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artist : LEE MORGAN
title : 『 THE SIDEWINDER 』
recorded date : 1963年12月21日
label : BLUE NOTE RECORDS
tracks ( cd ) : (1)THE SIDEWINDER (2)TOTEM POLE (3)GARY'S NOTEBOOK (4)BOY, WHAT A NIGHT (5)HOCUS-POCUS
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(2) / side B...(4)〜(5)
members : LEE MORGAN,trumpet ; JOE HENDERSON,tenor sax ; BARRY HARRIS,piano ; BOB CRANSHAW,bass ; BILLY HIGGINS,drums.
producer : ALFRED LION
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 僕がリー・モーガンを知ったのは、友達に借りたジョン・コルトレインの 『 BLUE TRANE 』 の中で、やたらと元気がよく、コルトレインよりも光って見えるトランペッターだという印象を抱いたのがきっかけ。それから間もなく「ジャズ・ロックの名盤」という文句 (主に“ロック”という部分) に惹かれて本盤を買ってみた。タイトル曲が“ジャズ・ロック”と言われているにもかかわらず、全く“ロック”には聴こえないという“偽りの看板”が付いてはいたけど、そんなことが気にならないくらいカッコよかった。

 ジャズも色々聴くようになり、他の音楽も聴くようになった今でもしばしば本作を聴く。それで、なぜ聴きたくなるのか考えてみた。そして浮かんだのは、リー・モーガンという一人のトランペッターの魅力だけではなく、モダン・ジャズの魅力も沢山詰まったアルバムだから、ということだった。コアなジャズ・ファンからは賛否両論あるにもかかわらず、ジャズの名盤選には必ず顔を出すということは、このアルバムがいかにジャズを聴く者にとって気にかかる作品であるかということを如実に物語っていると思う。初めは、あまりに有名過ぎるアルバムなのでここで紹介しようかどうか迷ったけど、モダン・ジャズやハード・バップの申し子とも言える彼の代表作である本作は、やはり避けては通れないし、本作について何か言いたくてウズウズしている自分もいるので取り上げることにした。


(1)THE SIDEWINDER  ▲tracks
 で、“蛇”ではなく“悪漢”をイメージして作ったという(1)。“ジャズ・ロック”と言われた曲なのに、前述の通り全然ロックじゃない。極端に表現すれば普通のジャズは、このテンポなら「チーン・チッチ、チーン・チッチ」で、もしロック的にするためスウィング感をなくすのであれば「チン・チチ、チン・チチ」でいいのだが、この曲はジャズの「チーン・チッチ」の「チッチ」の部分が「チッチ」と「チチ」の中間ぐらい。だからもろ“ジャズ”という感じがしない。それにベースを聴くとわかるけど、これは2/4拍子。よく言われている8ビートですらない。リフのアクセントも加味すると、ボサ・ノヴァの変形ビートにジャズ的なリフやコードや“のり”を当てはめて作ったのではないだろうか。スネアの部分をリム・ショットにしてみれば、なおイメージしやすいと思う。憶測の域を出ないけど、この説には他にもちょっとした根拠があって、ケニー・ドーハムの 『 UNA MAS 』 ('63年4月録音) やリーダー作 『 PAGE ONE 』 ('63年6月録音) でボサ・ノヴァのビートを手に入れたジョー・ヘンダーソンが、そのビートをリー・モーガンに紹介してできたのではないか、ということだ。本作の録音は'63年12月21日。そしてアメリカにボサ・ノヴァを広める起爆剤になったスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトの 『 GETS/GILBERTO 』 の録音が'63年3月。時系列的にもピッタリだ。ま、あくまで憶測に過ぎないけど。そんな憶測とは関係なく楽しい曲。因みに'70年の 『 LIVE AT THE LIGHTHOUSE 』 では完全にバリバリにハイパーなファンク・チューンになってた (これがまた最高!) 。こちらのリズム・パターンはリトル・リチャードの「LONG TALL SALLY」が基本形っぽい。途中「LAND OF 1000 DANCES 【ダンス天国】 」まで飛び出す始末。


(2)TOTEM POLE  ▲tracks
 お次は、タイトルからするとインディアンの決闘か何かを想像させる(2)。本作で僕が1番好きな曲。張り詰めた雰囲気のAメロから歌い上げる様なBメロ、そしてまたAに戻るテーマ中での、モーガンとヘンダーソンの左右で変わり番こに吹くアレンジがいい。続くトランペット、サックス、ピアノのソロもかなりいいのだけど、7分チョイ前にもう一回訪れるモーガンのトランペット・ソロと言ったら!切り裂くように飛び出して軽やかに跳ね回る様がたまらなくイイ!「彼ほど“バップ”という言葉が似合うヤツはいないんじゃないだろうか」と思わせるようなソロ。意味としての“バップ”だけではなく、“バ”とか“プ”とか“ッ”といった破裂音や促音で構成された“響き”としての“バップ”という言葉がよく似合う。因みに、'88年の再発CDにはこの曲の別テイクがボーナス・トラックとして収録されていた。


(3)GARY'S NOTEBOOK
(4)BOY, WHAT A NIGHT
(5)HOCUS-POCUS  ▲tracks
 クールなジャズ・ワルツ(3)。ハモリがかっこいいテーマの後の、間を生かしたヘンダーソンのソロや、跳ねるようなモーガンのソロがいい。続く(4)はこれまたワルツ系で、明るくユーモラス。最後の(5)でやっと普通の4ビート。明るく跳ねる感じのテーマがいい。


 本作収録の5曲は全てモーガン作曲で、どの曲も安易に作られた感じがしない。“ジャズは名演あるのみ”とよく言われるけど、テーマが良いに越したことはない。名演に名曲が加われば鬼に金棒、名盤にならないわけがない。本作のテーマ部分はちょっとすぐには覚えられないものもあるけど、一緒に口ずさめるようになるといっそう楽しくなる。


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