The Byrds / Easy Rider   <1969>

おすすめ度★★★☆


遂にオリジナルメンバーがRoger McGuinnのみとなってしまったByrdsが以前からセッション参加等で面識のあった名ギタリストClarence Whiteと、同バンドで活躍していたドラムのGene Parsons、ベーシストのJohn Yorkを加えて新たなByrdsとして再起を期したセカンドアルバム。

独自のカントリーロックを完成する為にByrdsを抜けたGram ParsonsChris Hillmanだったが、カントリー畑の名うてのミュージシャンを加入させた本体のByrdsも引き続きカントリーロック的なアプローチを崩さなかった事は興味深い所だ。

本作はデニスホッパーが出演したニューシネマの金字塔「Easy Rider」収録のタイトル曲を始め、革命に疲れたRockミュージシャンが傷を癒すかの如く、ソフトにポップに響くカントリーフィーリングがどこまでも心地良い作風に仕上がっている。

また前作(Dr. Byrds & Mr. Hyde)では新メンバーを加入させたばかりだった事もあってかRogerが全てのトラックでヴォーカルを取っていたが、本作は全てのメンバーがヴォーカルを担当し、その味わいの違いも顕著でアルバム全体のバラエティを豊かにしている。

特にドラマーのGene Parsonsのヴォーカルは素晴らしく、随所で彼の透き通った声が聴こえる。さらにClarenceのギターも冴え渡り、まさに新たなByrdsの幕開けを本当の意味で飾ったアルバムと言える。

最近再発されたリマスター盤では12以降のボーナストラックも加えられ、未発表曲の中には若き日のJackson Brownの作品13も収録されている。

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(っていっぱいあってすんません^^;)

タイトル曲のBallad Of Easy Riderは素朴かつ華麗なカントリーソング。Terry Melcher編曲によるストリングが楽曲の美しさを一層引き立てる。アルバム冒頭ながら謙虚に小品としてまとめている所が好印象。

ボーナストラックではロングバージョンを収録。こちらの方がリズムが強調され、バンドっぽいサウンドになっている。オフィシャルでは目立たなかったClarenceのギターも地味ながら美しい。

FidoはJohn YorkによるR&B。エフェクトをかけたギターサウンドが楽曲にポップな味わいを添えている。Gene Parsonsによる能天気なドラムソロも今までのByrdsには無かった要素である。

Clarence Whiteが初めてヴォーカルを取ったOil In My Lampは自身によるヘビーなギターをフューチャーしたトラッドナンバー。トラッド音楽に独自のアレンジを加える手法は彼らの独壇場である。ボーナストラックではフォークロック的なアプローチであっさりと歌われている。

John Yorkによって持ち込まれたカントリーナンバーカヴァーのTulsa Countyは、FBBにも在籍したByron Berlinがフィンドルで参加したByrds史上でもトップクラスの美しいナンバーだ。Clarenceによる独特の手数の多いカントリーギターやRogerのヴォーカルも光りまくりである。

またボーナストラックでは、この曲を紹介したJohn Yorkによるリードヴォーカルバージョンも収録されている。マトモに聴けばYorkの方が上手いトラックであるが、楽曲のツボにハマった時のRogerの理屈を越えた味わいがここにある。

Jesus Is Just AlrightはゴスペルRockとも言えるClarenceによるハードなカントリーギターが何ともカッチョ良いナンバーだ。Byrds伝統の独特のコーラスがイイ感じである。

There Must Be SomeoneはGene Parsonsが切々と歌い上げる味わい深いナンバー。ここではGeneのヴォーカルに尽きるが、Roger抜きの3人だけでレコーディングされたというバックの粘っこい演奏にも注目だ。

続くGunga DinもGeneによるナンバーで、こちらはオリジナル。もうイントロだけであちらの世界に連れていってくれるかの様な美しいナンバーだ。ニューヨークでの実際の逸話を元に書かれたらしく「太陽を追いかけてL.Aに行く」という詩が印象的。ちょっとDavid Crosbeyみたいな世界。

未発表曲のWay Beyond The Sunは、Liveでよく演奏されていた様子のロカビリーナンバー。Rogerは時としてこの手のRock'n Rollナンバーを歌いたがる。好きなんでしょうね、やっぱし。彼のパンチの無いヴォーカルがハマっている痛快ロカビリーナンバーだ。

Mae Jean Goes To Hollywoodは何故アルバムから漏れたか不思議でならない若き日のJackson Brownのカヴァー。楽しさがこちらにも伝わってくるかの様な、さわやかなカントリーナンバーだ。

Byrdsは後にもL.Aの若いソングライターやグループの曲を意識的とも思えるくらいに繰り返しカヴァーする。L.Aのトップグループの一つであった彼らが、こうして若い才能にスポットを与えてやる心意気が大好きだ。

GeneとClarenceの多才ぶりが伝わるBuild It Upは、Coolなカントリーブルースのインスト。重心の低い演奏振りがめちゃめちゃカッチョ良い、最高のトラック。

また、ここでもシークレットトラックとしてラジオ用のCMが収録されている。

 


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1 . Ballad Of Easy Rider
2 . Fido
3 . Oil In My Lamp
4 . Tulsa County
5 . Jack Tarr The Sailor
6 . Jesus Is Just Alright
7 . It's All Over Now, Baby Blue
8 . There Must Be Someone
(I Can't Turn To)
9 . Gunga Din
10 . Deportee
(Plane Wreck At Los Gatos)
11 . Armstrong, Aldrin And Collins

〜Bonus Tracks〜
12 . Way Beyond The Sun
13 . Mae Jean Goes To Hollywood
14 . Oil In My Lamp
15 . Tulsa Country
16 . Fiddler A Dream
17 . Ballad Of Easy Rider
18 . Build It Up

 

 

 

 

 

 

 

 

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Live in Fillmore East ’69

頼むからタイムスリップさせてくれ!
69年からFillmoreに2年間住みてぇ..

(1999.12.18 再更新)

 

 

 

 

 

〜ちょっと禁断のブート話〜
The Byrds / Boston Tea Party

Yellow Dogから結構安く出てた「最強のByrds」になる直前のLive盤。
初心者に優しい信頼のレーベルYellow Dogからということで、音質は最高。
ただし後半はちょっとコモったりヨレたりしているが、そこで文句を言ったら贅沢。

本作からの新曲から未発表曲、結成当時のヒットナンバーや
何と脱退したメンバーのオリジナルソングまで69年の彼らのLiveをたっぷりと堪能できる名作。

John YorkによるThe BandのカヴァーLong Black Vailや
「This is Chris Hillman's Rock, HA!」のMCで始まるTime Between、初期のTurn, Turn, Turn
DylanのI Shall Be Released等、聴き所は満載。

次作のLiveパートでもわかる通り、LiveにおけるClarenceのギターは
炸裂状態で、彼が後期のByrdsに及ぼしたサウンド的貢献度を改めて感じさせる。

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順路はこちら
The Byrds / Untitled へ

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〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜

Flying Burrito Brothers / The Golded Palace Of Sin
GramとChrisが結成した革命的カントリーロックバンド

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Jackson Brown / Jackson Brown(工事中)
L.AのソングライターJackson Brownの1st!