10年程前から現在に至るまで、伊藤銀次さんは私の音楽史上欠かすことのできない存在になっています。
細くて、やさしくて、心に響いてくる歌声、美しいメロディーに心を打たれたり、励まされたり、懐かしい昔の出来事を思い出させたりしてくれます。
昔、銀次さんは、とあるFM放送の深夜番組「FMナイトストリート」でDJをしていました。その番組にハガキを書いたら、なんと次の週にハガキが読まれて、おまけにリクエスト曲までかけてもらったのです。もううれしくて、それ以来毎週のようにハガキを出し続けました。そのうちに銀次さんも名前を覚えてくれて「この人は、いつもハガキをくれるんですよ」なんてことも言ってくれました。この番組を知ったのは社会人になった頃で、環境の変化になじめず、毎週ラジオを聴くことだけが楽しみでした。でも、社会人になったおかげで「給料」がもらえて、番組で紹介されて気に入った曲はすぐにCDを買う事ができましたが。
この番組は、音楽の内容も非常に濃くて、今まで知らなかったようなジャンルや、インディーズの人たちの曲も聴くことができました。XTC、ヴァン・ダイク・パークス、フィル・スペクター、トニー・ハッチ、マンフレッド・マン等、この番組で知ったミュージシャンは数えたらきりがありません。
銀次さんのライブに行くと、リスナーの人と知り合い、友達の輪が広がっていきました。その中の何人かは今でも交流を続けています。Web上で再会したリスナーもいます。これも銀次さんの番組から得た大切な財産のひとつです。
現在ではこの番組はありませんし、銀次さんもCDを出していません。最近はプロデューサーとして活躍されています。今でも私は銀次さんを応援しています。