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でも、クイーンズに参加したがる人は多いと思いますが――

Josh:きっと俺達が思うよりずっと少ないだろうね(笑)。

そうでしょうか(笑)。共演する相手はどのように決めているのですか? オーディションとかするんでしょうか。

Josh:いや。オーディションは無理だね。

Nick:俺達がスタジオに入ってるっていう情報が、俺達のミュージシャン仲間から伝えられて、いつの間にか電話がかかって来たり、スタジオに遊びに来たり、っていうのがパターンだな……

Josh:煙草はどこだ!?(ガサゴソ探し始める。)

Nick:……マジな話、スタジオに入ってると突然、友人達がやって来るんだ。デイヴにしても、ミッキーにしても。結構、クレイジーだよ。人によっては「もちろん大歓迎さ」って言って演奏してもらうけどね。単にブラブラしに来るやつらもいるよ。閉鎖的な環境でレコーディングすると緊張するから、その辺はなるべくルーズにしてるけど。そうすると、制作中の曲について周りからのフィードバックも得られて便利だしね。自分達がいいと思ってるものだから、早く誰かに聴かせたいっていうのもあるし。その分、演奏にも力が入るんだ。仕上がるのも早くなる。何よりも、その方が楽しいね。

Josh:元々、他の人達と一緒にプレイすることが大好きで、頼まれてプレイするのも大好きなんだ。他のバンドの練習を見てるだけでも興味深い。アドバイスを訊かれたら答えたい。いつもそんな風に思ってきたんだ。でも、実際にはあまりそういうのを求めてるバンドはいなくて、結局自分達でやることになったんだよね。いろんな人にアドバイスを求めて作っていくバンドをさ。それも単刀直入に「で、一緒にプレイした いのか? したくないのか?」って言ってね(笑)。

Nick:最初は誘いに乗ってくれる人達がこんなに多いなんて思わなかったんだ。友達は多かったけど、実際に一緒にやってくれるなんてね。

Josh:すごくラッキーだと思ってるよ。今でも信じられない気分になる。「おい、ディーン・ウィーンがそこにいるよ……」なんてね。ずっとウィーンの大ファンだったから。3人いるシンガーの1人のマーク・ラネガンも……。

Nick:マークはスタジオにひょっこり現れて、ジョシュと話してるうちに、前作で一部ボーカルとバックボーカルを担当してくれることになった。それが今では正式なメンバー。次のアルバムは正式メンバー5人が中心となって作ることになると思うけど、きっとまた誰かゲスト参加してくれると思う。メインの部分、全体の8割ぐらいはメンバー5人でやるけどね。

Josh:うん。今はこれが固定メンバーだからね。増えることはあっても減ることはないと思うよ。

ほお。それは楽しみですね。

Josh:本当、マジでエキサイティングだよ。

Nick:そう、参加してくれる人が増えると気持ちが楽になるしね。

Josh:デメリットは何だろう?

Nick:駄作だったら5人の責任(笑)。

Josh:それと、まぁ、人が出たり入ったりしてると、ツアーの時になって、さてこの40曲をどうすれば……ってことになって焦るよな。ある程度器用に、かつヴァイブを損なわずに、ロックンロールの傲慢さをもってプレイしなければならないんだから。

Nick:ああ、そうだよね。だから曲によっては、地元ではバンド形態でジャムってる曲でも、ツアーではアコースティック・バージョンになったりするんだ。古い曲を一から教えながら練習するより効率がいい。メンバーが流動的なことのデメリットと言えば、それだけだけどな。スタジオでは効果的な方法でも、ライヴでは厄介なんだよね。スタジオでプレイしてくれる人には全部覚えてもらう必要はなくて、CDを渡して一曲聴いてもらえばいいわけだから簡単なんだ。

なるほど。ところで下世話な質問ですみませんが、マークみたいに時々ステージに出てくる人とトロイのように出ずっぱりな人とでは労働量が明らかに違いますが、ギャラは同額なんでしょうか?

Josh:う、それは……ちょっと詳しくは言えないんだけど。

Nick:うーん……でも2人ともこのバンドにはなくてはならない存在なワケで。

Josh:重要性は2人とも同じだからね。区別を付けることはしないよ。

Nick:マークの声の特異性とクールな存在感は、出ずっぱりじゃなくたってすごいインパクトがあるだろ。「マーク・ラネガンの声だ!」ってすぐ分かるようなさ。

Josh:こうも言えるよ。マークのこのバンドにおける役割は現時点ではまだその全体像を現していない。次のアルバムで全貌が明らかになると思うんだ。今はまだ「このバンドにどうしてマークが?」っていう感じを受けたとしても、次のアルバムでその謎は解けるはずだよ。

Nick:彼自身が、あるインタビューで言ってた「このバンドはウータン・クランみたいなもんだ」っていう言葉が、一番的確じゃないかな。うちはもちろんヒップホップのバンドじゃないけど、マイクを握るのが一人じゃない、って所がね。一人の声じゃなくて3人の声による組み合わせ。一人ずつだったり、2人だったり、全員だったり。それと同じっていう見方を彼はしてる。何故別の声が入っているのか、それは声が違うからなんだよね。

Josh:最高級のことをしようと思うなら、それにふさわしいことをしなければならないんだ、実際に。

Nick:3人のシンガーがいるロック・バンドは他にないからな。

Josh:俺達ならやれる、って思えるしね。それが分かってきたところだよ。2本のギターでやれること、ラップ・スティールとギターの関係、キーボードとギター、3つの声を最大限に生かせる方法が見えてきたんだ。今のところ、3人で歌ってるのは“Song For The Deaf”だけだけど、新曲はさらに込み入ったものになると思う。俺は今の状態が気に入ってて、方向性が見えてきたことを楽しんでるよ。マークが引き起こしてくれる混沌と整合性が面白いと思うんだ。

Nick:マークには前作の段階からツアーに出てもらいたかったけど、その頃はまだそういうわけにもいかなかったんだよね。

Josh:まだ時期じゃなかったんだよ。あの時点では意味がなかった。

Nick:彼が引き受けてくれるかどうか、っていう問題じゃなくてね。彼ほどの人に対して、こんな大して見返りのない仕事を頼めるか?っていう意味で。

Josh:まぁ、全員に月1000円は払ってるわけだけど(笑)。

なんで「円」なんですか(笑)。

Nick:アハハ。それで我慢してもらってるんだ(笑)。

ところで、ニックは、極悪バンドとして有名なドワーブスを「素行の悪さを理由に」解雇されたそうですが――

Nick:全部で4回ぐらい辞めてるんだよね。クビになったり、いろいろで。まあ、よくあることだよ。俺とブラッグの間が険悪になったことが何度かあった、ってことさ。彼は押しが強くて、要するに嫌なやつで(笑)、いいやつな時もあったけど。俺は自分を抑える方だから、それで衝突することがあったんだ。

Josh:仲がいい友人同志でも意見が合わないときはあるよな。

Nick:実際、バンドのこと意外では全然問題なくて、ウマが合うんだよ。彼らの新作では曲を提供してるよ。彼が俺の曲をカバーしたいっていうから、OKしたんだ。でもそれ以上は関わってない。彼らのファーストの、あの迫力には魅せられて、本当に名作だと思ってる。たとえ5枚しか売れなかったとしても、それを手に入れた5人にとっては永遠に特別な存在になるようなアルバムだったと思うよ。だから、あのバンドには 今でも愛着があるんだ。でも今度出るのが彼らの最後になるだろうね。

そうなんですか?

Nick:ああ。だって「ヒップホップになる」って言ってるんだぜ。「Blag Dahliaのキャラクターを殺して、今度はZip Zeroになるんだ」とか言って。歌の中でZip ZeroがBlagを殺すんだって。Blagもドワーブスもこれでおしまい、ついに最期の時が来たってことだよ。その後も続くとは考えられないね。ヒップホップになることによって、曲の中で息の根を止めさせられるんだ。「俺はそんなのに荷担するのはごめんだからな、曲をやるから勝手にしろよ、さいなら」って言って出てきた。

わかりました。さて、あなた方はカイアスのオリジナル・メンバーで、間を空けて今度はクイーンズで一緒にやってるわけですが、2人のパートナーシップはどんなものなのでしょう?

Josh:長年やってきて学んだのは、バンドをやるってことのすべてをシリアスに取らないで、一緒に成長していくのが大事だってことだな。しばらく別々に活動したりして、それぞれに新しいことを学んで戻って来てから「よう、元気だったか?」ってまた一緒に刺激合って成長できる。

Nick:俺はカイアスの最初の2枚でプレイしてるんだけど、また一緒にやるようになるまでに、ジョシュはスクリーミング・トゥリーズとか他のバンドでプレイしてきてた。もし最初からずっと一緒にやってきたなら、今のようなサウンドにはなってなかったと思うね。それぞれにいろんな所からインスピレーションを受けてきてるのがいいんだ。俺もザ・ディジッツのダグ・ディジットがギターを弾くバンドでやったりした。ベース・プレイヤーである彼がリードを書くと、すごく面白いものができるんだよね。

Josh:俺達は別に、依存し合う関係にはないんだ。お互いにお互いを選んで、ただ一緒にやりたいから一緒にやってる。別れられない男女関係みたいな、なんかベタベタした関係じゃないんだよ。

Nick:ライフ・パートナー!?

Josh:……そう、24時間一緒にい続ける人間同士は……

Nick:「手に手を取って教会に行きましょう!」みたいな(笑)。

Josh:ハワイで式を挙げるか。実はそれがサプライズ・プレゼントだよ。ハワイへ飛んでゲイ・ウェディング。

Nick:やった! ココナッツね。

Josh:ココナッツでトリップしよう。

Nick:素敵だわ。立派なココナッツが2つ!

Josh:さあ、ミルクを搾り取るんだよ。

Nick:よしてくれよう、カップルなんて(笑)。

…………………。

Nick:おっと、ごめんな。

Josh:悪かった。ゲイ・ジョークは日本語にするのが難しいらしいよ。

Nick:分かった分かった。もうやめよう。翻訳されたら「二人はゲイだった」ってなってたりしてな(笑)。

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