IN THE LAP OF THE QUEEN / QUEEN | |||
side A title / (composer) | time | ||
(1)PROCESSION / (MAY) | 1:13 | ||
(2)DEATH
ON TWO LEGS (DEDICATED TO...) / (MERCURY) | 3:43 | ||
(3)MUSTAPHA / (MERCURY) | 3:01 | ||
(4)GREAT KING RAT / (MERCURY) | 5:43 | ||
(5)LIAR / (MERCURY) | 6:25 | ||
(6)MY FAIRY KING / (MERCURY) | 4:08 | ||
(7)DOING ALL RIGHT / (MAY-STAFFELL) | 4:09 | ||
(8)IN
THE LAP OF THE GODS...REVISITED 【神々の業】 / (MERCURY) | 3:45 | ||
(9)SEVEN
SEAS OF RHYE 【輝ける7つの海】 / (MERCURY) | 2:49 | ||
total time...34:56+(頭約10秒,曲間約3秒,後約35秒) | |||
side B title / artist | time | ||
(1)YOU
TAKE MY BREATH AWAY / (MERCURY) | 5:08 | ||
(2)JEALOUSY
/ (MERCURY) | 3:13 | ||
(3)ALL
DEAD, ALL DEAD / (MAY) | 3:09 | ||
(4)YOU
AND I / (DEACON) | 3:26 | ||
(5)SPREAD
YOUR WINGS 【永遠の翼】 / (DEACON) | 4:35 | ||
(6)WE
ARE THE CHAMPIONS 【伝説のチャンピオン】 / (MERCURY) | 3:01 | ||
(7)TEO
TORRIATTE (LET US CLING TOGETHER) 【手をとりあって】 / (MAY) | 5:54 | ||
(8)BOHEMIAN RHAPSODY / (MERCURY) | 5:53 | ||
(9)GOD SAVE THE QUEEN / (TRADITIONAL) | 1:13 | ||
total time...35:32+(頭約10秒,曲間約1秒,後約2秒) | |||
side A |
(1)PROCESSION
/ (MAY) taken from : 『 QUEEN II 』 ▲title / artist |
『
QUEEN II 』 のページで紹介済みのA(1)。“「PROCESSION」(行進)”というタイトルはこれから何かを始めようとする時にはピッタリで、オープニングにはもってこい。 ブライアンがワウ・ペダルのトーン・コントロール(もちろん彼の特製ギター“レッド・スペシャル”による部分のもあるのだろうが)で管・弦楽器を模したギター・オーケストレイションがとにかく見事。 |
(2)DEATH
ON TWO LEGS (DEDICATED TO...) / (MERCURY) taken from : 『 A NIGHT AT THE OPERA 【オペラ座の夜】』 ▲title / artist |
楽曲的な面では 『 QUEEN II 』 の「THE
MARCH OF THE BLACK QUEEN」(クリシェで下がってくる所など)と 『 SHEER HEART ATTACK 』 の「FLICK
OF THE WRIST」を掛け合わせた感じで、歌詞の面(金銭トラブル問題を歌っている)から見れば「FLICK OF 〜」の発展形とも言えるA(2)。 華麗なピアノに続いて、恐怖感を煽るようなギターと叫び声。それが突然途切れたかと思うと、何かがノッシリと近付いてくるような雰囲気の中、どことなく中近東〜フラメンコっぽさが見え隠れするリード・ギターのフレイズが踊り、スタートする。イントロの雰囲気を保ったAメロから、圧倒的なインパクトのサビへ。このサビやエンディングでのブツッと切れるコーラスが、とてもクイーンらしい音像を象徴している。 この部分に限らず、こういったクイーン独特のコーラスは、フレディー、ブライアン、ロジャーの3人が一緒に同じパートを録音し、それをハーモニーの数(3声なら3パート分)だけ作っていくという手法がとられている。何かの本で読んだ記憶があるのだけど、トッド・ラングレンもクイーンのハーモニーの秘密が知りたくてこの手法を試したことがあると発言していた。 |
(3)MUSTAPHA
/ (MERCURY) taken from : 『 JAZZ 』 ▲title / artist |
“中近東っぽいセンス”繋がりで、このアラブっぽい超絶摩訶不思議ナンバーA(3)。このポジションじゃないと、この異色な曲の収まりようがない。 何か宗教的な雰囲気さえ漂う悲しげな旋律を、フレディーがアカペラで歌ってスタート。「ヘイッ!」の掛け声の後、リズムを縦に刻む“パトパト”としたスネア&バス・ドラムに、ベースとピアノが低音で不気味に付いていく。少しの間そんな感じで進行するのだが、途中からギターが加わってものスゴイ音圧になり、聴き手を圧殺しそうなサウンドに変貌するや、ベースは“ブゥ〜ン、ブゥ〜ン”を唸りをあげる。その後にはA(2)のイントロでのリード・ギターのようなフレイズが出たり、分厚いコーラスが出てきたりと聴き手を飽きさせる暇がない。 この前後の曲を含めた3曲は全てフレディーの作なのだが、この3曲の中にあるエキゾティシズム、もっと端的に言えば、中近東周辺音楽的な趣味は、アフリカはタンザニアでペルシャ系インド人の両親の元に生まれ、父親の仕事の都合上、インド、イランなどを転々とした彼の生い立ちの中で自然と培われたのではないかと思えてならない。 摩訶不思議なのはサウンドだけではなく、歌詞もまた同様。一部「pray for you」という英語の部分や「ムスタファ・イブラヒ〜ム」というイスラム教っぽい言葉、そして「“アラー”について歌っているのかな?」というくらいは聴き取れるものの、全体的には何を歌っているかは不明。どこかアラブ/イスラム圏内出身で、現在日本で暮らしていて、しかもクイーンのファンで、しかもホーム・ページでその歌詞の発音/意味を発表している方がいたら、ぜひこの曲について詳しく教えていただきたい。 |
(4)GREAT
KING RAT / (MERCURY) taken from : 『 QUEEN 【戦慄の王女】』 ▲title / artist |
“ジャキジャキ”とした肌触りのギターで始まる、勇ましい感じの曲A(4)。前曲とは、そのちょっとエキゾチックな歌メロや縦に刻むリズム繋がりで選んだのだが、こちらのリズムはちょっとニュアンスが違って、“ダッタカ・ダッタカ”とウルサイ感じ。 Bメロではパーカッションが入ったりしているが、ギター・ソロにも同じリズムの部分があって、ブライアンのちょっと“外した”フレイズと相俟って、結構ファンキーな雰囲気もある。また、そのギター・ソロでの“ワカ・ワカ、メケ・メケ”言わせすぎのワウ・ワウもイイ。 途中の開放的でいかにもハード・ロック的な展開は、次のA(5)にも似た感触があるし、その後のフォーク的な展開は同じ 『 QUEEN 』 に収録の「THE NIGHT COMES DOWN」に似た感触がある。 |
(5)LIAR
/ (MERCURY) taken from : 『 QUEEN 【戦慄の王女】』 ▲title / artist |
『
QUEEN 』 中、一番の大作A(5)。前曲での開放的な部分や、ファンキーな一面を引き継いでいる感じがするので、『 QUEEN 』 の中では本来ここにあるべきA(6)を差し置いて、あえてこのポジションに。 この曲のイイ所と言えば、曲中幾度も出てくるキメのフレイズ「ライアー!」。その中でも特にイイ「ライアー!」は、3分20秒を過ぎた辺りの「ライアー!」4連発。3回目をファルセットにして意表を衝きながら、4回目をコーラスでキメる辺りが、いかにもクイーンらしい。 全般的にはそんな感じで、いわゆるハード・ロックなサウンドで進行するものの、途中から賑やかにパーカッションが参加して、少しだけアフロ・ロックっぽくなる。この辺りには、当時のブリティッシュ・ロック・シーンの流行の名残りも見え隠れしている。 |
(6)MY
FAIRY KING / (MERCURY) taken from : 『 QUEEN 【戦慄の王女】』 ▲title / artist |
『
SHEER HEART ATTACK 』 に収録の「NOW I'M
HERE」の“山彦”ディレイや 『 A DAY AT THE RACES 』に収録の「TIE
YOUR MOTHER DOWN」のイントロダクションにも出てくる、ブライアンお気に入りの“無限上昇”的なギターで始まるA(6)。前曲A(5)での「ライアー!」4連発の上昇感との繋がりと、後のA(7)のピアノのイントロを繋ぐ意味で、本来ならばA(5)の前にあるこの曲をあえてここに持ってきた。 そんなギターの後には R & R っぽいピアノが続き、そこからは 『 QUEEN II 』 の路線へも繋がる華麗でファンタジックな曲調に。1分20秒辺りで聴かれる「ァ〜ア~~~~~~~~~~~~」の声のツヤツヤ加減や、終盤のミラクルなピアノのフレイズがイイ。 |
(7)DOING
ALL RIGHT / (MAY-STAFFELL) taken from : 『 QUEEN 【戦慄の王女】』 ▲title / artist |
激しいリズムの曲がしばらく続いた辺りで、“一見穏やかな”A(7)。前曲とはピアノ繋がり。そのピアノによる静かで優雅なイントロから、アコギによるフォークとボサ・ノヴァの中間っぽい展開を経て、異常に音のデカいギターが「ガガガガッガッガッガッガー」と出しゃばるハード・ロック的展開へと雪崩れ込む。初めに“一見穏やかな”と言ったのはこの展開があるため。しかし、結局はまた穏やかなピアノになって終る。クイーンの前身バンド〜スマイル時代にブライアンと当時のヴォーカリストティム・スタッフェルが共作した曲。 |
(8)IN
THE LAP OF THE GODS...REVISITED 【神々の業】 / (MERCURY) taken from : 『 SHEER HEART ATTACK 』 ▲title / artist |
A面最大のヤマ場を飾るのは、壮大なスケールで送るワルツのバラードA(8)。前曲からはさらにピアノ繋がり。そのピアノから間もなくディストーション・ギターが入って、ただでさえ壮大な曲想なのに加えて、さらに壮大なバラードへと姿を変えていく。 そして、特に印象的なのが分厚く広く深いコーラス。スタジオ版でもこの高揚感だとすると、ライヴではこれ以上なのだろう。ホント、その頃のライヴを観られた人は幸せ者だと思う。この“ヴィクトリー”な曲調、壮大コーラス、そしてこの盛り上がり方から察するに、きっとこの時期における「WE ARE THE CHAMPIONS」的なポジションの曲だったのではないかと思う。それにしても、曲の最後のもの凄い爆音は何を意味しているのだろうか? 因みに、当カセットのタイトルはこの曲をもじって付けさせてもらった。 |
(9)SEVEN
SEAS OF RHYE 【輝ける7つの海】 / (MERCURY) taken from : 『 QUEEN II 』 ▲title / artist |
「ファンタジックな傾向のA面を締めくくるのはこの曲しかない」ということで、既に紹介済みの 『 QUEEN II 』 のクロージング・ナンバーA(9)。この曲があれば、どんなに壮大な曲が前にあっても、その曲の魅力を損ねることなく受け流して、気持ちの良いエンディングを迎えさせてくれる。この曲もイントロはピアノなので、サウンド的な繋がりも無理がない。 |
side B |
(1)YOU
TAKE MY BREATH AWAY / (MERCURY) taken from : 『 A DAY AT THE RACES 【華麗なるレース】』 ▲title / artist |
基本的には音楽をエンターテインメントとして捉え、ポジティヴな曲調が多い彼らのレパートリーの中で、一際異彩を放つ、悲しくも美しいバラードB(1)。クイーン史上最も美しいバラードと言っても過言ではないほどの美しさを誇る。特に、初めのコーラスの美しさには骨まで鳥肌が立つこと必至。サビのコーラスもそれに負けず劣らず美しい。 この曲のタイトルの“YOU”を別な意味で解釈すれば、お葬式の時に流すことも可能なのではないだろうか?僕もいつか歳を取ってお迎えが来た時は、この曲(他いくつかの曲)で送られたいものだ。 |
(2)JEALOUSY
/ (MERCURY) taken from : 『 JAZZ 』 ▲title / artist |
典型的とも言える、ピアノ・メインの手堅いバラードB(2)。そんな中で、『
QUEEN II 』 の「WHITE
QUEEN (AS IT BEGAN)」でも使われた、ギターのフレットを改造してシタールに似た音が出るようにした“HAIRFRED”という楽器が耳を惹く。 ピアノでもルート音を出せるせいでベースの自由度が増したせいか、ジョンは高音部を使って印象的なフレイズを弾いている。 |
(3)ALL
DEAD, ALL DEAD / (MAY) taken from : 『 NEWS OF THE WORLD 【世界に捧ぐ】』 ▲title / artist |
ブライアン作の、ちょっと明るいのに寂しげなバラードB(3)。歌詞から想像するに恋人を亡くした失意の歌のようだ。 サウンド的には、フレディーのピアノに合わせてブライアン(一部フレディーの歌っている模様)がポツリポツリと歌い、ベースとドラムはかなり控えめな伴奏に終始している。シンプルな録音が特徴の 『 NEWS OF THE WORLD 』 の中で、唯一、ブライアンお得意のギター・オーケストレイションを聴くことができる。全体的には比較的地味な存在の曲だが、意外と胸に染みる曲でもある。 |
(4)YOU
AND I / (DEACON) taken from : 『 A DAY AT THE RACES 【華麗なるレース】』 ▲title / artist |
このB(4)も“アルバムの束縛”から開放してやると意外に楽しめる曲。ジョンの作品。シンプルで素直なメロディーやリズムを持ちながらも、結構華やかで、仕掛けもそこそこある。この曲のような、それほど大作でもなく、バラードでもなく、ゴリゴリのハード・ロックでもなく、凝りまくったギミックもなく、とにかく軽快なポップスなのにクイーンらしい要素がしっかりと盛り込まれた路線が、後のフレディー作「DON'T STOP ME NOW」に繋がっていくのではないだろうか? 「YOU'RE MY BEST FRIEND」を例にとっても言えることだが、クイーンが'80年代を生き残っていく方向性は、このジョンの“コンテンポラリーな楽曲の中にクイーンらしさを注入していく”というセンスが既に打ち出していたと思えてならない。 |
(5)SPREAD
YOUR WINGS 【永遠の翼】 / (DEACON) taken from : 『 NEWS OF THE WORLD 【世界に捧ぐ】』 ▲title / artist |
再びジョン作で、力強くも切ないバラードB(5)。冴えない少年〜サミーに「翼を広げて飛び立つんだ」と勇気付ける、という分かりやすいテーマの曲だが、歌詞を見ながら聴いていると、やっぱり涙と共に勇気が沸いてきてしまう。「あぁ、何だかんだ言っても、結構単純なんだなぁ、俺」とつくづく思ってしまう。 それとこの曲、エンディングのフェイド・アウトしていく様が結構切ないのだが、「このフェイド・アウトの切なさって何かに似てるなぁ」と思っていたら、僕が小学校の時、引越しの車の中で味わった切なさだった。住み慣れた街が段々と遠ざかって、様々な想い出が走馬灯のように駆け巡っていった、あの時の切なさ・寂しさに似ているのだ。 因みに、確かこの曲のヴィデオ・クリップでは、フレディーがP-FUNK(パーラメント&ファンカデリック)期のブーツィー・コリンズがかけているような星型のサングラス(ブーツィーがド派手な恰好をするようになったのは、'71年のロンドン・ツアーの時にグラム・ロック・バンドを見て刺激されたからそうだ)をかけて歌っていた。 |
(6)WE
ARE THE CHAMPIONS 【伝説のチャンピオン】 / (MERCURY) taken from : 『 NEWS OF THE WORLD 【世界に捧ぐ】』 ▲title / artist |
『 NEWS OF THE WORLD 』 に収録された「WE
WILL ROCK YOU」共々、スポーツ番組やCMによってお茶の間にも浸透した感のある不朽の名曲B(6)。彼らのライヴでも必ず最後から2曲目に演奏されるといった感じで、何か特別なポジション、シチュエイションに必要とされる曲。 静かに自らの人生を振り返るように歌いだすオープニングから、ディストーション・ギターと分厚いコーラスの豪快なサビへの展開は何億回聴いても鳥肌が立つように“できている”(つまり、彼らの場合偶然ではなく、明らかにその効果を狙っていると思えるということ)。“キュイ〜ン”とネバッこいリード・ギターも“鳥肌立て”に貢献している。 この曲を聴いていると、あの短く切ったマイク・スタンドを振り回し、拳を握りしめて歌いまくるフレディーの姿が脳裡を掠める。 |
(7)TEO
TORRIATTE (LET US CLING TOGETHER) 【手をとりあって】 / (MAY) taken from : 『 A DAY AT THE RACES 【華麗なるレース】』 ▲title / artist |
日本のファンへ向けての感謝の気持ちのこもったB(7)。Aメロでは意図的に四七抜き音階を使って、妖しさと切なさが同居したようなメロディーを聴かせてくれる。そしてサビでは日本語で歌うという大サーヴィス。『
JAZZ 』 の「LET ME ENTERTAIN
YOU」の歌詞にある「We'll sing to you in Japanese(日本語でも歌います)」(訳:大野れい)という部分は、このB(7)のことを言っているのだと思う。 その後も大サビ、メンバー以外の人々も加わっていると思しき大合唱、さらにエンディングには 『 A DAY AT THE RACES 』 のオープニングで使われたブライアンのギター・オーケストレイションによる“無限上昇音”が再度登場、とてんこ盛りの内容。 ライヴなら、このポジションにB(9)「GOD SAVE THE QUEEN」がきて“おしまい”のところを、当カセットではこの大サーヴィス曲をもってここで一度“〆”とさせていただく。 |
(8)BOHEMIAN
RHAPSODY / (MERCURY) taken from : 『 A NIGHT AT THE OPERA 【オペラ座の夜】』 ▲title / artist |
あらためて“アンコール”ということで登場のB(8)。本来ならばライヴの中盤以降に演奏されてしまう曲だけど、僕としてはやはり最後のヤマとしてこの曲を持ってきたい。ひょっとしたら、ライヴでのあのポジションというのは、フレディーの歌唱力の持続力を考慮して、あの時点で歌ってしまわないと、終盤歌えなくなってしまうからなのしれないし、もしくはあのオペラ・パートの“テープ再生”でメンバーは一休みという時間を設けているのかもしれない。まぁ、ファン心理としても「早く聴きたい」というのはあるだろうし、ライヴではあの曲順の中でこの曲をやるのが、彼らにとってベストだったのかもしれない。 それにしても、こんな“地獄(?)で裁きにあう人殺し青年の歌”が、昔も今もチャートを独占し続けるとは、まったく凄いことだ。そんな歌詞世界に加えて、モダンなハーモニーから始まり、クラシック〜バラード部、オペラ部、ハード・ロック8分の6拍子部という3部構成で6分弱、というヒットの“足枷”もあるというのに。如何にこの曲が人の心を惹き付ける曲かということが、このことからも必然的に導き出されてくる。 次作 『 A DAY AT THE RACES 』 で、オペラ部は若干手法を変えてゴスペル調の「SOMEBODY TO LOVE」に、ハード・ロック部の雰囲気は「THE MILLIONAIRE WALTZ」に“リサイクル”され、生かされている。 このミニ・オペラ的な構築の仕方は、元々クイーンがやってきたことの集大成でもあるが、直接の刺激になったのは10ccの「UNE NUIT A PARIS 【パリの一夜】」(『 THE ORIGINAL SOUNDTRACK 』 に収録)であると言われている。しかし、その「UNE NUIT 〜」の冒頭で聴かれる“自転車のベルの音”のアイディアは、むしろ 『 JAZZ 』 に収録の「BICYCLE RACE」(これもミニ・オペラ的な曲)へ生かされていると思えるのだが。 因みに、以前偶然つけたTVで、中国を代表する女性歌手〜王菲(フェイ・ウォン)のライヴがかかっていたのだが、その中でなんとこの曲を生で完コピしていたのだ! あのオペラ部も何人ものコーラス隊を使って。クイーンだって4人以外の人材を使えば再現できたのだろうが、彼らの場合、サポート・メンバーを使わない潔さを選んだというわけなのだろうか? |
(9)GOD
SAVE THE QUEEN / (TRADITIONAL) taken from : 『 A NIGHT AT THE OPERA 【オペラ座の夜】』 ▲title / artist |
最後を締めくくるのは、ライヴでもエンディングとして不動のイギリス国歌B(9)。幾重にも重ねられ、様々な楽器を模したブライアンのギター・オーケストレイションと、ロジャーの荘厳なドラムによって、短いながらも栄光に満ち、ドラマティックな演奏になっている。 ここで気になるのが、ジョンを除く3人のジミ・ヘンドリックス好き。ジミ・ヘンが「アメリカ国家」を演奏したことと、クイーンがこの曲を演奏したことに、何か関連性があるような気もするのだが。 |
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