キャンプ―日本軍の捕虜となった男



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今の時期−戦争の本質を知るために−だから多くの人に読んでもらいたい

この本は、確かに訳者のあとがきに書かれているとおり、ありきたりの捕虜時代の告発記に捕らえてしまう人がいるかもしれない。その類の本は確かにあるだろう。ただし、本書はそれに留まっていない。

著者が意図したかしないかにかかわらず、戦争の実態がこれほどまでに伝わってくる本は、そうはないのではないだろうか。20になるかならずに徴兵され、それならばいいところがある(カナダ<日本以外の国>でさえ、無謀なところに若者たちを送り出していたのだ)と香港に行って、すぐに日本軍の捕虜になってしまう。

そこからの4年間の日本での捕虜生活を綴った本書は、日本人はもとより、特に今アフガンに何かをしているアメリカ人たちに読んでもらいたい。

この本を読んでいて「戦場のメリークリスマス」を思い浮かべた。それは、日本軍の捕虜という共通点はあるが、視点の全く違う意味でである(「戦メリ」は全く違う表現をしたかったのでこの比較は実はあまり意味はないが)。そして、この本が読んでいて映像を浮かべさせる記述だからである。
訳者の力量に感謝する。こういった本が日本語で読めることに。

なお、カナダ...賞を取ったとあるが、これは日本語版に対しての賞である。カナダの文化を日本に広めるために貢献したという意味で。原著者は、絵画でも有名で日本でも個展を開いて、さらにTVなどの脚本や様々な活動を今でも続けている。



朔北社