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2005年にカナダ・ウェット、そして2006年はフジロック・フェスティバルに出演し、大人数にして不定形のメンバーによる多幸感あふれるサウンドで、ここ日本でも多くのリスナーを魅了したブロークン・ソーシャル・シーン。2006年の元日にはセルフ・タイトルを冠したサード・アルバムが国内リリースされ、その直後にプロモーションのためメンバーのうち4人が来日、新宿のタワーレコードではインストア・イベントも行なわれた。このインタビューは翌日にブレンダン・カニングとジョン・クロッシンガムの2名を相手に行なわれたもの。なお、中心メンバーの1人と言われるケヴィン・ドリューは、新しい女性シンガーのリサ・ロブシンガーとともに逃亡しました(笑)。 「音楽にはメッセージ性があって、訴えかけてくるものがあるとみんなに分かってもらいたい。大袈裟かもしれないけど、僕達は音楽をめぐる聖戦を続けていかなくちゃならないんだ」 ではまず最初に、このところ聴いているお気に入りのアルバムを教えてくれますか? John:05年に、ずっと聴いてたのはアンソニー&ザ・ジョンソンズの『アイ・アム・ア・バード・ナウ』。あと、コリーンの『ザ・ゴールデン・モーニング・ブレイクス』も気に入ってるね。他にもたくさんありすぎて、全部は言えないよ(笑)。そうそう、アイシスも大好きなんだ。 そういえば、昨日のインストア・ライヴではアイシスのTシャツを着ていましたよね。 John:うん。へヴィなサウンドとかすごく好みなんだよね。でも一方でブライアン・イーノとかのアンビエント系も聴いてる。色んなジャンルの音楽に興味があるんだよ。 Brendan:僕は古い作品になるけど、ジョン・ケージとハーバート・ヘンクの『Prepared Piano』。もっと時代を遡って『アン・イーヴニング・ウィズ・チック・コリア・アンド・ハービー・ハンコック・イン・コンサート』を最近また引っ張り出して聴いてる。ソニック・ユースの『ア・サウザンド・リーヴス』や最新作の『ソニック・ナース』も好きだよ。それからピーター・ガブリエル主催のレーベル=リアル・ワールドのアーティストもいい。Amjad Ali Kahnとかね。新しいのはあまり聴いてないから思いつかないな。 John:ツアー中はあまり時間がなくてレコード屋にも足を運べないから、新譜情報に疎くなってしまうんだよね。 Brendan:あ、ボーズ・オブ・カナダの新作は好きだよ。 John:そうだね。 今の話を聞いただけでも、クラシック、ジャズ、ロック、エレクトロニカからワールド・ミュージックまで、非常に幅広く音楽を聴いているなと思いましたが、おふたりはそれぞれどのようにして音楽に興味を持ち、自分でも演奏したいと思うようになったんですか? Brendan:そうだな、僕の場合は……自分が音楽を選んだというより音楽が僕を見出したんだと思う。音楽が好きな理由は言葉で言い表すことは出来ないし、ただもう魅了されていったんだよね。子どもの頃はAMラジオをいつも聴いてたんだ。フリートウッド・マックやスティーヴ・ミラー・バンド、ハート、それに70年代のディスコ・ミュージックなんかが大好きだった。そしてKISSやクラッシュ、XTCといったバンドにも興味を持つようになって、気づいたら鏡の前でテニス・ラケットを構えロック・スター気取りでポーズをとるようになってた。そうこうするうちにピアノを習い始めるようになって、音楽にのめり込んでいったんだ。そこからは長い道のりだよ。 John:僕もほとんど同じかな。ブレンダンより年下だから80年代の音楽、ポリスやメン・アット・ワーク、U2なんかを聴いてたよ。ブレンダンはテニス・ラケットだったけど、僕はスカッシュ・ラケットだったぐらいで。ドラム・セットは自分で買ったけどさ(笑)。 Brendan:(笑)。 John:でも、音楽に選ばれるって本当にそうだと思う。どうして音楽が好きなのか自問したことは一度もないな。呼吸みたいなもので、すごく自然なことなんだよね。これがやりたいことだってずっと分かってたし、願わくば死ぬまでやっていきたいと思ってる。 ちなみに、ブロークン・ソーシャル・シーンに参加する以前はどんな形で音楽に関わっていたんですか? Brendan:1991年からセミ・プロとしての活動をスタートさせて、hHead(ヘッド)というバンドでアメリカのIRSやカナダのヴァージンと契約してたんだ。それから96年にはTVTに所属してたSpookey Rubenっていうアーティストのバックで来日して、クアトロでライヴもしたんだよ。あと、Lenってバンドもやってた。“Steal My Sunshine”って曲がヒットしたんだけど、僕のミュージシャン歴では今のところその曲が最大のヒットだね。他にも地元の色んなバンドで活動してたな。By Divine Right、Blurtonia、そしてアーツ&クラフツのValley of the Giantsとか、スターズのメンバーと一緒に組んだCookie Dusterってプロジェクトとか、どれも日本では無名だと思うけどね。なんといっても15年だからね、参加したバンドは数多いんだ。 John:僕は他のメンバーほどすごい経歴はないけど、ずっと音楽に関わってきたよ。1997年にRaising the Fawnってプロジェクトをソロで始めて、その1stアルバムがブロークン・ソーシャル・シーンの1stと同時期にリリースされたんだけど、そこでケヴィンと知り合ったのがきっかけで彼らに出会ったんだ。それ以来、ブロークン・ソーシャル・シーンと並行してバンド活動を続けてる。
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