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artist : YANN TOMITA 【ヤン富田】
title : 『 MUSIC FOR ASTRO AGE 』
release : 1992年11月
label : SONY RECORDS
tracks ( cd ) : [REEL 1] (1)SOUNDS OF STEEL (FROM THIS TO THAT) (2)BEYOND THE BLUE STAR ZONE PART 1 (3)WE TRAVEL THE SPACEWAYS #1 (4)TIME MACHINE (5)MEMORIES OF TAPE RECORDER (6)RADIO MUSIC (7)BEYOND THE BLUE STAR ZONE PART 2 (8)MEMORY BAND (9)4'33" (10)4'33" DUB (11)THEY'LL COME BACK (12)THEME OF ASTRO 2050 SYSTEMS

         [REEL 2] (1)WE TRAVEL THE SPACEWAYS #2 (2)ASTRO 2050 SYSTEMS (3)DUB INVADER (4)BEYOND THE BLUE STAR ZONE PART 3 (5)THE VOICE OF REPUBLIC OF TRINIDAD & TOBAGO (6)MIGHTY WIPER'S CALYPSO (7)MUSIC FOR ASTRO AGE (8)C-YA! (9)ASTRO FREAKS
tracks ( analog ) : 未確認
members : [REEL 1] (1) : YANN TOMITA,field works,electronics. (2) : YANN TOMITA,double tenor pan. (3) : ROGER GEORGE,ADRIAN PHILBERT,vocal ; ANTHONY VOISIN,guitar ; ALBERT BUSHE JR.,bass ; KEITH COOMBS,drums ; HAYDEN ROBBIN,trumpet ; CURTIS LEWIS,alto sax ; LEOPOLD STEVENS,tenor sax ; YANN TOMITA,piano,double tenor pan. (4) : YANN TOMITA,tape recorder,electronics. (5) : YANN TOMITA,tape recorder,oscillator,electronics. (6) : YANN TOMITA,transistor radio,short wave radio,computer. (7) : TAKAHASHI seiichi,piano,synthesizer ; SHIINA kensuke,magnetic tape violin ; TACHIBANA hajime,guitar ; NAGAI toshimitsu,bass ; AOKI tatsuyuki,drums ; SAITO nov,percussion ; YAHIRO tomohiro,percussion ; YANN TOMITA,double tenor pan,tape,electronics. (8) : JIT SAMAROO,tenor pan ; LALCHAN K. SAMAROO,tenor pan ; ANTHONY SAMAROO,double second pan ; PETER CARLTON MALTIN,cello pan ; KENNETH GUPPY,bass pan ; SONALAL SAMAROO,drums ; OONO yumiko,vocal ; WAKABAYASHI tadahiro,sitar ; YANN TOMITA,double tenor pan,tape,electronics. (9) : YANN TOMITA,beat box. (10) : YANN TOMITA,live electronics,time machine. (11) : RALPH DAVIES,piano ; TAKAHASHI seiichi,piano ; NEVILLE BOUCARUT,upright bass ; KEITH COOMBS,drums ; HAYDEN ROBBIN,trumpet ; CURTIS LEWIS,alto sax ,flute ; LEOPOLD STEVENSON,tenor sax ; SHIINA kensuke,hand made synthesizer ; YANN TOMITA,conduct,double tenor pan. (12) : YANN TOMITA,piano.

       [REEL 2] (1) : PELHAM GODDARD,piano ; JIT SAMAROO,tenor pan ; LALCHAN K. SAMAROO,tenor pan ; ANTHONY SAMAROO,double second pan ; PETER CARLTON MALTIN,cello pan ; KENNETH GUPPY,bass pan ; SONALAL SAMAROO,drums ; ROGER GEORGE,ADRIAN PHILBERT,vocal ; YANN TOMITA,double tenor pan. (2) : system controlled by YANN TOMITA. (3) : system controlled by YANN TOMITA. (4) : SHIINA kensuke,magnetic tape violin ; YANN TOMITA,short wave radio,electronics,double tenor pan. (5) : YANN TOMITA,field works,tape processing. (6) : MIGHTY WIPER,vocal,guitar. (7) : TAMURA gen,pedal steel guitar ; YANN TOMITA,double tenor pan. (8) : system controlled by YANN TOMITA. (9) : YANN TOMITA,computer,electronics,time machine.
producer : YANN TOMITA
related website : 未確認




 このCDの盤面にはオープン・リールのテープを模したものがプリントしてあって、2枚のCDがそれぞれ [REEL 1]、[REEL 2] となっているので、こちらでも表記はそれに準拠。ということで、よろしく。


[REEL 1] (1)SOUNDS OF STEEL (FROM THIS TO THAT)
[REEL 1] (2)BEYOND THE BLUE STAR ZONE PART 1   ▲
tracks
 割れんばかりのファンファーレの直後、工事現場で響き渡るような鈍い金属音、そして電子音が鳴るだけの [REEL 1] (1)に続いて、誰もいない綺麗な浜辺に立っているような錯覚に陥りそうなスティール・パンが奏でられる [REEL 1] (2)。5分をちょっと過ぎた辺りから電子音が加わってくる。


[REEL 1] (3)WE TRAVEL THE SPACEWAYS #1  ▲tracks
 果て無き道をトボトボと歩いていくような [REEL 1] (3)。スティール・パンが出てきた後、ホーン・セクションが鳴る頃には、“トロピカルなジャズ”といった趣に。この曲はオルタナティヴなジャズ・アーティスト〜サン・ラのカヴァー( 『 WE TRAVEL THE SPACEWAYS 』 に収録)。


[REEL 1] (4)TIME MACHINE  ▲tracks
 [REEL 1] (3)の基本パターンをベースに、テープ・レコーダーを操作してタイム・マシーンを表現した [REEL 1] (4)。1970年と2050年を行ったり来たりしている。そういえば、ソウル・ジャズ系のギタリスト〜ブーガルー・ジョー・ジョーンズの「YOU'VE GOT IT BAD GIRL」(『 SWEETBACK 』 に収録、スティーヴィー・ワンダーのカヴァー)のエンディングはなぜかこんな感じのテープ・レコーダー操作だったので、面食らったのを思い出す。


[REEL 1] (5)MEMORIES OF TAPE RECORDER  ▲tracks
 機械的ながらも甘美でサイケデリックなハーモニーに、ドローン(通奏低音)のような電子音、テープ操作、サンプリングで構成された [REEL 1] (5)。ハーモニーはちょっとマイ・ブラディー・ヴァレンタインを想起させなくもない。


[REEL 1] (6)RADIO MUSIC  ▲tracks
 剥き出しのブレイク・ビーツにチューニング中のラジオの音をかぶせた [REEL 1] (6)。最後の方に一瞬だけ登場するアコースティック・ギターのサンプリングは何を意味するのだろうか? 


[REEL 1] (7)BEYOND THE BLUE STAR ZONE PART 2  ▲tracks
 立花ハジメやローザ・ルクセンブルク〜ボ・ガンボスの永井利充、そして今は亡き東京スカパラダイスオーケストラのドラマー〜青木達之が参加している [REEL 1] (7)。この曲は [REEL 1] (2)のパート2で、スティール・パンが登場するのだが、 [REEL 1] (2)とは違ってオン・ビート、しかもユッタリとしたグルーヴ感がある。


[REEL 1] (8)MEMORY BAND  ▲tracks
 これまたスティール・パンがフィーチャーされているのだが、子供のスキャットや親子らしき会話が入ることによって、どこかノスタルジックな印象を受ける [REEL 1] (8)。そして、シタールがエキゾチックさを醸し出している。この曲は「LOVIN' YOU」で有名なミニー・リパートンが在籍した黒人白人混合のサイケデリック/ソフト・ロック・グループ〜ロータリー・コネクションのカヴァー( 『 ROTARY CONNECTION 』 に収録)。


[REEL 1] (9)4'33"
[REEL 1] (10)4'33" DUB   ▲tracks
 はじめに“コンッ”と鳴ったきり無音状態が続く [REEL 1] (9)は、現代音楽家〜ジョン・ケイジのカヴァー。ヤン富田氏本人の解説によると、“針音がせず、無音状態がキープできるCDになってはじめて実現できたカヴァーである”のだそうで、確かにこの曲のコンセプトは何も音を鳴らさない(“演奏しない”ではない)4分33秒の間に起きる音を音楽として聴こうというものだから、理に適っている。しかし、「“コンッ”と鳴ったではないか」と突っ込まれる方もおられると思うが、この音は本人によれば“ある種の意図性を強調するため”に入れたものなのであしからず。そして [REEL 1] (10)はそのダブ・ヴァージョン。はじめの“コンッ”にディレイがかかっている。笑える。残りの時間は電子音がスピーカーの間をグルグルと左右に行ったり来たりetc。しかし、演奏時間は3分37秒。フザケテいる。


[REEL 1] (11)THEY'LL COME BACK
[REEL 1] (12)THEME OF ASTRO 2050 SYSTEMS  ▲tracks
 これもサン・ラのカヴァー [REEL 1] (11)。スティール・パン、電子音、そしてブヒブヒと吹き放題のサックスらが入り混じる様は、トロピカル・エレクトロ・フリー・ジャズ(?)といったところか(そのまんま...)。次の [REEL 1] (12)もちょっとフリーな、ヤン富田本人の短いピアノ独奏。


 ここで [REEL 1] は終了。ちょっと一休みして [REEL 2] へGO。


[REEL 2] (1)WE TRAVEL THE SPACEWAYS #2  ▲tracks
 [REEL 1] (3)の続編 [REEL 2] (1)。 [REEL 1] (3)とは演奏するメンバーや編成が違っていて、こちらの編成ではホーン・セクションがいない分スティール・パンに比重を置き、幾分分厚いアンサンブルになっている。


[REEL 2] (2)ASTRO 2050 SYSTEMS  ▲tracks
 出だしの雰囲気が、一瞬“ポップな電子音楽の先駆者的存在”のペリー&キングスレイを思わせる [REEL 2] (2)。しかし、1分半もしないうちにそのサウンドは徐々に混沌としたものになり、タイトル通りの“アストロ2050”な状態になっていく。途中「やぁ。(音楽を)楽しんでる?」etcとメッセイジが入り、ハウスになる場面も。そのうち主人公は無理矢理タイム・マシーンに乗せられ、荒涼とした世界に連れて行かれたかのような展開に。無邪気なシンセ遊びか、それとも“有”邪気なブラック・ユーモアか。因みに、ヤン富田はペリー&キングスレイの再発CDにコメントを寄せている。


[REEL 2] (3)DUB INVADER  ▲tracks
 ダブの [REEL 2] (3)。UFOが着陸したような音に続いて、宇宙人と思しきヘリウムを吸った時のような声がしてスタート。すぐに地球人側から「ハロー。ハロー。」と宇宙人と交信するコメント。それともUFOの着陸を監視している地球人同士の会話か。途中何度か「空飛ぶ円盤は着陸した」という地球人の者らしきセリフがあり...と、宇宙人が地球に来てからの出来事を音と少しばかりのセリフで表現した面白いトラック。「この音は○○を表現していて、こっちの音は××を表現しているのかな?」と一音一音に聞き耳を立てながら聴いていると、シルク・ハットをかぶった目玉で有名な匿名的グループ〜レジデンツの 『 ESKIMO 』 を思い出す。このアルバムも、エスキモーにまつわる様々な出来事や情景を音で表現した変ったアルバム。


[REEL 2] (4)BEYOND THE BLUE STAR ZONE PART 3  ▲tracks
 [REEL 1] (2)のパート3の [REEL 2] (4)。スティール・パンの音色はただでさえ心癒される響きなのに、長尺の曲が2曲( [REEL 2] (2)は約15分、 [REEL 2] (3)は約18分!)続いた後だとなおのこと染み入る。


[REEL 2] (5)THE VOICE OF REPUBLIC OF TRINIDAD & TOBAGO  ▲tracks
 [REEL 2] (5) は、[REEL 1] (1)のファンファーレが再び登場したり、スティール・パンがサイケデリックな処理をされていたり、オーケストラの演奏が鳴る等のコラージュ的な展開の後、トリニダード・トバゴのラジオ局のものと思われるアナウンスが流れて終わる。


[REEL 2] (6)MIGHTY WIPER'S CALYPSO   ▲tracks
 カリプソ歌手のオジさんと思しきマイティー・ワイパーという人がヘロヘロなギターで演奏する、“ヤン富田賛歌?” [REEL 2] (6)。「日本から来たグッドなスティール・パン・マン、ヤン富田」「ハンサムなジェントルマン、ミスター・ヤンがトリニダードを訪れてくれた。大歓迎だし、誇りに思うよ」というようなことを言ってるみたいだ。訛があるので聞き取りづらい。でもガヤガヤとした取り巻き達がいたりして、とても楽しい雰囲気。1分に満たないのがちょっと惜しい。


[REEL 2] (7)MUSIC FOR ASTRO AGE  ▲tracks
 スティール・パンとペダル・スティール・ギターによる演奏で、アルバム・タイトルと同名の [REEL 2] (7)。「なんだ、全然ペダル・スティール・ギターなんて出て来ないじゃないか!」とお怒りの方、5分を過ぎた辺りでペダル・スティール・ギターが登場するのでご安心を。しかし、楽園気分を醸し出したのも束の間、音がドンドン上昇して“アストロ”な感じで終わる。


[REEL 2] (8)C-YA!  ▲tracks
 ラヴァーズ的な甘めのレゲエ・インスト [REEL 2] (8)。甘めながらも、テープ・レコーダー遊びを挿入したり、電子遊び、そして現地人の訛のきつい英語のアジテイションを乗せたりして、タダでは済ませていない。


[REEL 2] (9)ASTRO FREAKS  ▲tracks
 そして最後は [REEL 1] (6)のような、ヒップ・ホップ的なブレイク・ビーツをベースにした [REEL 2] (9)。途中から、サーフィン・ミュージックのリズム・パターンのブレイク・ビーツに乗せてシンセをビニョビニョしながら「Surfing Is My Life. Uummm...」と言わせた後、再びタイム・マシーンが登場して、1970年から2050年へ。


 トータル時間119分04秒。その時間にしても、内包する音楽にしても、広大なアルバム。


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