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さっき名前のあがったバンドとかもそうなんですけど、ハードコア系のバンドの中にはアンダーグラウンドに留まって、やりたいように活動していくんだっていう信念を持っている人も多いと思うんです。でも、あなた達の場合は逆にメジャー・シーンに乗り込んできたわけですよね。自分達と、他のバンドとの意識の差っていうのはどこから来ていると思いますか?

JR:限界点を持ちたくなかったというのが1つの理由。『これ以上先にはもう進めない』っていう状況だけは作りたくなかったんだ。どこまでも行けるところまで突き進んでやろうっていう気持ちがあって、その先に何があるんだろうっていうのを自分の目で確かめていきたかった。お金とかの問題じゃなくて、どこまで行けるかっていうのが大事で。いつでも選択肢を持って、この旅がどこまで続くのか見届けたかったという感じだね。自分達にリミットを設定したくはないんだ。

Caleb:ああ。多くのバンドはインディーズに留まって、天井が見えてる状態にこだわる。年間200本ものライヴをしながら国中をツアーして回るインディーズ生活に満足している人達は多いね。それはそれで楽しいと思うよ。でも僕らはもっと上のレベルまで行ってみたいと痛感してたんだ。みんなこのバンドに人生を賭けているんだから、これを仕事としても受け止めて、趣味や娯楽だけで終わらせたくないんだよ。

JR:おかげで今は、全てのエネルギーを音楽だけに集中させる事が出来て幸せだよ。インディーズにいたら、生活のために仕事にも行かなきゃならないから、1日の練習時間はせいぜい2〜3時間が限度だけど、僕らは1日中ずっと練習する事もできるし、毎日毎日音楽だけをプレイしていられる。これだけ音楽にフォーカスしてれば、より一層クリエイティヴになれるはずだよ。

なるほど。僕はケイヴ・インが、アメリカのメジャー・シーンにとって希望の光だというくらいに思っているので、絶対に成功して欲しいのですが、自分達が時代の革命児になるぞっていう使命感みたいなものはどのくらい持っていますか?

Caleb:いや、そういう意識はないよ(笑)。

JR:それは期待過剰っていうやつじゃない?

Caleb:うん、僕らは同じような音楽ばっかり聴かされている人達に、別の選択肢を与えていければなぁって願うだけだよ。人々の人生の中にちょっとしたオプションを提示できればいいなって感じてるだけ。自分達が音楽シーンを変えるてやるとか、そういう大志は持ってないね(笑)。

では、あなた達がロックをプレイすることにおける目的とは何なのでしょうか?

JR:僕には2つの状況下における2つの理由がある。まずライヴ。ライヴではただ単にロックしたいだけ。特にフラストレーションを抱えている時など、ライヴに優る処方箋はないと思ってるよ。誰かを怒鳴りつけるかわりに、ドラムに向かってストレス発散しているんだ。それから曲作りとレコーディングという状況があって、これはライヴとは全く違うものなんだ。自分史上最高の音楽を作るっていうのがそこでの目的だね。常に頭の中にあるのは、自分自身が聴いてきた良い音楽に近いものを作りたいっていうこと。つまり、頼れる音楽というか……。チープなものを簡単に作るんじゃなくて、人がのめり込めるようなものを作っていきたい。

Caleb:僕らには政治的なメッセージはないけど、自分自身の芸術形態を探し求めていることは確かだね。楽しみつつも次のレベルへ上がりたいという意識が強い。メッセージやイメージ、ステージでのパフォーマンスにこだわるバンドは多いけど、そこに集中しすぎると音楽自体が疎かになっちゃうんじゃないのかな。僕らは音楽だけに集中していきたい。常にチャレンジ精神を忘れずに、音楽に集中していくんだ。

わかりました。では次に、作品について話を訊いていきたいんですけど、メジャー契約後のEPだけを見ても、ブライアン・マクターナン、ポール・コルダリー&ショーン・スレイド、そしてアンドリュー・シュナイダーと、いろんな人をプロデューサーに起用してますよね? これはやっぱりメジャー・フル・アルバムに向けて試してみているっていう感じなのでしょうか?

JR:そういう気持ちも半分くらいあるね。以前は仲の良い友達でもある2人のプロデューサーとしか関わっていなくて、すごく親しい関係の中で制作を続けていた。でもメジャーに来てみると、そこは未知の世界で、メジャーで活躍するプロデューサーがどのような仕事をするのか全く知らなかったから、そこでEPを通してメジャーのやり方を勉強したいと思ったんだ。ただ、アンドリュー・シュナイダーに関しては、ボストン出身の仲の良い友達なんだ。彼とは“友情から生まれる音楽”を作るのと同時に、他のプロデューサーのやり方も知りたいという2つの意図があったんだ。

なるほど。ちなみに、アルバムのプロデューサーはもう決まりましたか?

JR:最適なプロデューサーを探して、リッチ・コスティという人に決まったよ。すごくクールな人なんだ。いい仕事をするし、すごくフレンドリーだしね。なんといっても自分のやり方を持っているという点がすごいと思った。自分の音を確立している人物なんだ。最高だよ。実はもう、彼とアルバムの曲のレコーディングは済ませたんだ。

Caleb:うん、今この時点ではミックス段階に入ってるはず。仕上がりをすごく楽しみにしてる。

えっ、じゃあアルバムはもう出来てるんですか?

JR:いや、マスタリングはまだだけど。

Caleb:録り自体は全部終わってるんだ。レコーディングのためにロサンゼルスに2カ月半滞在していて、そこから日本へと直行してきたんだよ。

いやー、アルバムが聴けるのをめちゃくちゃ楽しみにしています。

Caleb:うん、僕らも楽しみだ(笑)。明日からはロンドンに行って、そこでミックスとマスタリングをした曲を何曲か聴けるはずなんだ。

ところで、ジョシュ・オムがプロデューサーになるという話が立ち切れになってしまったのには、どういう経緯があったんでしょう?

JR:タイミングの問題でね。彼もクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジで忙しくて、僕らは僕らで曲作りなんかに忙しくて、スケジュールがどうしても合わなかったんだ。

あなた達は彼のファンなんですよね?

JR:大ファンだよ。だってクイーンズ・オブ・ストーン・エイジの人だもん!

Caleb:(笑)ああ。

じゃあ、またチャンスがあれば、将来的に彼といっしょにやりたいと思ってますか?

Caleb:ああ、もちろん。彼ともその話はすでに相談済みなんだよ。近い将来、絶対に一緒にやってみたい人だからね。数曲単位のレコーディングに付き合ってもらうのもいいし、アルバム全体に関わってもらうのもいいだろうし。

おお、それは期待したいと思います。

Caleb:うん、期待しててね。

はい。さて、先ほどの話ではレコーディングが済んだというアルバムなんですけども、いつごろ発売される予定なんでしょう?

Caleb:たぶん来年だろうなぁ……2月くらいかな。

JR:うん、でもそれはアメリカ発売の話だろ?。

Caleb:そう。日本は先行発売になるよ。

JR:アメリカでの発売は2月下旬くらいだと思う。まだ決定してないけど。11月くらいに発売しようかっていう話もあるんだけど、確定はしてないね(※ご存じのようにアルバム『アンテナ』の最終的な発売日は03年3月になりました)。

Caleb:どっちにしろ君たちの方が早く聴けることになるよ。

JR:うん、僕らよりもね(笑)。

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