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artist : HARRY NILSSON
title : 『 AERIAL BALLET 【空中バレー】』
release : 1968年
label : RCA RECORDS
tracks ( cd ) : (1)GOOD OLD DESK (2)DON'T LEAVE ME BABY (3)MR. RICHLAND'S FAVORITE SONG (4)LITTLE COWBOY (5)TOGETHER (6)EVERYBODY'S TALKIN' 【うわさの男】 (7)I SAID GOODBYE TO ME (8)LITTLE COWBOY (9)MR. TINKER (10)ONE (11)THE WAILING OF THE WILLOW (12)BATH
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(5) / side B...(6)〜(12)
members : ALVIN CASEY,DENNIS M. BUDIMIR (4,8,9),guitar ; LARRY KNECHTEL,bass,piano (4,8,9) ; LYLE RITZ,bass (4,8-10) ; MICHAEL MELVOIN,piano,harpsichord,organ ; JAMES GORDON,drums ; MILTON HOLLAND (4,8-10),mallets,tympani,bells,tablas ; RICHARD HYDE,baritone horn,bass trombone,trombone ; ROBERT EHEVOLDSEN,baritone horn,trombone ; ROBERT M. KNIGHT,baritone horn,bass trombone ; RICHARD T. NASH,baritone horn,trombone,valve trombone ; GEORGE ROBERTS,baritone horn ; CARROLL LEWIS,ANTHONY TERRAN,fleugal horn,trumpet ; OLIVER MITCHELL,trumpet ; JAMES R. HORN,flute ; DAVID DUKE,french horn,tuben ; JOHNNY ROTELLA,PLAS JOHNSON,ROBERT HARDAWAY,JOHN E. LOWE,woodwinds ; JESSE EHRLICH,JACQUELINE LUSTGARDAN,RAYMOND KELLY ,cello ; ALFRED LUSTGARTEN,JEROME REISLER,WILBERT NUTTYCOMBE,LEONARD ATKINS,DARREL TERWILLIGER,ARNOLD BELNICK,JAMES GETZOFF,TIBOR ZELIG,LEONARD MALARSKY,CHARLOTTE SOY,WILLIAM WEISS,violins.
producer : RICK JARRARD
related website : 『 Harry Nilsson Web Pages 』(ファン・サイト?)




 ニルソンといえば一般的には「WITHOUT YOU」 (『 NILSSON SCHMILSSON 』 に収録) のヒットで知られていますが、僕はあのやたらとシャウトするニルソンがあまり好きになれないので、この頃のアルバムの方に行ってしまうんです。こちらの、ビートルズを更にソフトにしたようなサウンドにたまらなく惹かれてしまいます。

 キャプションで「あなたを“アメリカ人の孫”になったような気分にさせるでしょう」と書きましたが、本作のタイトル 『 AERIAL BALLET 【空中バレー】』 は、実際に彼のひいオジイサンがスウェーデンのサーカスの団長だったことからつけたタイトルなので、あながち間違いではないんです。ま、ひと世代違いますが。


(1)GOOD OLD DESK  ▲tracks
 何かのショウというかタップ・ダンスというか、とにかくそういうイントロでスタートする(1)。それこそサーカスを思わせるような音ですが、僕はこのようなサーカスっぽい音楽が好きで、ピエール・バルーの「サ・ヴァ、サ・ヴィアン」 (『 ÇA VA, ÇA VIENT 』 に収録) やスライ&ザ・ファミリー・ストーンの「LIFE」 (『 LIFE 』 に収録) 等の、チューバ系の楽器をベースに「ブン・チャッ・チャ、ブン・チャッ・チャ」とか「バ・ポ・バ・ポ」とやるような曲に出会うとたまらなく嬉しくなってしまいます。ちょっと毛色が違うかもしれませんが、カナダのシンガー/ソングライター、ルイス・フューレイのファースト・アルバム 『 LEWIS FUREY 』 なんかも、うらぶれたサーカスっぽい雰囲気の作品 (歌っている内容は別にして) 。
 話を戻して、この(1)のあった場所には元々は「DADDY'S SONG」という曲があったのですが、映画 『 HEAD 』 に出てくるモンキーズ・ヴァージョンの「DADDY'S SONG」 (ニルソン作) がヒットしたために販促の邪魔になるということで、サーカスっぽいイントロはそのままにして(1)と差し替えられたとのことです。よって2000年に再発された 『 PANDEMONIUM SHADOW SHOW 』 『 AERIAL BALLET 』 『 AERIAL PANDEMONIUM BALLET 』 の3イン2CDには、イントロが同じ(1)と「DADDY'S SONG」の両方が収録されています。


(2)DON'T LEAVE ME BABY  ▲tracks
 静かに始まる(2)は次第にリズムがはっきりしてきて、“擬似サンバ”っぽい感じになってきます。それは「ドッ・ド・ドッ・カッ、ドッ・ド・ドッ・カッ」というリズムで、「カッ」を「チャッ」に替えてみると分かり易いんですが、ハーブ・アルパートの「BITTERSWEET SAMBA」 (『 WHIPPED CREAM & OTHER DELIGHTS 』に収録) やサザエさんのエンディング・テーマのリズムみたいなヤツです。おそらくハーブ・アルパートの「BITTERSWEET SAMBA」を始めとする A & M レーベルの曲がヒットしたのを契機に広まったリズムだと思うんですが、この時代のポップスによく出てきます。皆さんも色々探してみてください。このリズムだけの本があったら、ちょっと見てみたいなと思います。


(3)MR. RICHLAND'S FAVORITE SONG  ▲tracks
 うらぶれた感じの(3)。後半のラッパを模したようなスキャットもユーモラスでいい。ほんのちょっと 『 ゲゲゲの鬼太郎 』 を思わせる曲。


(4)LITTLE COWBOY
(8)LITTLE COWBOY   ▲tracks
 アコギを弾きながら優しく昔話を聞かせるような(4)。「ウ〜ラ・ラ」というビートルズっぽいコーラスがいい。この曲は(8)で再びお目見えします。(8)は、おそらくニルソン本人が吹いていると思われる口笛をフィーチャーしたショート・ヴァージョン。


(5)TOGETHER
(6)EVERYBODY'S TALKIN' 【うわさの男】   ▲tracks
 気品あふれる(5)に続くのは、映画 『 真夜中のカウボーイ 』 の主題歌としてヒットしたカントリー調の(6)。本作の中ではあまり“懐かしく”聴こえない曲。中盤の、本人による「ほぁ〜〜、ほぁ〜、ほぁほぁ〜、ほぁ〜」というフレーズが面白い。流麗なストリングスもとても印象的。他人の曲 (フレッド・ニール作) ながらも、彼はこの曲でグラミー賞最優秀男性歌手賞を受賞。後述のスリー・ドッグ・ナイトはどちらかといえば意図的に他人の曲を取り上げてヒットさせているのに対して、ニルソンの場合自分の曲を歌った時はヒットしないのに、他人の曲を歌うとヒットするという、なんとも悲しい運命。


(7)I SAID GOODBYE TO ME
(9)MR. TINKER  ▲tracks
 自殺について歌っているとはとても思えないワルツの(7)、前述の(8)を挟んで、大瀧詠一の「空飛ぶくじら」 ('97年再発版 『 大瀧詠一 』 のボーナス・トラックとして収録) のピアノ・イントロ・ヴァージョンっぽい(9)。イントロでピアノに続いて出てくるバス・クラリネットがいい。最後の締めがブルージーでチープなオルガンなのはどういうつもりなんでしょうか。


(10)ONE  ▲tracks
 お次は、人の曲ばっかりヒットさせているスリー・ドッグ・ナイトが、例によってヒットさせたことにより本作からシングル・カットすることになった(10)。彼らって他人の作ったオイシイ曲だけかっさらっているように見えますが、逆に彼らのお陰で人知れず埋もれた才能を世に知らしめることも多々あったので、一概に“ズルイ”とは言えないところが、また何とも皮肉なところです。そちらのスリー・ドッグ・ナイト版の(10)は未聴なのですが、本家ヴァージョンはイントロで「ポッ・ポッ・ポッ・ポッ」と刻むオルガンの残響感がとても空虚な感じで、この上ない寂しさを誘います。途中から次々と出てくるフルートやハープシコードも儚さを醸し出してていいです。そして最初から刻み続けられていたオルガンだけが鳴り響いてこの曲は終わります。フェイド・アウトではなく唐突に終わる感じが、なおいっそう寂しげです。


(11)THE WAILING OF THE WILLOW  ▲tracks
 前曲での空虚感を埋めるかのように優しいボサ・ノヴァの(11)。イントロのピアノがちょっとバート・バカラックの「WALK ON BY」 (『 BURT BACHARACH PLAYS HIS HITS 』 に収録) を思わせます。本人の歌を始めコーラス、ストリングス、ホーン・セクション等全てがただただ優しく柔らか。


(12)BATH  ▲tracks
 なんとなくレオン・ラッセルっぽい (といってもこちらの方が先ですが) というより、ゴスペルっぽい(12)。聖歌隊はいませんが。この曲のみ、やたら“バリッ”としたラッパ類が曲を盛り上げます。


 通して聴くと、全体的に低音のラッパ類を基調としたアレンジがポイントですね。ユーモラスで柔らかく、そしてどこか物悲しくて懐かしいという世界をうまく表現することに成功しています。


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