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7th Day..........11/11(thu)

移動の車中泊の為ちょっと体調をこわすが、今日はツアー最終日。なにがなんでもはずせない日である。バイオリンが暫定メンバーとして加入してからこの日、俺の中でおぼろげだった物がやっと明確になった。NAHTの中に何か変化がある時はやはりいつもHuckfinnのステージの上だ。今回のツアーの中でもベストなショウが出来たと思う。 
BAL。「BURNING AIRLINES from Washington D.C.!!!!!」このM.C.に俺はさっきまでの緊張感を捨て去る事になる。ここからは違う緊張感の始まり。今ツアー恒例のRoll Kicker Laydownの曲が始まるやいなやモッシュピットの発生。(これは?)そんな疑問はさておき、とにかく圧倒的なライブでした。個人的にはこの日の彼らがベスト。新曲(1月に"at the drive in"とSPLITがthickから出る予定。)や今ツアーおなじみのSWEETのCOVER等も含め、やはり歌心溢れる熱いライブだった。敢えてこれこそ究極の(屈折した)ポピュラリティーの形だと言いたいし、彼らこそが可能性である。長年培われた感覚は決して派手なものではなく、受け手も同じ様な感覚をもっていないと気付かずに見逃してしまうような、そんな様な所に存在してる。2度のアンコールも終了、惜しまれつつステージから降りるBALのメンバーの姿がそこに有った。余談としてアンコールに答えるべくステージ上で演奏曲を模索している時Peterは「Crazy RocknRoll Night(by LOUDNESS)演る?」とかましていた。それと見逃せないのはステージを降りる時バーイと言いながら何故かMIKEの手にはドラえもんのうちわが....(これは確か昨日のBARDLANDの楽屋に忘れ置きしてあったヤツでは!?) ちゃっかり持って来ちゃってるMikeでした。終演後器材を皆で片づけながらJayがぽつり「いつも大体2〜3週間からのツアーをやってると最初の3日位はノってこなくて本調子に入るのは4日目位からなんだよね」と本音をポツリ。まさに本日、エンジン始動といった様子でした。 
この後ふとしたJayの質問から、NAHTの活動に際する俺の思いと、可能性の話をJayと交わす。快い数分間の会話でした(この事は後々形になっていくと思います)。打ち上げに向かう途中JayとBALの新作についての話とかTRENCHMOUSEの話(このバンドは94年に俺が'VOLUMEDEALERSでアメリカツアーをやった時バークレーのギルマンストリートで共演した経験があり、ここのVOCALはD.C.出身でJayのクラスメートでした)等かなり興味深いものだった。今日の寝床は各バンド別々。NAHTチームは名床長楽へ。NAHTライブ終了後、「この後には演れないよ。」とたとえお世辞にしても感無量のセリフをJayの口元から発せられた事実を回想しながら目を閉じ、明後日別れなければならない事を想い出さぬ様寝床に入った。



8th Day..........11/12(fri)

am11:00 各バンド別宿から全員集合。ツアー初の雨。気分も幾らかブルーのまま東京へ。移動中はBALはSOON車に乗車していたのでこの間はNAHT & ヘラ氏で雑談(この時間に俺はいろんな想像をする。大好きな一時)。到着予定を2時間程過ぎて帰京。最後の夜位はベッドで寝て貰おうと、新宿のホテルをとってあったので先ずBAL組はチェックインを済ます。ここで今ツアー大部分の運転をこなしてくれたヘラ氏が200MPHのリハの為、中野駅にてお別れ。pm8:00 新宿はるな亭にてホントに最後の晩餐会。名古屋からの直帰後のパーティーなだけに皆ほぼグロッキー寸前。俺はBALのメンバーの側には座らなかった……。風前の灯火……な状態にもかかわらず、異様なテンションで時間は過ぎる。暫くするとJayが俺に「セイキ」と話しかけた。敢えて最後は距離をおこう(明日の別れに対するワンクッションとしてそう考えていた)としてた俺に最初のSo Sadが湧き上がってきた。「いままで色々有り難う。これを注がせてくれ」と持ち込みの梅酒のビンをそっと取り出し俺に注いでくれた。彼はこうクルのである。Jay自身も相当の長旅で疲れているのにも関わらず、常に周りを気配るこの人。この後2次会に突入。最後の最後までドラえもんの玩具を離さなかったのは言うまでもなく例の2人で、決してそれ以外の誰かではない。Jayの貴重なパフォーマンス(これはDISCHARGE曰く"Say Nothing"。)も見れたし、至福の時間だった。時刻も翌日を数える頃この至福の時も終焉を迎える。外に出たところでJayが皆を呼び止め最後の挨拶をゆっくりとした口調で皆の耳に届ける(彼は必ずこれを行う。この時だけは誰もがじっとJayの話に聞き入る)。なんとも感動的な瞬間だった。記念写真を何枚も何枚も撮った。この5分後に車中で撃沈。心はなんとも言えない充足感で満ち溢れていた(この後新宿から西荻までの記憶は全く無し)。


Last Day..........11/13(sat)

当初は仕事の予定だったが無理言って休みを貰った。成田まで送りに行く事を決めたからである。am 9:00 新宿駅南口に集合。BALのメンバーが宿泊しているホテルへ彼らをピックしに行く。Mikeは今朝 6:00 頃起きて最後の東京(新宿)を散歩していたらしい。お互いのメールアドレス交換を済ませなんとなく物悲しい雰囲気の中、川瀬、ジョージ、俺とBALのメンバー6人で成田空港へ。成田エクスプレスでの2時間弱の車中最後の雑談をくみ交わす("Spilit Caravan"を FUGAZIのJoe Lallyが好んで聞いてる話とか、18日から始まるPROMISE RINGとの米ツアーの話等)。搭乗手続きを無事済ませ、俺の一番苦手な時間がやって来る。ここでまたJayが皆に一言&ハグ。この時の記憶は余り覚えていない(感情の高ぶりは一瞬の記憶を抹消する)。けど彼の背中が大海原の様に大きなものだった事だけはしっかりと我が両手が覚えていた。そしてお別れ。俺とSOON二人で空港内で昼飯を食す。BALが機上の人になった時刻を見計らって空港を後にした。                    

以上、ツアー中に書き貯めたメモを元に清書した物がこのツアー日誌です。今回のツアーは自分達にとって(おそらくあの会場に居合わせた人達皆もそうだと思うけど)長かった空白の時間に帳尻を合わせる事の出来た唯一の方法であり又特別な日々だったと思う。彼等を伝説の人物としてだけ捉えていた人達には現役選手が放つ痛烈なカウンターパンチに何かの片鱗を感じる事が出来たのではないでしょうか? 奏でる音が良質なバンドは人柄も又良質。...奇しくも我がNAHTも3人編成を余儀なく強いられた時期でもありそんな中、彼らの限りなくタフネスなトリオアンサンブルには正直ツアー中も何度も励まされたし、多くの可能性をもイメージさせてくれた気がする。でもなんといってもあんなに多くの方々が会場に足を運んでくれた事実が全てを象徴してたと思う。又、今回の来日にあたり綿密な打ち合わせや多くの時間を費やした川瀬(SOON),PHILTER RECORDのスタッフの方々本当にご苦労様。と、ここまで綴ったところで今日タイムリーな事にJay Robbinsからツアー終了後に送ったメールの返事が来ました。追記します(TIME BOMB市橋君へ感謝を)。



Hello Seiki
- It's great to hear from you. We're on tour in the U.S. again, and it's going really well, but every day we talk about Japan. I played "Narrow Ways" on the PA system at our Boston show. It was so cool to hear the Naht on our US tour. We all had an amazing time in Japan. It means very much to me that you booked those shows and that we got to play with your band. I felt frustrated that I couldn't speak Japanese because I also felt that you and I would have a lot to talk about if we could get past the language barrier. I want to take a class in Japanese - don't know when I can though. Every day I am amazed that we went to Japan and did this tour, and met so many great people who started as strangers and now we think of them as friends. I just got my pictures and I will send some to you as well. Take care Seiki - I hope this finds you well! J. Robbins


Hello Seiki
- 君から便りがきて嬉しい。今またアメリカをツアーしていて、万事良い感じでいっているけれど、実はみんなで毎日、日本について話している。"Narrow Ways"をボストンでのライヴで P.A.で(S.E.として)かけたよ。NAHTを自分達のUSツアーで聴くのは何ともいい感じだった。みんな日本で素晴らしい時間を過ごしたよ。僕にとっては、君がこのツアーをブッキングしてくれた上に、君のバンドとプレイした事が本当に意味深い事なんだ。僕も日本語が話せなくて悔しかった/欲求不満だった。もしも言葉の壁さえ乗り越えられたら、僕等はたくさん話せる事があったはずだと僕も思ったから。日本語の授業を受けたい。でもいつの事になるやら。いまだに毎日、自分達が日本までツアーに行った事に驚いている/不思議に感じている。そして沢山の素晴らしい人達に会った。それも全く知らない人だったのが、今では友達なんだから。僕も丁度写真(が出来上がって)もらった所だから、同じように君に送るよ。またね。この手紙が良い(状態)の君に出会える事を祈ってる。J. ROBBINS



嬉しい限りです。ここまで読んでくれてありがとう。ではまたいつか。SEIKI

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