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さて、歌詞についても聞きたいんですが、例えば“Skies Of Millennium Night”では社会に対する意見表明をしていますし、一方で“(If You Weren't So) Perfect”などは個人的な恋愛経験について書いているようですね。どういったことが歌詞を書く時のインスピレーションとなりますか? Mikee:それは、人間性だね。さっきも言ったけど、俺はよく人間観察をする。世の中で起こっていることや自分の周りで起こっていることを観察して、それを歌にするんだ。よく詩も書いているよ。そうやって観察しながら自分の感じることが曲作りのインスピレーションとなる。出会った女性や付き合った女性のこと、友達に傷つけられたりしたこと、友達のやったことで嬉しく感じたことなんかもね。で、自分の感じる怒りを外に吐き出して、そこからポジティヴなヴァイヴを作り出すようにしている。怒りや悲しみは誰もが感じるものだから、そうすることでみんなが感情移入できるしね。ペンの自然な動きに任せて歌詞を書いているよ。自分の感情を紙に向かわせて、曲の中でそれを歌っているんだ。 ちなみに“How May I Help You?”という曲の歌詞は、あなたが執筆中の本がベースとなっていると聞きましたが、それはどういった本なのでしょうか? Mikee:本は何冊も書いてるんだけど、その内の一冊の、ある一章を基に書いた曲なんだ。ふと頭に浮かんだ物語なんだけど、あの本を読んだらもっと曲の内容が分かってもらえると思う。でも、あと数年は経たないと出版できないだろうね。次のアルバムが出る時にもまだ出来上がっていないんじゃないかな。 (笑)壮大な物語なんですね。ところで、あなたはシクスと別にSAD SEASONというサイド・プロジェクトをやっているそうですが、どういったバンドなのか教えてください。 Mikee:SAD SEASONは、さっきから名前の出てるトマスと俺の2人でやってるアコースティックのバンドで、2人のシンガーがギターとドラムとその他の小さな楽器を使って演奏しているプロジェクトだ。トマスがギターでコードをかき鳴らしながら2人で歌うんだけど、リアルでピュアなものだよ。即興で曲を作って、生々しい感情を表現している。素晴らしいものだと思うし、やってて凄く楽しいんだ。俺にとってスピリチュアルで、セラピーのようだね。それをやってると、旅をしているような気分になる。曲というのは、色んな旅に連れて行ってくれるものなんだ。シクスとは全く違った音楽だよ。 わかりました。さて、今のイギリスのロック・シーンで特に共感できるようなバンドはいるでしょうか? また、シーンの中で自分達はどのような存在だと考えていますか? Mikee:イギリスでは、俺達は「風変わりなヘヴィ・バンド」として見られている。ラウド・ミュージックの人気は衰退気味で、その代わり、今はエモに注目が集まっているね。俺の大嫌いな音楽だ。パセティコ(※本人の造語で“哀れな音楽”という意味)と呼ぶべきだよ。やるせない気持ちになる。メソメソしてて中途半端で、何の意味も存在していない。俺には共感できないね。エモってジャンル名はエモーショナルから来ているけど、そこに唯一ある感情は不機嫌な感情さ……ごめんよ、言い過ぎたかな。それから、共感できるバンドについてだけど、俺達は本当に色んな要素のあるバンドだから、どのバンドとも違っているし、同じようなサウンドをやっていると思えるバンドはあまりいないね。ジャスティンのヴォーカルに関しては、メロディックで声も中音域だから、他にも似たようなシンガーはいるのかもしれないけど。俺達の音楽は、ワイルドでテクニカルでメロディックだ。もし、他のバンドと比較するんだったら、よく俺達の音楽を聴いてからにしてほしい。 デビュー・アルバムを今聴き返してみて、どんな風に感じますか? Mikee:実を言うと、アルバムが完成してからは2回くらいしか聴いてないんだよ。レコーディングの時に聴きすぎたから、今はジョニー・キャッシュとか、落ち着ける音楽を聴いてる。ヘヴィ・ミュージック、特にシクスのアルバムは聴かないね。聴くとしてもパンテラだな。このアルバムはせわしない感じだしさ(笑)。それに、毎晩ここに入ってる曲を演奏しなくちゃならないわけだから、あえて聴かないことで新鮮さを保っているんだよ。おっと、こんなこと言ってちゃマズいかな(笑)。このアルバムの良い点を話さなくちゃね! いいアルバムだよ(笑)。驚異的に素晴らしい(笑)! ここ5年〜10年でリリースされた作品の中では、オリジナルな音楽をやっているもののひとつだね。日本のみんながこのアルバムを良く受け取ってくれて嬉しいよ。イギリスでも評判はそれなりに良くて、あまり露出されていない割には1万枚も売っているからいいと思う。クールだね。6人の違った個性が表現されているアルバムだ。 今後さらにどういう方向で創作意欲を発揮していきたいと思っていますか? Mikee:それについても、やっぱりメンバーそれぞれ違った目標を持っているよ。ダン・ウェラーはプロデュースに興味があって、ポップな音楽をやりたがっているし、ソングライターとして他のアーティストにも曲を提供したりしている。ジャスティンもプロデュースに嵌っていて、俺もプロデュースやミキシングやサイド・プロジェクトを幾つもやっているよ。いつでもクリエイティヴでいたいんだ。少し前にコンピューターが壊れちゃった時なんか、気がおかしくなりそうだったよ。レコーディングが出来なくなっちゃったからさ。で、ダン・フォードはシクスに力を注いでいて、もっといいドラマーになろうと努力している。ジェイムズは常にベースを弾いていれば満足しているみたいだ。彼やピンやダン・フォードはシクスに集中しているね。 では、バンドとしてどのような目標や野望を抱いているか教えてください。 Mikee:シクスとしてまた日本に戻って来れたら嬉しい。バンドとしてはもっとグルーヴのある音楽を作りたいね。このデビュー・アルバムはクールだけど、さらに良いアルバムを作りたいし、そうできるはずだよ。もっとバンドとしてまとまって、ファーストにあるような叙事詩的な要素は残しつつも攻撃的で違ったアルバムを作りたいね。似たような感じではあっても、全く同じことは繰り返したくない。あ、別にメタリカみたいに『LOAD』を作ってから、この前の最新アルバムみたいな全く違うものを作りたい、とかいうわけじゃないよ。むしろパンテラみたいになりたいね。『COWBOYS FROM HELL』も悪くはなかったけど、その次の3枚はもっと素晴らしかった。ベストと言えるメタル・アルバムだね。過ちからも何かを学んで、成長していきたいんだ。ファースト・アルバムでも学んだことがかなりあるから、次のアルバムは全体的にもっと良くなるはずだよ。 最後に、音楽に限らず本とか映画とかTVとかゲームとか何でもいいので、最近お気に入りなものを教えてください。 Mikee:うーん、ちょっと考えるのに時間くれる?(少しの沈黙の後)正直に言って、歌詞を書いて音楽を作ることだな。詩を書いたり、友達と会ったり、インスピレーションを与えてくれるような人と会ったり、そういったことだね。今年の初め、俺は何もしてなくて、ただ友達と飲みにでかけたりプレイステーションをやったりして適当に時間を潰していて、「こんなことじゃダメだ。この頭にあるものを吐き出して創造的な活動をしなくちゃ」と思ったんだ。破壊的でいるよりもクリエイティヴでいる方が全然いいわけだからさ。破壊的っていうのは、人に対してじゃなくて、自分の中での話だよ(笑)。 映画を見たりとかはしないんですか? Mikee:最近は「ロード・オブ・ザ・リング」を観たよ。3作ともね。素晴らしかったな。よくある“善と悪”の戦いがテーマで、それがファンタジーの世界で繰り広げられていて、見事な内容だった。エンディングはちょっと長すぎかなと思ったけど。ここに来る飛行機の中で「ラスト・サムライ」も観たけど、それも良かった。お辞儀をする習慣も気に入ったね。 ちなみに「ロード・オブ・ザ・リング」の登場人物の中で、あなたがいちばん感情移入できるキャラクターといったら誰になりますか? Mikee:クールな質問だ。やっぱりフロドかな。彼は色んな重荷を背負わなくちゃならなかったからね。感情移入できるところはたくさんあるよ。いい映画だったら、どんなものでもそういった部分はある。「ロード・オブ・ザ・リング」は意味深い映画だと思う。あの指輪のせいで軽蔑されてしまうような存在になったゴラムもいいな。本当に素晴らしい映画だし、映像的にも最高だよ。
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