SONGS 180 - 171
順位 | 曲名 | アーティスト | チャート順位 |
180 | I Guess That's Why You Call It The Blues | Elton John | US#4/84 |
179 | Cool Night | Paul Davis | US#11/82 |
178 | Pony | Ginuwine | US#6/96 |
177 | After The Rain | Nelson | US#6/91 |
176 | Eyes Without A Face | Billy Idol | US#4/84 |
175 | Georgy Porgy | Toto | US#48/79 |
174 | Doo Wap (That Thing) | Lauryn Hill | US#1/98 |
173 | A Girl Like You | Edwyn Collins | US#32/95 |
172 | Deuce | Kiss | - |
171 | Too Young To Die | Jamiroquai | UK#12/93 |
180. I Guess That's Why You Call It The Blues - Elton John Elton John をリアルタイムで初めて聴いたのは "I'm Still Standing" (US#12/83) で、元気な曲だなぁという程度の印象でした。80年半ば以降のスランプ(といってもトップ10ミス連発というだけ)にあったとは知らなかったし、ましてやポップ史上に燦然と輝く大シンガー/ソングライターなんて夢にも思わなかった頃のこと。程なくして出会ったこの曲は、ちょっとよろめくようなピアノのイントロといい、技巧的なコーラスの組み立てといい、ラジオでよくかかるうちにすっかり好きになってしまいました。 まだ 「ブルース」 とは何かもよく分からなかった頃のこと。今なら、人はあんな気持ちをブルースと呼ぶんだろうな、と想像がつく。時を重ねるごとに味わいを増す、それもまた名曲の条件のひとつ。素晴らしき邦題 『ブルースはお好き?』 も忘れがたいですね。 ♪Wait on me girl Cry in the night if it helps But more than ever I simply love you More than I love life itself こんなこと言えるといいね。詞を書いたのはエルトンじゃなくてバーニー・トーピンですけれど。 179. Cool Night - Paul Davis きっとこのネタ何度も書きますが、本格的に洋楽を意識した最初のカセットテープに録音されていた曲の1つ。本当にくたくたになるまで繰り返し聴いたテープで、この曲以外にもたくさんの名曲に出会いました。受けた影響ははかりしれず。1982年大晦日のNHK-FM年末特番 by 渋谷陽一。 さて、なんとなく AOR ぽいと思われている Paul Davis ですが、それは80年代初頭 『なんとなくクリスタル』 に使われたことによる勘違い、というのが定説のようです。ようです、と推定形なのはリアルタイムで体験していないからで、その意味では 「クール・ナイトより "'65 Love Affair" (US#6/82) の方が代表曲だ」 とか 「"I Go Crazy" (US#7/78) は40週間チャートインの記録を打ち立て、俺の心の中ではマカレナなんかよりずっと長かったイメージがある」 とか言われてもなんのことやらサッパリわかりません。 僕にわかるのは、この曲がどんなにメロウでセクシーな雰囲気を持っているかということ、そして短いながらも鮮明に印象に残る秀逸なギターソロを伴っているということくらいです。ですがそれで十分でしょう。更けゆく熱帯夜のドライヴ用BGMにこっそり紛れこませておきたい1曲。 178. Pony - Ginuwine 邦題という概念がほぼ忘れ去られつつあった90年代後半、僕らの脳天を直撃する強烈な1曲が出現した。それがこの 『(僕の)わんぱくポニー』。 ていうか何やねんそれ!!と突っ込むべきだったのかもしれないが、そういう時代だったからこそ、特異な邦題が記憶に刻まれ、こうして語り継がれていくのであろう。まあ、レコード会社の担当者も3日3晩眠らず悩み抜いた結果、あえて思いっきりハズした邦題に逃げたのではないかと。だって、『騎乗位』じゃあんまりだもの(笑)。 何度も繰り返され、すぐに覚えられるコーラス部分は次のとおり。 ♪If your horny, lets do it Ride it, my pony My saddle's waiting Come and jump on it このコーラスが、Timbaland の手による極めて異様なトラックの上でリピートされるわけです。Ginuwine 自身は伝統的なR&Bマナーをそれなりに踏まえたテナー・ヴォイスの持ち主で、線は細いながらも、酷い歌い手では決してありません。ただ、どうしてもこの曲の印象や、鍛え上げられた裸の上半身フォトの印象などが強すぎて、日本では引いちゃってる方も多いかも… ややスピードを上げたリミックスヴァージョンもカッコイイですね。 177. After The Rain - Nelson Nelson のファンだったことを恥ずかしいといっているのではない。そこは堂々と認めよう。僕は Nelson のファンだった。シャンプーはティモテに限ると信じ込んでいたことも告白しよう。 そうではなくて、恥ずかしかったのは初来日公演に行ってみたら、周りの席が全部女の子だったということです。そして、連れられて行った隣の某先輩ことバズちゃんが、そんな女の子たちの黄色い歓声の中で急に僕に向かって「音を立てたり、歌ったりしないでね」と言って、ライヴを隠し録りなさっていたことです(笑)。 それはともかく、Nelson は親の七光りで片付けるにはあまりに惜しいメロディメイカーかと。より正確には、祖父・父・双子と3代続けて全米#1シングルを生み出したという、たいへん血筋のよい芸能一家なのであります。1st アルバムの "AFTER THE RAIN" はそれこそどこを切っても隙なしの、極めて完成度の高い産業ポップ/ロックアルバム。デビューシングルの "(Can't Live Without Your) Love And Affection" もよいですが、このアルバムタイトル曲の方は失恋に涙する女の子を励ますシチュエーションで、聴けばきっと元気が出る大好きな曲。まさに雨降って地固まるのです。 この後彼らは Geffen レコードともめたりして、タイミングよくアルバムをリリースできずに失速。残念なことでした。 176. Eyes Without A Face - Billy Idol まあ誰も本名だとは思ってないでしょうけれど、念のため書いとくと William Broad です。ウィリアム「太(ふとし)」といったところです。反逆のアイドルの正体見破れり。今となっては謎かもしれませんが、80年代には紛れもなく一世を風靡したわけです。あのツンツン立てた髪型と、唇をゆがめてニヤリと笑う WHIPLASH SMILE にギャルのハートは虜です。じゃなくて「でした」。 最大のヒット曲は全米1位の "Mony Mony" ですし、記録より記憶に残る曲ならばやっぱり「もー!もー!もー!」の "Rebel Yell" でトドメです。しかしここはこの84年夏の大ヒットに1票入れましょう。薄っぺらい白玉シンセのイントロでいきなり脱力、薄っぺらさに拍車をかける Billy の間延びしたヴォーカルでほとんど捨て曲かと思いきや、中盤突如として凄まじいギターリフが大爆発! 曲は唐突にハードロックに展開し、 Steve Stevens が右腕をぐるぐる回すトレードマークのプレイが目に浮かんだあたりで再び前半の曲調に回帰するという大胆な展開。 …はっきり言って、全国1,000万人のプログレファンの心を鷲掴みです。 (Lionel Richie の "Say You, Say Me" と一緒だとか言うの禁止です) 歌詞の方はちょっと意味不明な部分もありますが、おフレンチ入りでそれもまた印象的でした。 ♪Les yeux sans visage eyes without a face Got no human grace your eyes without a face Such a human waste your eyes without a face And now it's getting worse... 175. Georgy Porgy - Toto Toto で1曲選ぶ。 苦行です。地獄です。どれを選んでも 『ふ〜ん、それを選ぶわけね』 とAOR者たちの冷たい視線と何百もの反論が聞こえてきそうです。なぜならば、彼らの縄張り意識はプログレ者たちと並んでもっとも牢固として抜きがたい、筋金入りのものだから。それにもめげず、ここ数年の自分の気分ではこの "Georgy Porgy" が定位置。どうせ軟弱。お好きになじってください。過ぎ去った日の苦い思い出は、時としてこの曲のイントロとともに蘇り、僕の胸を締めつけるのです。 選ぶ理由の1つとして、お洒落なコーラスを歌う Cheryl Lynn の声の魅力も挙げられます。 ♪Georgy Porgy pudding pie, Kissed the girls and made them cry... マザーグースから引用したフレーズですが、Eric Benet がカヴァーした時にこのコーラスを歌った Faith Evans もいい雰囲気だったので安心しました。自分にとって大事な曲をカヴァーされるのは、嬉しい一方で不安もいっぱいなのです。 174. Doo Wap (That Thing) - Lauryn Hill ご存知 Fugees の紅一点、ローリンちゃん。可愛いんだよね〜。 でもライムは痛烈。男の子も女の子もメッタ斬り。可愛い顔してあの子、割とやるもんです。1番で女の子の素行をばっさり斬って落とした上でコーラスは男の子に呼びかけ。2番では男の子に苦言を呈してコーラスを女の子に呼びかけ。言わんとするところは同じで、薄っぺらい見せかけだけのブラザーやシスターになるなってこと。そしてそんな異性の pretend に騙されちゃだめよってこと。 1歩間違えればチョームカツク歌詞ですが、そこはそれ、ローリンちゃんの可愛いキャラにすべてを許してしまうのです。そう美しく強い女はお・ト・クなのです。 アルバム中でも際立ったアップテンポ曲で、気持ちいいホーンセクションや、懐かしいローズやエレピの響きが温かい、ナイスなトラックでした。ビデオクリップも可愛かったですね〜。 ♪Guys you know you better watch out Some girls, some girls are only about That thing, that thing, that thing... 173. A Girl Like You - Edwyn Collins 95年夏のロンドンで、この曲を聴かない日はなかったといっても過言ではないでしょう。Orange Juice 時代は全然知らなかったので、この曲が私と彼の初めての出会い。ネオアコなんて、イルカのジャケなんて、全然知らなかったのです。ましてフリッパーズに影響与えまくっていたなんて。(←それはフリッパーズギターを聴いてないせいだと思います) アルバム "GORGEOUS GEORGE" を買って、ずいぶん聴きました。その時直感したことは、この人決して器用な人ではないなと。でも誠実な人なんだろうなとも思いました。ツバが飛んでくるような力のこもった歌いっぷりに、1度聴いたら忘れられないあのギターリフ。トップ10ヒットになってBBCの Top of The Pops という番組に出演し、スモークとバリライトの中で毎週この曲を歌う彼の姿は、はっきり言って「場違い」で、そういう聴かれ方をされるべき人じゃないんだろうに…と思わずにいられなかったのを覚えています。 ネオアコ、というパブリックイメージからすると野太い声ですし、むしろアメリカ志向な雰囲気もあります。そのせいかどうか、この曲は映画 "EMPIRE RECORDS" に使われて全米でもトップ40ヒットになりました。これがいちばんビックリしたことかも。 172. Deuce - Kiss 70年代の日本洋楽界は、キッス、エアロ、クイーンが御三家だったそうです。自分が洋楽を聴き始めた83年前後とはまるで様相が異なっていたということですね。厳密に言えばクイーンはFMで "Body Language" とかかかってましたけど。印象悪かったです(笑)。 さてこの "Deuce" は75年の名ライヴ盤 "ALIVE!" の冒頭を飾る1曲。もちろんそんなものを最初から聴いたわけもなく、多分初めてまともに聴いたのは93年の "ALIVE III" の2曲目の方。とにかくカッコいいベースのリフで、ジーン・シモンズがゴリゴリ押しまくります。はっきり言って歌詞はさっぱり訳わかんないんですけど。 ♪Baby, if you're feeling good And baby if you're feeling nice You know your man is workin' hard He's worth a deuce ま、よしとしましょうや。Kiss の魅力は単純明快なリフと2度目からは歌えるキャッチーなコーラス、そしてオーディエンスが参加できるパートをこっそり忍びこませてあるライヴ仕様の隠しネタにあるのですから。例えばこの "Deuce" の2番の歌詞ラストの "Do it!" のように… トリビュート盤が出た時にはこの曲担当のアーティストを見て頭を抱えたものですが、買って聴いてみたら不覚にも素晴らしいダサカッコよさでやられました。Lenny Kravitz くんに。トホホ。 171. Too Young To Die - Jamiroquai ジャミロクワイを批判するのは簡単です。例えばスティーヴィ・ワンダーの物真似だ。例えばフリーソウルの焼き直しだ。例えば帽子で誤魔化している。 でも、全盛期のスティーヴィも、フリーソウルの甘美な世界もリアルタイムで経験していない自分にとって、ジャミこそが本物。いいじゃないですか、身体が反応するならば。このグルーヴを否定して踊るのを拒否することほど非生産的なことはない。でしょ? 帽子のことはよくわからんけれど。 ビデオクリップがMTVを席巻した "Virtual Insanity" もよかったけれど、やっぱり1stのシングル群の出来は圧倒的。そんな中で今日の気分でこの曲を。ホーンセクションがぴたっと息を合わせてグルーヴに乗る様は快感ですし、ゆらゆら揺れるエレピにまとわりつかれながらJ.K.が歌う歌詞は、警告的というよりむしろ胡散臭さに満ち溢れてますけれど。 胡散臭いものほど信用できることもある。 一見ホンモノみたいなニセモノに満ち溢れたこの世界にあっては。 |
|