Bob
Dylan / |
おすすめ度★★★★★☆ |
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Dylanが後のThe Bandとなるメンバー(Levon Helmを除く)をバックに従えて行ったヨーロッパツアーの音源が遂に正規盤としてリリースされた。 実はこの音源は昔からブートの世界で有名なもので、副題としてのBootleg Series Vo.4はそれにあやかっている。ホントはマンチェスターにおける実況録音であるが、間違ったクレジットもそのままにThe ”Royal Albert Hall” Concertとして堂々のリリースだ! 内容の方はコンサートそのままにまずはアコースティックセットから始まり、朗々と歌われるDylanの弾き語りに観客も息を呑んで見届けているかの様な緊張感ある雰囲気が伝わってくる。 っとは言ってもココで歌われてるのは以前のプロテストソングは1曲も無く、全て65年以降のよりパーソナルな内容と変化しつつあった新しいタイプの曲ばかり。 つまりスタイルこそ従来のモノであったにも関わらず、既にこの前半部分からDylanの「新しい方向性」に観客は息を呑んでいたのかも知れない。 そして、いよいよその緊張は後半になって最高潮を迎える。休憩を挟んでThe Hawksを従えてのエレクトリックセットに突入する。 カウントから入る1には息を呑む。パワフルにリズムを刻むドラム、Robbieのほとばしるギター、そしてバンドとガッチリ組みながらも絶妙にズレててはみ出しそうなDylanのヴォーカル.... 全てがRockだ!66年当時にこの様なワイルドな演奏をしていた奴等がいたとは!驚きである。第一、演奏が上手すぎる!66年と言えば、Rolling Stonesもライヴ盤を出している。それと比べちゃうと.......である。はっきり言ってLed Zeppelinも真っ青の緊張感に溢れている。 さらにもっと言えば、かのBeatlesは間抜けな演奏を我が国にさらしてくれてた時期でもある。信じられない次元の違いである。 もはや何でも「幻の音源」と呼ばれるこの御時世で、この音源こそが本当の伝説!全Rockファン必須アイテムだぁ!
Dylanは再び音楽活動を開始するに当たって、The Bandのメンバーを集めてのリハビリを兼ねたセッションを始めます。そう、ウッドストックの地下室で.....Basement Tapesのセッションであった。
〜特にお気に入りな曲達〜 思わず、いきなりDisk2を聴きたくなる事もありますが、前半のアコースティックセットもすごくカッチョ良いです。ハーモニカとギター、そして歌だけでここまで僕らを離さないアーティストは現在見回してみても、そうは居ないでしょう。 しかもはっきり言ってDylanは歌がうまい!特にVisions Of Johanna、Desolation Row等の長時間に及ぶ弾き語りも決して飽きさせる事無く、切々と歌い上げるDylanに心奪われる。 中でもお気に入りはJust Like A Womanだ。静まり返った空間を縫うかの様に響き渡るDylanの声とハーモニカが永遠の輝きを放つ瞬間を捉えた素晴らしい録音だ。 エレクトリックセットは強烈なビートを持つTell Me, Mamaで幕を開ける。バンド全体がガッチリ組んだタイトな演奏は、Dylanとバックバンドという観念など何処かへ吹き飛ばすものすごいテンションだ。特にRobbieのハードなギターから耳が離れません。 チューニング中に抗議の手拍子の様なモノも全く気にせず始まるBaby, Let Me Follow You Downも緊張感溢れる演奏。 Robbieのギター、Richard、Garthの2台のキーボード、そしてRick独特の太いベース音というThe Bandチックな音とMicky Jonesのタイトなドラム、Dylanのヴォーカル......全てが一体となった名演だ。 続くJust Like Tom Thumb's Bluesは、Garthによると思われるキーボードがアルバムバージョンをも超えるアバンギャルドな魅力を引き出せいているところが聴き所。 イントロの粘っこいアレンジと、終始力任せに引っ張っていくようなDylanのヴォーカルはココでも冴えている。 ニューアルバムからのLeopard-Skin Pill-Box HatもDylan得意の唱法とブルースロックの融合がハマリまくりの最高の演奏。重心を低くした重たいシャッフルビートに乗ったRobbieのリードギターも悩殺モンです。 アルバム中最も緊張感が漂い、気味の悪いくらいのテンションで演奏されているのはBallad Of A Thin Manである。 あれ程の緊張感を持ったスタジオテイクをも凌ぐ、彼らの演奏力とテンションの高さには驚くばかり。Garthのものと思われる奇妙な音色のキーボードがココでも効いてます。 そして、観客からの「ユダ(裏切り者)!」という罵声に「俺はお前なんか信じねぇ!」とカマしてドラマーに「思いっきりデカイ音でやれ!!」と気合を入れて始まるLike A Rolling Stoneは間違いなく、この曲の史上最高のテイク。 既存の価値観、過去の自分とそのファンへの決別...Dylanのそのスザましい魂のような物を感じざるを得ないヴォーカルはとにかく涙がこぼれそうな程に感動的!ラストナンバーにして間違いなく本作のハイライトとなっている。 思うにこの時のドラムはLevonじゃなくて良かったかもしれない。グルーヴという意味では少々味気の無いMicky Jonesのドラムですが、正確なリズムを基調にしたタイトでパワフルなドラムは、この頃のDylanの目指していた音楽そのものだったかもしれない。
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Disk 1 Disk 2
新しい領域に 彼の強気な言動は |
(2002.2.9 再監修)
〜ちょっと禁断のブートの話〜
Bob Dylan & The Hawks / Guitars Kissing And The Contemporary Fix
数年前、当時就職活動で東京の夢の島
「西新宿のブート屋」でこいつを見つけた時は震えた!
「こ、これはThe Bandとやったやつですよねぇ...音良いですかぁ?」
っと、震える声をあげる田舎者に店員は勝ち誇ったように答える。
「正規盤として出るはずだった奴だからね、音は抜群だよ!」
.........そんな事言われると買わない訳にはイカンじゃないか!
ブツブツ....色々自分に言い訳しながら、見事にレジへ...
結局、本当に正規盤として出てしまった訳だけど、内容は全く同じと確認しても
「こりゃ絶対買う」という固い決意には変わりは無かった。
やっぱり正規盤で出るって事はそれなりのリマスターも絶対カマしてる訳だし
ブート持ってるからって正規盤を買わないなんて失礼だ!
っと言う事で同じ内容のブート盤が眠る我が部屋のCD棚でした。
〜関連アルバムの簡単な紹介〜
Bob Dylan & The Band / The Basement Tapes
バイク事故で全てのツアーをキャンセルしたDylanが不在中のRockには
サイケデリックロックが蔓延し、様々なアーティストがRockの可能性を模索していた。
その間、DylanはHawksの連中と共にウッドストックの地下室にこもり
R&B、R&R、カントリーと言ったアメリカンロックンルーツに回帰した音楽を奏でていた。
もちろんこれらの音源はリリースの予定などサラサラ無く、思い付くがままに
レコーディングしていたのだろう。この音源は75年にRobbie Robertsonが中心となって
編集されるまで世の人には耳にする事はなかったが、67年当時にアセテート盤が
アーティストの間に出回り出すと一気にアンダーグランドでの原点回帰が始まったのである。
収録曲はByrdsやManfred Mann、そしてデビューアルバムにおけるThe
Band自身に
よって取り上げられ、その質の高さや当時のRock界にどれほど必要とされていたかをを証明している。
順路その1 : Dylanを追いかける
Dylanの復活アルバム「John Wesley Harding」へ
順路その2 : The Bandを追いかける
The Bandの1st「Music From Big Pink」へ