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Tokyo, 2004.4.16
text by Yoshiyuki Suzuki
interpretation and translation by Mariko Shinbori

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 2004年、デビュー・アルバム『ザ・トゥリーズ・アー・デッド&ドライド・アウト、ウェイト・フォー・サムシング・ワイルド』をリリースし(※本国では2003年)、4月にはエクストリーム・ザ・ドージョー、7月にはフジロック出演のために来日したシクスは「英国出身のカオティック・コア・バンド」という一言では片付けてしまえない不可思議な個性を持ったバンドだ。それを最も端的に示しているのが、2人いるヴォーカリストのうちドレッドヘアの方=マイキーによる演劇的要素も取り入れた奇妙なヴォーカル・パフォーマンスだろう。以下のインタビューを読むと、彼が単なるメタル好きでなく、独自のアート志向を持っている人間だということが分かる。相変わらずブリティッシュ・ハード・ロックが盛り上がらない時代は続いているが、そんな状況下で今後どのように個性を発揮していってくれるか、その頑張りを見守っていきたい。

「曲の初めから終わりまでただ叫んでいるようなヘヴィ・ミュージックには耐えられない。そんなの誰もがやっている。だから、俺はその先にあることを考え、自分自身を深く見つめて、自分には何ができるのか考え続けるんだ」

初めての日本はいかがですか?

Mikee:日本人は本当にいい人達だよ。ここに住みたいくらいさ。

日本に来たミュージシャンは大体みんなそう言ってくれますね。でも、あなたは将来を見込まれていて、それで大事に扱われているんだと思いますよ。

Mikee:いやいや、関係者だけじゃなくて、街で会った人たちのことを言ってるんだ。態度とか雰囲気とか、みんな礼儀正しいよ。お互いのことを尊重し合っていて、凄くいい雰囲気だ。昨日ホテルのバーで気持ち悪くなってしまったんだけど、たまたまそこにいた女性が助けてくれたし。そうやって人のことを気にかけてくれるなんて素晴らしいね。その人はホテルの人ってわけでもないし、俺がホテルに滞在していることも知らなかったはずだよ。

そうなんですか。ただ、日本でも田舎の方に行くと、その髪型はちょっと怖がられるかもしれません。

Mikee:(笑)俺が住んでる地元の町の人達も、俺のルックスには圧倒されてるね。ウンザリだよ。だから、イギリスのブライトンっていう町に引越すつもりさ。もっとクールで雰囲気もいい場所なんだ。東京ほどじゃないけど、それなりにいいところだよ。文化的にもね。

なるほど、では、昨日のイベント「エクストリーム・ザ・ドージョーVol.10スペシャル」に参加した感想を聞かせてもらえますか?

Mikee:凄く満足してる。最高だったよ。あんなに良いリアクションで、俺達もビックリした。日本では初のライヴだったのに、ステージに上がった途端オーディエンスの反応を見て「全ての力を出し切らなきゃ」と思ったね。凄く盛り上がってくれて、これまでやってきたライヴの大半の観客よりも俺達を広い心で受け入れてくれていたんじゃないかな。特にアンスラックスとかディリンジャー・エスケイプ・プランのオープニングなんていう立ち場だと、もしイギリスだったら「何だよ、こいつら?」みたいな反応になるだろうけど、日本では偏見なく俺達みたいなバンドを受け入れてくれるみたいだね。

ちなみに昨日のセットリストは、イベント全体に合わせてアグレッシヴなものを中心に持ってきたという感じなんでしょうか?

Mikee:そういう風にすることもあるけど、基本的にセットリストは大きく変えないかな。変えるとしても1曲くらいで、それもただバンドが好きだから、という理由だね。昨日は俺達の曲の中でもグルーヴのある曲をやった。グルーヴやエネルギーを出したかったんだ。ヘッドライナーとしてやる時はどんな曲も演奏するけど、昨日のように時間が短い時には、ああいったセットリストにする。最近、アート・フェスティヴァルでライヴした時には自分の語り(spoken word)も全部入れたけど、昨日は最初から最後まで通してエネルギッシュなものにしたかったから、そういうのは控えて、激しさを保つようにしたよ。

つまり、ワンマン・ライヴで時間に余裕がある時には、もっと雰囲気を作ってオーディエンスに聴き込ませるようなところも出てくるわけですね?

Mikee:そうなんだ。思い切り激しくて、観客が「すげー!」となるような部分もあれば、ショウがピークに達して会場も暑くなって、みんなの疲れが出始めたら語りに入って、騒ぐよりもじっくり聴いてもらって少し落ち着いてもらえるようにする。そうすることで、みんなのエネルギーもまた戻ってくるしね。インスト曲も幾つかやったりするよ。

昨日は短いセットではあったんですが、他のバンドと比べたことで、シクスならではの独特の持ち味みたいなものは充分に伝わってきました。で、それはやはり「イギリスらしさ」なのかな?とも思ったんですけども、あなた自身はバンドの個性についてどう意識していますか?

Mikee:俺達のサウンドは、イギリスのどのバンドと比べても異なっているよ。俺達は俺達であって、ただ思い付くままに曲作りをしているし、もし聴いたことがあるような曲を書いてしまったら、違ったものに書き直すんだ。自分独自、バンド独自の曲を作りたい。他のバンドと同じようなサウンドを作りたかったら、カバー・バンドになってしまうからね。アンダーグラウンドで活動する小さなバンドの場合、決まったひとつのシーンに浸かってしまって、そのシーンに属する他のバンドと同じことをしてしまいがちだ。そのシーンの中ではリスペクトされるかもしれないけどさ。俺達はハードコアでも何でもないし、ヘヴィではあっても独自の音楽を作り出している。だから、俺達にとってオリジナルな存在でいるというのは非常に重要なことなんだ。次のアルバムもかなりワイルドなものになるよ。

分かりました。それでは、あなたの生い立ちについて少し話を聞かせてください。セントオールバンズというところで育ったそうですが、どんな環境だったのですか?

Mikee:シクスのメンバーはセントオールバンズ、ワトフォード、ハローとか色んなところの出身なんだ。で、セントオールバンズは、昔はウェルラミウムと呼ばれていたかなり古い町で、ワトフォードもそうだけど、あまり新しいことを受け入れるような場所じゃないね。自分達だけの世界を持ってるみたいなところで、みんなで固まって何かに盲従するような感じ。俺達がやっているような音楽に夢中な人間や俺のような髪型をしている人間にはそぐわない町だね。文化が違うからさ。で、俺達はそんな文化に適合しようとは思っていない。今、質問されて気付いたけど、そういう俺達の育った文化に反抗してこんな音楽をやっているのかも(笑)。

その町で、どんな風にしてロック・ミュージックに目覚めたのですか?

Mikee:11歳の頃に、ガンズ・アンド・ローゼズやメタリカなんかを聴くようになってさ。片面はパンテラ、もう片面にはセパルトゥラを録音したテープを持ってたよ。で、そういった音楽を聴いてたんだけど、正直言ってもうあまり聴かなくなったな。今はジョニー・キャッシュやヴェルヴェット・アンダーグラウンドなんかを聴いている。ジョニー・キャッシュの最新のアコースティックなアルバムは、リアルでディープだね。ニック・ケイヴも凄い。彼のやることは何でもカッコいいよ。あと、ドアーズもいいし、レナード・コーエンも素晴らしい。彼らの作品に触れたことがきっかけで歌詞に注目するようになったんだ。それまでは曲全体のヴァイヴを聴いていたけど、今はまた違った音楽の聴き方をしている。ジョニー・キャッシュやレナード・コーエンやジム・モリソンの歌は、言葉に意味があって、セラピーのような効果がある。もうメタルの世界には何も新しいものがないし、リアルにも感じない。どれも同じサウンドで、同じ歩道を100万人が歩いているようなもんだ。まあ、中には良いバンドもいるけどね……Mr.バングルは好きだよ、マイク・パットンは最高だ。

では、自分自身が音楽をやり始めた時のことも教えてください。

Mikee:14歳になって友人とSCOURED DOMAINというバンドを初めて、7年間そのバンドで活動していたんだけど、色んな理由から解散してしまってね。俺はワトフォードのメタル・シーンにいて、そこで当時は別のバンドで活動していたジャスティンなんかと知り合ったんだ。あと、当初シクスにいたメンバーで、俺の友人であるトリスタンにもね。シクスはこれまでに3人メンバーが変わってるんだけど、知ってた? トリスタンの声の幅はこのバンドに適したものではなかった。彼のやりたかったのは物凄くヘヴィな音楽で、それはそれでクールだったしエネルギッシュだったけど、そういった方向ではなく、もっと幅の広いことを色々とやりたいと思っていたから、彼とは上手くいかなくなって、それで別のドラマーとベーシストとシンガーを入れたんだ。そのシンガーがジャスティンだよ。俺がプロモーションの仕事――ちなみに最低の仕事だったけど(笑)――をしていた時、彼のデモ・テープを聴いたことがあって、それでヴォーカルが気に入って誘ったんだ。

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