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artist : JOHN SIMON
title : 『 LAST SUMMER 』
release : 1969年8月
label : WARNER BROTHERS RECORDS
tracks ( cd ) : (1)LAST SUMMER THEME 【「ラスト・サマー」のテーマ】 (2)TEMPTATION, LUST AND LAZINESS 【誘惑と欲望と怠惰】 (3)DRIVIN' DAISY (4)CORDELIA (5)SONUVAGUN (6)HAL, THE HANDYMAN (7)BEACH ROMP (8)THE SUBTLE EVANESCENCE OF NOW (9)LAY YOUR LOVE ON ME (10)MAGNETIC MAMA (11)SAFARI MARY (12)FIREHOUSE BLUES
tracks ( analog ) : side A...(1)〜(7) / side B...(8)〜(12)
musicians : JOHN SIMON,lead vocal(6),vocal(2),piano(2,4,5,6,7,9,10),roxicord(1),organ(3,11,12),bass(1,10),horns(10),trombone(12) ; LEVON HELM,mandolin(1,2),drums(1,10),background vocal(2),guitar(10) ; CYRUS FARYAR,lead vocal(3),background vocal(3) ; BUDDY BRUNO,lead vocal(4,5),background vocal(6) ; BUDDY BRUNO'S GIRLFRIEND,background vocal(4,5,6) ; RAY DRAPER,lead vocal(9) ; HENRY DILTZ,lead vocal(11) ; MAMA CASS ELLIOT,background vocal(11) ; LENNE HILL,background vocals(11) ; MIKE DEASY,guitar(3,9,11,12) ; RICK DANKO(?),bass(2) ; LARRY KNECHTEL,bass(3,9,11,12) ; HARVEY BROOKS(?),bass(4,5,6) ; HAL BLAIN,drums(3,9,11) ; PAUL HUMPHREYS,drums(12) ; MARVIN STAMM(?),trumpet(5,6) ; PLAS JOHNSON,tenor sax(9,12) ; GARTH HUDSON,horns(10) ; RICHARD MANUEL(?),harmonica(4) ; PETER PILAFIAN 《 ジョン・サイモンの記憶によれば“ピーター・ピルツフィアン”(綴りは不明)だが、色々調べてみるとそのほとんどが“PILAFIAN”なので、当サイトでもそちらを採用した 》,violin(1) ; HARRY LOOKOFSKY,violin(5) ; COLLIN WALCOTT(OREGON),sitar(8).
《上記のクレジットは、ジョン・サイモン本人が「間違いがあるかもしれません」と断った上で、彼の記憶を頼りに作製したものなので、「かもしれない」等の不明瞭なものには“(?)”を、全く不明のパートに関しては記載無しとした。》
songs composed and performed by JOHN SIMON 《 except (8) written by COLIN WALCOTT》.
related website : 未確認




(1)LAST SUMMER THEME 【「ラスト・サマー」のテーマ】  ▲tracks
 とにかく儚く切ないインストゥルメンタルの(1)。追憶の彼方にある、古き良き夏の思い出、といった趣きの曲だが、タイトルは「去年の夏」。
 ジョン・サイモンがプロデュースしたザ・バンドの 『 MUSIC FROM BIG PINK 』 収録の「WHEELS ON FIRE 【火の車】」で使われたロクシコード(チェンバロにディレイをかけたようなサウンドの鍵盤楽器)の儚さ、ザ・バンドのリヴォン・ヘルムが弾くマンドリンのトレモロの切なさ、ピーター・ピラフィアン(ピルツフィアン)が奏でる、優しく撫でるようなヴァイオリン。たった2分の曲なのに、なんだか心が深く癒されてしまう不思議な曲。


(2)TEMPTATION, LUST AND LAZINESS 【誘惑と欲望と怠惰】}  ▲tracks
 「ブンチャッ、ブンチャッ」としたリズムに乗せて、ジョンとリヴォン・ヘルム(マンドリンも彼)がデュエットする、ちょっとマヌケでホノボノとした(2)。クレジットは“AUNT MARY'S TRANSCENDENTAL SLIP & LURCH BAND”というグループによる演奏になっているが、これは単なるでっち上げの架空バンド。でも、このヘロヘロとした感じは“SLIP & LURCH(すべって、よろけて)”という言葉にピッタリくる。
 コーラスに挟まれて、1番から3番までそれぞれ“誘惑”と“欲望”と“怠惰”が主人公を“襲う”話が展開される。最後に主人公は“怠惰”に負ける模様。
 昔、ラ・ロシュフコーという人が言った。「怠惰は最も大きな船をも停める力を持つ小判鮫(レモラ)である」と。


(3)DRIVIN' DAISY  ▲tracks
 ハル・ブレインのドラム&ラリー・ネクテルのベースによるドライヴ感満点のリズム、マイク・ディージーのスリリングでトリッキーなギター・ワーク、そしてそこにコクのある中低音やほんのちょっとガナった感じで歌うサイラス・ファーヤーの声が乗っかって、気分はもう最高潮の(3)。
 このサイラス・ファーヤーはモダーン・フォーク・クァルテットのメンバーの一人。後にジョンは、このサイラスの南国気分に溢れた傑作 『 ISLANDS 』 をプロデュースする。


(4)CORDELIA  ▲tracks
 ゆったりとしたシャッフルの惨めな曲調に乗せて、バディー・ブルーノのユーモラスなファルセットが絡む、“不幸・苦労自慢”を皮肉った曲(5)。どうやらシェイクスピアの 『 リア王 』 の登場人物を借りているらしい(僕はシェイクスピアの作品をまともに読んだことはないが)。
 娘の“コーデリア”に向かってその父“リア王”が自分の苦労話を聞かせるのだが、コーデリアには父の姿がそんなに苦労したようには映らず、「取って置きの苦労話はまだなのね」と言う。そして物語の終いには「自分が一番苦労したなんて思ってるんなら大間違いだゼ。アンタ、俺の話をまだ聞いちゃいないだろ」というメッセイジの入れられたビンが埠頭に漂着する(細かいことで恐縮だが、GINGER KUNITA氏の聴き取りは最後から2行目の“your story”という部分を“you're sorry”と間違えている)。
 ここでハーモニカを吹いているのは、ジョンの記憶によればザ・バンドのリチャード・マニュエルらしく、ベースを担当しているのはエレクトリック・フラッグのメンバーであったほか、ウッドストックで制作されたいくつもの作品やボブ・ディランの 『 HIGHWAY 61 REVISITED 【追憶のハイウェイ61】』 、マイルズ・デイヴィスの 『 BITCHES BREW 』 などにも参加しているベイシスト〜ハーヴィー・ブルックスらしい。


(5)SONUVAGUN  ▲tracks
 ちょっとのどかなファンファーレっぽいイントロでスタートする、ホノボノとした曲調の(5)。前曲に続いてトボケた歌を聴かせてくれるのはバディー・ブルーノ。
 その歌が始まって少しすると、スライ&ザ・ファミリー・ストーンを彷彿させる女声コーラスが入ってくる。特に 『 FRESH 』 に収録の「IF IT WERE LEFT UP TO ME」あたりと似た雰囲気がある。そのファミリー・ストーン的な張りのあるコーラスと、もう少し後で出てくるエコーがかかっていて暗く虚ろな感じのコーラスが対照的で、ちょっと不気味な印象を覚える。
 ここでトランペットを吹いている(らしい)マーヴィン・スタム、ヴァイオリンを弾いている(らしい)ハリー・ルッコフスキー、共にジャズ畑の人達だが、ジョンは当時からそういった方面にも人脈があったのだろうか。


(6)HAL, THE HANDYMAN  ▲tracks
 ほんのちょっと「結婚行進曲」のようなファンファーレっぽいイントロを持つ、オールド・タイミーなシャッフルの(6)。ヴォーカルをとるのはジョン本人。ピアノも彼。バディー・ブルーノはコーラスにまわっている。
 この曲にも何か意味がありそうなのだが、いまいち真意が掴めない。この曲に限らず、ジョンが作る詞は、最後のワン・フレイズがショート・ショートのそれのように、何か今までの話の筋をひっくり返すような意味深な一言で締めくくられているので、どうしてもその意味を読み解きたくなってしまう。


(7)BEACH ROMP  ▲tracks
 ジョンが弾くホンキー・トンク〜ラグ・タイムっぽいピアノをフィーチャーしたインストゥルメンタルの(7)。タイトルにある「ROMP」という言葉通り、何かが跳ね回るかのように躍動的な曲。曲の終盤には(1)のテーマが顔を出す。


(8)THE SUBTLE EVANESCENCE OF NOW  ▲tracks
 後に超ハイブリッドなクロスオーヴァー・グループ〜オレゴンで活躍するコリン・ウォルコットが弾くシタールをフィーチャーした、ラーガ曲のインストゥルメンタル(8)。何やら、灼熱の日差しの中に立ち上る蜃気楼のようなイメージの、ユッタリとした曲。
 彼、コリン・ウォルコットはあのシタールの第一人者〜ラヴィ・シャンカールに師事し、シタールを覚えたという。彼の共演者としてはマイルズ・デイヴィス、ケニー・バレル、ティム・ハーディン、リッチー・ヘヴンスらの名前も挙がっている。また、オレゴンではタブラ、シタール、パカヴァジ(パッカワージ)、コンガ、ダルシマー、クラリネット、エスラジ、ギター、ヴァイオリンなどを担当していた。
 しかし、これで驚くのはまだ早く、このオレゴンというグループは他の3人のメンバーもいくつもの楽器を操り、4人のメンバーで約20以上の楽器を演奏できる(さすがに一度には無理だが...)。しかもその腕前は全てが一級品という、非の打ち所のない連中。彼らの音楽性はジャズ、クラシック、ロック、フォーク、インド音楽ほかの様々な音楽を、アコースティック楽器を使って高度に混ぜ合わせたような感じのもの。そのうち是非紹介したいと思う。


(9)LAY YOUR LOVE ON ME  ▲tracks
 スタックス的な“バリッ”としたホーン・セクションが印象的なアップ・テンポの R & B ナンバー(9)。リズム・セクションは再びハル・ブレインとラリー・ネクテル、そしてギターも再度登場のマイク・ディージー。(3)同様、スリリングでドライヴ感満点の演奏を聴かせてくれる。
 そして、かなりオーティス・レディングを意識したようなしゃがれ声でヴォーカルをとるのはレイ・ドレイパーなる人物。彼はジョン・コルトレインやジャッキー・マクリーンの作品でチューバ(“チュービスト”というのだろうか...?)を吹いているジャズ・マン(またもジャズ・マン!)で、本人名義でもいくつかのアルバムを残している。


(10)MAGNETIC MAMA  ▲tracks
 ドッシリとしたリズムに乗って、ジョンがブルージーな R & R ピアノを聴かせる(10)。ジョン自身のコメントによれば、ホーン・セクションはガース・ハドスンとジョンが、リズム・セクションはリヴォン・ヘルムとジョンがそれぞれ仕上げたとのこと。
 この曲はどうやら、“マグネティック(人を惹き付ける)・ママ”の魅力に取り付かれた土地の権力者が、炎に惹き付けられる蛾のように、“マグネティック・ママ”の後を追って街を出て行く様子を歌ったものらしい。とすると、このドッシリとしたリズムは、この太った土地の権力者がノッシノッシと歩く様子を表現したものだろうか?


(11)SAFARI MARY  ▲tracks
 ママズ&パパズのママ・キャスことキャス・エリオットらによる無国籍な感じの女声コーラス、そして中近東っぽいオブリガードをヘロヘロと弾くオルガンが、「チャッッチャ、ウンチャ、ウンチャッチャッ」というニュー・オーリンズのセカンド・ラインに乗っかった風変わりな曲(11)。リズム隊はハル・ブレイン&ラリー・ネクテル。
 ここでヴォーカルをとるのは(3)で歌っていたサイラス・ファーヤーと同じくモダーン・フォーク・クァルテットのヘンリー・ディルツ。彼はアメリカン・ロックの数々の名盤のジャケット写真をはじめ、様々なアメリカン・ロック・シーンの写真を撮っている写真家でもある。彼の作品を見たい方はこちら 『 Henry's Gallery(The Photography Of Henry Diltz) 』 で見ることができる。


(12)FIREHOUSE BLUES  ▲tracks
 “消防署ブルーズ”と名付けられた(12)。ズッシリとしたリズムに、何となくミステリアスなプラス・ジョンソンのサックスが絡むインストゥルメンタル。結構マッタリした曲なのに、演奏の後ろの方では誰かが奇声を上げている。ジョンはオルガンとトロンボーンを担当している。
 この曲のクレジットもでっち上げの架空バンドによるものになっていて、今度のグループ名は“BAD KHARMA DAN & THE BICYCLE BROTHERS ”とのこと。よくワケが判らない。


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