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artist : HENRI SALVADOR
title : 『 RIGOLO 』
release : 1999年3月
label : TOSHIBA EMI (ODEON RECORDS)
tracks ( cd ) : (1)BOULI BOULI (2)SEX-MAN (3)LE TEMPS DES CONS 【バカの季節】 (4)BÊTA GAMMA L'ORDINATEUR 【ベータ・ガンマ・コンピュータ】 (5)LE DANSE DE ZORBA 【ゾルバのダンス】 (6)TWIST S.N.C.F. (7)C'EST PAS LA JOIE 【もう、うんざり】 (8)CARNABY STREET (9)FUGUES EN RIRE 【笑いのフーガ】 (10)AVEC LA BOUCHE 【バイ・バイ・ブルース】 (11)AH!C'QU'ON EST BIEN QUAND ON EST DANS SON BAIN 【いい湯だナ】 (12)KISSINGER-LE DUC THO 【キッシンジャーとレ・ドク・ト】 (13)BLANCHE ÉPIPHANIE 【エピファニー】 (14)JAKE LE CHAMPION 【悪ガキ・チャンピオン】 (15)VIVRE AU SOLEIL 【太陽と暮らそう】 (16)MALADIE D'AMOUR 【恋の病】 (17)MAIS NON, MAIS NON 【メノン・メノン】 (18)IL PLEUT BERGEÈRE 【にわか雨】 (19)ENFONCEZ-VOUS ÇA DANS LA TÊTE 【首が回らない】 (20)LES ARISTOCHATS 【おしゃれキャット】 (21)ET DES MANDOLINES 【マンドリン】 (22)PAURVE JÉSUS-CHRIST 【可哀想なジーザス】
tracks ( analog ) : 未確認
member : HENRI SALVADOR,vocals,voices,laughing,guitars,mandolin,bass,organ,synthesizer,rhythm box,tape recorder,etc.(他は不明)
producer : 不明
related website : 『 Bienvenue sur le Site Henri SALVADOR 』(公式サイト)




(1)BOULI BOULI  ▲tracks
 サルヴァドールのブッ飛んだシャウトで幕を開ける3コードの R & R (1)。人を小馬鹿にしくさったような歌いっぷりや笑い声が痛快だ。サックス・ソロの時の騒ぎ方も相当にハイ。この曲は、サム・ザ・シャム&ザ・ファラオズの'65年のヒット曲「WOOLY BULLY」のカヴァーで、他にもヴェンチャーズやハル・ブレインなどがカヴァーしている。


(2)SEX-MAN  ▲tracks
 誰が聴いても分かるとおり、ジェイムズ・ブラウンの「SEX MACHINE」のタイトルとバットマンのテーマを足したようなアイディアの(2)。
 高速のリズム・ボックスに乗ってコーラスがタイトルを連呼する中、サルヴァドールが語る。何となくジミ・ヘンの「FIRE」っぽいノリもあるような気がする。


(3)LE TEMPS DES CONS 【バカの季節】  ▲tracks
 モロにスライ&ザ・ファミリー・ストーンの「THANK YOU」っぽい(3)。オマケにリズム・ボックス使用。ジャリっと歪んだギターとブリブリなベース、そしてオルガンもちょっと足して、チープな宅録ファンクに仕上がっている。しかし、そのチープでマヌケな感じが実にクールでグルーヴィー。


(4)BÊTA GAMMA L'ORDINATEUR 【ベータ・ガンマ・コンピュータ】  ▲tracks
 「ウィヨンウィヨンウィヨンウィヨン…」という奇妙なエフェクト音で始まる(4)。スパイダースの「バン・バン・バン」を高速化したようなファンキー・ビートに乗って、無機質さを演出したサルヴァドールが淡々と語るその脇を、素っ頓狂な女声コーラスが「ベータ・ガンマァ〜〜〜〜〜〜〜」と連呼。その「ァ〜〜〜〜〜〜〜」と伸びている間に、音程が若干上がる不安定感が気持ち悪くてカッコいい。それが1コーラス終るごとにキメのホーン・セクションが挿入され半音ずつ転調していく、というのを繰り返す。最後はテープ操作を駆使したと言うより、子供がテープ・レコーダーをイタズラするのに近い感覚でドンドン音が上がっていく。
 この歌、21世紀の男が20世紀に生きる人間達に向って“未来自慢”をする様を通して機械文明を批判するというものなのだが、最後の捨てゼリフ 『 「考えない 故に 我あり」 だ 』 というのは、ある意味「21世紀の精神異常者」とも言えそう。


(5)LE DANSE DE ZORBA 【ゾルバのダンス】  ▲tracks
 地中海的な朗らかさに溢れた、映画 『 その男ゾルバ 』 の挿入曲のカヴァー(5)。冒頭の笑い声はメロディーにもなっている。しばらくはとてもユッタリとしたテンポで進行していくのだが、途中から段々と速度を増し手拍子も加わって、フォーク・ダンスのような展開になっていく。歌詞によれば、このダンスは“シルタキ”というものらしい。


(6)TWIST S.N.C.F.  ▲tracks
 機関車の「ガシュガシュ」というS.E.に続いて始まるファンキーなツイストの(6)。列車の中で色々なことをしようとすると、列車が揺れて失敗してしまうエピソードをユーモラスに歌っている。最後は切符を無くして無賃乗車扱いされ、刑務所でヴァカンスを過ごす羽目になる。ここで言う「S.N.C.F.」とは、この列車の略称か何かのことか。


(7)C'EST PAS LA JOIE 【もう、うんざり】  ▲tracks
 なにやら不穏な空気漂うファンキー・チューン(7)。リズム・ボックスも登場して(3)にも似た雰囲気があるが、何となくかったるそうなのは、そのタイトル「もう、うんざり」に因んでのことだろうか。(4)での機械文明批判に続いて、こちらは世の中の様々な“うんざりTHING”を羅列している。


(8)CARNABY STREET  ▲tracks
 タイトルから想像がつく方もいるかもしれないが、モッヅ達が泣いて喜びそうなグルーヴィー・チューンに仕上がっている(8)。バリッとしたホーン・セクションで勢いよくスタートした後の、ビートルズの「TAXMAN」的なベース・ラインのAメロ部がメチャカッコイイ。
 この曲、小柳帝、小野郁夫両氏による「ぬるくてゆるい曲目解説」によれば、「ユースクウェイク礼賛と見せかけて、実は若者批判」(小柳)、「流行に乗ると見せかけて、その流行自体を揶揄してる」(小野)のだそうだ。確かに、サルヴァドールはロックは好きじゃないと言っているし、世代的にも下の連中がやっていることというのもある。しかし、好きじゃないとは言う割にはかなりの出来。実は落語の「まんじゅうこわい」的に、“好きであることを隠すためにあえて嫌いと言っているのではないか”、などと勘ぐってしまう。


(9)FUGUES EN RIRE 【笑いのフーガ】  ▲tracks
 遂に彼の真骨頂登場とも言うべき、“元祖笑い袋”な(9)。まぁ、この曲、ただ単にリズム・ボックスに合わせて「イッヒ、オッホホ、オイオイ…」と笑うだけなのだが、その笑いが1人多重録音で、4人分くらいの笑い声が聴こえてくる。ただでさえ、他人が笑っている様は面白いのに、4人で、しかも妙な笑い方をされたら爆笑せずにいられない。
 こういった“笑い袋”的アプローチは「HENRI SALVADOR S'AMUSE」(『 HENRI SALVADOR ET GUITARE 』 に収録。現在は 『 HENRY SALVADOR Vol. 1 MALADIE D'AMOUR 』 というCDで聴くことができる)でもやっている。こちらをある時職場の人に聴かせたら、「こんなの聴いてるンスカ?」と訝られた。別にこういう曲ばかりいつも聴いているわけではないのだが。単純に笑えないのだろうか?


(10)AVEC LA BOUCHE 【バイ・バイ・ブルース】  ▲tracks
 ハイ・スピードなジャズに乗って、サルヴァドールがハナモゲラ語(?)やスキャットを交えながらハチャメチャに笑い飛ばす(10)。このまま笑い死にしてしまうのではないかと思われるほどの笑い様。笑いもここまでブッ飛んでいると痛快ですらある。しかし闇雲に笑っているようでも、要所要所はちゃんと音階になっている辺りはさすが(?)ミュージシャンだ。
 この曲はキャブ・キャロウェイ、ディジー・ガレスピー、ベニー・グッドマンらも演奏している古い曲で、後に'53年、レス・ポールとメリー・フォードのレコードでリヴァイヴァル・ヒットしている。


(11)AH!C'QU'ON EST BIEN QUAND ON EST DANS SON BAIN 【いい湯だナ】  ▲tracks
 風呂のS.E.をバックに陽気な口笛でスタートする“お風呂賛歌”(11)。ジャズっぽい雰囲気もあるグッド・タイムなポップ・ソングといった感じの仕上がり。本人が弾いているであろうギターのサウンドにジャズっぽさが少々あるのだが、「ポッポッポッポッ」と軽快に拍をとるオルガンがバブルガムというか子供向けな雰囲気を醸し出している。


(12)KISSINGER-LE DUC THO 【キッシンジャーとレ・ドク・ト】  ▲tracks
 パリ国際会議センターで「ヴェトナム和平パリ協定」を結び、後にノーベル平和賞を受賞する2人〜アメリカのキッシンジャー大統領補佐官と北ヴェトナムのレ・ドク・ト労働党政治局員(彼は辞退)とのやり取りをモノマネで展開する(12)。
 不気味な電子音(サイレンとヘリコプターの羽根の音か)が鳴り、タイトルにもなっている2人の名前が繰り返される中、リズム・ボックスとパーカッションに乗せて、キッシンジャーとレ・ドク・トの会話が続くだけなのだが、ハード・ボイルドなキッシンジャーと、ヴェトナム訛りのフランス語で喋るレ・ドク・トのコントラストが笑える。これでも一応“反戦歌”のつもりなのだろうか?なんか、あまりにも不謹慎なので、かえって逆効果なのでは...。


(13)BLANCHE ÉPIPHANIE 【エピファニー】  ▲tracks
 1人多重録音擬似サンバ・ソウル(?)の(13)。何人ものサルヴァドールが分厚いコーラスでポップに歌う。ブレイクでの「ッッジュグジュッア〜、ッウッウア〜」という超低音のダミ声が不気味でユーモラス。ギターのカッティングが擬似サンバっぽいものの、ベース・ラインがソウルっぽいので、1910フルーツガム・カンパニーの「BUBBLEGUM WORLD」のような擬似サンバな曲からポップでソウルっぽい曲に繋ぐ時には重宝しそうな曲。


(14)JAKE LE CHAMPION 【悪ガキ・チャンピオン】  ▲tracks
 淡々としたリズム・ボックスと虚無なワウ・ギターの響きの中、妙な生命力を持ったベースと気まぐれに掻き鳴らされるジャズ・ギターが、主人公のボクサー〜ジャークのタフな生き様を描き出している(14)。このシンプル極まりないバック・トラックが、アブストラクトでダークな雰囲気をうまく演出している。


(15)VIVRE AU SOLEIL 【太陽と暮らそう】  ▲tracks
 ドライヴ気分──ドライヴ“感”ではない──満点な(15)。なんか、そのうち日産の新車のCMで使われそうな気もしてしまうのは僕だけだろうか。チープなリズム・ボックスによる適度にポップなリズムとアコギが奏でる暖かな日差しを演出するコードが、強烈にではなく、あくまでもさり気なく、聴く者をドライヴに誘い出してくれるような気がしてくる。ただ、ここまで本作を聴き進んできた場合、サルヴァドールの覇気のなさがちょっと気にかかるが、彼なりの“オシャレ”モードと捉えればそれ程気にもならない。むしろ、この“鼻歌”感覚の「ダ〜ン、ダランダ〜ン」が、この曲のさり気なさの肝になっているとさえ思える。
 ライナーに拠れば、この曲は 『 レクスプロージョン 』 という映画の主題歌としてサルヴァドールが書いた曲で、このヴァージョンはそのセルフ・カヴァーだとのこと。


(16)MALADIE D'AMOUR 【恋の病】  ▲tracks
 サルヴァドールがアコギ1本のみの伴奏で気持ち良さそうに歌う、軽妙洒脱な(16)。カリブ音楽的な朗らかさと軽やかさで奏でられるギターのリズムが、とても開放感に溢れている。
 本作にあって、この曲がとてもナチュラルな印象を受けるのは、リズム・ボックスを多用し、ジャケもチープだった“低予算時代”の作品ではないからかと思われるが、考え様によってはギター1本のこちらの方がもっと安く済んでそうではある。この曲のみ唯一、'80年代の作品。


(17)MAIS NON, MAIS NON 【メノン・メノン】  ▲tracks
 ピエロ・ウミリアーニの傑作「マナ・マナ」のカヴァー(17)。こちらは「マナ・マナ」ではなく「メノン・メノン」。やる気のなさそうなサルヴァドールの「メノン・メノン」の声やユルい女声コーラスのルーズさと、小気味よく刻まれるオルガンの健気でかわいい響きが、相乗効果でとてもクールでナイスな仕上がりを演出している。


(18)IL PLEUT BERGÈRE 【にわか雨】  ▲tracks
 優しくエレガントなコーラスに包まれて、サルヴァドールが洒落っ気タップリに歌う、ボサ・ノヴァの(18)。コーラスのサウンドは、何となく同じフランスのジャズ・コーラス・グループ〜ブルー・スターズのような雰囲気の耳あたり。オルガンやヴィブラフォン、アコギといった楽器のチョイスもいい。


(19)ENFONCEZ-VOUS ÇA DANS LA TÊTE 【首が回らない】  ▲tracks
 妖しげなムード漂う中でサルヴァドールがオカシクなったかのようにシャウトしていく、ブルージーなジャズ(19)。初めはウォーキン・ベースにギターのセヴンス・コードが絡み、ヒタヒタと何かが忍び歩いているような感じだが、徐々にオルガンやホーン・セクションが加わってきて、ゴージャスな展開へと変貌していく。一番最後のレッド・ゾーンを軽く越えていそうなブチ切れ・シャウトがスゴイ。そんなサウンドの壁に埋もれるようにしてギター・ソロを弾いているのはサルヴァドール本人か。


(20)LES ARISTOCHATS 【おしゃれキャット】  ▲tracks
 ディズニー音楽のカヴァーで、いかにも子供向けっぽいほのぼのポップに仕上がっている(20)。リズム・ボックスを使用したチープな“マーチ”に合わせて1人多重録音コーラス隊。“そのうちの1s人”は、フニャフニャしたファルセットでセサミ・ストリートのマペット系の声を演じている。後はおきまりのベースとワウ・ギターとオルガンを見繕って完成。


(21)ET DES MANDOLINES 【マンドリン】  ▲tracks
 タイトル通りにマンドリンをフィーチャーしたメロウ・ファンク・チューン(21)。ジャズ的なコーラスにも癒される。とは言っても、使っている楽器は他の曲とあまり変わらず、基本的にはリズム・ボックス中心。
 しかし、若干新しい試みとしてヒンヤリとして“サワ〜〜〜〜”っとした肌触りのシンセを使っている。他の楽器の和声的な雰囲気も手伝って、チープなフュージョン風味も感じられる。このチープな近未来感には、何となくイタリアの作曲家で数々のサウンドトラックを手掛けているステルヴィオ・チプリアーニ(TBSの朝の情報番組 『 はなまるマーケット 』 の「はなまる伝言板」のBGMでも彼の曲を使用している)の作風にも共通するセンスがあるような気がする。


(22)PAURVE JÉSUS-CHRIST 【可哀想なジーザス】  ▲tracks
 前曲にも似た雰囲気を持つメロウ・チューン(22)。ただ、こちらのコーラスには妙な残響感が付いていて、メロウさと不気味さが紙一重の所で同居している。メロウすぎて不気味なのだが、その怖さの中に限りないメロウネスが横たわっている、とでも言おうか。この速度も“なんかヤバイ感じ”がする。まぁ、本人にはそんな意図は全くないだろうと思われるが。意外とフィッシュマンズが好きな人はスンナリいけるかもしれない曲。


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