[MENU TOP] [CASSETTE] [INDEX] [TOP PAGE] [HOME] [INTRO] [LINK] [OPINION]

MAIN MENU :[POP MUSIC]


artist : BURT BACHARACH
title : 『 BURT BACHARACH PLAYS HIS HITS 』
release : 1997年5月(1965〜70年)
label : KAPP RECORDS
tracks ( cd ) : (1)TRAINS AND BOATS AND PLANES 【汽車と船と飛行機と】 (2)MY LITTLE RED BOOK (3)ANYONE WHO HAD A HEART 【恋するハート】 (4)(THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME (5)24 HOURS FROM TULSA 【タルサから24時間】 (6)WALK ON BY (7)WIVES AND LOVERS (8)DON'T MAKE ME OVER (9)BLUE ON BLUE (10)DON'T GO BREAKING MY HEART 【私を悲しませないで】 (11)WHAT'S NEW PUSSYCAT? 【何かいいことないか子猫ちゃん】 (12)A HOUSE IS NOT A HOME (13)THE LAST ONE TO BE LOVED (14)SATURDAY SUNSHINE
bonus tracks : (15)AND SO GOODBYE MY LOVE (16)SAIL ALONG SILV'LY MOON
tracks ( analog ) : 未確認
singers : TONY MIDDLETON (2),JOEL GREY (11)
all songs written by BURT BACHARACH & HAL DAVID.
producer : BURT BACHARACH
arranger : BURT BACHARACH
related website : 『 The Official Burt Bacharach Site 』(公式サイト。…構築中?)、『 Official Hal David Website 』(ハル・デイヴィッドの公式サイト)




 坂口修氏のライナーによれば、バート・バカラックが一般的に彼のファースト・ソロ・アルバムと言われている 『 REACH OUT 』 を発表する以前には、タイトルや曲順をちょっと変えただけの、ほとんど同じような内容のアルバムが4種類リリースされていたのだが、そのうちの 『 BURT BACHARACH PLAYS HIS HITS 』 というアルバムを中心に、その“いくつかのアルバム”に収録されていながらも 『 〜 PLAYS HIS HITS 』 とはダブらなかった曲と、それらのアルバムには未収録だったり、または全くの未発表だった曲を収録したのが本作だ、とのこと。もっと詳しく知りたい方は坂口氏のライナーにて。


(1)TRAINS AND BOATS AND PLANES 【汽車と船と飛行機と】  ▲tracks
 何か大きなものや景色がゆっくりと静かに動いていくような、おおらかなリズムに乗せて、ソフトな女性ヴォーカルが歌う(1)。大雑把に言えば「汽車や船や飛行機が、様々な人々と一緒にあなたを連れ去って行ってしまう。でも、私の祈りが届くのなら、汽車や船や飛行機はあなたを連れ戻してくれるでしょう」という内容の歌。ユッタリとした中にも、どこか寂しさが漂っていたのはこのためか。
 おそらくフリッパーズ・ギターの「BLUE SHININ' QUICK STAR 【星の彼方へ】」(『 ヘッド博士の世界塔 【DOCTOR HEAD'S WORLD TOWER】』 に収録)の歌の出だしは、この曲からヒントを得たと思われる。


(2)MY LITTLE RED BOOK  ▲tracks
 比較的アップ・テンポながらも、硬く冷たいピアノのコードの連弾や威厳のあるティンパニが重厚なサウンドを聴かせる(2)。男性のヴォーカルも結構ハードだ。
 この曲はモッド・ジャズの雄〜マンフレッド・マンがカヴァーしていることでも知られているが、彼らと近いサウンド志向のグループで、ビートルズのいくつかの曲においてホーン・セクションとして参加したサウンヅ・インコーポレイテッドが、シングルでカヴァーしている。そちらはホーンとオルガン主体のインストゥルメンタル。


(3)ANYONE WHO HAD A HEART 【恋するハート】  ▲tracks
 寂しく呟くようにメロディーを奏でるサックスが印象的な、変則的な(?)8分の12の(3)。それとは対照的にビンビンと張りのある女声コーラス、それとストリングスや鐘の音がぐんぐんと曲を盛り上げ、終盤はとても高揚感のある展開になる。


(4)(THERE'S) ALWAYS SOMETHING THERE TO REMIND ME  ▲tracks
 擬似サンバ(僕が勝手に名付けた「ドッッドドッ、チャッ」というリズムのこと)な(4)。ヘロヘロしたヴァイオリンで幕を開け、トロンボーン(チューバかも)等にバトン・タッチ、サビはバリバリの女声コーラス。バス・ドラムがボスボスとしていてヤケにヘヴィーだ。そして2コーラス目の後にやってくる、入力レベル完全オーヴァーの圧倒的迫力で駆け上がる3連符を抜けて、感動の間奏へ!ここでの瑞々しいピアノがもう最高だ。その後も引き続きバリバリのコーラスが盛り上げてくれる。
 どこでどうしてそういうタイトルになったのかは定かではないが、'60年代イギリスのガール・シンガーでモッヅのアイドル的存在〜サンディー・ショウが「恋のウェイト・リフティング」という邦題でカヴァーしていた。丁度日本でオリンピックが開催されていたからだ、という説があるようだが、果たして真相やいかに。


(5)24 HOURS FROM TULSA 【タルサから24時間】  ▲tracks
 トランペットによるファンファーレのようなフレイズで、晴れやかに、そして爽やかに始まる(5)。引き続き擬似サンバ的なリズムではあるけれど、ちょっとおとなし目。しかし途中で一転、アップ・テンポでスウィンギーな展開になる場面もある。とにかく幸福感いっぱいの曲。


(6)WALK ON BY  ▲tracks
 アコースティック・ギターが独りさすらうように鳴らされる合間に、得も言われぬ美しさで聴き手を魅了して止まないピアノが挟み込まれる超名曲(6)。極論すれば、この曲はこのピアノで持っているようなものだと言っても過言ではない。
 このピアノのフレイズには様々なアーティストも大きな感銘を受けたと見え、少しずつ姿を変えながらも引用されている。有名なところでは、大滝詠一が「雨のウェンズデイ」( 『 A LONG VACATION 』 に収録)で引用しているし、ピチカート・ファイヴの「結婚のすべて」(『 レディメイドのピチカート・ファイヴ 【READYMADE RECORDINGS ep】』 に収録)でも似たフレイズを聴くことができる。


(7)WIVES AND LOVERS  ▲tracks
 優雅なジャズ・ワルツの(7)。Bメロで、何となくフランスの映画 『 VIVRE POUR VIVRE 【パリのめぐり逢い】』 のテーマに似た雰囲気の部分(0分39秒からの8秒間)があるなと、漠然と思いながら聴いていたのだが、それは間奏のピアノ・ソロで確信に変わった。明らかにソックリだ!しかし、ソックリなのは全く逆で、 『 VIVRE POUR VIVRE 』 の方がこちらに似ているのだ。なぜなら 『 VIVRE POUR VIVRE 』 は'67年、こちらが発表された(歌手は別の者)のはそれより早い'63年。ワルツというのもフランス人にとっては馴染みやすかったのではないだろうか。フランシス・レイもナカナカやってくれるではないか。


(8)DON'T MAKE ME OVER  ▲tracks
 ユッタリとした8分の12拍子に乗せて、優しげなストリングスとホノボノとしたラッパの音色が聴き手を日向ぼっこしているような気分にさせてくれる(8)。しかし、曲は徐々に盛り上がり、ホーン・セクションと女声コーラスが今にもはちきれんばかりのヴォリュームで迫ってくる。


(9)BLUE ON BLUE  ▲tracks
 のどかなアコーディオンと、野を吹き抜ける緩やかな風のようなコーラス&ストリングス。それらが醸し出す限りなく柔らかいサウンドで、憂鬱な気持ちを癒すかのような(9)。トライアングルが刻む密やかで優しいリズムもまたいい。


(10)DON'T GO BREAKING MY HEART 【私を悲しませないで】  ▲tracks
 この上なく切ないメロディーをボサ・タッチの演奏に乗せて歌う超名曲(10)。ロジャー・ニコルズ&ザ・スモール・サークル・オヴ・フレンヅが自らのグループ名を冠したアルバムにおいてカヴァーしたことで、ソフト・ロック・ファンにはお馴染みの曲でもある。ただ一つ難を言えば、ロジャー・ニコルズのヴァージョンに慣れた耳だと、こちらの“あえて個性を殺したようなヴォーカル”はちょっと物足りないというか、魅力に欠けるところがある。それでも楽曲があまりに素晴らしいので、それほど悪くはないのだが。
 この曲をアレサ・フランクリンが超ファンキーなリズム&大仰なストリングスという、ほとんど原形をとどめないようなアレンジでやっていた。あそこまでやってしまうと、カヴァーというよりもはや違う曲といった方がいい。ジャズ・ミュージシャンがアドリブのためにテーマを作っているのと同じ構図だ。


(11)WHAT'S NEW PUSSYCAT? 【何かいいことないか子猫ちゃん】  ▲tracks
 ユーモラスな雰囲気で「ブンチャッチャッ、ブンチャッチャッ」と、サーカスっぽいワルツを演奏する(11)。歌やコーラスもそれに合わせて、とてもおどけた感じ。この曲は同名の映画のテーマ曲としてトム・ジョーンズが歌い、ヒットさせている。


(12)A HOUSE IS NOT A HOME  ▲tracks
 穏やかなリズムの中で寂しく「チャッ」と刻まれるギターがとても印象的な(12)。それをベースにオーケストラとコーラス隊が壮大なスケールで曲を盛り上げていく。最も盛り上がる直前に、またもや3連符で駆け上がるフレイズを持ってくる。何か大きな物語を読み終えたような感覚が味わえる、感動の名曲。この曲も同名の映画のテーマ曲として作られたもの。


(13)THE LAST ONE TO BE LOVED  ▲tracks
 イントロが悲劇的に“ドドーッ”と攻めてくるので凄く悲しい曲かと思いきや、急に穏やかで甘美なピアノが出迎え、何事もなかったかのように進行し始める(13)。“何事もなかったかのように”とは言いながらも、このピアノが結構聴きモノで、サビでは潤い豊かに、そして気高く鳴り渡る。


(14)SATURDAY SUNSHINE  ▲tracks
 大人達が優しく、そして温かく見守るようなコーラスで迎える中、子供がまだあどけなさの残る歌い方で、そのヴォーカルを披露する(14)。ユッタリと落ち着いたリズムと相俟って、とてもハート・ウォーミングな雰囲気に包まれる。


(15)AND SO GOODBYE MY LOVE  ▲tracks
 タイトルから察するに失恋の歌らしい(15)。しかしそのサウンドは、たおやかな女声コーラスやピアノ、そしてチェレステらしき楽器も登場する、“おやすみなさい”と言わんばかりのドリーミーで甘美なもの。ライナーによれば、この曲は(14)のカップリング曲としてリリースされた曲で、KAPPから出たアルバムにはどれにも未収録だとのこと。よって、本作のCD化に際して34年ぶりに収録と相成ったそうだ。


(16)SAIL ALONG SILV'LY MOON  ▲tracks
 海の歌なのに「ポック、ポック」とカントリー・タッチな(16)は、未発表曲。この曲は'37年作の古い曲(当然、作曲者はバカラックではない)で、'57年にビリー・ヴォーン楽団がヒットさせ、彼らのトレード・マークと言われるほどにまでなっている。邦題は「浪路はるかに」という。ライナーによれば、この曲は'61年4月24日に、KAPP以外のレーベルで録音されたものらしい。


 それにしても、彼の楽曲には僕が勝手に名付けた“擬似サンバ”を含め、ハバネラの亜流のような4分の2がやたら多い。ハーブ・アルパートが A & M を興したのが'62年、そしてボサ・ノヴァがアメリカに上陸したのが'63年、本作はそれ以降の作品だというのがその大きな理由だとは思うのだが、どうもそれだけではないような気がしてならない。彼のルーツはクラシックやジャズだけでなく、カリブ海周辺の音楽にもあるのかもしれない。


[MENU TOP] [CASSETTE] [INDEX] [TOP PAGE] [HOME] [INTRO] [LINK] [OPINION]

MAIN MENU :[POP MUSIC]


Copyright© 2003-2008 Universal Phonograph. All Right Reserved.