柱時計は9時30分 ここはもう真夜中の真ん中で
テレビも遥か遠く 親父のうなり声が隣から聞こえてくる
早く寝るのを村中が知っているから
もう明日の朝までは誰も訪ねてこない
ここはすっかり老人の村で 向こう3軒概ね70
緩やかに流れる北上川 動かない時の流れが結界をつくっている
天の川が静かに夜を流れ あれからどれくらい動いたんだろう?
No no no no no
床屋のネオン道端で蠢く タバコの自販機闇に立つ
夜が暗い物だって知っていた? 向こうに何かいるんじゃない?
ライトで夜空を照らす
光が夜に解けてゆく そんなに遠くまではいけるはずがない
こわさって歳には関係ない 隠しているだけで
ここに来るとわかる
お寺さんから人魂が飛んで来る 水田が月を写す
虫が鳴く 堤防を車が大平洋へ飛んでゆく
生まれたのはこの場所だったけど
生まれて死んで死んで生まれて、何度も繰り返して
宇宙はグルグルグル回る
裏山が寝返りをうつ 星が口笛を吹いて流れる
センチメンタルじゃない時を迎える
父は90、母83立派な老人になってしまい
僕だって55で立派な老人になっているんだろう
いつの間にかふるさとの記憶が薄れてゆき
いったいここはどこなんだろうか?
No no no no no