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DUO 北條&ソーサ

CDBooklet 1 〜 ふたりでお茶を

二重奏のひととき

演奏家が思いをはせる最も満足のゆくひとときとは、気の置けない仲間が室内楽を奏でるためにつどっている時でしょう。異なる考えが融合し、その音楽に息吹が与えられる時、素晴らしい作品が出来上がります。そうした音楽的な関わりが、お茶を飲みながらの楽しい会話となり、果ては、生涯続く友情へとつながっていきます。

このCD作成のために私達が選んだ曲のほとんどは、”標題音楽”<題名、絵画の注釈、あるいは聞き手の心に視覚的なイメージを与える様々な要素によって情景を描写しようとする音楽>と言えるものです。このCDに特集されている作曲家たちは、「お茶でも飲みながらゆったりとくつろぎ、想像力を自由にとき放たせて、これらの曲を味わって欲しい」と望んでいたことでしょう。私達も皆さまにこのCDをそのように楽しみながら聞いていただけることを心より望んでおります。




曲目解説

ふたりでお茶を ユーマンス/DUO北條&ソーサ:編曲
1925年に上演されたミュージカル「ノー・ノー・ナネット」の中で使われたアーヴィング・シーザー作詞、ヴィンセント・ユーマンス作曲の歌。1950年に「ふたりでお茶を」の題名で映画化された際に、主役のドリス・デイが歌って大ヒットした。メロディーの流れがチャーミングで美しく、やさしい愛情をたたえたこの曲には、女性から男性へのプロポーズの意味が込められている。

ジャマイカン・ルンバ ベンジャミン/DUO北條&ソーサ:編曲
軽快でおしゃれな「ジャマイカン・ルンバ」は、オーストラリア系イギリスの作曲家アーサー・ベンジャミンによる「ジャマイカの2つの小品」の2曲目。原曲は2台ピアノのための曲、管弦楽曲の両説があるが、いずれの形態も演奏効果は高く、彼の代表作として知られている。

スラヴ舞曲 作品72-2 ドヴォルジャーク
アントニン・ドヴォルジャークは、各8曲からなる全2集(作品46&72)のスラヴ舞曲を書いた。民俗舞曲の特徴であるリズムや音使いの特徴を駆使し、独創的でバラエティ豊かなこの曲集は、ブラームスのハンガリー舞曲と並んで、ピアノ連弾曲のレパートリーの中で重要な位置をしめている。作品72−2は哀愁漂うメロディーが美しく、曲集中もっとも有名な作品である。

愛のあいさつ エルガー/DUO北條&ソーサ:編曲
エドワード・エルガーは、第二の国家とも言われる行進曲「威風堂々」を作ったイギリスを代表する作曲家。「愛のあいさつ」は彼の婚約者に贈るために作曲され、原曲はピアノとヴァイオリンのための作品であるが、後にはピアノ独奏曲、歌曲などに編曲され、その甘美なメロディーは世界中で広く親しまれている。

「動物の謝肉祭」より”水族館”、”白鳥” 
サン・サーンス
カミーユ・サン・サーンスが2台ピアノと管弦楽のために書いた「動物の謝肉祭」の第7&13曲目。その親しみやすく楽しい内容により彼の代表作として知られており、特に「白鳥」は単独で演奏される機会も多い名曲で、オリジナルはチェロと2台ピアノのみで演奏される。

「夜の団らんへの小話」より”面白い話” ゴダール

バンジャマン・ゴダールは、美しくロマンティックな旋律を持つサロン風のピアノ曲、歌曲を多く残したフランスの作曲家。オペラ「ジョスラン」の中で歌われる子守歌が有名となり、その名を残した。「面白い話」は、6つのエレガントな小品からなる連弾オリジナル曲集「夜の団らんへの小話」の中の1曲で、その軽快で茶目っ気のある曲調が印象的である。

「ペール・ギュント組曲」より”朝の気分”、”アニトラの踊り” グリーグ
北欧ノルウェーを代表する作曲家エドワード・グリーグは、同郷の劇作家イプセンに依頼され書いた管弦楽組曲「ペール・ギュント」を、後に連弾用に編曲した。第1組曲1曲目の「朝の気分」は、主人公ペールが苦労続きの長旅の末、ようやくサハラ砂漠に着いて見た壮大な日の出の情景や心情があらわされている。3曲目「アニトラの踊り」は、モロッコに着いて大金持ちになったペールを誘惑しようとする酋長の娘アニトラが踊るエキゾチックな舞曲。

「マ・メール・ロア」より”パゴダの女王レドロネット” ラヴェル
物語を題材にした5つの小品からなる「マ・メール・ロア」("おとぎ話"の意)の3曲目で、ドーノク夫人の童話「緑の小蛇」に基づくオリエンタル風の作品。モリス・ラヴェルは、この曲の初演を友人の2人の子供に望んでいたため、努めて簡素な書法が用いられているが、その響きはとても繊細で洗練されており、透明感ある美しいメルヘンの世界を見事に作り出している。

シテール島への船出 プーランク/DUO北條&ソーサ:編曲
フランシス・プーランクは、この曲のスケッチを映画音楽「アメリカへの旅」で使っていたが、後に2台ピアノ用に編曲して「シテール島への船出」というタイトルをつけた。これはロココ時代のフランス人画家ワトーの作品と同名で、シテール島はギリシャ神話で愛の神ビーナスが誕生した場所であり、恋人たちのための愛と幸福に満ちた島とされている。プーランクは、この至福の喜びを、軽快な3拍子の中に見事に表現している。

「異国の地から」より”ハンガリー” モシュコフスキー
ポーランドを代表する作曲家であるモリス・モシュコフスキーは、ピアノ連弾曲を含むサロン風の優美な作品を数多く残している。「ハンガリー」は、他にロシア・ドイツ・スペイン・イタリアからなる連弾曲集「異国の地から」の最終曲。どの曲も、それぞれの国の音楽的特徴が華麗なピアニスティックな音の中に巧みに表現されている。

主よ、人の望み喜びよ J.S.バッハ/Duck:編曲
オリジナルはカンタータ第147番「心と口と行いと生命で」の終曲で、オーケストラと合唱で演奏される。誰もが耳にしたことのあるこの美しい旋律は、クラシックのみならずポピュラー音楽の形態にも編曲され、J.S.バッハの全作品の中で最も有名な曲として広く知られている。

ワルツ 作品39-15 ブラームス
故郷ハンブルグから”ワルツの街”ウィーンへ移住したヨハネス・ブラームスは、新しい生活が落ち着いた1865年にピアノ連弾用に16曲からなるワルツ集を作曲した。後に彼は、ウィーンの街並みや、このワルツ集を献呈した友人ハンシュリック氏が一緒に連弾するであろう美しい女性たちを思い浮かべながら作曲したと語っている。15番は曲集中もっとも有名でエレガントな一曲。

ハンガリー舞曲5番 ブラームス
ブラームスは幼いころより、奔放で情熱的なリズムと哀愁漂うメロディーが特徴であるハンガリーのジプシー音楽に興味をもっていた。全21からなるハンガリー舞曲集は連弾ブームを引き起こすほどの成功を収めるが、一方ではメロディーに対する著作権侵害の訴えを起こされるなど、いろいろな面でブラームスの名を一層世に広めた作品となった。5番は曲集の中で一番演奏される機会が多く、誰でも一度は耳にしたことがある名曲である。

「くるみ割り人形」より”こんぺい糖の踊り”、”花のワルツ” チャイコフスキー
ピョトル・チャイコフスキーのバレエ組曲「くるみ割り人形」の第3&8曲目。変化と色彩に富み親しみやすいこの組曲は、ピアノ連弾をはじめ様々なかたちのアンサンブルに編曲され楽しまれている。”こんぺい糖の踊り”は、原曲ではチェレスタが使われ、幻想的な童話の世界が描かれている。単独で演奏される機会も多い”花のワルツ”は、華やかでエレガントな逸品。