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artist : MANFRED MANN
title : 『 SOUL OF MANN 』
release : 1967年1月
label : HMV
tracks ( cd ) : (1)THE ABOMINABLE SNOWMANN (ヒマラヤの雪男) (2)I GOT YOU BABE (3)BARE HUGG (4)SPIRIT FEEL (5)WHY SHOULD WE NOT (6)L.S.D. (7)(I CAN'T GET NO)SATISFACTION (8)GOD REST YE MERRY GENTLEMENN (9)MY GENERATION (10)MR. ANELLO (11)STILL I'M SAD (12)TENGO, TANGO (13)BROTHER JACK (14)SACK O' WOE
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(7) / side B...(8)〜(14)
members : MANFRED MANN,synthesizer,keyboards,vocal ; MIKE VICKERS,guitar,flute,saxophone,vocal ; TOM McGUINNESS,bass,guitar,vocal ; MIKE HUGG,vibraphone,drums,vocal ; DAVE RICHMOND,bass ; JACK BRUCE,bass,vocal ; PAUL JONES,vocal,harmonica ; LYN DOBSON,saxophone ; HENRY LOWTHER,trumpet.
producer : 未確認
related website : 『 Manfred Mann's Earth Band 』(マンフレッド・マンズ・アース・バンドの公式サイト)




(1)THE ABOMINABLE SNOWMANN (ヒマラヤの雪男)  ▲tracks
 彼らのセカンド・アルバム 『 MANN MADE 』 から、明るめでスロウなブルーズの(1)。マディー・ウォーターズの「HOOCHIE COOCHIE MAN」のような、“止まっては動き、動き出しては止まる”というスタイルのリフを利用した曲調。
 UMA(未確認動物)モノのタイトルは、一見クールにキメまくっているようでいて、トボケた感覚を忘れていない彼ららしい感じがする。それと、本来ならスペルは“SNOWMAN”のはずなのに、自分の名前をもじって“SNOWMANN”と綴っているというのも、彼のユーモア・センスの表れだろう。


(2)I GOT YOU BABE  ▲tracks
 速めのジャズ・ワルツ(2)は、6枚目のEP 『 INSTRUMENTAL ASYLUM 』 に収録されていたナンバーで、ソニー&シェールのカヴァー(『 LOOK AT US 』 に収録)。
 キレのよいホーン・セクション、ボコボコとしていながらよく動くベース、セッセと働くドラムに思わず胸躍ってしまう。ツボにはまったサックス・ソロもイイ。


(3)BARE HUGG  ▲tracks
 フルート、ヴィブラフォン、オルガンという、“クール楽器3種の神器”がフィーチャーされた(3)。こちらが気付かぬうちに何者かが背後から忍び寄ってきているような、もしくは、こちらが敵のアジトに潜入しているような、そんな感じがする、刑事・探偵モノにピッタリのジャジーな曲。(1)同様 『 MANN MADE 』 に収録。
 この曲の作曲者〜マイク・ハグ(HUGG)に因んで付けられたタイトル(「BARE HUGG」)だとは思うのだが、若干スペルの違う“ベアー・ハッグ(BEAR HUG)”はプロ・レス技で、相撲でいう“鯖折り”とほとんど同様の技。


(4)SPIRIT FEEL  ▲tracks
 とにかくスリル満点の(4)。テーマ部がブレイクし、短めのギター・ソロ(その間に切込みを入れる一瞬のオルガンも聴き逃せない)とドライヴ感豊かなベース・ソロを抜けて、凛々しく切り出すトランペット・ソロのカッコよさといったらない!その後のサックス・ソロやオルガン・ソロもまた格別のカッコよさ。もちろん、それらをリードしていくドラムも。
 また、ジャズ・ベースを耳コピーで勉強してみようという人にとっては、このキャッチーなエレキ・ベースは非常に聴き取りやすく、格好のサンプルだと思う。
 この曲は本作よりも前に出された編集盤 『 MANN MADE HITS 』 で発表された曲で、モダーン・ジャズ・クァルテットのヴィブラフォン奏者〜ミルト・ジャクソンのアルバム 『 PLENTY, PLENTY SOUL 』 からのカヴァー。また、“ヴォーカリーズの祖”ともいうべきジャズ・コーラス・グループ〜ランバート,ヘンドリックス&ロスもこの曲をカヴァーしている(現行-2004年1月現在-のCDでは 『 THE SWINGERS!+3 』 のボーナス・トラックとして収録されている)。


(5)WHY SHOULD WE NOT  ▲tracks
 ちょっと土着的な“ズンドコ、ズンドコ”としたビートにのせて、労働歌か何かのような重苦しく、ブルージーなメロディーが奏でられる(5)。適度な残響感もあるので、“神秘的”、“サイケデリック”などと言われれば、なるほど、そんな感じがしないでもないが、やはりちょっと暗い。こういう暗く重い曲が彼らのデビュー・シングルのA面だったとは...。ちょっと意外だ。


(6)L.S.D.  ▲tracks
 本作唯一のヴォーカル・ナンバーで、ブルーズの(6)。この曲も 『 MANN MADE 』 に収録。ポール・ジョーンズの歌と幾分長めのハーモニカ・ソロがフィーチャーされている。
 ひょっとして、インスト曲を集めたことが売りの本作にこのヴォーカル・ナンバーが収録された理由は、このハーモニカ・ソロを“ポール・ジョーンズのインスト面の出番”として考えたからではないだろうか。


(7)(I CAN'T GET NO)SATISFACTION  ▲tracks
 「ンギィー、ンギィー」というファズ・ギターにヤられる、ローリング・ストーンズのカヴァー(7)。イントロのリフはロックだが、平メロではジャズに変化してちょっとのどかになる。しかし、サビでは再びファズでロックな展開に。途中、短いドラムの見せ場と共にメンバー全員で「HEY, HEY, HEY, HEY, THAT'S WHAT'D I SAY」とシャウト。6枚目のEP 『 INSTRUMENTAL ASYLUM 』 に収録。


(8)GOD REST YE MERRY GENTLEMENN  ▲tracks
 クリスマス・キャロル(クリスマスを祝う歌)をフルートとヴィブラフォンでクールにアレンジした(8)。本作で初お目見え。
 この曲も(1)同様、本来のタイトルは「GOD REST YE MERRY GENTLEMEN」なのに対して、最後に“N”が一つ多い(笑)。


(9)MY GENERATION  ▲tracks
 ザ・フーの永遠のモッヅ・アンセムをスピーディーなジャズ風味に味付けした(9)。ドライヴ感満点のベースに導かれてスタートするも、間もなくズンズンとしたシャッフルになり、すかさず転調。オルガン・ソロ→転調してヴィブラフォン・ソロ→転調・・・と、どんどんテンションが高くなっていく。
 ザ・フーによるオリジナルの演奏が最高にカッコいいのは言うまでもないが、あくまで仕組みとしてみれば、元々コード的には単調で展開がほとんどないこの曲を、転調を使うことで巧く乗り切るどころか全く違う緊張感を持った曲に仕上げてしまっているところが、このマンフレッド・マンのスゴイところ。6枚目のEP 『 INSTRUMENTAL ASYLUM 』 に収録。


(10)MR. ANELLO  ▲tracks
 ポール・ジョーンズのハーモニカをフィーチャーした R & R /ブルーズの(10)。マンフレッド・マンが生きのいい溌剌としたピアノを弾いている。彼らのデビュー・アルバム 『 THE FIVE FACES OF MANFRED MANN 』 より収録。


(11)STILL I'M SAD  ▲tracks
 ドラマティックにスタートする、ヤードバーヅのカヴァー(11)。原曲のアレンジはグレゴリオ聖歌のように厳かな雰囲気を湛えた重〜い感じだったが、こちらはアップ・テンポながらもとても工夫を凝らしたアンサンブルで聴き手を飽きさせない。
 原曲の倍の速さでスリリングにメロディーを奏でるベースとピアノに、原曲通りの符割りのホーン・セクションが続き、哀愁タップリのメチャクチャにカッコいいサックス&トランペット・ソロに突入。その後ろで「ジャージャッ!」とリズムを引き締めるバッキングも痛快だ。そしてそのままテーマに持ち込むも、ここでも巧妙なアンサンブルを聴かせる。最後の不安な空気を残したままの終わり方もイイ。6枚目のEP 『 INSTRUMENTAL ASYLUM 』 に収録。


(12)TENGO, TANGO  ▲tracks
 強烈なアクセントを持ちながらも哀愁漂うメロディーを持つという、インパクト充分のテーマで聴く者をノック・アウトする(12)は、キャノンボール・アダレイのカヴァー。当時の彼らとしては未発表だった曲。原曲( 『 NIPPON SOUL recording in concert in tokyo 』 に収録)よりもタンゴ感を減らし、その分ロック的なダイナミズムを増した感じ。本作の“ヤマ”を演出するのにピッタリの曲。


(13)BROTHER JACK  ▲tracks
 ヘロヘロと脱力感を伴う何ともマヌケなオルガンがイイ味を出している、フランスのトラディショナル・ソング(13)。このサックスとハーモニカが輪唱していくような感じは、小学校の時に習ったような気がする。「ディン・ドン・ディン」と、何か時計にまつわる曲だったような気が...。
 しかし、あの暗い(5)がA面で、このヘロヘロな(13)がB面のデビュー・シングルを、当時初めて買って聴いた人はどう思ったのだろうか。


(14)SACK O' WOE  ▲tracks
 最後は再びキャノンボール・アダレイのカヴァーの(14)。かなり威勢よくブッちぎっていく。ハーモニカとサックスによるテーマに続いて、サックス、ハーモニカ、ピアノ、そしてヴィブラフォンによる短めのソロを連発し、テーマに戻ったかと思うと「ブアァ〜ッ」と終了。あっという間の出来事。この曲も 『 THE FIVE FACES OF MANFRED MANN 』 より収録。
 それにしても、(12)といい、この曲といい、そしてキャノンボール・アダレイが参加していたミルト・ジャクソンのアルバム 『 PLENTY, PLENTY SOUL 』 からのカヴァー(4)といい、マンフレッド・マンはキャノンボール・アダレイのことがお気に入りだったのだろうか。


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