Gene Clark, Chris Hillman, David Crosby
Roger McGuinn, Michael Clarke / Byrds <1973>

おすすめ度 ★★★★


60年代初期に「Beatlesへのアメリカの回答」とばかりにByrdsの名を借りて登場した彼らが、それぞれにその母体を飛び立ち、それぞれに成長を果たした後に再会した美しきアルバム。

独特のモダンブルーグラスバンドの実験や、ソロとしての秀作を製作したGene Clark、FBBManassasでメキメキその頭角を表したChris Hillman、そしてCSNでスーパースターとしての地位を確立したDavid Crosby。更に本家Byrdsも進行中だったリーダーRoger McGuinnの結集は、単なる同窓会アルバムに留まることの無い素晴らしき再会であった。

特に自らの名作を持ち込むなどリーダー的な働きを見せているGene Clarkの活躍は目覚しく、随所で彼の持ち味である素晴らしいヴォーカルを披露。Neil Youngのカバーを持ってくるセンスにも思わず拍手!っといった感じの働きだ。

続いて目立つのは何とChris Hillman。デビュー当時は黙ってベースを弾いている裏方的存在だった彼が、自らのルーツであるカントリー的要素をふんだんに取り込んだポップな楽曲を提供している点は、やはり本作の聴き所のひとつだ。

David CrosbyもCSNで鳴らした独特の世界を披露。特に自らの1stでも発表している10を「Byrdsの為に書いたから」という理由で再演している点は見逃せない。

逆に目立ってないのは本家Byrdsのリーダーとしても活躍中だったRogerで、本家の方が活動中ということもあってかその存在感はほとんど聴かれない。かろうじて提供したも本家Byrdsの未発表テイクには及ばない完成度となっている。

結果的にこのアルバムの発表が本家Byrdsの他のメンバーの怒りを借る羽目となり、Rogerは本家Byrdsを失うこととなってしまう。更に、本作を金稼ぎの同窓会アルバムと決め付けた評論家に散々の評価を頂いたこちらのByrdsも、その活動をストップすることとなる。

本作の出来が素晴らしいだけに、その後の活動の道を絶ってしまった当時の評価が非常に悔やまれる歴史的同窓会の唯一の瞬間を是非堪能してください。

 

〜特にお気に入りな曲達〜
(っていっぱいあってすんません^^;)

アルバムはGene ClarkによるFull Circleで始まる。再会を果たした彼らを象徴するかのような内容を持った素晴らしい本作の提供だけでもGeneの存在は充分に評価できるほどの名曲である。

Rogerによると思われるエレキとChrisによるマンドリンの響きに連れられて朗々と歌い上げるGeneのヴォーカルも美しい。

Jacques Levyとの共作によるSweet MaryはRogerが唯一その持ち味を発揮したテイクと言っていいだろう。フォークトラッドに根ざしたRogerの得意なサウンドのひとつが聴ける。

GeneによるChanging Heartはオリジナルの中ではまた出色の出来栄え。クールなカントリースタイルに自らのハープや独特のハーモニー、そして密かに後ろで鳴り響く12弦ギターを加えた響きは、自らのルーツと成長の証にByrdsのサウンドを合体させたハイライトのひとつだ。

Born To Rock'n Rollは何度も録音したRogerお気に入りのRock'n Rollナンバー。楽曲自体のがガチャガチャした魅力もそのままにラフに録音しているスタイルがイマイチアルバム全体のトーンから逸脱してる印象はあるものの、Rogerの頑張りは充分に伝わってくる。

Manassas時代に作曲したと思われるChrisによるDallas Taylorとの共作Things Will Be Betterは、Rogerの12弦ギターもご機嫌にフューチャーされたRock'n Rollスタイルのカントリーナンバー。Chrisの成長とByrdsサウンドのちょっと奇妙な融合が堪能できる。

Neil Youngによる名曲のカバーであるCowgirl In The SandはGeneが持ち込んだであろう渋い選曲。楽曲自体の魅力も去ることながら、ココではGeneの素晴らしいヴォーカルとそれに絡むCrosbyを中心としたハーモニーに尽きる。しっとりと聴かせるアレンジは、何度聴いてもため息もの。間違い無く本作のハイライトテイクだ。

DavidによるLong Live The Kingは、CSN辺りで聴かせたハードな感触が味わえるRockナンバー。このタイプの曲でいつも聴かれるCrosbyの独特のリズムギターはココでも堪能できる。

ChrisによるBorrowng Timeは再びManassas時代の戦友Joe Lalaとの共作ナンバー。ココではパーカッションもフューチャーしたラテン的な味わいも交えながら、あくまでポップに響く楽曲自体の魅力が素晴らしい。彼の成長が伺えるテイクだ。

ラストを飾る(See The Sky) About To Rainは、再びNeil YoungのカバーナンバーでGeneがヴォーカルを取る。直ぐに感じることのできるNeil独特のメロディーも余裕で自分のものにしているGeneの活躍がまたしても素晴らしく、Geneで始まりGeneで終わるアルバムの構成にもその貢献度を率直に反映した形で好感が持てる。

そして最後に響き渡るギターの響きの美しさは、彼らの友情の証のように聴こえる。二度と繰り返す事の出来なかった5人の最後の友情の証のように...... 

 


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1 . Full Circle
2 . Sweet Mary
3 . Changing Heart
4 . For Free
5 . Born To Rock'n Roll
6 . Things Will Be Better
7 . Cowgirl In The Sand
8 . Long Live The King
9 . Borrowng Time
10 . Laughing
11 . (See The Sky) About To Rain 

 

 

 

 

 

 

 

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それぞれに成長を遂げた
彼らの再会に僕らも乾杯!

(2001.3.20 更新)

 

 

 

 

 

〜関連アルバムの簡単な紹介〜
The Byrds / Farther Alone

本家Byrdsの最後となったアルバム。
長い間Byrdsを牽引してきたRogerの持ち味はあまり聴かれず
Clarence、Gene Parsons、Skip Battinの色が前面に出た
感じの仕上がりになっている。

それに加えてロンドン録音となれば今までのByrdsのアルバムとの
違いは明らかで、個人的にはSkip Battinが主導権を握ったで
あろうテイクには、いささかの違和感をどうしても感じてしまう。

しかし中でもClarenceが歌うタイトルナンバーやBuglerなどの聴き所の
存在で本作の価値は充分でないにしろ存在することは確か。

加えて最近リリースされたリィシュー盤にはリマスターに加えて
上記収録のBorn To Rock'n Rollの素晴らしい未発表テイクが
収録されている。まるでラスベガス時代のElvisを思わすアレンジに
思わず笑みがこぼれる。ソロでのアレンジを含めても
個人的には本作収録のテイクが最高だと思う。

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順路は未定(工事中)

 

 

 

 

 

〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜

Flying Buritto Brothers / The Gilded Palace Of Sin
Chris Hillmanも活躍した伝説的カントリーロックバンド!

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Manassas / Manassas
Chris Hillmanが大活躍した名盤。Stephen Stillsの魅力がいっぱい

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Gene Clark / Gene Clark
Jesse Ed Davisの協力のもと製作したGeneの名盤ソロ

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Crosby, Stills, Nash & Young / Deja vu
Crosbyがスーパースターとしての地位を確立したグループ

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Neil Young / After Gold Rush
本作でも2曲を取り上げられたNeilの3rdアルバム

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