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artist : JUDEE SILL
title : 『 JUDEE SILL 』
release : 1971年1月
label : ASYLUM RECORDS
tracks ( cd ) : (1)CRAYON ANGELS (2)THE PHANTOM COWBOY (3)THE ARCHETYPAL MAN (4)THE LAMB RAN AWAY WITH THE CROWN (5)LADY-O (6)JESUS WAS A CROSS MAKER (7)RIDGE RIDER (8)MY MAN ON LOVE (9)LOPIN' ALONG THRU THE COSMOS (10)ENCHANTED SKY MACHINES (11)ABRACADABRA
tracks ( analog ) : 未確認
background voices : CLYDIE KING,VANETTA FIELDS,RITA COOLIDGE.
producer : HENRY LEWY,JOHN BECK,JIM PONS,GRAHAM WILLIAM NASH 《(6)》
orchestrated by DON BAGLY & BOB HARRIS.
composed,arranged and supervised by JUDEE SILL.
related website : 未確認




(1)CRAYON ANGELS  ▲tracks
 カントリー/フォーク・タッチのアコギのアルペジオに、素朴で優雅なオーボエらしき管楽器のフレイズが絡んでくる、穏やかな(1)。普通ならアコギの感じからしてアメリカンな感じがしてもいいはずなのに、この管楽器が入ることによってヨーロッパ的な感覚に姿を変えてしまう。だから、とつとつと内省的に歌う他のアメリカのシンガー/ソングライターとは違って、何となくドリーミーでファンタジックな空気が感じられる。そんな中、部分的にブルージーなメロディーを挿入してくるので、一瞬ハッとさせられてしまう。


(2)THE PHANTOM COWBOY  ▲tracks
 タイトルからも想像がつくように、のどかなカントリー調の(2)。しかし、この曲も一風変わっていて、サビでは歌メロがバロック的になる上に、とてもクラシカルで優雅なストリングスや管楽器が出てくるので、北欧の国の高原で、お城を眺めながら昼食を取っているような気分にさせられてしまう。心地いい清涼感と気品に溢れた曲。


(3)THE ARCHETYPAL MAN  ▲tracks
 スティール・ギターがフィーチャーされた、これまたのどかで幻想的なカントリー調の曲で、今度はワルツの(3)。間奏ではユルユルな耳あたりのスティール・ギターのソロの後、彼女の声によるクラシカルなスキャットが披露される。


(4)THE LAMB RAN AWAY WITH THE CROWN  ▲tracks
 フォーキーなシャッフルの(4)。出だしの「パラダ〜〜〜」というスキャットがとても心地いい。遠くでボンヤリと鳴っているような低めのフルートらしき楽器も含めて、とても幻想的な雰囲気に包まれている。部分的にリズムをワルツにし、ブルージーなメロディーを持ってくるなど、ヒネリも入れている。終盤はドラムがフェイド・インしてきたり、バスのハーモニカらしき楽器やホーン・セクションも登場してきたりして、“ホノボノと賑やかに”なってくる。


(5)LADY-O  ▲tracks
 再び優雅なストリングスがフィーチャーされた、クラシカルなフォークの(5)。歌メロは初めはクラシック的な上がり下がりをするものの、ある部分はブルージーになる。どうやらこれは彼女の作風のようだ。


(6)JESUS WAS A CROSS MAKER  ▲tracks
 クロスビー,スティルス&ナッシュのグレアム・ナッシュのプロデュースで、アサイラム・レーベル第1弾シングルとしてリリースした(6)。ピアノをメインの伴奏楽器にして、ストリングスやゴスペル的なコーラスも加わり、徐々に高揚していく曲。おそらくこのコーラスにはリタ・クーリッジが参加している模様。


(7)RIDGE RIDER  ▲tracks
 タイトルの「リッジ・ライダー」とは“尾根行く人”という意味のようなのだが、それに因んでか、ゆっくりとしたカントリー調の曲に合わせて“ポック、ポック”と馬のひづめを模した音が聴こえてくる。ノンビリとしたスティール・ギターや、ホンノリと静かに鳴っているオーケストラの存在感もいい。


(8)MY MAN ON LOVE  ▲tracks
 ハートウォーミングな(8)。基本的にはアコギの伴奏だが、星が登場する歌なので、チェレステを使って星が密かに輝く様子を表現している。偶然だとは思うのだが、サビの一部分がビートルズの「NOWHERE MAN」(『 RUBBER SOUL 』 に収録)の“NOWHERE MAN PLEASE LISTEN”という部分に似て聴こえる。


(9)LOPIN' ALONG THRU THE COSMOS  ▲tracks
 タイトルに出てくる宇宙のように雄大で、そしてゆっくりと静かな雰囲気を湛えた(9)。その雰囲気を、ある程度はオーケストラの力を借りているにせよ、ほとんど歌とアコギ一本で表現できてしまう彼女の個性はとても貴重なものだと思う。デイヴィッド・ボウイの「SPACE ODDITY」(『 SPACE ODDITY 』 に収録)のように人工的で未来的な宇宙像(それもいいが)とは違った、小さな地球から空を見上げて想いを馳せているような素朴な宇宙像が、なんとも懐かしく切ない感じがしてならない。


(10)ENCHANTED SKY MACHINES  ▲tracks
 他の曲に比べ幻想的な雰囲気が薄れた感じの、ブルージーなピアノ伴奏が印象的な(10)。サックスも入ってとてもコンテンポラリーな仕上がり。幻想的な雰囲気が薄れたからといって、別にそれほど悪い曲ではない。


(11)ABRACADABRA  ▲tracks
 いかにも彼女らしいタイトル(11)。ジャケット写真での彼女は、黒く長いローブを身にまとい、色つきのメガネを掛け、髪はサッと分けただけの長髪、そして十字架を首から下げており、さながら“森に住む魔女”といったいでたち。そこへもってきて、タイトルが「アブラカダブラ」。あまりにハマっている。
 しかし、曲調は全然アラブ風でもなければ、オリエンタルでもない、クラシカルでフォーキーなもの。はじめは素朴なアコギのアルペジオで始まり、後半はにわかに壮大なオーケストラが登場して、映画でも見ているような幻想的な高揚感に包まれる。


 こんなに幻想的な本作を作った彼女だが、宮本望氏のライナーによれば、その生い立ちは必ずしも幸せとはいえないようなものだったらしく、また、何かの本で見たところによると、服役経験もあるそうな。だからこそ、つらい現実からひと時でも逃れたいために幻想的なことを考えるようになったのだろうか。

 現に彼女の歌詞をよく見ていくと、多くの曲は“自分から去っていく幸福”について、そして“自分が幸福を探したり、待ち受けたりする様子”を幻想的な言葉に託して歌ったもののように思えるのだ。


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