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さて今日は、あなたの生い立ちについて色々と聞かせてください。前のバンドVersusはお兄さんと一緒にやってましたけど、小さい頃はどういった音楽を聴いていたんですか?

James:たいていは、兄貴たちから影響を受けたものだったね。兄が2人いるんだけど、2人とも音楽が大好きで、レコードもたくさん持ってたんだ。で、彼らの影響で、ビートルズを結構聴いたり、あとクイーンとかレッド・ツェッペリンとか。

イギリスものが多いような。

James:そうなんだよ。あとローリング・ストーンズとかラッシュ(RUSH)とか、ELOとか、いろいろ聴いてたよ。2人ともあらゆるジャンルの音楽が好きで、アメリカの音楽も聴いてたけど、基本的にクラシックなロックが多かったね。自分で初めて買ったレコードは、『グリース』のサントラ盤だった(笑)。

(笑)。

James:それからメン・アット・ワークと、マイケル・ジャクソンの『スリラー』も買ったね。で、月日が経って自分の意思でマジメに買ったのが、キュアーの『The Head On The Door』で、その時点から自分で発掘したレコードを買い始めたんだ。

メン・アット・ワークは、どのアルバムを買ったんですか? 『Cargo』?

James:いや、確か『Business As Usual』だな。でも『Cargo』も持ってたよ。

では、自分で音楽を始めたのはいつくらいのことでしょう?

James:うん、たぶん11歳か12歳くらいじゃないかな。実際には楽器はプレイできなかったんだけど、兄貴たちがバンドをやってて、4トラックのレコーダーを持ってたんだ。だから、楽器がプレイできるようになる前にもう曲を書いてたんだよ。で、まずキーボードが弾けるようになって、次にドラムにちょっとトライしたんだけど、後になってから、キーボードでロックするのって、けっこう難しいことに気がついて、ギターに転向したんだ。兄貴2人ともギターを弾いてたから、2人に簡単なコードを教えてもらって、それで終わりさ。

楽器を弾き始めたその11〜12歳の頃、特に好きだった音楽は?

James:ふむ……たぶん……っていうか、楽器を実際に弾き始めたのは13〜14歳頃なんだけど、当時好きだったのはニュー・オーダーと、さっき言ったキュアー、それにスミス、REM、それからバズコックス、ジャムって感じで、やっぱりかなりUK色が濃かったね。

そのようにブリティッシュものが好きだったのは、どういった理由からなんでしょう?

James:僕にもよく分かんないけど、たぶんあの時代のブリティッシュ・バンドって、アメリカのバンドより“クリーン”な感じがした、っていうのかな。

それはサウンドが、という意味で?

James:うん、当時兄貴たちはというと、ハスカー・ドゥとかミニットメンとか、ソニック・ユースとかワイアーにはまってたんだ……あとダイナソーJrとか、あの手のアメリカの、もっとラウドなハードコア・バンドにね。でも当時の僕の年齢には、まだそういうのはちょっとトゥーマッチで、もっと心地いいサウンドの音楽が聴きたかったんだ。ああいうノイズ系のバンドの良さがわかるようになるまで、それから2〜3年くらいかかったかな。レコードの音質自体、あまり良くないものも多かったしね。でも一方でUKの連中は、もっと洗練された音を出してたんだよ。

そうですね。ちなみに日本では、そういうイギリス系を好む人というと、ちょっと屈折したオタクっぽい感じの人が多かったりするんですが、あなた自身も、そういう自覚はあったりしますか?

James:そうだなあ、当時も確かにオタクっぽく見られるところは少しあったけど、でも当時のアメリカのアンダーグラウンド・ミュージックは、イギリスの連中みたいな洗練された音楽とは、程遠いことやってたしね。学校全体で見ても、当時この手のUK音楽を聴いてたのって、僕が知ってるだけでも10人くらいしかいなかった。ただ、ハードコアを聴いてる知り合いってことになるとさらに少なくて、もはや2人くらいしかいなかったけど。でも確かに、この手のUKミュージックって、“内向的な”人間にアピールするみたいだね。特にあの頃この手の音楽を聴いてたキッズというと、やっぱりハミ出し者っていうか、当時の流行の音楽に馴染めないやつらが多かったなあ。

ちなみに、Versus以前にもバンド活動はやってたんですか?

James:高校時代からバンドをやってたけど、全然シリアスなもんじゃなくて。

学校の友達と趣味でやる程度?

James:そう。ただ、大学のときに、カセットで1本シングルを出してるんだ。

では、真剣にミュージシャンの仕事を自分の人生の中心にするという気持ちが、しっかり固まってきたのはいつ頃だったんですか?

James:んー……もう高校の頃には、音楽をやるって心の中では決めてたかな。大学も行ったには行ったけど、役に立つことがほとんど学べなくて、ますます音楽がやりたくなっていったんだ。だからそう、高校の終わり頃だね。兄貴2人が既に活動してて、レコードも出していたこともあって、自分にもできるっていう、すごく確信めいたものがあってね。

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