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ちなみに子供の頃イタリアでは、どんな音楽環境に育ったのですか?

Alessandro:とてもよい家庭でね。ボロニアとアドリア海の間にある小さな街で生まれ育って、その街自体にそれほど思い入れはないんだけど、音楽はいつも周りにあった。父が趣味でギターを弾いてたしね。父にも母にもよくなついていたよ。祖父にもなついてたね。父は医者だったんだけど、両親は医大で出会ったんだ。2人とも僕のことをすごく助けてくれた。当時のイタリアでは、高校を出たら大学に行かない人には兵役があったんだけど、僕は1年だけ大学に行ったから社会奉仕を選ぶことができて、そうしたらラッキーなことに、その街にある公共のリハーサル・スペースで働くことになってさ。そこは1時間2ドルぐらいでレコーディングに使える場所で、僕は10ヵ月そこの仕事をしたんだよ。『?』の曲は主にそこで作ったんだ。10曲くらい作ったかな。そこはクールな場所で、社会奉仕としての仕事をする前から、友達とそこで集まって楽器をプレイしたりコンピューターゲームをやったりしてたんだ。他にあまりすることがないような街だから、あの場所は良かったよ。

ところで、あなた方はデペッシュ・モードの大ファンのようですが、ライヴで"Home"という曲をカバーしようと思った理由は?

Alessandro:素晴らしい曲だから、っていうこと以外に何故あの曲を選んだか理由は分からないな。でも「I should have knooooown(歌う)」っていうパートは軽すぎるから飛ばしたんだ。とにかくマーティン・L・ゴアは最高だよ。いつか彼と一緒に仕事ができたら嬉しいね。"Home"は素晴らしい曲だから、僕達はライヴでやるだけでレコーディングはしないのさ。なんでレコーディングしないのか?って聞かれたこともあるんだけど、原曲がパーフェクトだから、僕達はちょっと違う感じでプレイしてるんだよ。イタリアにいた頃は、周りの人達が好きな音楽を好きになってた−−母がビートルズを聴いてたから、メロディックな影響の大半はそこから受けたんだと思うし、友達はガンズ・アンド・ローゼズなんかを聴いていた−−その後エレクトロニック・ミュージック好きな友達に出会って、デペッシュ・モードを教えてもらったんだ。彼らの最新作『プレイング・ジ・エンジェル』も本当に素晴らしいアルバムだと思う。

Pelle:ああ、素晴らしいアルバムだね。

Alessandro:これだけ長いキャリアがあって、ここまで彼らがずっと持ち続けてきたアティテュードはそのままに、アップデートしたサウンドで素晴らしい曲を作れるって、本当にすごいことだと思うよ。実は、ナイン・インチ・ネイルズがデペッシュ・モードとツアーをする話が出たことがあったんだけど、彼らがステープルズ・センターでショウをやった時に見に行って、終演後のバックステージも訪ねたんだ。そこでは、彼女に「マーティンのところに行って、話をしてきなさいよ」って背中を押されたんだけど、僕の方は「行けない……行けないよ」って(笑)。

Pelle:(笑)。

Alessandro:結局は話せたんだけどね。彼は子供たちと一緒にいて、すごくナイスな感じだった。「ああ、君達とツアーすることになるかもしれないね」って言ってくれて、僕は後から「スゲエ! マーティンと話したぞ!」って浮かれまくったよ(笑)。

Pelle:「もう死んでもいい!」って(笑)。

(笑)。彼らの作品ではどんな曲が特に好きですか?

Pelle:"Black Cereblation"と"Personal Jesus"だね。

Alessandro:『Violater』に入ってる曲は"Clean"以外は全部好きだな。

Pelle:うん。

Alessandro:"Clean"だけちょっとヘヴィ過ぎるね。"Halo"と"Enjoy the Silence"は特に好きだよ。でも、ひとつを選ぶのは難しいな。

Pelle:いっぱいありすぎるよね。ニュー・アルバムの"Lillian"もいいし。

Alessandro:あれもすごくいいね。

わかりました。さて、昨年アレッサンドロはNINの一員として来日を果たしましたよね。あらためて、日本ツアーの感想など聞かせてくれますか。

Alessandro:5月に日本へ行ったんだけど、24日が僕の誕生日で、もう最高の誕生日をすごしたよ。日本はオーディエンスが他の国とは違うよね。とても歓迎してくれるんだけど、彼らなりのやり方があってさ。アルゼンチンみたいに騒ぎまくるのとは違うんだ。とにかく日本はいつ行っても大好きだよ。テクノロジーがどこにでも溢れている東京みたいな都市と、テクノロジーと自然が一緒になっている京都のような都市のコントラストも好きだし。雨の京都を2日間歩き回ったんだ。世界中をツアーして回ると、いつのまにかその状態に慣れてしまって感動することも少なくなってしまうんだけど、京都での時間は本当に素晴らしかった。誕生日に話を戻すと、プロモーターの人達がおかしなオモチャをプレゼントしてくれて、クレイジーになったよ。ゴキブリとか、虫のオモチャをコントローラーで操作して戦わせたりするやつとか、ラジコンの小さな飛行機とかヘリコプターとかね。

Pelle:僕はまだ日本には行ったことがないんで、いつか行って見たいな。日本人の友人からも色々と話を聞いているからさ。

日本のどんなところに興味を持ちましたか? やはりコンピューターゲームとかでしょうか?

Alessandro:うん、コンピューターゲームが大好きなんだ。セックス/ドラッグ/ロックンロールとか言うけど、僕が中毒になってるのはコンピューターゲームだよ。ツアー中はニンテンドーDSをしょっちゅうプレイしてる。パックマンも今でもプレイするし。モッドウィールムードで日本に行けたらいいなって心から思うよ。

NINに加入して以来、世界中を飛び回ってビッグなショウでプレイし続ける激動の日々を過ごしてきたわけですが、あなたの人生にとって、これがどういう出来事だったかを、ここでちょっと振り返って感想を述べてみてください。

Alessandro:トレントからショウをどんな風にやるかについて多くのことを学んだと思う。それで、モッドウィールムードでは何ができて何ができないかが分かるようになった。予算も違えば、世界も違うからね。今はあそこで学んだことを、どうやってモッドウィールムードのライヴに生かせるか自分なりに解釈しているところなんだ。ただ、ツアーが続けば続くほど、家に帰りたい気持ちにもなってたんだけど(苦笑)。メロウドローンと一緒にモッドウィールムードとして初めて西海岸をツアーした時は、ナイン・インチ・ネイルズとは違って、より楽しめたように思うな。自分達でヴァンを運転して、朝4時にホテルを探してね。2週間っていう短いツアーだったってこともあるかもしれない。赤字になっちゃったけど、すごく楽しかった。だから、いつかモッドウィールムードでもまたツアーすることになると思うけど、それをサポートしてくれるチームが見つかることを願うよ。明らかにNINに参加したおかげで、より多くの人達がモッドウィールムードを聴いてくれるようになった。その事実は意識してるし、もちろん嬉しいことなんだけど、今のところは何の妥協もせず、やりたいように自分の音楽を作って発表できているっていうことが何よりも嬉しいんだ。

どんな風にNINに入ることになったのか、経緯を教えてもらえますか?

Alessandro:オーディションに行ったんだよ。ギターとシンセの両方でね。でも僕が行った時にはもうギタリストは選ばれてたんだ。アーロンじゃなくて別人で、結局その人は加入しなかったんだけど。

そして、あなたは『YEAR ZERO』のリミックス盤にも参加しましたし、現在もNINのメンバーに残っていますし、新作『Ghosts I - IV』では作曲クレジットに名を連ねるまでに至りました。やはりエレクトロニクス機材に精通し、もともとトレント・レズナーと似たスタイルのミュージシャンであることが「残留」の決め手になったのでしょうか? 現在、自分がNINの中でどういう役割を担っていると思いますか?

Alessandro:なぜかは分からないな。またツアーに戻るように頼まれた時は嬉しかったけど、もしトレントが先に進みたければ、僕は納得するしね。NINはいつだって彼のバンドだったんだから。でも敢えて理由をあげるとしたら、ツアーにしても、『Ghosts』にしても、何かを創造する上でトレントと同じ観念を共有しているからじゃないかな。音楽的には僕のメロディックなアプローチに彼が共感できて、それが彼自身のやり方にも生かせるからじゃないかと思う。でも僕はステージ上の一角が自分の場所だって分かってるし、そこで他のメンバーと一緒にプレイすることにベストを尽くすのが僕の役割だね。だからステージで何か楽器を手渡されたら、それがギターでもベースでも、パーカッションでもタンバリンでも、僕はプレイする。そのことをトレントが分かっているのも、残った理由じゃないかと思うよ。

『Ghosts I - IV』のレコーディングはどんな経験でしたか?

Alessandro:最初は「スタジオに入れるなんてすごい、トレントのトリックを全部いただいちゃおう」とか思ってたんだけど、実際はあまりそういうものじゃなかったんだ。ただ、彼の仕事がどんな風に流れて行くのかを見ていて、例えば彼がどんな風にして完全に曲のサウンドを変えてしまうのかとか、どんな部分を残しておくのかとか、そういうことを見ていて、色々と学んだね。すごく大事なレッスンだったよ。シンセもプレイしたけど、ギターもかなり弾いたし、とても楽しかったな。

先日、NINの新たなツアー・スケジュールが発表されました。バンドのメンツだけでなく、編成も大きく変わるみたいですが、ステージ上でのあなたの役目も変わってくるのでしょうか?

Alessandro:1ヵ月以内にリハーサルを開始するんだけど、まだどの曲をプレイするかも分かっていないから、これから色々決まることになるよ。

ちなみにトレントは、例えば「今なぜ香港にいるのか」とかを、あなたには教えてくれるのですか?

Alessandro:彼が休暇で香港に行ってたのは知ってるけど、なぜなのかは分からないな。トレントと話はしてるけど、そんなに色々と聞き出したりしないからさ。彼がお土産を買って来てくれる限りは、やたらに詮索したりはしないよ。僕は「理想的な奥さん」なのさ(笑)。

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