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Tokyo, 2007. 2. 1
text by Yoshiyuki Suzuki
interpretation and translation by Stanley George Bodman


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元ボッチのブライアン、元キル・シェイディーのスティーヴらが結成したディーズ・アームズ・アー・スネイクスは、現在ふたたび活況を示しているシアトルのシーンにおいても要注目の個性を持ったバンドだ。2006年のイベントで初めて見た際、あまり大勢のオーディエンスがいるとは言えないフロア(っていうか駐車場の一角だったのだが)に1曲目のイントロから飛び込んできたスティーヴは、ステージ側に戻された時(柵で仕切られているだけで高い舞台があるわけではなかったので)ものすごい勢いで地面に投げ落とされる結果になってしまった。だが、普通ならライヴ中止だってあり得るくらいのヒヤッとした瞬間だったにもかかわらず、彼は果敢にもマイクをとり再び激しいパフォーマンスを続けたのだ。その姿を目撃して以来、自分は彼らの大ファンになった。だから翌年になって、アイシスとボリスのツアーに帯同する形で再来日が決まった時はとても嬉しかったし、ぜひにと取材を申し込んだ次第だ。兄弟分的な存在であるマイナス・ザ・べアとともに、極めてユニークな音楽性を持っており、ルックスも密かによかったりするので、今後の活躍を大いに期待したい。

「初めてハードコア・バンドを組んだ頃は、いつもライヴ中に仲間がマイクを奪ったり、誰かの上に乗っかってたりした。だから、そういうスタイルが自分の中に染み付いているんだろうね。その方が僕も楽しいし」

初めてあなた達のライブを観たのは昨年のインディペンデンスDというイベントでだったのですが、それ以来の大ファンなので、今回の単独来日はとても嬉しかったです。

Steve:ありがとう! あの日は僕達もとても楽しかった。まだあのショーで怪我をした傷が腕に残っているよ(笑)。

実は私、あの時、柵とステージの間にあなたを落としちゃった1人なんです。

Steve:そーか! ははは!

今回はISIS、BORISと共同でのジャパン・ツアーとなったわけですが、まずはツアーの感想を聞かせてください。

Steve:素晴らしいよ。ISISとはこっちへ来る前にも、アメリカで一緒に6週間ツアーを廻って来た仲だから、日本でもこうして彼らとツアーできたことはとても嬉しいし、BORISは今回初めてライブを観ることができたんだけど、本当に良いバンドだから、最高のツアーだね。

では、初めてのインタビューなので色々と基本的な話を聞いていきたいと思うのですが、まず2人ともそれぞれThese Arms Are Snakes以前のバンド・キャリアがありますよね? Botch、Kill Sadieともに、その界隈では知られたバンドだったわけですが、それらが解散してThese Arms Are Snakesを結成するに至るまでの大体の経緯を教えて下さい。

Brian:まずスティーヴが在籍してたKill Sadieが解散して、その1年後くらいに僕がやっていたBotchが解散したんだけど、僕は1ヵ月くらい何もしてなかったんだ。そのうちギターのライアンがバンドを始めようと動き出して、そこに僕が呼ばれて、遊んでいるうちに「ちゃんとしたバンドを始めよう」って話になり、スティーヴも誘って現在に至るって感じだね。

バンド結成以前からメンバー同士の間に交流があったのですか?

Brian:そうだね。すごく大きな友達の輪があって、僕達もその中に昔からいるんだ。シアトルはそんなに大きな都市じゃないし、その中でもダウンタウンに住んでると大体が知り合いになるんだよね。だから、みんなほとんど昔からの顔なじみで、シーンも非常にタイトだから、どこかのバンドが解散したら、その中の誰かがまた別の友達と新しいグループを作る、みたいな感じで、小さなサークルの中で回っているんだよ。

These Arms Are Snakesの音楽性は、結成当初からある程度「こういう感じの音を鳴らしたい」というのが見えていたのか、それともやっていくうちにこういうサウンドが出来上がってきたのか、どちらなのでしょうか?

Steve:「こういう音楽をやりたい」っていう漠然としたイメージは最初からあったと思うけど、あえて具体的に決め込んではいなかったな。そうすることで、オープンなスタンスで、いくらでも変化していける余地を持っていられるからね。「ひとつのカテゴリーにまとめられてしまうような音楽にはしたくない」っていうことだけは考えていて、その結果が今みたいなサウンドになっているんじゃないかな。

Brian:確かに最初は「ラウドであること」と「ロックであること」ぐらいしか決めてなかった。あとは「様々なダイナミクスつけたい」っていうことぐらいかな。とにかく「こんなサウンドは俺達らしくないからダメ」っていう決まり事は作りたくなくて、漠然と「良いライヴ・バンド」であることだけを目指して始めたんだ。

ブライアンは今、ステージでベースとキーボードを1人で担当していますが、それは最初から一緒にやってしまおうと考えていたのでしょうか?

Brian:いや、そうではないな。当初から、キーボードなり何かしらエレクトロニックな楽器を取り入れたいっていうアイデアはあって、以前はキーボード・プレイヤーがメンバーにいたんだけど、結局そいつとはうまくいかなくてね。で、すでに出来上がった曲にキーボード・パートがあるから、またキーボード・プレイヤーを探そうとも思ったんだけど、そこに労力を費やすよりは自分でやってみようかと思ったんだ。僕にとっては今まで扱ったことの無い楽器だったけど、ずっとベースをプレイしてきて身についた、ある種の癖というか得意のスタイルが、キーボードも扱うことによって今まで通りにはいかなくなったのが、僕にとってはチャレンジングでエキサイティングだったし、むしろクリエイティブな思考を新たに身につけたような気分なんだよ。

Steve:今では完全にサンプリングや色んな切り替えスイッチに犯されてるもんな(笑)。

Brian:そうなんだよね。やることが多すぎて、たまにブチ壊してやりたくなる時もあるよ(苦笑)。

Steve:まだ何も壊してないのが不思議なくらいさ!

(笑)。スティーヴもライヴではマイクを2本使って、1本はエフェクターに繋いでいたりして変わったことをしていますが、ああいうアイデアはどこから出てきたのでしょうか?

Steve:前のバンドの頃からマイクにディレイのペダルを繋いだりはしてたんだけど、今はそれをさらに押し進めたようなことがやりたくて、いろいろ試してるんだ。まだ現段階ではどこまでバンドにとって効果的なことができているか自信が無いんだけど、もっとバンドのサウンドに新たな音の層を重ねていきたいね。特に誰かの影響を受けて始めたってわけではないけど、アンチコンから作品を出しているドース・ワンっていうアーティストはすごく上手にやっていて面白いなと思う。

レコーディングの時からそういうことを色々と試したりしているのですか?

Steve:うん。最初はライアンが持っていたカオス・パッドを借りて使っていたんだけど、ライヴ中に壊しちゃって(苦笑)。その後、自分で買ったやつもツアー中に盗まれて、今のが3台目だね。

ちなみに、あなた達の音楽には色んな要素があると思うのですが、曲を書く時はどんな感じで書いていくのでしょうか?

Brian:いろんな方法があるよ。メンバー全員がスタジオに集まって、なんとなく音を出してる間に偶然出来てしまう時もあれば、誰かがアイデアを持ってきてそれに自分達のパートを乗せていくような時もあるし。基本的にはグループでの作業というか、みんなでアイデアを出し合って作っていくのがほとんどかな。ほぼ完成形を誰かが持ってくる時っていうのは、おそらくバンドが煮詰まった状態にあるってことだと思うんだ。幸い今まだ僕達はそういう状況になっていないし、ずっと今の作曲スタイルであって欲しいと願ってるよ。いちばん怖いのは、バンドが新曲を書けなくなる状態になる事だから、そうならないように様々な作曲パターンがあっていいと思うけどね。

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