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artist : SOUL FLOWER UNION
title : 『 ワタツミ・ヤマツミ 【WATATUMI YAMATUMI】』
release : 1994年10月
label : Ki/oon SONY RECORDS
tracks ( cd ) : (1)もののけと遊ぶ庭 【A GARDEN TO PLAY WITH GHOSTS (MONONOKE)】 (2)レプン・カムイ (沖の神様) 【REPUN KAMUY (THE GREAT SPIRITS OF THE SEA)】 (3)陽炎のくに、鉛のうた 【STATES OF HEAT HAZE, SONG OF LEADEN】 (4)たこあげてまんねん 【I'M FLYING A KITE】 (5)戒厳令下 【UNDER MARTIAL LAW】 (6)向日葵(ひまわり)の夢 【DREAM OF THE SUNFLOWER】 (7)夕立とかくれんぼ 【HY SPY IN THE SHOWERS】 (8)アイヌ・プリ 【AYNU PURI】 (9)リベラリストに踏絵を 【LOYALTY TEST FOR THE LIBERALISTS】
tracks ( analog ) : 未確認
regular members : 中川敬 NAKAGAWA takashi,vocals,guitar,ムックリ mukkuri,囃子 hayashi ,percussion ; 伊丹英子 ITAMI hideko,guitar,囃子 hayashi,三板 sanba,vocals ; 奥野真哉 OKUNO shinya,keyboards,囃子 hayashi ; 内海洋子 UTSUMI yoko,vocals,囃子 hayashi ; 高木太郎 TAKAGI taro,drums,和太鼓 wadaiko,囃子 hayashi ; 河村博司 KAWAMURA hiroshi,bass,囃子 hayashi.
guest musicians : YAHIRO tomohiro,percussion ; UMEZU kazutoki,sax ; KINA sachiko (CHAMPLOOSE),三線 sanshin,三板 sanba,囃子 hayashi,vocals ; KINA keiko (CHAMPLOOSE),囃子 hayasi,vocals ; HIRAYASU takashi (CHAMPLOOSE),三線 sanshin,囃子 hayashi ; ISIOKA yutaka (CHAMPLOOSE),囃子 hayashi ; TAKAHASHI toshikatsu (CHAMPLOOSE),囃子 hayashi ; YAMANE mai,vocals ; YAMANE eiko,vocals ; MOCHIDA akemi (SHISAS),囃子 hayashi,vocals ; UNO yoshie (SHISAS),囃子 hayashi,vocals ; AKAGI rie,flute,piccolo ; TAKEI makoto,しの笛 shinobue ; NAGANO kaori,bass ; TAKAHASHI sayoko (ZELDA),vocals ; YABUSHITA terumasa,vocals ; KANO naoki,vocals.
KANEKO ASUKA STRINGS : KANEKO asuka,fiddle,viola,violin ; KINBARA chieko,violin ; SHIKA udai,cello ; KASAHARA ayano,cello ; TACHIBANA mayumi,cello ; MURAYAMA tatsuya,viola.
producer : 中川敬 NAKAGAWA takashi & 伊丹英子 ITAMI hideko
arranger : SOUL FLOWERS ENSEMBLE (SOUL FLOWER UNION WITH ALL SESSION MUSICIANS)
related website : 『 オンライン魂花時報 』(公式サイト)




 本作は彼らの2ndアルバムなのであるが、1stアルバムが彼らの前身グループの1つであるメスカリン・ドライヴのためのものとして書かれたことから考えると、実質的には1stアルバムとしてとらえることも可能だ。そして、彼らのもう1つの前身グループ〜ニューエスト・モデル時代から演奏されていたレパートリーが多いことから考えると、ニューエスト・モデルのニュー・アルバムとしてとらえることも可能なアルバムなのである。実際、グループのリーダー(正式にそうなのかは分からないが)〜中川敬の作風といえるクセのあるメロディーやコード進行がそこここに現れてくる。

 また、様々な“現代”のポピュラー音楽の様式を雑多に取り込んでいるにも関わらず、ジャケットやブックレット中の写真(岩手県は遠野で撮影したという)のイメージ通りの、そして“海の神・山の神”という意味のアルバム・タイトル通りの、瑞々しく、そして苔むした、人間の手付かずの大自然や、古代の人々の躍動を思わせるようなサウンドが絶品だ。

 それと、よく3rdアルバム以降とのサウンドの違いのため、現状としては“過去のもの”として捨てられてしまいかねない感もある本作だが、“これもまた彼ら”であり、並列に評価すべきアルバムだと強く思う。


(1)もののけと遊ぶ庭 【A GARDEN TO PLAY WITH GHOSTS (MONONOKE)】  ▲tracks
 岡林信康の「エンヤトット」とヴェルヴェット・アンダーグラウンドの演奏を融合したような“ヘヴィー・ミンヨウ”の(1)。ジャリジャリしたテレキャスター(のはず)と激しく咆哮する梅津和時のサックス、そして高木太郎が叩く和太鼓(確かヴィデオ・クリップでは内海洋子が叩いていた)によるヘヴィーな幕開けからすぐに7拍子の“頭サビ(?)”。平メロはいかにも民謡といったメロディー。後半はヴェルヴェット・アンダーグラウンド的なヘヴィーでフリーキーなリフレインを展開していく。


(2)レプン・カムイ (沖の神様) 【REPUN KAMUY (THE GREAT SPIRITS OF THE SEA)】  ▲tracks
 1993年、北海道南西沖地震の津波の被害にあった奥尻島のことについて歌った(2)。フォルクローレ(南米のインディオの民族音楽)と日本民謡がうまく調和している。笛類によるフォルクローレ・マナーな第1イントロから日本民謡的な第2イントロを経て、再びフォルクローレ的な歌メロ。そして圧巻なのはサビを経た後の間奏だ。フォルクローレのリズムを土台として、フォルクローレと日本民謡を合わせたメロディーを展開していくのだが、その中にアイリッシュ・トラッドも見え隠れするようなメロディーの融合を見せるのである。そしてそこにお囃子が絡んでいく。これにはもう参ったとしか言い様がない。中川の面目躍如といった感じだ。


(3)陽炎のくに、鉛のうた 【STATES OF HEAT HAZE, SONG OF LEADEN】  ▲tracks
 (3)はラテン的なピアノを聴かせながらもリズムはズンズンとヘヴィーで、土着的な印象すら感じさせるイントロでスタート、そのままAメロへ。一歩ずつ大地を踏みしめて歩くかのようなリズム。そこに絡むフルートとコーラスが、ジャジーな中にもどこか“古代の日本”的なニュアンスを持っている。BメロやCメロ(サビ?)はソウル/ファンクに語法を変え、ルーズな横ノリになる。その後再びイントロのリフに戻るのだが、そこでタイトルを繰り返す凛としたハーモニーがまたいい。


(4)たこあげてまんねん 【I'M FLYING A KITE】  ▲tracks
 とても瑞々しい大自然を思わせるような美しいピアノと、野原にたゆたう緩やかな風のようなヴァイオリンに続いて、オレンジ・ジュースの「FALLING AND LAUGHING」(『 YOU CAN'T HIDE YOUR LOVE FOREVER 』 に収録)的ベース・ラインに彼らお得意のローリング・ストーンズ・マナーのツイン・ギター・アンサンブルが絡む(4)。メジャー・セヴンス・コードを主体とした緩く心地良いグルーヴに身を委ねていると、終盤、突如として凧がキュルキュルと錐揉みするかのようなスリリングなオルガン・ジャズに変貌。しかし、〆は再び瑞々しく終わる。中川と奥野真哉の共作。


(5)戒厳令下 【UNDER MARTIAL LAW】  ▲tracks
 のどかにスタートするスロウ・テンポな(5)。他の曲にも増して難しい熟語が並ぶ、引きこもりに言及したように解釈できる曲。2度目のBメロが終わると、のどかなリズムを背景としたピアノとヴァイオリンのフリーキーな間奏を挟んでから、ルーズなファンクのCメロ(サビ?)へと突入。


(6)向日葵(ひまわり)の夢 【DREAM OF THE SUNFLOWER】  ▲tracks
 まるで本当に大海原に漕ぎ出した船に乗っているような壮大な曲調の(6)。その雰囲気を作り出すのにストリングスが絶大な効果を発揮している。
 詞/曲共に中川と伊丹英子の共作のせいか、頭サビ、Aメロ、Bメロは内海洋子、大サビは中川がそれぞれヴォーカルを務める。この大サビ作ったのは中川だと確信するのだが、このコード進行が曲者で、中川がニューエスト・モデル時代から培ってきたメロディー&コード進行の妙が味わえる。
 F/Fメジャー7th/F7thと半音ずつ下がってきたら普通はB♭とかF6thときそうなのに、Fマイナー6thときて一気に不吉な雰囲気を作り出す。他ではあまり聴かれないコード進行だ。その直後E♭-B♭-F-Cとすぐさま壮大な雰囲気に持っていき、コーラスを絡ませる。
 この曲を聴いていると、このような全員参加率の高い曲をもっと作っていれば内海は脱退せずに済んだのではないかと思えてならなくなってくる。


(7)夕立とかくれんぼ 【HY SPY IN THE SHOWERS】  ▲tracks
 またまた中川メロディー&コード進行の妙が味わえる、民謡っぽい(7)。聴き手を翻弄するかのようでありながら魅了する何とも不可思議なメロディー。それでいて、子守唄のように土着的で懐かしい、日本特有の郷愁に包まれる曲だ。
 最後は「オー、オーオオオー」というコーラスのリフレインなのだが、初めは男声陣から始まり、レスポンスとして女声陣が加わってきて、しまいには男女混声になって壮大さを増していく。ブックレットの、一面に生い茂る草木が夕映えに染まっていく様が正にピッタリだ。


(8)アイヌ・プリ 【AYNU PURI】  ▲tracks
 喜納昌吉のカヴァー(8)。とはいっても、そのサウンドはアフロ・ファンクと民謡とロックを掛け合わせたようなもので、チープなオルガンはフェラ・クティっぽく、そしてコール&レスポンスやリズムはフェラ・クティっぽくもあり、日本民謡的でもある。そこにヘヴィーなギターや和太鼓が絡み、一大“アフロ・ミンヨウ・ヘヴィー・ロック”を繰り広げていく。ここでの中川はソウル・フラワー族の酋長と化している。「ウレェエ〜」というダミ声シャウトがカッコいい。
 彼らの演奏は、喜納本人をして「君達がやったほうがカッコいい」と言わしめたというが、これは恐らく謙遜ではなく本音だろう。
 最後はDJ的な発想か、1stアルバム 『 カムイ・イピリマ 』 の「お前の村の踊りを踊れ〜エコタムタ カラキーキ 【DANCE YOUR VILLAGE'S ORIGINAL DANCE】」に繋がるようになっているのだが、この(8)のイントロと同じ3拍子(イントロとこの部分以外は4拍子)に「お前の村の〜」の4拍子が絡むポリ・リズムになっている。


(9)リベラリストに踏絵を 【LOYALTY TEST FOR THE LIBERALISTS】  ▲tracks
 長尺なヘヴィー・ファンク(9)。ここでは民謡とP-ファンクの融合を目指したのだと思うが、中川曰く「P-ファンクみたいにやろうと思ったけど、できなかった」とのこと。しかし、これはこれで面白い曲に仕上がっていると思う。確かに初めて聴いた時は面食らった部分もあったが、慣れてみるとそれほど違和感もなくなってくる。途中、沖縄音階やローリング・ストーンズの「SYMPATHY FOR THE DEVIL 【悪魔を憐れむ歌】」(『 BEGGARS BANQUET 』 に収録)っぽい部分等を挟んで、これまたDJ的な発想か、最後はニューエスト・モデルの「SOUL FLOWER CLIQUE IS THE UNIVERSAL INVADER」(『 UNIVERSAL INVADER 』 に収録)へ繋がるようになっている。


 最近のアルバムでは、ストレイトな作風の曲が増えてしまった中川敬。ペンタトニック等の限られた音階の中でいかにいいメロディーを作り出すか、というのも作曲者としては興味深いのかもしれないが、“メロディーが天から降りてくる”タイプではなくある程度意識してメロディーを書くタイプと思しき中川には、そういった音階の垣根を越えた高みを目指して突き進んで欲しい。そしてソウル・フラワー・ユニオンには、曲調もさることながら、グループのあり方としてスライ&ザ・ファミリー・ストーン(ソウル)とジェファーソン・エアプレイン(フラワー)を合わせたようなグループであって欲しいと願わずにいられない。


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