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最新EPの『タイズ・オブ・トゥモロウ』では、アコースティックなサウンド・アプローチが前面に出てきていますが、これだけでも今バンドのクリエイティヴィティがすごく活性化している様子を感じます。現在、バンドの作曲作業はどのような形で行われているんですか? それは昔と比べて変わってきていますか? JR:初期のメタル系の楽曲は、今とは全く違う方法で書かれてたね。以前は僕とスティーヴの2人で作曲してて、その頃はギター・ラインに合わせてドラムのパターンを構成しながら曲を作っていたんだ。まあ、僕はただギターを追って叩いていただけなんだけど(笑)。でも最近の作品はちょっと違ってる。だんだん、ドラマーはベース・ラインに合わせて楽曲の骨格を形成していくべきだってことが分かってきたしね。『タイズ・オブ・トゥモロウ』は2週間ずっと部屋の中にこもって曲作りに集中しながら、「これはいい」って思ったサウンドをどんどん使って、それをまとめてレコーディングしたのさ。ここでは、ほとんどの場合、カレブ、アダム、僕、スティーヴのうちの誰かがリフや途中まで書いた曲を持ち込んで、それを全員で検討していった。歌詞に関しても、ほとんどスティーヴが担当してるんだけど、『タイズ・オブ・トゥモロウ』ではアダムとカレブも歌詞を書いたんだ。前に比べて今は、全員のコラボレーションという形になってきてる。 カレブは、歌詞を書いてみてどうでした? Caleb:最高の経験だったね。歌詞を書くことでその曲に対する思い入れが深まるし、曲作りに大きく貢献できたっていうのは本当にエキサイティングなことだよ。あのEPを作ってた時は誰もがめちゃくちゃエキサイトしてて、今までで一番楽しい時間を過せたよ。 サウンド的に進化していくと、一方でそれをライヴで再現することに関してハードルが高くなっていくと思うんですけど、その点はどうやって解決していくつもりなのでしょう? Caleb:前のアルバム『ジュピター』では、ライヴで再現できる音だけをレコーディングしていたんだ。すごくライヴ・サウンドにこだわったレコーディングをしていたね。でもだんだんとスタジオ内でのクリエイティヴィティにシフトして、ライヴはどうするかっていう問題は後から考えればいいやって思うようになっていったんだよ。う〜ん、確かに難しい問題だよね。4人ともどうやったらアコースティックとエレクトロニックを同時進行でこなしたらいいか分からないし(笑)。キーボードを使うわけにもいかないしね。ライヴになったら再現できないエレメントもあるだろうけど、でも、それが大きな問題に繋がるとも思ってないんだ。なんだかんだいって、未だにスタジオワークはミニマルをキーワードにしているから、ライヴでの再現もそれほど困難じゃないはずさ。 ちなみに昨夜のステージでは、曲間に宇宙的なSEを鳴らしていましたが、『ジュピター』というアルバムにしても、宇宙的なコンセプトに興味があるのでしょうか? JR:ああ、『ジュピター』の頃からケイヴ・インの宇宙的なサウンドが出てきたんだけど、あれは偶然の産物だったんだ。でもそれを楽しむようになっていって……。 Caleb:そして今じゃ病みつきになってる(笑)。 JR:うん、それナシではいられない!。 Caleb:(笑)。 JR:「宇宙」っていうのは僕らのギミックなのかもね。みんな特に天体とか宇宙空間に興味を持ってるわけじゃないんだ。あくまでもアクシデントで生まれたサウンドでね。それから、『タイズ・オブ・トゥモロウ』では水を感じさせる音作りを目指してたんだよ。水をテーマに。ボートとかも出てくるしさ。 じゃあ、次のアルバムにも何かテーマはあるのかな? JR:特にないなぁ……「ロック」ってことかな?。 Caleb:歌詞は全部スティーヴが書いたんだけど……全部に共通項があるわけじゃないし。 JR:ニュー・アルバムの楽曲に共通項があるとしたら、それは「ロック」だってことだね。それから「ベストな音楽だ」ということ。 Caleb:そうだね。何はともあれベストなアルバムを作ることが一番の目的だから。でもそういうテーマみたいなものは後になって生まれてくるのかもしれない。偶然に、唐突に出てくるのかも。 JR:それぞれの曲に歌詞をつけてくうちに、偶然に共通項を発見するかもしれないし。それはそれでクールだと思うけど、最初から意識してやろうとは思わないな。 わかりました。では最後に、ここにいない2人=スティーヴとアダムについて、それぞれ人物評を聞かせてもらえますか? JR:2人とも僕らの兄弟みたいなものさ。バンド全員がユニークな個性を持ってるんだ。1人として同じパーソナリティを持つ人間はいない。それぞれが違う部分を持っているからこそ、バンドが成り立つんだよ。1人1人が違うからこそ、このバンドはスペシャルなのさ。う〜ん……2人についてコメントするのは難しいよ。なんせ長い間ずっと一緒に暮らしてきたから、お互いを兄弟だと思ってるし。兄弟ってどんな感じかわかるだろ? 色々あるし、関係性に波もあるけれど、お互いに愛し合ってるんだ。 Caleb:あの2人は僕が知る限り最も奇妙な人間だけど(笑)、2人とも大好きさ。彼らからはたくさんのことを学んだよ。特にスティーヴ。音楽を通して、彼と同じバンドにいることで得たものは本当に大きいんだ。 JR:うん。4人の違うパーソナリティがいることによって、長期間に及ぶ人間関係の築きかたを学んだよ。いつも一緒にいると、自分の領域っていうものは限られてくるから、互いの気持ちを察しながら付き合う方法を学んでいくんだ。 ありがとうございました。ところで、以前スティーヴのインタビューを読んだところによると、彼はフェイリュアーが好きなんですってね。 Caleb:うん。僕ら全員が大ファンだよ。実は1年くらい前にケン・アンドリュース(※フェイリュアーのギタリスト)に会ったんだ。 JR:彼の方から「一緒にやりたい」って言ってくれたんだよ。 Caleb:僕らのことをすごく気に入ってくれてるみたいでさ。ここ2〜3ヶ月、L.A.でレコーディングしている間、友達みたくなって彼の家にも遊びに行ったんだよ。すごく不思議な気分だった。 JR:うわぁ、ケン・アンドリュースの家にいるなんてウソみたいって思ったりして。 Caleb:すごくクールな人なんだ。いい人だし。 確か、彼は新しいバンドを始めたんですよね? Caleb:うん、イヤー・オブ・ザ・ラビットっていうんだ。ライヴも見たよ。 JR:君はフェイリュアーは見たことある? いや、見たことないです。 JR:すごくいいバンドだったんだよ。 残念ながら、日本ではあまり知られてないんですよ。 JR:アメリカでもそうだよ。誰も彼らの事を知らないんだ。でも以前、スティーヴと一緒に見た時は本当にビックリしたよ。僕らは最前列にいたんだけどさ、最高だった。サウンドもめちゃくちゃいいんだ。素晴らしいバンドだよね。 クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジの最新アルバム『ソングス・フォー・ザ・デフ』は聴きましたか? JR:うん。最高だね。 Caleb:君たちは聴いた? マジで最高だよ。 まったくもって! 他に最近の気に入ってるアルバムとかは? Caleb:まずはそのアルバム(『ソングス・フォー・ザ・デフ』)だね。すごくよく聴いてるよ。 JR:あ、マイク・パットンの新しいプロジェクトは知ってる? ラベッジっていうんだけど。ダン・オートメーターとキッド・コアラとマイク・パットンのプロジェクトなんだ。 はい、少し前に日本でも出ました。 JR:なんて説明したらいいかなぁ。 Caleb:すごくファニーなんだ。 JR:DJラウンジって感じのサウンド。 Caleb:ラウンジっぽい音で、マイク・パットンが延々とセックスについて歌ってるんだ。 JR:すごくエッチな感じで。話してるような感じに歌ってて、すごくセクシーで、すごくクールなんだ。 Caleb:(笑)ほんと、クールだよ。 マイクも色んなことやってますよね。 JR:うん、本当にたくさん仕事をしてるから、追っかけるのが大変だよ(笑)。 彼が最近ディリンジャー・エスケイプ・プランとやった曲は聴きましたか? Caleb:まだ聴いてないんだよ。 JR:僕も。 Caleb:でも噂ではすごくいいみたいね。 エピタフからのリリースで、エイフェックス・ツインのカヴァーをやってます。 JR:うっそ? 不思議な人だよねえ。 Caleb:クール! じゃあ、本当に時間が来ちゃったみたいなので、そろそろ開放したいと思います。どうもありがとうございました。 JR:どうもありがとう。すごくいいインタビューだったよ。 Caleb:うん、楽しかった。ありがとう。
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