、All I Have Is Memoriesという美しいインストが収録されてる。比較的Clarence Whiteあたりが好みそうな正統派カントリーナンバーです。華麗。


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1 . You Ain't Going Nowhere
2 . I Am A Pilgrim
3 . The Christian Life
4 . You Don't Miss Your Water
5 . You're Still On My Mind
6 . Pretty Boy Floyd
7 . Hickory Wind
8 . One Hundred Years From Now
9 . Blue Canadian Rockies
10 . Life In Prison
11 . Nothing Was Delivered

〜Bonus Tracks〜
12 . You Got A Reputation
13 . Lazy Days
14 . Pretty Polly
15 . The Christian Life<Take 1>
16 . Life In Prison<Take 11>
17 . You're Still On My Mind
<Take 43>
18 . One Hundred Years From Now
<Take 2>
19 . All I Have Is Memories

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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彼らは再びAmerican Rockの
海原に散って行く

(1999.12.18 再更新)

 

 

 

 

順路 その1 : Byrds本体を追いかける
困惑の名作 Easy Rierへ!

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順路 その2 : Gram Parsons コース
GramとChrisの挑戦。FBBへ!

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〜関連アーティスト / アルバムへのリンク〜

Bob Dyaln / John Wesley Harding
Basement Tapesを吹き込んだ後に制作した本作の先輩アルバム

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Taj Mahal / The Natch'l Blues
Kevin Kellyが以前に仕事を共にしたTajの傑作です

Taj1.gif (19496 バイト)

 

 

 

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