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artist : OREGON
title : 『 WINTER LIGHT 【冬の陽】』
release : 1974年
label : VANGUARD RECORDS
tracks ( cd ) : (1)TIDE POOL 【潮流の淵】 (2)WITCHI-TAI-TO (3)GHOST BEADS 【幻の首飾り】 (4)DEER PATH 【鹿の行く道】 (5)FOND LIBRÉ 【自由、素晴らしきもの】 (6)STREET DANCE 【街は舞う】 (7)RAINMAKER 【地には雨を】 (8)POESIA 【詩想】 (9)MARGUERITTE
tracks ( analog ) : side A... (1)〜(4) / side B...(5)〜(9)
members : PAUL McCANDLESS,oboe,english horn,bass clarinet ; GLEN MOORE,bass,flute,piano,violin ; RALPH TOWNER,classic guitar,12-strings guitar,piano,french horn,clay drums,hands ; COLLIN WALCOTT,tabla,sitar,pakhawaj,congas,percussion,dulcimer,clarinet.
producer : OREGON
related website : 『 The Official Oregon Website 』(公式サイト)、『 The Official Paul McCandless Website 』(ポール・マキャンドレスの公式サイト)




 このオレゴンというグループ、意外にもロック、フォーク、ジャズ/フュージョン、アヴァン・ギャルドといった、各界のビッグ・ネームと共演しており、その幅の広さは本作の音楽性を象徴しているとも言える。では、ここで当時の日本盤のライナー(執筆者不明)を参考にしながら各メンバーの共演経験をざっと紹介してみよう。

・コリン・ウォルコット…マイルズ・デイヴィス(『 ON THE CORNER 』)、ジョン・サイモン(『 LAST SUMMER 』)、ケニー・バレル、リッチー・ヘヴンスらとの共演経験あり。シタールはラヴィ・シャンカールに、タブラはアラ・ラカに師事(この両名は、アップル・レコーヅよりリリースされた 『 RAVI SHANKAR & ALI AKBAR KHAN IN CONCERT 1972 』 に出演している)。それにしても、同じ師からシタールを習っているというのに、ジョージ・ハリスンとはレベルが違いすぎる(笑)。

・ポール・マキャンドレス…アネット・ピーコック、サイラス・ファーヤー(元モダーン・フォーク・クァルテット)との共演経験あり。

・グレン・ムーア…ポール・ブレイ、アネット・ピーコックとの共演経験あり。

・ラルフ・タウナー…ピーター・ヤーロウ(元ピーター,ポール&マリー)、キース・ジャレット、ビル・エヴァンス、スタン・ゲッツ、ビリー・コブハム、ウェザー・リポート、アイアート・モレイラらとの共演経験あり。

 なお、ポール・マキャンドレス以外の3人は、同じオレゴン出身のフォーク系シンガー/ソングライター〜ティム・ハーディンの 『 BIRD ON A WIRE 』 に参加している。


(1)TIDE POOL 【潮流の淵】  ▲tracks
 ゴワ〜ンと静かに鳴る銅鑼の音に続き、ほの明るく爽やかでいながらもどことなく幽玄なギター、そしてまだ見たこともないはずなのに何となく懐かしい故郷を思わせるオーボエの音色。これだけの前奏で聴き手を別世界へと誘ってくれる(1)。
 しかし、それも束の間、インドのパーカッションがオンになってからは、様々に表情を変えながら瞬く間に流れゆく奔流の如きサウンドが展開していく。


(2)WITCHI-TAI-TO  ▲tracks
 恥かしいくらいに瑞々しいピアノの響きが印象的な(2)は、他の収録曲と比べるとかなりナチュラルな雰囲気になっている。ただ、曲調はちょっと変わっていて、メイン・テーマ部はほぼ1音だけのメロディーに対してコードの方が変わっていく、というボサ・ノヴァの名曲「ワン・ノート・サンバ」のような構造になっている。
 この(2)は本作唯一のカヴァー曲で、サックス・プレイヤーのジム・ペッパー作の曲。バーバンク・サウンドを代表するグループ〜ハーパース・ビザールもフィル・スペクター風のアレンジでカヴァーしている(『 4 【ソフト・サウンディン・ミュージック】』 に収録)。オレゴンはインストゥルメンタル・バンドなので当然歌詞はないのだが、ハーパース・ビザール・ヴァージョンには非英語ではあるが謎めいた歌詞がある。オレゴンはそんな部分に惹かれてこの曲を選んだのだろうか?


(3)GHOST BEADS 【幻の首飾り】  ▲tracks
 再び幽玄な雰囲気に戻る(3)。時に大地を蹴り、時に踏みしめるかのようなパーカッションとウッド・ベース、華麗に舞うオーボエ、光と影を妖しく描くギター。冬の朝日、もしくは夕陽をバックに、長い影の尾を引きながらひとり踊る名も無き古代人。そんなタイトルとは全く関係ないイメージを、頭の中に勝手に思い描いてしまった。


(4)DEER PATH 【鹿の行く道】  ▲tracks
 始まりのノイジーなヴァイオリンなどに象徴されるような、不穏な空気感を持った(4)。速弾きをあまりせず、空間を生かし、抑制を効かせた演奏ながら、只ならぬ緊張感に包まれている。パーカッションが無く、12弦ギターとピアノの不思議なコード感覚に支配されたサウンドは、“アコースティックな現代音楽”もしくは“アヴァン・フォーク”といった趣き。


(5)FOND LIBRE 【自由、素晴らしきもの】  ▲tracks
 幻想的な光が徐々に目の前に開けてくるようなイメージの(5)。特に中盤からのウッド・ベース、シタール、バス・クラリネットのユニゾンによるフレイズは圧巻で、何かもの凄いパワーを宿した生命体の胎動を感じさせる。タイトルから察するに、それが彼らの表現するところの“自由”というものなのだろうか?


(6)STREET DANCE 【街は舞う】  ▲tracks
 イクセントリックでトリッキーな弦楽器のフレイズに虚を衝かれる(6)。その弦楽器(ヴァイオリンかウッド・ベースの弓引き?)とタンバリンによるパーカッシヴなリズムにバス・クラリネットの不気味なリフ、そして聴き手をはぐらかしながら踊るようなオーボエによって、街の喧騒が描かれている。


(7)RAINMAKER 【地には雨を】  ▲tracks
 (2)に次いでナチュラルな印象の(7)。華麗なピアノと躍動的なパーカッションをバックに、オーボエが舞い踊る。ただ、この曲のピアノには若干ロマンティックな憂いがあって、個人的には、本作中で唯一感情移入できる曲だと思える。一瞬、ジョージ・ウィンストンが脳裡をよぎる。


(8)POESIA 【詩想】  ▲tracks
 素朴な明るさを持ったギターで幕を開けるも、徐々に混沌とした世界へと変貌していく(8)。タイトなパーカッションに乗って幾分機械的なリフを繰り返すギター、迸るオーボエ、太く蠢くウッド・ベース、といった中盤のセクションを越えると、さらに抽象性を増していく。


(9)MARGUERITTE  ▲tracks
 本作中では一番ストレイトなリズムの(9)。ボコボコ・パーカッションとチキチキ・トライアングルが生み出すスリリングなリズムは“高速サンバ・フュージョン”といった趣で、サンタナの 『 CARAVANSERAI 』 が好きな人にも気に入ってもらえそう。そんなリズムに、華麗なオーボエ、煌びやかな12弦ギター、グルーヴィーなウッド・ベースが絡み、もう興奮の渦。


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