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artist : GEORGE HARRISON |
title : 『 WONDERWALL MUSIC 【不思議の壁】』 |
release : 1968年11月 |
label : APPLE RECORDS |
tracks ( cd ) : (1)MICROBES (2)RED LADY TOO (3)TABLA AND PAKAVAJ (4)IN THE PARK (5)DRILLING A HOME (6)GURU VANDANA (7)GREASY LEGS (8)SKI-ING (9)GAT KIRWANI (10)DREAM SCENE (11)PARTY SEACOMBE (12)LOVE SCENE (13)CRYING (14)COWBOY MUSIC (15)FANTASY SEQUINS (16)ON THE BED (17)GLASS BOX (18)WONDERWALL TO BE HERE (19)SINGING OM |
tracks ( analog ) : 未確認 |
members
: COLIN MANLEY,guitar,steel guitar : EDWARD ANTONY ASHTON,jangle piano,organ
: PHILIP ROGERS,bass : ROY DYKE,drums : ASHISH KAHN,sarod : MAHAPURUSH MISRA,tabla,pakavaj
: SHARAD JADEV,shanhais : HANUMAN JADEV,shanhais : SHAMBU-DAS,sitar : INDRIL BHATTACHARYA,sitar : SHANKAR GHOSH,sitar : CHANDRA SHANKAR,sur-bahar : SHIV KUMAR SHERMAR,santoor : S.R. KENKARE,flute : VINAIK VORA,thar-shanhai : RIJ RAM DESAD,harmonium,tabla-tarang : JOHN BARHAM,piano,flugel horn : TOMMY REILEY,harmonica. |
producer
: GEORGE HARRISON arranger : GEORGE HARRISON |
related website : 『 georgeharrison.com 』(公式サイト)、『 THE BEATLES HOME PAGE 』(ビートルズの公式サイト)、『 THE BEATLES 』(ビートルズの公式サイト東芝EMI版) |
本作はコリン・マンレイ、フィリップ・ロジャース、ロイ・ダイク、そしてトニー・アシュトンの4人からなるマージー・ビート系インストゥルメンタル・グループ〜レモ・フォーとジョージ、そして1曲のみエリック・クラプトン(“エディー・クレイトン”という変名で参加)とリンゴ・スターが加わったロンドン組、残りを演奏するインド組に分かれて録音されているので、曲調がはっきりと分かれている。 |
ロンドン録音は(2,5,7,8,11,14,16,18)の8曲、インド録音は(1,3,4,6,9,10←エフェクトやコラージュはロンドン、12,13,15,17,19)の11曲となっている。 |
(1)MICROBES ▲tracks |
“微生物、細菌、ばい菌、病原菌”といった意味のタイトルの(1)。1曲目からなんというタイトルだ。これは主人公が自然科学の研究者だから仕方がない。しかし、そんなタイトルをこういうモロにインド・テイストな曲調で表現されても、いまいちタイトル通りのイメージが湧いてこない。だからといって悪い曲ではなく、タイトルと無関係に聴けば、ユッタリとしていて心地いい曲。 |
(2)RED LADY TOO ▲tracks |
ジョージが弾く、不思議な空間に迷い込んだかのようなピアノがとても印象的な(2)。お気に入りのテープを作る際、「ピアノ繋がり」でありながらも、どうにか雰囲気を転換させたい時には格好の曲だと思う。こちらはロンドン組による演奏。後ろでフルート系のメロトロンが鳴っている。 |
(3)TABLA
AND PAKAVAJ (4)IN THE PARK (5)DRILLING A HOME ▲tracks |
フィーチャーされている2種類の打楽器(“タブラ”と“パカヴァジ”)の名前を冠した短かめの曲(3)、エキゾチックな“琴”のような音のする楽器〜サントゥールがメインの美しい曲(4)の次は、ロンドン録音で、ラグ・タイムのような曲調の(5)。 バンジョーやマヌケなホーン類、そしてライナーによれば意図的にリズムを崩したというピアノがコミカルな雰囲気を演出している。 |
(6)GURU
VANDANA (7)GREASY LEGS (8)SKI-ING ▲tracks |
シタールがドローン(通奏低音)をユッタリと奏でる中、メロディーがやたらせわしなく動き回る(6)、ロンドン組が当時の録音技術を駆使した上、インドの音楽様式に習って作り上げた“擬似ラーガ”曲の(7)の後、エディー・クレイトンという変名を名乗ったエリック・クラプトン、そしてリンゴ・スターが参加したラーガ・ロックの(8)が登場。 重めの8ビートに乗って、シタールと中域の音を使ったブルージーなギター・リフが鳴る中、もう2本高域のギターが出てきて、めいめいがソロを展開する。3本のギターは、全てエリック・クラプトンによるオーヴァー・ダビング。 |
(9)GAT KIRWANI ▲tracks |
(8)と重なるようにして始まる(9)。シタールによる非常に速いフレイジングが続く。ここでの音階は我々が思い描くインド音階とは違って、何となく日本音階に近い音列。もしメインの楽器がシタールではなく三味線だったら、チャンバラ映画の殺陣のシーンにも使えそうな感じ。...使えないかな? |
(10)DREAM SCENE ▲tracks |
明らかにインドの楽器を使っているのに、何やらそれだけではないなと思わせる(10)。出だしからテープの逆回転。そのサイケデリックな伴奏に乗せて男女(インド人)が交互に歌う。インドの素材をロンドンで料理ということか。 2分半程で一旦曲は途切れ、あらためてエフェクトをかけた綺麗なピアノからスタート。そこに数本の管楽器や左右にパンするドラムが入ってきて...。突如演奏が止み、トランペットと思しき楽器の不吉な旋律や暴れるハーモニカ、サイレンの音、乱暴にカッティングされる12弦ギター、鐘の音etcのコラージュが次々と挿入されてくる混沌とした世界が繰り広げられる。 |
(11)PARTY
SEACOMBE (12)LOVE SCENE (13)CRYING ▲tracks |
コーラスと思しきエフェクトをかけ過ぎな感じのギターが印象的で、ビートルズの「FLYING」(
『 MAGICAL MYSTERY TOUR 』 に収録)に似た(11)、シタールによるピースフルな演奏の(12)とノンビリした曲調が続いた後、タイトル通り泣いているかのような(何かの動物が悲鳴をあげているような)(13)。 初めはホントに擬音的に泣いている様子を表現しているのだけれど、途中からまたもや日本音階の四七抜き音階ようなマイナー調のメロディーになる。沖縄の音階のルーツは東南アジアにあるらしいが、意外にも日本の“陰”の音階のルーツはインドにあるのかも。 |
(14)COWBOY
MUSIC (15)FANTASY SEQUINS (16)ON THE BED ▲tracks |
これまたタイトル通り、馬がポックリポックリと歩くような(14)、何かのお祝いのように華やかな、その名も「幻想のスパンコール(というか“飾り”程度のものか)」(15)、そしてヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「ALL
TOMORROW'S PARTY」(『 VELVET UNDERGROUND & NICO 』 に収録)に似た(16)。 何が似ているかというと、左チャンネルから聴こえるピアノ。そのピアノのリズムのみならず、“左チャンネル”から聴こえてくるところまで似ている。オマケに両曲共に、ワン・コードを基本にしたような作り(「ALL TOMORROW'S 〜」はそれなりの進行はあるが、低音の使い方が何となくインドっぽい)。 ジョージが作った曲とヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲が似ている例はこの曲だけではなく、サウンドトラック盤 『 YELLOW SUBMARINE 』 に収録の「IT'S ALL TOO MUCH」がヴェルヴェット・アンダーグラウンドの 『 WHITE LIGHT / WHITE HEAT 』 に収録の「SISTER RAY」と似ているという例もある。録音や発表のタイミングを考えると、どちらがどちらに影響を受けたかという判断はつきかねるのだが、とにかく非常に似ていることは事実だ。 |
(17)GLASS
BOX (18)WONDERWALL TO BE HERE ▲tracks |
シタールとタブラをフィーチャーしたインド録音の(17)に続いて、本作中一番の“見っけモノ”とも言うべき(18)のお出まし。 キング・クリムゾン的なヒンヤリと冷たく悲しげなストリングス系のメロトロンの音色と、ロマンティックなピアノにヤられてしまう。ドラムとのリズムがちょっと合ってなかったりするんだけど、そんなことはこのサウンドの前ではどこかへ吹き飛んでしまう。たった1分半程なのがとにかく惜しい。 |
(19)SINGING OM ▲tracks |
最後を締めくくるのは、インド式の葬儀でも執り行われるのではないかと思わされてしまう(19)。男声の「アーーーアァ〜アァ〜」という群唱がとても荘厳で厳粛な空気を伝えてくる。ここでのハーモニウムは、キリスト教で言えばパイプ・オルガンの役割をしているような気がする。 |
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