2004年3月29〜31日にかけてカナダ・モントリオールにある Chapelle Historique du Bon Pasteur でCD「ふたりでお茶を」の録音を行いました。
CDのテーマは『気楽に聴けるポピュラーな小品集』。First CD「4手ピアノ連弾曲集」には、クレメンティ、ドボルジャーク、シャブリエ、そしてカナダ人作曲家ベックウィズなど、ピアノ連弾のオリジナル作品を収録しましたが、こちらは、エルガーの「愛の挨拶」、ユーマンの「ふたりでお茶を」など連弾用にアレンジされた曲も含まれています。
3月29日
Chapelle Historique du Bon Pasteur は、その昔は修道院でしたが、今は宗教的な活動は行われておらず、常時展覧会や演奏会が催される、モントリオールのなかでも最も芸術活動が盛んな施設のひとつとして知られています。
ピアノは FAZIOLI というイタリアンブランドのコンサートグランドでした。ルプーやミケランジェリなど国際的に活躍するピアニストも弾いたことのあるピアノ。
正直言って、高音部がおそろしいぐらい明るい音色だったので連弾の演奏には、最初バランス調整に少し苦労しましたが慣れれば弾きやすくこちらの要求に素直に反応してくれるとても良いピアノでした。
録音をお願いしたエンジニアのROSSが「デッカ・ツリー」と呼んでいたマイクセッティング。マイクを置くわずかな位置・角度・高さの違いで、拾える音の微妙な違いはふだん鍵盤の前に座り、そこで聴くアコースティックな音以外興味のない私達にはなかなかピンときません。CD録音では、そのマイクのセッティングが一番重要なのはわかってはいるけれど・・・「ベストな音」のポジションを見つけるまで午前中いっぱいかかり私達はすっかり待ちくたびれ〜。
この日に録音した曲
ベンジャミン: ジャマイカン・ルンバ
ドボルジャーク: スラヴ舞曲 作品72−2
チャイコフスキー: 花のワルツ・こんぺいとうの踊り
ブラームス: ワルツ15番
フォーレ:「ドリー」より3曲
モシュコフスキー: ハバネラ
プーランク: シテール島への船出
グリーグ: アニトラの踊り
3月30日
レコーディング2日目。朝早くから再度調律してもらい、10時に録音開始。
レコーディングエンジニアのROSS。
ひょうきんな人柄で、緊張のはりつめた雰囲気を和ませるスペシャリストでした。
この日に録音した曲
バッハ: 主よ、人の望みの喜びよ
サン・サーンス: 白鳥、水族館
モシュコフスキー: ハンガリー
ラヴェル:マ・メール・ロア より
エルガー: 愛の挨拶
ブラームス: ハンガリー舞曲5番
ユーマン: ふたりでお茶を
ピアソラ: リベルタンゴ
最後に、すべての曲をコンサート形式ですべて通して録音。終了したのは夜の8時半でした。
3月31日
お世話になったチャペルのコンサートシリーズで演奏。夜8時開演。時差ボケと丸2日間の録音でヘトヘトでしたが、小雨の降るあいにくの天候にもかかわらず、熱心であたたかい聴衆に恵まれ、とても気持ちよく演奏することが出来ました。
PROGRAM
ドボルジャーク:スラヴ舞曲1,10,11番
モシュコフスキー:「外国の地から」
佐藤敏直:4つのディヴェルティメント より
***
シャブリエ:道化の行進
バッハ:主よ、人の望みの喜びよ
チャイコフスキー:花のワルツ
ラフマニノフ:6つの小品
Chapelle Historique du Bon Pasteurのディレクター、Mr.Soucie。
とても細やかな心遣いで3日間、朝から夜まで私達につきあい
いろいろとサポートしてくれました。彼の協力なくしては今回のレコーディングはけっして実現しませんでした。
改めて〜 Merci !
In JAPAN
日本に戻ってからは、録音した音源をバランスよく調整するミックスダウン、そしてマスタリングの過程で、東京CDセンターのエンジニア川西氏に並々ならぬお世話になりました。カナダで録って来た音源に予期せぬトラブルが発覚し、一時はどうなることかと思いましたが、川西氏が根気よく試行錯誤を重ねて下さり、無事リリースまでこぎつけることが出来ました。
命(CD?)の恩人!川西さん、どうもありがとうございました。