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artist : MUTE BEAT
title : 『 LOVER'S ROCK 』
release : 1988年月発表
label : OVERHEAT RECORDS
tracks ( cd ) : (1)EVERYDAY (2)JAZZ MAN (3)OLD AIR (4)DUB IN THE FOG (5)RHYTHM TRAX (6)DOWN TRAIN (7)BLUE BEAT MELODY (8)KIYEV NO SORA 【キエフの空】 (9)LULLABY FOR FRANCES
tracks ( analog ) : side A... (1)〜(5) / side B...(6)〜(9)
members : 小玉“エコー”和文 KODAMA “ECHO” kazufumi,trumpet ; 増井朗人 MASUI akihito,trombone ; 朝本浩文 ASAMOTO hirofumi,keyboards ; 松永孝義 MATSUNAGA takayoshi,bass ; 今井秀行 IMAI hideyuki,drums,percussion ; 宮崎 “ダブ・マスター X” 泉 MIYAZAKI “DUB MASTER X” izumi,dub mix,percussion.
producer : MUTE BEAT
arranger : MUTE BEAT
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(1)EVERYDAY  ▲tracks
 シンプルながらも結構衝撃的なスネアの連打によって、何かを打ち破るかのように幕を開ける(1)。イントロでのウネるベースもイイ。メロディーは彼らトレード・マークとも言える哀愁に満ちている。Bメロ(というかサビ?)でのピアノは哀愁がありながらもどこかノスタルジックな響きだ。そんな哀愁味も、トランペット・ソロになるとマイルズ・デイヴィス的な気高さすら帯びてきて、何かこう身が引き締まる感じがする。トランペット・ソロの後の歪んだベース(のはず)による間奏は、スピーカーの外から音が聞こえるような感触があって面白い。


(2)JAZZ MAN  ▲tracks
 聴き手を癒すかのように優しく暖かいエレピのフレイズから一転、ダビーなドラムで驚かされる(2)。ユッタリしたテンポの上で浮遊し交錯する、トランペットとトロンボーンのハーモニーが絶妙な味を醸し出す。再びダビーな処理が施され、空間が捻じ曲がったような間奏にもヤられる。
 それにしてもこの(2)を聴いていると、時代劇 『 三匹が斬る!』 のエンディング・テーマを思い出してしまう。「小林亜星(あのテーマの作曲者)はこの(2)をある程度意識していたのではないか?」と思えるほど、メロディー感覚(メロディーそのものではなく、あくまで“感覚”が)やリズム、そしてその醸し出す雰囲気がこの(2)と似通っているからだ。


(3)OLD AIR  ▲tracks
 僕が小学生だった頃、よく下校の音楽として、または電話の待ち時間中の音楽として使われていた、あの「グリーン・スリーヴス」を彷彿させるメロディー感覚を持った(3)。別にソックリというわけではないのだが、メロディーやコード感覚の端々に“アレッ?、アレッ?”と引っ掛かる要素があるのだ。
 そんなメロディー感覚とは違った、ジャジーな感覚の可憐なピアノ・ソロと、それを力強く推し進めるホーン・セクションのバック・ビートに、なぜか無性に勇気付けられる。


(4)DUB IN THE FOG  ▲tracks
 “クール”といった“粋”なイメージを含んだ言葉ではなく、あえて“冷たい”という言葉を用いたいほど、寒々とした感覚に満ちた雰囲気を持つ(4)。その“寒さ”に哀愁を通り越して遣る瀬無さを感じてしまう。タイトルの中に“DUB”という言葉があるくらい、とにかく終始何らかのダブ処理(特に16分音符3つ分の間隔を空けたディレイ)が目立つ。
 この曲のクレジットに“FOG IS RADIOACTIVITY(霧とは放射能). RADIOACTIVITY IS SECIUM(放射能とはセシウム-人口放射性同位元素-). SECIUM IN MY POCKET(セシウムは僕のポケットの中にある).”と書いてある(セシウムのスペルは誤記)ことから、本作のジャケットのコンセプトと関連のある曲なのだろう。北尾修一氏のライナーによれば、トランペットの小玉和文は原発のある福井県の出身なのだそうだ。


(5)RHYTHM TRAX  ▲tracks
 切なめの曲が続いてウェットになりすぎた心を少し明るくしてくれる、幾分コミカルな雰囲気の(5)。ビートルズの「HELTER SKELTER」(『 THE BEATLES 』 に収録)のギターのフレイズのようなベース・ラインが印象的といえば印象的だが、他は基本的なビートにピアノのコードの裏打ちがあるくらいなので、単調な感じは否めない。まぁ、タイトルがタイトルだけに文句は言えないのだが。この曲も、一部の音(バス・ドラム)の位相をいじっており、部屋の外で“ドンドン”と鳴っているような音の聴こえ方がする。


(6)DOWN TRAIN  ▲tracks
 アナログ盤ではB面の一曲目にあたる(6)。「下り列車」(イギリスでは「下り」だが、アメリカでは「南部行き」の意)というタイトルは、「都落ち」を意味しているのだろうか。敗北感を帯びたような哀愁の漂う曲調がそれを裏付けているように思える。比較的軽快なテンポなのに、この哀愁。僕の勝手な想像では、“夢に破れた一人の男が、失意を胸に乗り込んだ列車の車窓の外に流れる景色をボンヤリと眺めている”、そんな光景が思い浮かぶ。


(7)BLUE BEAT MELODY  ▲tracks
 哀愁漂いつつも、幾分ダーティーな印象のある(7)。レゲエの持つ“粋な不良性”みたいなものが滲み出ているような気がする。ピアノをポコポコさせたような音色や、可憐に煌めく弦楽器の音を模したような音色のキーボード類が、とても印象的。1拍目が空っぽになったビート感がいい。この曲のメロディーにも(2)で触れた 『 三匹が斬る!』 のテーマ的要素が感じられる。


(8)KIYEV NO SORA 【キエフの空】  ▲tracks
 哀愁を通り越し、悲痛ささえ漂う(8)。タイトルにある“キエフ”とは、ウクライナの首都の名前で、そのキエフの130km北方に位置するのは、“あの事故”のあったチェルノブイリ原子力発電所。この曲もジャケットのコンセプトにちなんだセレクションということか、“無言”ではあるが“有音”のプロテスト。


(9)LULLABY FOR FRANCES  ▲tracks
 最後は、意外にもイアン・デューリー&ザ・ブロックヘッヅの 『 DO IT YOURSELF 』 からのカヴァー(9)。マイナー調の曲が続いた後の、安らぎのひと時。あるいは、被曝した人々への鎮魂歌なのだろうか。


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