The
Who / My Generation |
おすすめ度★★★★ |
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Modsのシンボルとして人気を博したR&B Beatバンド、The Whoが発表した記念すべき1stアルバム。初期の彼らが奏でる如何にもBritish Beatといった感じの青いR&BグルーヴとPete Townshendが早くも開花させているポップな楽曲センスとが融合した名盤。 本作は権利問題などが絡み、長い間曲目とジャケが変更になったアメリカ盤しか出回ることがなかったが、2002年にDeluxe Editionシリーズの一貫としてオリジナル仕様+αで発売された。めでたい! 内容はDeluxe Editionということもありまずは音が抜群に良く、当時から明らかに突出していたと思われる彼らの演奏力を臨場感満点に堪能することが出来る。特にリズム隊のヤカましさは顕著で、それを支えるPeteのパワーコードも何とも頼もしく、マッチョなRogerのヴォーカルとその中を縫っていくNicky Hopkinsのピアノも華麗だ。 収録曲もオリジナルの曲たちに加え、当時のシングルやアウトテイク、別テイクも満載。正にデビュー当時の彼らの魅力を存分に味わうことのできる仕様になっている。 さてクレジットの方に目を落とすとデビューアルバムでありながら13曲中実に10曲というPeteのオリジナル曲の多さが目立つ。しかもその完成度はどれも当時の水準を上回っていた事は容易に想像できる。 怒れる若者の代弁をRogerに託し、自身は抜群のセンスで彩られるポップな世界を創造。それをパワフルに引っ張るKeithとJohnのリズム隊の活躍も見逃せない。特に彼らの永遠の名曲6での圧倒的なサウンドは今更語ることもない程の素晴らしさ。 因みに本作にはNicky Hopkinsの他にも当時スタジオミュージシャンだったJimmy Pageが参加していることも有名。 後にロックオペラを代表とする完成度の高いトータルアルバムの発表で世界的な人気を博す彼らだが、僕は初期の彼らの青くもパワフルな演奏が好きで溜まらないなぁ。
〜特にお気に入りな曲達〜 まずは怒涛のオープニングナンバーOut In The Streetでノックアウトだ。ユラユラしたコードから覚めた後の若さ溢れるジャングルビートが圧倒的。いきなりKeithのドラムとPeteのパワフルなカッティングが炸裂する。 緩急のリズムに間奏のノイジィなギターサウンドと唯一無二のWhoサウンドの魅力を溢れんばかりに収録した好テイクだ。 続いてはややCoolなJames BrownのカバーI Don't Mind。Peteの少し安っぽいギターサウンドとその隙間を縫うNickyのピアノ、それから如何にもBeatスタイルなコーラスが素晴らしい。初期の彼らのもうひとつの魅力が早くも登場する。 Rogerのちょっと苦しそうな低飛行ヴォーカルも可愛いThe Good's Goneもカッチョ良いテイク。ヘビーなサウンドに掛かるPeteのコーラスも効果的だ。特に何のことも無いPeteのパワーコードだけの間奏も何故かエラクカッチョ良いぞ。 永遠の名曲My Generationはやはり本作の中でも圧倒的な存在感を見せる。Deluxe Edistionによりいつにも増してクリアに響くJohnのベースラインから当然耳が離せない。イントロから飛ばしまくるこのリードベースを遂に生で聞くことが出来なくなってしまったのはやはり残念だなぁ。 Peteのポップな楽曲センス爆発といった感じのThe Kids Are Alrightも彼らの名曲のひとつだろう。全体を覆うBritish Beatの典型とも言えるポップな世界とブリッジにおけるファンキーなグルーヴが一気に駆け抜けるモッズ達のテーマソングだ。 カバー曲の中で一番の出来はまたしてもJames BrownのPlease, Please, Please。比較的有名曲のカバーだが、真っ向からBeatスタイルでアレンジしている彼らの心意気が美しい仕上がり。こんな彼らがもう少し長く聴いていたかった。 Nickyのピアノが転がりまくるIt's Not Trueはブリッジにノイジィなギターサウンドを再び差し込んだお得意のポップナンバー。Liveではとてもカッチョ良かったのではないかと想像してみたくなる一体感いっぱいのサウンドが見事。どっかのバンドがカバーしてないかな? Peteが自慢の鼻にかけて歌うA Legal Matterは激しいサウンドとは別世界でポップに響いてしまう。ノホホンと離婚をテーマにしているという詩を演奏するその姿にRey Davisの影を見たりして。そう言えばPeteのヴォーカルもちょっとKinksっぽい? JohnのニックネームをタイトルにしたThe Oxも彼らにしか奏でられないであろう怒涛のグルーヴが存在する。Nickyの助けを借りているものの、4人で奏でる圧倒的なサウンドに脱帽。それぞれの楽器がリードを取り合うような展開はCream登場以前のRock界にどんな風に響いたのだろうか? ここからはこれでもかのお楽しみボーナストラック。まずは彼らのデビューシングルI Can't Explainがこれまでのどのテイクよりもタイトになった素晴らしいトラックで収録されている。とにかくそれぞれの楽器の切れが素晴らしく改めてこの曲のカッチョ良さに触れることが出来る好トラック。 6のB面として世に出たユニークなR&BナンバーDaddy Rolling Stoneもご機嫌なナンバー。ヘビーなサウンドとポップなコーラスの絡みが何とも楽しい。Nickyも相変わらずの活躍を聴かせる。 Keithのドラムが終始曲をリードしているかのようなLeaving Hereも怒涛のR&Bナンバー。とにかく音が止まないKeithの隙間の無いドラムとPeteのギターが最高にカッコイイ。 Lubie (Come Back Home)もR&BにストレートなBeatスタイルを施した名カバー。飛ばしまくるバックの演奏をよそにポップに響く全体のサウンドが何とも、Whoです。 ポップなR&B、そしてストレートなBeatスタイルと言えばお手本の様なShout And Shimmyも素晴らしい。緩急取り混ぜ状態の彼らの最大の魅力がココに存在する。とてもポップでとても黒くて、んでもってヤかましい。 R&B3連発の様な (Love Is Like A) Heat Waveが始まる頃には誰もがWhoのR&Bの虜になっているだろう。オリジナルは2ndに収録されたモータウンのヒットナンバーのカバーは彼らのカバー曲の中でも屈指の仕上がり。ズンジャカジャカジャカといった感じで進んでいくPeteのカッティングがたまらない。 Anytime You Want Meはなかなか味わい深いミディアムテンポなソウルナンバー。こういう曲も丁寧に演奏できる彼らに力量を感じてしまう....が所々に入るKeithの高速ロールが微笑ましい。また本作にはこの曲のヴォーカルテイクも収録されており、彼らの見事なコーラスワークも堪能できる仕掛けとなっている。分かっちゃいたけど、やっぱりちょっと意外な魅力。 初期のヒットシングルAnyhow, Anywhere, Anywayもステレオミックスで収録。タイトルの順番が違っているのは意図したものか不明。アウトテイクらしく中盤Rogerのヴォーカルがカッチョ悪く脱線する場面も。 Keithが大ファンというBeach BoysスタイルのビートナンバーInstant Party Mixtureも楽しいテイク。表面上はR&Bなモッズバンドとしてしか語られることの無い彼らの側面を示す興味深いテイクだ。ココで聴かれる彼らの隠れた魅力があるからこそR&B風ナンバーでの輝きが存在すると言ってもイイだろう。 |
Disk T 〜Bonus Tracks〜 Disk U
彼らの魅力はとにかく その魅力満載の本作は |
(2003.4.4 更新)
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〜関連アーティスト/アルバムへのリンク〜
Jeff Beck / The Late 60's With Rod
Stewart
Nicky Hopkinsも一時在籍したJeff Beck Groupの編集盤
Led Zeppelin / Led Zeppelin
Jimmy Pageが結成した伝説的Hard Rock(?)バンドのデビュー作!
The Beach Boys / Friends
Keith Moonが憧れて止まなかったアメリカングループの名盤
Cream / Desraeli Gerars
Peteのお友達Claptonが一世を風靡した新しいスタイルのブルースバンド