8 July 1995
4月にビデオクリップを見て、翌日に速攻で1stシングルの "Good Feeling" を買わずにいられなかったくらい猛烈に気に入ったバンドが
Reef。どう紹介したものか悩んできましたが、ようやくご紹介しましょう。それも一気に。
まずは背景から。
バリバリの若手バンドです。今のところ、春先にリリースされた前述の
"Good Feeling" (UK#24/95)、第2弾シングル "Naked" (UK#11/95) の2枚のシングル及びデビューアルバムの "REPLENISH" が Sony S2 (Soho Square) というレーベルから発売されています。シングル2枚にはいずれもアルバム未収録のライヴヴァージョンやデモテイク入り。早くもマニアックなファンの購入心理をくすぐる作りです。
もともとは昨年、ソニーのミニディスク(MD)のUKでのTVCMに "Naked" が使われて話題になったバンドです。あまりにカッコいいロックで問い合わせ殺到、ソニー側は話題を煽るだけ煽り、満を持して今年の春からリリースを開始したわけです。その間もシングルやアルバムのアートワークに使われている卍みたいなロゴマークを効果的に用いて宣伝攻勢をかけました。Kerrang!誌ではページの下隅にあのロゴとリリース予定日のみを記した広告が何ページにも渡って掲載されました。何の説明もないシンプルな広告ですが、ロックファンの脳裏にイメージを刷り込んだのは間違いありません。また
Camden の Underworld といったクラブ近辺でデビュー前からギグを繰り返し、噂どおりの激しいライヴでロンドンっ子を唸らせたとか。Reef
を辞書で引くとマリファナを意味する俗語とされていたりしますが、そんなハッタリ(?)も効いたのか、新人バンドながら全英チャート上位に続々初登場して大ブレイクしたという訳です。
さてアルバム "REPLENISH" のサウンドの方はというと、ヴォーカリストは相当修行が足りないスティーヴ・マリオットという感じか。ハンブル・パイまで遡らないにしても、ブラック・クロウズのクリス・ロビンソンよりも数段センが細いかなあ。それでも勢いだとか動きはかなりある若々しい声をしています。それに、リズムセクションがかなりキテます。特にフレットレスもプレイするらしい弾力のあるベースは実に素晴らしい。全体として、ブラック・クロウズに対する英国の返答の大本命なのでしょう。
イギリスの白人ロックにはこうしたフリーやハンブル・パイを思わせる異様に渋いサウンドが時々出てきますよね。ある意味反動なのかもしれない。この
Reef が前座を務めたというポール・ウェラーにしたって、渋い黒人音楽へのコンプレックスで音楽やってたような時期もあるくらいですし。REEF
と FREE がアナグラムになってるのも実はユーモアセンスなのか?
というわけではありますが、残念ながら実はアルバム
"REPLENISH" は「大絶賛!」とまでは言い切れないです。個人的には。アルバム前半、オープニング曲からシングル2曲を含む付近まではカッコいいのですが、途中から急速に眠くなり、気がつくとアルバム終わってるし。中盤から後半にかけて連続で収録されているスロー系のブルージィなナンバーをゴリゴリ聴かせるレベルにまでは達してないかなあって気がします。ですから個人的にはまず上記2枚のシングル盤(これは文句なしにオススメ!)から順番に聴いて、ある程度雰囲気をつかんでからアルバムに進むのがよろしいかと。本当に化けるのはどうやら次作以降になりそうです。
May 2002 追記
Reef は何回もライヴを見るチャンスがありチケットも買ってあったのに、何故か体調を崩したり忙しかったりで結局ロンドンでは見逃しました。チケット写真、見てのとおり半券つきです。残念。
ご存知のようにこの後96年リリースの吠えまくるシングル "Place Your Hands" が全英6位の大ヒットになり、アルバム "GLOW" に至っては初登場1位を記録します。まさにセカンドで大化け、ブラック・クロウズ風のブルーズロックというよりは吹っ切れたワイルドなロケンローを聴かせてくれるバンドになりました。
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