銀次録 web ナイト・ストリート>
1997.6.7 1999.12.18 2000.6.3 2000.12.6


銀事録 2000/12/09

 
今回は小さなイベントスペースで、銀次さんはステージ上での演奏。

♪ドリーム・タイム

今日はわざわざ、私の誕生日のために忙しい中を集まってくれてどうもありがとう。今まではこういう、ステージで、マイク立ててやってなかったので、間違えてもいいかな〜みたいな(笑)。現役時代から僕はよく歌詞が飛ぶんですよね。言い訳をさせてもらうと、どうしても頭の中、半分プロデューサーで半分アーティストっていうことで、ステージに上がるとバックの音が気になったり、アレンジここがちゃんと出来てないなって、余計なことを考えちゃうもんで、なかなかボーカルに専念できなかったんですよね。それが今日の僕の姿じゃないかと思ってますけど、今日はボーカリストに専念していきたいと思います。

♪パーティ・トーク

一応、パーティなので、この曲を用意してきたのですが、歌詞を見てると、最近のストーカー流行りのご時世では、とても怖い歌詞ですね。「どこから入ってきてもいいよ」「誰が入ってきてもいいよ」あんまり歌わないほうがいいですね。
いろんな曲を作る時に、ギター1本で作るシンプルな曲と、わりとコード考えながら作る曲とがあって、「夜を駆け抜けて」から後っていうのは、あんまりコードとか凝らないようにしようと。ただどうしても僕は昔のスタンダードナンバー、例えばナット・キング・コールとか、ああいうちょっとムーディーな、イージーリスニング的なものがすごく好きなので、影響を受けて、そういう曲もよく書くんですよ。「ウインター・ワンダーランド」で、もうそういう曲はほとんどやり尽くしちゃったのね。それ以降は、もっとモダンな曲をやろうと思って、心がけてやってきたんですが、その「ウインター・ワンダーランド」の中から、次のこの曲はすごく難しくて、ライブでやったときは、自分はこの曲は1回もギター弾いてません。歌だけです。とてもコード難しくて、キーボードの人に弾いてもらって。果たしてちゃんとできるかどうか。3回か4回転調するので、最後まで行けたらおなぐさみって感じで。


♪パリッシュ・ブルーの朝に

ちょっと脂汗ものでした。難しいんだこれ。誰が作ったんだ?(笑)

♪SKYLIGHTにポプラの枯葉

最近はツイてなかったね。ウルフルズ以降なかなかツイてなくて、一生懸命やってるんだけど、なかなかこう、何事も難しい時だよね。ただ、僕は山羊座なので、そういろんなこと起こっても全然平気なんですね。ま、きっと来年は良くなるだろうと思って、こつこつやっております。

ソニーの、僕のレーベルで、たった1人しかアーティストデビューさせることが出来なかったんでけど(七尾旅人)、彼も僕とあまりうまくいかなくて、今は1人でやっておりますけど、ま、うまくいかない理由としては、「才能のあるやつほどワガママ」ということで、僕も今、いろんな人のプロデュースやってますけど、僕が19や18の頃ってのは、ま、はっきり言って、オイシイこと言ってくる大人なんて信用してなかったし、先にいろんな先輩が音楽作っっちゃってるわけじゃないすか。そうすると、その人たちの言うこと聞いて作るのってのは、僕は18・19の頃にはすごくなんか、たとえその人の言ってることが正しくても、なんかイヤなんだよね。心の中じゃ、そうだなと思ってても言うこと聞きたくないっていうか。でもそのくらいの気持ちを持ったアーティストのほうが僕は見込みがあるなと思うし、最近20代の、若い、特に男の子のバンドとかやってると、みんな物分かりがいいんだよね、すごく。僕なんかより物分かりがいいかもしんない。だけど音楽の世界っていうのは、物分かりの悪い世界だから、やっぱりその中で自分で、これかなあれかなと形作っているうちに、形を成すようなものだから、どうもやっぱりそういう男の子が増えてきたっていうのはいかんな〜と思ってるんですけど、そのアーティストの曲を今日は1曲やりたいと思います。とっても好きな曲です。


♪八月(七尾旅人)

とってもいい曲でしょ?この曲を作った時、この七尾旅人という少年は16歳だったんですよ。僕が彼とはじめて会ったときは、アコギ1本で、こういうメロディーがいっぱいあって、いいな〜と思って、それで始めたら、テクノとかドラムベースやりたいって言い出して(笑)ま、才能がある人というのはそういうものだよね。僕がプロデュースをやめたあとも、非常に意欲的で冒険的で面白い作品を発表してるんだけど、1つだけすごく残念なのは彼のとても素敵なボーカルがちっちゃいというか、もったいないかなっていう。本当にこういう曲は、僕が初めてスタジオで彼が歌うのを聴いた時に、なんか、過去50年生きてきて、これほど感動したことはなかったですね。

北海道の15歳の中学生たち5人の、ホワイト・ベリーというバンドのシングルを、こないだプロデュースというかアレンジしたんですけど、今、1月5日からレコーディングが始まって3月にリリースするシングルの曲をアレンジしてるとこなんです。僕は生まれて初めて北海道の北見へ行きました。歌を録りに。本当に何にもないところで、冬は零下30度にもなるところで。でも、彼女たちと初めてセッションやってみて驚いたんだけど、女の子が今面白いね。なんか、はっきりしてて。スタジオでもタメ口なんだよね。「銀次さん、これどうすんの?」「これさ、こうやってやるんだよ」「本当?難しくない?」「大丈夫大丈夫」こんな感じだよ。だけどね、妙に「銀次さん、これ、どうしましょうか?」とかって気を使ってくれるよりは、スタジオとか入ったら、もうそこには音楽しかないわけで、人間関係を持ち込むと面倒くさいんだよね。もちろん、「おい、銀次、どうやるんだよ?」とか言われたら頭くるけどね。ま、音楽と向かい合ってるというか、要するに僕と彼女たちの真ん中に音楽があって、そのことでやってるわけで、いろんなことがあるよりも、そのほうがやりやすいっていうか。けっこう難しいかなっていうフレーズを考えてたんだけど、最後まであきらめずにやり通したし、ドラムの子とか、足ちょっと痛くなったりしたけど、1回も途中で痛いとか言わなかったしね、やるな〜15歳っていう感じだね。なんかけっこう感動しちゃってね。で、すごいお友達になれたし。

今、ストレンジ・デイズ・レーベルっていう所から出てるアーティストで、SISTERという2人組の男の子なんですけど、その人たちの曲で、ちょっといい曲があるので。サワリだけね、「シャルロット」という曲です。


♪シャルロット(SISTER)

いい曲でしょ?1枚だけストレンジ・デイズ・レーベルから出てて、ちょっとバグルスみたいなメロディーで、今、ライブも行っていろいろ指導したりしてます。ちょっと今、難しいところに来てて、なかなかメジャーと決まんないですけど、なんとかメジャーで決めたいなと思っております。

♪ほこりだらけのクリスマスツリー

これは、私の記憶に間違いがなければ、1983年の冬ですね。ちょうどこの年は、僕はクリスマスソングを3曲も書いた。「フェアウェル・ブルー・クリスマス」と「雪は空から降ってくる」それとこの「ほこりだらけのクリスマスツリー」この曲は、僕のアルバムには入ってません。これは加藤和彦さんとか高橋幸広さんとかピエール・バルーさんとか、そういったアーティストとオムニバスで、アルファレコードから「We Wish You A Merry Christmas」という、ムーンライダースも入ってる、アルバムがあって、その時に書いた曲です。自分のアルバムでは、わりと伊藤銀次の芸風があったので、この曲は入れなかったんですが、これはわりと、悲しい歌です。これは別れた二人がクリスマスイブに町で偶然会って、なんとなく二人とも懐かしいということになって、どちらかの家に行って一緒に夜を過ごして、朝、彼女が押入れから、ほこりだらけのクリスマスツリー、たぶん彼と一緒に買ったクリスマスツリーなんだろうけど、それを出して来てほこりを払って、キャンドルをつけたりして、っていう歌なんだよね。だけど二人でまたクリスマスの街へ出るんだけど、でも結局自分たち二人がなんで、愛し合ってたのに別れていったのかを知ってるので、やっぱり今夜だけ、っていう、とても悲しい歌なんだよね。「We Wish You A Merry Christmas」の中だったからよかったかなっていう感じ。

♪サイコモーション

ボトルネックを使った、ソウルフルな演奏だった。

♪I’m READY

♪夜を駆けぬけて

「知ってる人は、歌ってください。」と言って始まった

♪フラワーズ・イン・ザ・レイン

♪ハロー・アゲイン



ライブ終了。その後はフリートーク。私が一番印象に残ったのはこれ。

ユースケの曲で、温めてたのがあったんだよ。「冬のラビオリ」。大滝詠一+松田聖子+小林旭みたいなね。これ、出したかったな〜。ユースケの学園祭を見ていたレコード会社の人が「歌、下手ですね」って、下手に決まってんじゃん!企画モノも認めろよ!ユースケは、ドラマに出る前から、「ドラマに出たら当たるだろうな〜」って思ってたもんね。

来年はCDを出すかもしれない。或る人に、せかされてるんだよ。
(期待しましょう)

バースデイケーキが出てきて、みんなで「ハッピー・バースデイ」を歌う。おめでとうございます。
それぞれ持ってきたプレゼントを渡し、握手してもらう。
今年は銀次さん生誕50年。これからもずっとやって欲しいものです。