第八章 〜星の少女〜
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第八章 〜星の少女〜
二限目の授業に入る前の騒ぎといったら、それは凄かった。2年生の二クラスにはこの話題しかなかった。「しゃべれない」という事実以外にも、喋れない美女なんてウワサに変わっていた。いつきもそれを聞いたようで僕に話しかけてきた。
「なぁ、ホントか?可愛くて喋れない美女が来るって?」
「美女かどうかなんか知らないよ、それにそんなウワサにしたって僕らには関係ないだろ。そんなのどうでもいいよ。もういくよ、次は選択で化学だし、準備しないと怒られるんだ。」
「お前そんなこと言って、本当にすんげー可愛かったらどうすんだよ、まぁ俺は可愛さより、音楽性が楽しみだよ、この町のヤツ等と違って絶対、今の音楽詳しいはずだからさ。」
「そうだといいけど。でもそんなに興味あるなら、とりあえず自分で話しかけろよ。じゃぁ行くよ。」
お爺ちゃんのたくらみは失敗したようだった。何が正解なんか分からないけど。そりゃ中には、「優しく接してあげよう」とか言うクラスの秀才の女子もいたけど、それは本当にごく少数だった。実際、皆何も分かっちゃいなかったんだ。なんにも。